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掲載日:2022年7月12日
Q 梅澤佳一 議員(自民)
八ッ場ダムの完成式典がコロナウイルスの感染拡大の影響で延期となっていましたが、去る5月28日に八ッ場ダム完成感謝の集いが行われ、私ども八ッ場ダム建設事業の推進を求める埼玉県議会議員連盟を代表して、長峰会長が出席をされました。
皆さん御存じのように、民主党政権下、「コンクリートから人へ」を掲げ、公共工事の中止や見直しが進められ、代表的な公共工事である八ッ場ダムが標的となったことと思われます。八ッ場ダムについては、1都5県で事業を推進、埼玉県では治水対策・利水対策など、特に利水対策では3割の暫定水利権を安定水利権にするために、長い年月と貴重な県税を投資してきました。突然の中止方針には党派を超えた県議会が団結し、毎年、地元群馬県とともに抗議活動を実施してまいりました。このような危機的状況もありましたが、ようやく完成式典に至ったことは大変感慨深い思いがあります。
令和2年12月定例会においても質問をいたしましたが、令和元年東日本台風の際には、私の地元である久喜市をはじめとする利根川流域において、ダムの貯水効果が十分に発揮されたことは強く印象に残っているところであります。
利根川流域では、平成16年から進められています利根川強化堤防対策を実施しています。さらに、渡良瀬遊水地は谷中湖を含め、第2、第3の遊水地を完成させてきました。このような対策が進められた結果、第19号台風での被害は最小限にとどめられたと思われます。
利水面では、ダム完成前には埼玉県の水利権の三割が暫定水利権でありましたが、完成後は暫定水利権が解消され、安定水利権が100%となりました。また、利根大堰から取水をする冬季通水については、いわゆる冬水です。利根大堰建設前のように冬場でも十分通水されていることが、古くから地元の願いでもあります。八ッ場ダムの完成によって安定水利権の取得など環境が整ったことで、冬季通水による水環境改善などの効果が十分発揮されているところです。
このように八ッ場ダムが完成した現在、治水・利水面での効果は大きなものと思われます。
そこで、知事に伺います。
利根川流域の治水対策についてどのように評価していますか。特に、貯水量の変化や堤防強化対策についてはどうですか、知事に伺います。
また、利水の効果による県民生活による影響の評価について、暫定水利権と安定水利権が渇水時、県民生活にどのような具体的影響を及ぼすのか。さらに、冬季の通水が順調に行われ、水環境の改善が図られていくのかを伺います。
さらに、今後の本県における水資源行政の対応についてですが、八ッ場ダムは計画調査から50年にわたりようやく完成に至りました。一方で、現在実施中の思川開発事業について本県が参画している意義については、改めて確認する必要があると考えます。
そこで、思川開発事業の位置付け、今後の対応方針について、併せて知事に伺います。
A 大野元裕 知事
利根川流域での治水対策、利水面での効果に対する評価についてでございます。
八ッ場ダムは利根川水系において洪水氾濫から人命・財産を守るとともに、都市用水の補給を目的として、構想から約70年を経て、ようやく完成に至りました。
その治水面でありますけれども、八ッ場ダムを合わせて8基となった利根川上流のダム群の洪水調節容量は、これまでの約1.5倍となりました。
令和元年東日本台風では、これらのダム群に加えて渡良瀬遊水地などでも洪水貯留機能を最大限発揮したことや、現在も進められている堤防強化対策の効果により利根川流域での甚大な被害が回避されました。
八ッ場ダムの完成によって、利根川上流域にバランス良くダムが配置され、上流域のどの場所で大雨が降っても、下流域での洪水被害はこれまで以上に軽減されることが期待できます。
また利水面での効果ですが、利根川水系では平成に入ってから八ッ場ダムが完成するまでに9回の渇水が発生をし、取水制限が行われました。
渇水時には、暫定水利権は安定水利権と比べ厳しい取水制限が課せられるため、家庭での断水やプールの使用自粛など県民生活に大きな影響が生じたことがありました。
八ッ場ダムの完成により安定水利権が100パーセントとなり、利根川水系ではこの2年間、渇水に至るような状況にはなっておりません。
利根川上流ダム群の利水容量が、洪水期で約7パーセント、それ以外の時期で約19パーセント増加し、それが渇水に至っていない要因の一つであると考えています。
次に、冬期の通水による水環境の改善についてでございます。
八ッ場ダム完成前の令和元年度と完成後の令和3年度を比較いたしますと、冬期に通水された日数は約18パーセント増加いたしました。
しかし、利根川の水量が少ない時には通水がカットされることがございます。
冬場に水が流れることは水質の改善や生態系の保全、景観の形成につながり、水環境の改善に大変効果があります。
今後も河川管理者である国との情報の共有や調整をより密にし、水量が少ない時にでも切れ目なく水路に水が流れるよう、流域の市や土地改良区とともに国に要望してまいります。
次に、今後の水資源行政への対応についてでございます。
県では、日常生活に必要な水を安定的に利用できる水量の確保、それに加えて10年に1回程度発生する激しい渇水への対応のため、ダム等の建設事業に参画しております。
八ッ場ダムが運用を開始し、これまで完成したダム等で日常生活に必要な水量は確保できましたが、近年の気候変動などを踏まえると、極端に雨が少ないことも想定しておく必要がございます。
そのためには、八ッ場ダムに加えて、令和6年度に事業完了が見込まれる思川開発事業が必要不可欠と考えております。
県としては、計画どおり完了するよう国、水資源機構に働きかけてまいります。
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