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ページ番号:143015
掲載日:2022年3月3日
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平成28年度に当センターで実施した研究(10テーマ)等に関する成果公表です。
各テーマの詳細は、それぞれのPDFファイルをご覧ください。
産業支援研究は、産業界が求めるニーズを把握し、社会情勢を踏まえ、センター内で保有する技術シーズや新技術創出調査の成果を活用し、県内企業の製品化・実用化を支援することを目的として行っています。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 技術区分 | 期間 | PDF リンク |
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1 | 混合溶剤による熱可塑性CFRPのリサイクル 炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)から炭素繊維(CF)、樹脂、溶剤をそれぞれ回収することを目的として、混合溶剤によるCFRTPの溶解-分離方法について検討した。CFRTPの樹脂には、ポリカーボネート(Polycarbonate(PC))を使用した。1,3-Dioxolane-THF(Tetrahydrofuran)系混合溶剤を用いて超音波処理によりCFRTP中のPCを溶解させ、CFを分離回収することができた。溶解後の溶液は、蒸留により混合溶剤を回収でき、残液からはPCを分離回収することができた。Hansen溶解度パラメータ(HSP)を利用して溶剤の混合比を評価した結果、実験結果と類似の傾向を示すことが確認できた。 |
炭素繊維強化プラスチック、ポリカーボネート、リサイクル、混合溶剤、Hansen溶解度パラメータ(HSP)、超音波処理 | 先端ものづくり/環境・エネルギー関連技術分野 | 27~28 | 研究報告(PDF:581KB) |
2 | 次世代輸送機器に向けた、軽量繊維強化熱可塑性プラスチックの製造(2) 次世代輸送機器に用いる軽量高剛性部材として、発泡コアに熱可塑性プラスチック含浸炭素繊維シート(プリプレグ)を貼り合わせたサンドイッチ複合体が注目されている。本研究では、微細発泡射出成形によりプリプレグと発泡樹脂を金型内で一体化し、低コストでサンドイッチ複合体を製造する技術の確立を目標とした。本年度は、矩形単純形状のキャビティを用いて発泡コアサンドイッチ複合体の成形条件を検討し、プリプレグと発泡樹脂の境界における密着性とボイド生成について調査した。その結果、保圧条件とガス量の最適化によりボイド低減が可能なことが示された。 |
超臨界窒素、微細発泡、PC、インサート成形 | 先端ものづくり関連技術分野 | 27~28 | 研究報告(PDF:737KB) |
3 | ソフトスチーム技術を利用した高機能穀粉の製粉技術の開発(2) -雑穀へのソフトスチーム技術の利用- 雑穀を原料とした高機能穀粉の製造へのソフトスチーム技術の適用について検討した。浸漬後の雑穀にソフトスチーム処理をすると、モチキビ、アマランサス、キヌアにおいて遊離糖の合計量が増加し、特にキヌアとモチキビについては、遊離糖の合計量の増加割合が大きかった。遊離糖の中ではグルコースの増加が顕著であった。また、GC/MSによる揮発性成分の分析結果から、モチキビにおいてソフトスチーム処理による特徴的な成分の変化がみられた。 |
ソフトスチーム、高機能穀粉、雑穀、GC/MS | 農林・食品関連技術分野 | 27~28 | 研究報告(PDF:765KB) |
4 | 高周波誘電加熱を利用した異種材料の接合 近年、複数の材料を適材適所に用いるマルチマテリアル化の要求に対し、異種材料を接合する技術の重要性が増加している。そこで熱可塑性接着材を用いた高周波誘電加熱によるアルミ板とガラス繊維強化ポリプロピレン(GF-PP)の接合を検討した。まず、湿式研磨処理あるいは化学エッチング処理したアルミ板とGF-PP間に誘電加熱用の接着材を挟んで誘電加熱接合を試みたが、GF-PPと接着材間のみ接合し、アルミ板と接着材は接合しなかった。次に化学エッチング処理したアルミ板に接着材をあらかじめ熱プレスし、その後GF-PPを配置して誘電加熱したところ、出力200W、20s間の高周波印加で接着材が溶融してGF-PPと接合し、アルミ板とGF-PPが接合した。得られた接合試験片の引張せん断試験では8.2MPaの強度が得られ、高周波誘電加熱を用いた金属-樹脂間の異種材料接合の可能性が示唆された。 |
誘電加熱、異種材料接合、アルミ、ガラス繊維強化ポリプロピレン | 環境・エネルギー関連技術分野 | 28~29 | 研究報告(PDF:482KB) |
5 | ハイブリッド繊維強化複合材料の強度向上 ポリプロピレン(PP)をマトリックス樹脂とし、最外層に炭素繊維(CF)織物、内部にガラス繊維(GF)を配置したハイブリッド繊維強化複合材料の強度を向上させるため、極性基を導入したPPを用いたところ、通常のPPを用いた場合と比較して曲げ強さが2.8倍に、曲げ弾性率は2.1倍に向上した。これは極性基を導入したPPと、CFあるいはGFとの界面接着性が向上したためと考えられる。また、シャルピー衝撃強さに対して、極性基導入による効果は見られなかった。 |
