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掲載日:2022年7月12日
Q 井上 航 議員(県民)
先ほどの医師確保と同様に、近年、人材確保に苦慮しているのが教員です。小・中・高・特別支援学校と合わせた採用試験の受験倍率は、令和元年度実施試験が4.0倍、令和2年度が3.7倍、令和3年度に3.0倍と低下傾向にあります。そして、今月15日に発表された令和5年度採用の小学校の志願倍率は1.9倍と、過去10年で最低の倍率となりました。こうした現状を踏まえて、埼玉県教育委員会が独自に教員確保策を進めていることは承知しています。ただし、この事態の打開のためには更なる取組が必要と考えております。
そこで、私が注目しているのは、山梨県教育委員会で開始した教員確保のための奨学金返還補助制度です。山梨県教育委員会では優秀な教員の確保を図るため、山梨県内の公立小学校に教諭として一定期間勤務することを条件に、日本学生支援機構から貸与を受けた奨学金の返還の一部を補助する事業を開始しました。
現在、日本学生支援機構が本年3月に発表した令和2年度学生生活調査によると、大学昼間部では49.6%が奨学金を受給中といわれており、その返還は社会人になってからも非常に大きな負担となります。山梨県の制度では、卒業前2年分の貸与額が上限となっていますが、それでもかなりの負担軽減となります。山梨県の発行したチラシには「山梨で教諭になろう」、そのように書いてあり、この制度を学生にアピールすることで他県との差別化を図っています。
また、この制度がうまくできていると感じるのは、令和4年度の教員選考検査受検者向けには補助対象人数を20名としていますが、申請者が募集枠を超える場合は、教員選考検査の成績順で対象者を決定するとしていることです。これにより、補助対象になりたい学生はより熱心に採用試験に臨むようになると考えられますし、その結果として優秀な教員確保につながると思います。
この制度を埼玉県でも導入してみてはいかがでしょうか。現在、埼玉県では教員を目指す人全体を増やすために、大学生や高校生向けに教員経験のある教育局職員が自身の経験を踏まえて教員の魅力を発信する取組を進めています。そこにこの奨学金補助制度があれば、学生にとって教員がより現実的な選択肢になると思います。また、一定期間の勤務を要件とすることにより、離職防止にも寄与すると考えられます。
以上を踏まえ、埼玉県にも教員確保のための奨学金返還補助制度を導入することについて、教育長の見解を伺います。
A 高田直芳 教育長
議員お話しのとおり、本県の教員採用選考試験の倍率は年々低下してきており、教員の確保は極めて重要な課題と認識しております。
そこで県では、今年度から大学と連携し、小中学校の教員希望者を対象に、進路を決める前段階の大学2年生から学校で子供たちと触れ合う体験を通して、教員の魅力を肌で感じてもらう「彩の国かがやき教師塾」ベーシックコースを200名の定員で実施することといたしました。
また、大学3年生を対象としたより実践的なマスターコースも設け、この参加者には教員採用選考試験で一般教養などを免除する特別選考を行い、やる気のある優秀な人材の確保につなげたいと考えております。
議員御提案の山梨県が導入した奨学金返還補助制度につきましては、教員確保策の一つと考えますが、本県と山梨県の採用規模は大きく異なることから、その効果をよく見極める必要があります。
一方、教員不足は全国的な課題でもあることから、国全体として教員の成り手自体を増やしていくことが重要です。
県といたしましては、まずは、国において教員志望者に対する奨学金制度を創設し、教員に採用され一定期間勤務した場合に奨学金の返済が免除される等、教員志望者の増加に寄与する制度の構築を全国都道府県教育委員会連合会を通じて要望しているところです。
今後とも、教員養成系大学との連携をより一層深めながら、埼玉教育の未来を担う教員の確保に努めてまいります。
再Q 井上 航 議員(県民)
先ほどの答弁でいうと、山梨と埼玉は採用の規模も違うだろうと、また、全国的な課題として国に求めているところだというような趣旨だったかと思いますが、私がここでお伺いしたのは、これを埼玉独自の策として導入していくかどうかの点でありました。
例えばですが、こうして山梨が事例を進めております。それの研究であるとか、それを踏まえた検討というのを行っていただきたいと思いますが、御答弁願います。
再A 高田直芳 教育長
山梨県では、小学校教員133人の採用見込みに対し、奨学金返還補助制度の対象は約20人と伺っております。
一方、本県の小学校教員の採用見込みは今年850人を予定しておりまして、仮に山梨県と同様の割合で実施する場合でも補助対象は約120名となり、多額の財源を必要とすることになります。
そのため、山梨県においてどういった成果があがったのかなどを十分に踏まえて、本県で実施する場合の課題ですとか費用対効果などについて研究してまいります。
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