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掲載日:2023年7月14日

令和5年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(中屋敷慎一議員)

生物多様性の保全・回復について

Q 中屋敷慎一 議員(自民)

本県では、大野知事の就任後、埼玉版SDGsの推進を掲げ、埼玉県SDGs官民連携プラットフォームや埼玉県SDGsパートナー登録制度、埼玉版SDGs推進アプリ「S3(エスキューブ)」などを創設し、企業や団体、県民の参加を促してきました。また、内閣府が進めるSDGs未来都市に、本県は令和3年に、そして我がまち鴻巣市を含む県内6市が令和5年度までに選定されています。
そして、本県及び鴻巣市では、このSDGs未来都市の計画において生物多様性の保全が明確に位置付けられています。現在、人の営みによる影響を主因として、地球上の種の絶滅のスピードは自然状態の約100倍から1000倍にも達し、本県に存在する1万7943種の動植物のうち、1873種に絶滅のおそれがあると言われています。生物多様性を保全・回復するためには、これまでの取組の更なる進化を図らなければなりません。
こうした中、令和5年3月には約10年半ぶりに生物多様性国家戦略が改定されました。新たな国家戦略では2030年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せるネイチャーポジティブの実現を目指すことが明記され、25の行動目標と367もの施策が掲げられています。
知事も公約の中でネイチャーポジティブの推進を掲げており、本県としても現在の生物多様性戦略を早急に改定し、その決意と具体策を示す必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
また、5か年計画には、生物多様性の認知度を令和8年度までに75%まで引き上げるという施策指標が示されていますが、令和4年度の認知度は令和2年度の67.7%から0.5ポイント下がった67.2%となっています。
さきに述べた埼玉県SDGs未来都市計画には「生物多様性保全の全県展開を進める」と明記され、昨年度には情報発信、活動の核として生物多様性センターも設置されました。取組は進めているが、認知度の大きな向上は図れていない状況を、環境部長はどう受け取られているのでしょうか。
私は、認知度向上に向けて現在、所沢市が取り組み始めたように、県としての新たな評価指標を作り、埼玉県SDGsパートナーに登録いただいている団体や企業などの環境保全活動の効果を具体的に数値で見える化し、認証していくことで、団体や企業の努力を伝える取組や、この5月末に何とか8931ダウンロードに達したエスキューブの「ポイントをためる」のページの中に生物多様性に係る項目を加え、ダイレクトに県民への理解、認知を高める取組を進める必要があると考えますが、環境部長のお考えをお聞かせください。

A 大野元裕 知事

令和5年3月に閣議決定された生物多様性国家戦略では、「2050年までに自然と共生する社会」を目指すとともに、2030年に向けた目標として、ネイチャーポジティブ、いわゆる自然再興の実現を掲げています。
本県では、令和5年3月に埼玉県地球温暖化対策実行計画を改正し、2050年のカーボンニュートラル実現を宣言いたしました。
この実現には、再生可能エネルギーの導入や持続可能なまちづくりである埼玉版スーパー・シティプロジェクト、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブを推進することが不可欠であります。
私は、2050年のカーボンニュートラル実現とともに、持続可能な社会の実現のため、ネイチャーポジティブに積極的に取り組んでいく所存であります。
そこで、県では、令和6年度を始期とする埼玉県生物多様性保全戦略を策定するため、既に庁内ワーキンググループで検討を始めており、7月には有識者などで構成される検討委員会を開催する予定としております。
次の任期が与えられることになるのであれば、ネイチャーポジティブについても積極的に取り組むこととしたいと考えており、具体的な推進については、その後、次期県戦略の策定に当たり、国家戦略同様、ネイチャーポジティブを戦略全体の目標として掲げることといたしたいと考えております。
具体的には、陸と海のそれぞれ30パーセント以上を多様な動植物が生息できる区域として保全する「30by30」の推進に向けて、官民連携の取組を県戦略で示すことを検討したいと考えています。
また、ネイチャーポジティブ経済に移行することで、雇用創出やビジネスチャンスが見込めることから、その促進に関する取組も検討いたします。
次の任期には、こうした視点を踏まえ、専門家や県民の皆様の御意見も伺いつつ、県戦略を策定し、生物多様性の保全・回復に取り組みたいと考えております。

A 細野正 環境部長

これまで県では、県政出前講座や北本自然観察公園などの自然ふれあい施設における展示、令和4年度に環境科学国際センター内に設置した「生物多様性センター」によるイベント開催などを通じ、県民の方へ生物多様性について普及啓発を行ってまいりました。
また、令和5年5月には、配布部数166万部の彩の国だよりに生物多様性に関する特集記事を掲載したところです。
生物多様性の認知度は、県政世論調査によると、令和4年度は67.2%で、4年前の平成30年度の61.8%より上昇しているものの、埼玉県5か年計画の目標値である75%には及んでいない状況にあります。
生物多様性は地球の持続可能性の土台であるとともに、人間の安全保障の根幹でもあります。
にもかかわらず、認知度が大きく向上していないことは憂慮すべきことであり、今までの取組の検証を行い、その改善を行うとともに、新たな取組の実施が必要であると真摯に受け止めております。
次に、ダイレクトに県民への理解、認知を高める取組を進める必要性についてどう考えるかについてでございます。
認知度を向上させるためには、単に「生物多様性」という言葉を広報しようとするのではなく、生物多様性が目指している社会や生物多様性を保全することの意義を分かりやすく丁寧に県民にお伝えしていくことが重要と考えます。
中屋敷議員からは所沢市の生物多様性に関する取組やエスキューブの活用についてお話をいただきました。
所沢市の取組のポイントは、企業が持つ知見や技術等のリソースを活用するとともに、企業のネイチャーポジティブへの貢献度を見える化し、企業の参画拡大を目指すところにあると思います。令和5年5月から取組の検討が始まったと聞いており、今後の展開を注視し、参考となる点については積極的に取り入れたいと考えております。
また、エスキューブについても関係部局と調整し、その活用を更に進め、県民に直接かつ効果的に情報提供するとともに、生物多様性を学べる場にしたいと考えております。
多くの県民の方に、生物多様性に関する理解と認知を高めていただき、生物多様性の保全・回復が図れるようしっかり取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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