ハイブリッド複合材料、熱可塑性樹脂、曲げ強度、シャルピー衝撃強さ | 環境・エネルギー関連技術分野 | 28~29 | 研究報告(PDF:573KB) |
6 | 導電ネット-ナノ粒子複合体の形成 次世代電池や排気ガス浄化フィルターに用いる電気化学リアクタ材料として利用するため、導電性カーボン繊維に金属ナノ粒子を凝集させた新規材料の開発を試みた。本材料では、セルロースゲル中に分散させた導電性カーボン繊維の交点を、金属ナノ粒子で包埋することで結着させて高導電性を付与し、さらにカーボン繊維の周囲に金属ナノ粒子を析出させて比表面積の増大を目指した。Cuナノ粒子とカーボンフェルトの組み合わせにより、電極材料として用いられる活性炭の1/5の比表面積と1/250の電気抵抗率を得た。 |
ナノ粒子、カーボン繊維、セルロース、ゲル、複合材料、無電解めっき | 先端ものづくり関連技術分野 | 28~29 | 研究報告(PDF:700KB) |
7 | 普及型水蒸気透過度測定装置の開発 カップ法による水蒸気透過度測定技術を基本とする自動水蒸気透過度測定装置の開発を試みた。恒温恒湿容器内に設置された分析用電子天秤の秤量部と直結する試料カップ台に無水塩化カルシウムを詰めて樹脂フィルムを組付けた試験カップを置き、カップ質量を所定時間毎に自動測定することにより、樹脂フィルムの水蒸気透過量を求め、水蒸気透過度を算出した。水蒸気透過度が6.6~3,700g/(平方メートル・24h)の範囲にある5種類の樹脂フィルムを測定したところ、いずれもJIS Z 0208の測定法と一致した値が得られた。 |
水蒸気透過度、透湿度、カップ法、JIS Z 0208、JIS K 7129 | 環境・エネ/農林・食品関連技術分野 | 28~29 | 研究報告(PDF:636KB) |
独創的技術形成研究とは、若手研究者等の独創性を活かした新たな技術シーズの創出・芽出とともに、研究遂行能力の育成・強化を目的とした調査研究です。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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1 | 新たな車椅子強度基準の提案 車椅子の強度はJIS等により規定され使用者の安全が図られているが、キャスタアップ動作時に背もたれが破損する事故が臨床現場で起きている。そこで本研究では、キャスタアップ動作時における車椅子の耐久性の検証をおこなった。その結果、JISに規定された手押しハンドルを水平に引く方法よりも、手押しハンドルを下方に押す方法の方が車椅子にかかる負荷が大きいことが判った。このことよりキャスタアップ試験においては、下方に押す方法での耐久試験も追加する必要があると考える。 |
車椅子、負荷計測、ひずみゲージ、キャスタアップ | 28 | 研究報告(PDF:492KB) |
技術の進展に対応し、センターにおける依頼試験、解析評価技術等の技術支援高度化を図る調査研究であり、県内企業の問題解決に役立つ評価解析技術の開発・蓄積を目指しています。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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1 | 熱分解GC/MSを用いた微量付着物質の定性分析 -包装材に印刷された塗料の分析- 樹脂等に付着した微量物質に対する定性分析手段について検討した。樹脂に付着したインクを樹脂ごと採取し、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて求めたクロマトグラムと樹脂のみのクロマトグラムを相互減算することにより、インクに由来する数本のシグナルを抽出した。これらのシグナルを指標として、異なるインクを識別できた。本方法は、包装材や樹脂材に付着した異物等の定性分析に応用可能である。 |
熱分解GC/MS、微量付着物質、定性分析 | 28 | 研究報告(PDF:1,087KB) |
平成28年度に、公益財団法人JKAの「公設工業試験研究所等における共同研究補助事業」(オートレースの補助金)を利用して実施した研究です。
⇒JKA補助事業の概要はこちら
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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1 | 新機構を用いた超高分解能リニアモータの実用化に関する研究 様々な技術の進歩により、精密位置決め技術も身近な技術となってきており、簡素でコンパクトな高分解能リニアモータが望まれている。このような背景から、昨年度までリニアモータの試作開発を行ってきた結果、基本原理・前進後進動作および一定の性能は確認している。そこで、実用化を目指すため簡素化・コンパクト化を主眼に置いた、新たな試作機を製作し動作確認と性能試験を行った。昨年度までの試作機に動作機構の変更を加えたので、前進・後進共に安定動作をすることができた。推進力15N・保持力20Nとなり、推進速度は1.5mm/sを得ることができた。 |
リニアモータ、アクチュエータ、高推力、ピエゾ | 28 | 研究報告(PDF:397KB) |
平成28年度研究を1冊にまとめて収録した、「平成28年度研究報告(PDF:6,596KB)」です。
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