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掲載日:2023年6月5日
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みなさんこんにちは。スポーツビジネスネットワーク埼玉事務局です。
すそ野が広いことが特長とされるスポーツビジネスの中で、最もイメージが湧きやすい事業の一つがスポーツ興行ビジネスだと思います。
スポーツ選手が華やかに活躍し、観客が夢中になって応援している裏側で多くの方が携わっていることはなんとなくイメージできると思いますが、実際にどのような企業が、どのように関わっているのか、直に知る機会は少ないのではないでしょうか。
今回は、3月22日から26日にかけてさいたまスーパーアリーナで開催されたフィギュアスケートの最高峰「ISU世界フィギュアスケート選手権大会2023(以下、「世界フィギュア」と表記します)」の舞台裏を学ぶセミナーに参加してきたのでその様子を報告します!
主催者の株式会社さいたまアリーナの方から、華やかなスポーツ興行の裏側を学生達に知ってもらい、就職先を選ぶ際のきっかけにしてもらいたいと、セミナーに懸ける想いを伺いました。
※本セミナーは高校生対象でしたが、スポBiz埼玉事務局も特別に応援スタッフとして参加させていただきました。
さいたまスーパーアリーナは可動式の設備によって広大な空間を2つに分割することができます。
今回の大会は、約18,000人が収容できるメインアリーナに設置した競技用リンクの他、裏に練習用のサブリンク(といっても、メイン競技リンクと同じ30m×60m)を併設しているそうです。
参加した高校生達も「部活動の大会や演奏会などの出演者としてアリーナに来たことがあるので裏側の仕事を知りたくて参加した」「イベント関係の仕事に興味があり、フィギュアスケートが好きな友達に誘われて参加した」など積極的な様子。
自己紹介が終わると、実際に会場を回りながら各企業の説明を伺いました。
普段は何もない床に30m×60m、厚さ7cmの広大な氷のリンクを出現させているのが株式会社パティネレジャー。
床に敷いた無数のチューブに氷点下10度の液体を流して水を凍らせているそうです。
このチューブはリンクの設営だけでなく、氷を撤去する時にも大活躍します。
大会終了後は温かい液体をチューブに流して氷を溶かして排水するそうです。確かに氷をそのまま置いておくよりも、お湯に入れたら早く溶けますよね。
利用期間に応じて費用が発生する施設で開催される大会運営においては時間が勝負。
各競技で様々な工夫がされているのだと実感しました。
また、選手がジャンプする際に出来る穴、これを塞ぐのも(株)パティネレジャーの仕事。
細かい氷を使って埋めるそうですが、氷だけでは固まらないので水を含ませることがポイントだということです。
スケートの試合の他、全国各地で開催されるアイスショーでも、(株)パティネレジャーの製氷技術は大活躍しているんですよ。
会場内外の装飾など美術を担当しているのが株式会社ムラヤマ。
観客と選手の一体感を醸成するためにメインビジュアルを会場各所に配置するだけでなく、選手入場口でもLEDパネルでビジュアルを映し出すことで、入場する選手の高揚感を高める役割を担うなど、工夫を凝らした空間づくりをしています。
そんな美術部隊ですが、ただカッコいい装飾を作りこめば良いという訳ではなく、あくまで借りている施設の競技場なので撤去のしやすさも考慮しています。
また、空間づくりにおいてはデザインを考えるのに加えて、デザインの意図を表現するのに最適な素材を検討することも重要な業務なのだそうです。
3月の大会に向けて、前年6月ごろに会場イメージをCGで企画提案するなど、約1年間かけて準備をします。キービジュアルが決まったら、それを使用した映像やグッズ制作に展開します。
イベント装飾や空間ディスプレイのアイディアを創り上げるために、社員各々が色々なものを見たり、海外の展示を研究したりと日々のインプットを心掛けるとともに、意見を出し合うことでアイディアを掛け合わせていくそうです。
大規模イベントを安全に実施するために欠かせない存在である警備業務。
昨年10月に韓国梨泰院で発生した雑踏事故は記憶に新しいですが、警備の仕事は事故が無くて当たり前。事前の計画が肝要とのこと。
選手の視点、観客の視点、審査員など大会関係者の視点それぞれで、事故の可能性をできる限り排除しています。
ちなみに、この仕事を選んだきっかけは、イベントの裏側に興味があったためとのことで、関係者しか入れない場所を出入りすることに特別感を感じると話をされていました。
株式会社JTBが担当しているのは、40ヵ国以上から来日する650人を超える海外選手やコーチのおもてなし。
飛行機やホテル、シャトルバスの手配はもちろん食事メニューの考案まで(株)JTBの業務に含まれます。長い方だと10日間に及ぶ日本滞在期間中、飽きないようにメニューを考えなければなりません。
また、多くの人間が関わる大規模イベントで重要となるのが正確な時間。
バスやホテルに設置してある時計だけでなく、スタッフが身に着けている時計まで全て「時報」に合わせて、秒単位で大会をサポート。
さいたまスーパーアリーナは、東京2020オリンピックでバスケ競技の会場となりましたが、選手や関係者のサポートにも(株)JTBが携わりました。
競技に欠かせない採点システムを担う株式会社コムネット。
ISUに認められているシステムとしては日本唯一(世界で2社だけ)!
今回は特別にタブレット端末に触らせていただきました。
フィギュアスケートの審査員がズラッと並んでいる姿をテレビ等で観たことがある方もいると思いますが、フィギュアスケートの審査は分業制になっており、技が有効か確定する方や、技の出来栄えを確認する方など10人以上の審査員が携わっています。
採点システムを扱う会社なので、(株)コムネットの社員さんはITに強い人ばかりなのかと思ったら、フィギュアスケートは複雑な採点競技でかつルール改正が毎年のようにあるスポーツなので、(株)コムネットには競技に詳しい元選手が多数在籍しているそうです。
アスリートのセカンドキャリアとして、指導者以外で競技に深く関わることができる仕事だと思いました。
さいたまスーパーアリーナは、フィギュアスケートや格闘技などのスポーツの試合や、世界的アーティストのコンサート、各種展示会等に会場を貸し出しています。
この仕事に必要なのは3つのC、Communication(意思疎通)・Cordination(調整力・協調)・Collaboration(連携・協働)です。「これを機に、ぜひアリーナに家族や友達と遊びに来てください。」と、担当者の方からお話をいただきました。
国際的なスポーツ大会の裏側を学ぶ本セミナー。
スポーツ興行のほんの一部に触れただけですが、改めてスポーツビジネスのすそ野の広さや奥深さを実感しました。
また、今回のセミナーを通じて、「ささえる」立場から好きなスポーツにずっと携わることができる、そんな「スポーツビジネス」の世界に魅力を感じた高校生が少しでも増えれば県内スポーツビジネスがより一層成長するのではないかと思います
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