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掲載日:2023年12月20日
Q 秋山もえ 議員(共産党)
ア、校則を考える─髪型で人のこころが見えるのか?についてです。
私はこの間、いろいろな高校生や保護者の方と話をしてきました。中でも私の胸に刺さったのは、「髪型で人の心が見えるのか」という県立高校生の言葉です。この生徒の学校では、髪の長さは耳にかからない、前髪は眉毛の上にかからない、ツーブロックは駄目、傷んで茶髪になっても駄目、女子のスカート丈は膝頭の上部とするなど、髪型や服装について細かな規定が決められています。
このように生徒を規制する根本的な精神はどこにあるのかと思い、この高校の生徒手帳を読みました。身だしなみ規定という中には、こう書かれています。「服装をはじめとして身だしなみ及び言葉遣い等は、その人の人柄を表すものであり、個人の態度がその学校の評価につながる」です。これはこの学校だけが掲げているものではありません。身だしなみなど外見は人柄を決定付けるのか、私は非常に疑問です。
国際人権規約では、人種、皮膚の色、性、言語によるいかなる差別も許さないことが宣言されています。このように差別を禁じた条文の水準から見て、この身だしなみ規定は適切とは思われません。教育長の見解を求めます。また、学校という場で、この国際人権規約の精神を積極的に広げていく決意をお示しください。
私は、高校生の言葉によって、改めて気づかされたことがたくさんあります。子どもの権利条約は、子どもの意見表明権を保障しています。子どもの権利条約の精神を生かし、校則に生徒の意見を積極的に取り入れるべきと考えますが、教育長の答弁を求めます。
次に、イ、臨時的任用教員への差別の是正をについてです。
学校現場において人権を守るという点でまず行うべきなのは、教員間の差別解消です。埼玉県の臨時的任用教員制度を抜本的に見直すべきです。埼玉県の臨時的任用教員は3,746人、全体の約1割に当たります。特別支援学校について言えば、平均が15%であり、学校によっては3割もの先生が臨時教員です。
臨時的任用教員は正規の教員と同じ勤務内容で担任も持ち、部活動の指導に当たるなど、正規と同等の責任を負って働いています。現実に臨時的任用教員の力なしに教育現場は成り立ちません。臨時的任用教員の中には31年間にわたって雇用を繰り返し、働き続けているベテランの方もいます。しかし、大ベテランであっても、毎年3月の半ばを過ぎても翌年の雇用が決まらないなど、不安定な状況に置かれています。
教育長、私は、定数内の臨時的任用教員は全て正規の教員にすべきだと考えます。これまでこの質問をいたしますと、教育長は「地方公務員法で臨時的任用教員を優遇してはいけないと書いてあるから、正規職とはできない」と答弁されてきました。しかし、臨時的任用教員は常勤同様の勤務に追われ、試験勉強する暇もありません。臨時的任用教員は優遇どころか、むしろ不利な状況に置かれているのが実態です。
私は、学校現場での経験が採用試験に生きる仕組みを導入することを提案します。新卒の方には大学の学長から推薦を受けたり、埼玉教員養成セミナーを受講することなどによって一次試験が免除されたり、合格率がほぼ100%となる選考区分もあります。臨時的任用教員について研究授業の評価を試験科目とするなど、現場での奮闘が生かされる試験制度を導入すべきと考えますが、教育長の答弁を求めます。
また、臨時的任用教員の処遇をめぐる正規教員との差別は一切なくすべきです。継続雇用を希望しても年度の終わりまで次の赴任校が決まらない、同一校での継続雇用を認めないなどのルールがあります。1年契約の臨時的任用教員ですが、事実上、継続雇用が行われていますから、これらも見直して正規教員と同じルールとすべきと考えますが、教育長の答弁を求めます。
臨時的任用教員の皆さんにお話を伺うと、「4月1日着任と言われていたのに簡単に4月8日着任に変更され、これによって4月分の通勤手当が支給されなくなった」「ボーナスの基準日をわざと外して着任とされた」など、いじめとも言われかねない扱いが横行しているとのことです。教育長、このような曖昧なやり方によって臨時的任用教員の生活を脅かす事態はあってはならないと考えますが、いかがですか。
続いて、ウ、先生がいない!教員未配置・未補充はあってはならないについてです。
新型コロナウイルス感染症による休校措置により、学校では授業時数を確保するため、7時間授業や土曜授業が実施されています。そのため、教員によっては朝出勤してから夕方4時45分まで全く休憩も取れない、土曜勤務の振替えが全く取れないという過酷な状況に拍車がかかっています。
先日、私は、上尾市の教員から驚くべきことを伺いました。産休、育休、病休などで教員が休職する際に代員が補充されない状態を未補充、定数上の教員の穴埋めができない状態を未配置と呼びますが、今、小中学校で未配置・未補充が頻発し、教員の負担をより重くしているというのです。ある中学校では家庭科教員の産休代替が6カ月たっても補充されず、三つの中学校から代わる代わる家庭科の先生が兼務で通ってきているそうです。しかも、これはレアケースではないそうです。担当課に確認したところ、小中学校未配置・未補充は11月1日時点で合計99人に上っています。県内で99人もの先生が確保できない。これは異常事態ではないでしょうか。
教育長、小中学校教員の未配置・未補充が1カ月以上続くなどということは、あってはならないと考えますがどうか。これほど多数の未配置・未補充の原因は何か、答弁を求めます。
私は、県教委が定期的に未配置・未補充の状況を把握し、責任を持って代員補充を行うべきと考えます。しかし、現状は県教委がこの問題に無関心過ぎると言わざるを得ません。こちらから資料を要求したときにだけ未配置・未補充の数を調査する。過去の状況は把握していないので、経年での推移は資料すらありません。未配置・未補充を定期的に把握する、この点について教育長の答弁を求めます。
