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掲載日:2023年12月20日
Q 秋山もえ 議員(共産党)
本県に手話言語条例が制定されて4年が経過し、今では県内33市町に条例が制定されています。障害者差別解消法の重要な柱は、障害者の社会への参加を制約している社会的障壁を取り除くことであり、聴覚障害者の障壁も一歩一歩取り除かれようとしています。しかし、まだまだ不十分です。
先日、埼玉聴覚障害者情報センターを視察し、お話を伺いました。手話通訳者の依頼で一番多いのは、病院への同行です。コロナ禍で病院への同行はリスクを伴うため登録通訳者が同行できないなど、今年は同行手話通訳者の確保に大変な苦労が生じています。例えば、ある市の専任通訳者が突然発熱したため、予定していた通訳者派遣について急きょ情報センターの専任手話通訳者が駆け付けるなど、まさに綱渡りで乗り越えたそうです。
手話通訳者の派遣事業は各市町村の義務となっていますが、自前で手話通訳派遣事業を実施できない市町村が27市町村あり、事業を実施している自治体でも、専任手話通訳者は一人か二人というところがほとんどです。市町村が自前で通訳者を派遣できない場合、情報センターが通訳者を派遣しています。しかし、通訳者が足りず、協力できないこともしばしばあります。福祉部長、全ての市町村が手話通訳者の配置をするよう強く働き掛けていただきたいが、いかがでしょうか。
手話通訳者には、手話という言語以上に、ろう者への理解、福祉的な視点で支援ができるか、そして何よりも高度な人権感覚が必要となります。言語として手話を学ぶことや手話検定は大変人気ですが、専門家としてろう者を理解し、共に歩む手話通訳者がなかなか増えないということも伺いました。手話通訳者の平均年齢は50歳であり、情報センター職員の通訳者の4割があと3年で定年退職です。まさに手話通訳者の養成が緊急の課題となっています。新卒者など若手を一定数増員して計画的に育成するべきです。
通訳者を養成できる大学は、愛知県の金城学院大学、京都府の龍谷大学など限られています。埼玉県立大学で手話通訳養成カリキュラムを新設し、県が積極的に手話通訳者を養成していくことを提案します。保健医療部長、答弁を求めます。
情報センターは市町村通訳者養成のため講師を行うなどの支援も行っています。私は、情報センターの公的な役割とその重さからして、県にはその責任を果たしていただきたい。情報センターの専任通訳者8人という体制について若手育成の観点からも、市町村の通訳者育成のためにも、更なる増員、強化が必要だと考えています。そのための支援について、福祉部長、答弁を求めます。
情報センター主催の手話通訳養成講習会の会場確保も大変苦労しています。講習会を開くためには、3年間通して会場を押さえなければなりません。県有施設には3年先まで予約できる施設はありませんが、県有施設を優先的に使用できるようにすべきです。福祉部長の答弁を求めます。
A 山崎達也 福祉部長
すべての市町村への手話通訳者配置の働きかけについてでございます。
議員お話しの埼玉聴覚障害者情報センターは、社会福祉法人が設置・運営しており、専任の手話通訳者を配置して、県の委託業務として手話通訳者の養成や専門的な内容に関する通訳者の派遣業務を行っていただいています。
また、病院への同行など聴覚障害者の日常生活に必要な派遣は市町村の役割ですが、手話通訳者を確保できない場合などに、市町村の委託を受けて同センターが派遣を行っています。
こうした対応により、現状では、急な依頼で調整がつかない場合などを除き、手話通訳者の不足により派遣ニーズに応えられないという状況がたびたび生じているようなことはないと認識しています。
一方で、日常生活をサポートするという観点からは、各市町村において通訳者を配置していただき、地域にお住まいの方が聴覚障害者をサポートすることが望ましいと考えております。
手話によるコミュニケーション支援が地域に密着した形で進むよう、手話通訳者の配置について市町村へ働きかけてまいります。
次に、専任通訳者8人体制のさらなる増員強化のための支援についてでございます。
手話通訳者の養成と派遣を円滑に進めていくため、センターには専任手話通訳者の計画的な配置・育成を図っていただく必要がございます。
センターの体制については設置・運営法人において検討されていますが、県としても委託業務を遂行していただく上での課題や問題点を丁寧にお伺いし、どのような対応が必要か検討してまいります。
次に、手話通訳者養成講習会の会場として、県有施設を優先的に使用できるようにすべきについてでございます。
手話通訳者は高度な技術が求められ、国のカリキュラムに基づく全81回の講習会を受講していただく必要があります。
センターから講習会場として週に1回程度、同一の県有施設を長期に渡り使用できるよう要請を受け、施設管理者へ検討を依頼するなど協力を行ってまいりましたが、公平性の観点などから御要望に沿えないのが実情です。
引き続きセンター側のお話を伺いながら、様々な可能性を検討するなど会場確保の協力を行ってまいります。
A 関本建二 保健医療部長
埼玉県立大学では、看護師や社会福祉士など本県の保健・医療・福祉を支える様々な専門人材を育成しています。
例えば、社会福祉士を目指す学生が手話を学ぶことは、議員お話のように聴覚障害者の方へ福祉的な視点で支援をするために、大きな意義のあることです。
そこで、埼玉県立大学では手話に関する授業を開講し、専門職を目指す学生が手話を学ぶ機会を提供しています。
学生の中には手話サークルなどの活動を通じて、更に学びを深めている者もおります。
一方、お話の手話通訳者養成のカリキュラムを設置することは、現時点では手話通訳者の常勤職での求人が少ないことや、看護師などの国家資格の取得を目指す学生にとって履修上の負担が大きいことなどから、直ちには難しい部分がございます。
手話を学ぶことの意義や、市町村や埼玉聴覚障害者情報センターが実施する手話通訳者などの養成課程に関する情報を学生に広く知らせるよう埼玉県立大学に依頼し、手話通訳者を目指す学生が増えるよう努めてまいります。
再Q 秋山もえ 議員(共産党)
御答弁から、手話通訳者の養成についてやっぱり県が積極的にこれに取り組んでいくという姿勢というか、それがなかなか私感じられなかったんですね。
というのも、委託しているということから、埼玉聴覚障害者情報センターは頑張っています。しかしながら、そこに今委託しているということで頼り切ってしまうということではなくて、手話通訳者さんの養成に県が責任を持って主体的に取り組んでいただきたいんですね。今、これが求められていると思います。
そのためにも、情報センターでの専任通訳者の増員ということを提案しましたけれども、これは保健医療部長もお答えになったように、手話通訳者を目指す若い人を増やすためにも、将来ここで働けるよという場所を作る意味でもすごく重要だと思うので、情報センターでの専任通訳者の増員をしていくための支援、これは財政的な面も含めた支援ですけれども、是非検討していただきたいんですが、この点について福祉部長、再度答弁をよろしくお願いいたします。
再A 山崎達也 福祉部長
手話通訳者の養成は、聴覚障害者の方々の日常生活を支援するために大事な事業であると認識しています。
埼玉聴覚障害者情報センターは社会福祉法人が運営している組織であり、人員配置についても法人の方で御検討されていると認識しております。
手話通訳者の養成と派遣という責務を担う県といたしましても、法人任せにせず、今後の体制づくりに向けた検討、検証を法人とともに進めてまいります。
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