また、関係課や教育事務所が近郊の大学と電話で連絡を取って代替の教員を探しています。これではあまりにも時代遅れです。ホームページや就活サイトを通して広く募集を行うべきと考えますが、どうですか。
また、そもそも埼玉県は、定数に対する正規教員率が89%です。一方、東京都は105%と定数を上回っています。私は、ぎりぎりで対応するのではなく、多数の正規教員を採用して教育現場に余裕を取り戻すべきだと考えますが、教育長の見解を求めます。
A 高田直芳 教育長
まず、ア校則を考える―髪型で人のこころが見えるのか?についてでございます。
校則の身だしなみ規定に関する見解についてでございますが、校則は、学校が教育目的を実現していく過程において、生徒がよりよく成長していくための行動の指針として各学校が定めております。
また、学校で集団生活を営んでいく上では、一定のきまりは必要であると考えており、校則を守るという指導を通じて、生徒がきまりを自分たちのものとして守っていこうという態度を醸成することに繋がるなど、教育的意義を有しております。
議員のお話の身だしなみ規定の記述につきましては、他の人との人権の共存を掲げている国際人権規約の趣旨に照らして、直ちに抵触するものとは考えておりません。
一方で、校則の内容については、時代の流れの中で、学校を取り巻く社会環境、生徒の実情、社会通念等が変化していくため、必要な見直しを行うことは大切です。
例えば、服装など個別の規定につきましては、その内容と必要性について、生徒や保護者との間に共通理解を持てるようにすることが重要だと考えます。
次に、学校という場で国際人権規約の精神を積極的に広げていく決意についてでございます。
国際人権規約が掲げる人権尊重の精神を、生徒一人ひとりが理解することは、差別のない、よりよい社会を実現する上で大変重要であると認識しております。
これまでも学校では、人権教育週間の中で、人権作文などに取り組み、生徒自らが人権問題について主体的に考え発信する態度の育成や、「個人の尊重」をはじめとする人権意識の向上に努めてまいりました。
今後も、生徒一人ひとりがお互いの人権を尊重することの大切さを理解できるよう、県が独自に作成した『人権感覚育成プログラム』の活用を学校に対して改めて促すなど、人権教育の推進にしっかりと取り組んでまいります。
次に、身だしなみなどの校則に生徒の意見が積極的に取り入れられるべきについてでございます。
県立高校の中には、身だしなみなどの校則の見直しにあたって、生徒会等に参画させる取組を行っている学校があります。
校則に対する生徒の意見を、学校の教育目的を達成するために、必要かつ合理的な範囲で取り入れることは、校則に対する理解を深め、生徒が主体的に校則を守っていこうとする態度を養う良い機会になると考えております。
今後、生徒がよりよく成長していくために、生徒の意見を取り入れた事例を紹介するなど、効果的な教育活動が出来るようしっかりと学校を支援してまいります。
次に、イ臨時的任用教員への差別の是正をについてでございます。
まず、現場での奮闘が生かされる試験制度の導入についてでございます。
教員採用選考試験におきましては、平成20年度から臨時的任用教員の経験が生かせるよう、特別選考を実施しております。
これまで、筆記試験の一部を面接試験に替えたり、第1次試験を免除するなど、改善を図ってまいりました。
今後とも、臨時的任用教員の勤務経験や実績を、面接試験の中で適切に評価してまいります。
次に、継続雇用を希望しても、年度の終わりまで次の赴任校が決まらない、同一校継続雇用を認めないなどのルールを見直して、正規教員と同じルールとすべきについてでございます。
臨時的任用教員につきましては、4月当初の児童生徒の転出入のために学級数が確定できないなどの理由により、正規の教員を配置できない場合に、期間を定めて学校に配置しております。
このため、翌年度に臨時的任用教員を配置する学校の決定は、年度当初の状況が確定する年度末にならざるを得ない状況にございます。
また、臨時的任用教員の同一校での継続的な雇用につきましては、地方公務員法による制約がございます。
県といたしましては、引き続き、各学校の状況を的確に把握するとともに、県立学校や市町村教育委員会からの要望を踏まえ、適切に対応してまいります。
次に、あいまいなやり方によって、生活を脅かす事態はあってはならないについてでございます。
臨時的任用教員の任期や勤務条件等を明確に示すことは重要であると認識しております。
これまでも、臨時的任用教員の採用に当たっては、校長や市町村教育委員会から説明を行っておりますが、改めて徹底されるよう周知してまいります。
次にウ先生がいない!教員未配置・未補充はあってはならないについてでございます。
まず、小中学校教員の未配置・未補充が1カ月以上続くなどということはあってはならないと考えるがどうかについてでございます。
長期間にわたり教員の未配置・未補充の状況が続いていることを重く受け止めており、早期に解消すべき課題であると認識しております。
次に、これほど多数の未配置・未補充の原因は何かについてでございます。
教員の未配置・未補充につきましては、4月当初の児童生徒の転出入のために学級数が確定できないこと、急病など不測の事態の発生や育児休業を取得する教員の増加などが主な原因となっております。
次に、未配置・未補充を定期的に把握することについてでございます。
県では、小中学校の未配置・未補充の解消に向け、今年度は8回の調査を計画しており、引き続き、定期的な状況の把握を行ってまいります。
次に、ホームページや就活サイトを通して広く募集を行うべきについてでございます。
県では、現在、ホームページで臨時的任用教員の募集について広報するとともに、登録を電子申請でも行えるようにするなど、応募しやすい環境整備に努めております。
今後、より多くの方々に県への登録を行っていただくため、インターネットの求人サイトなどの活用について検討し、実施してまいります。
次に、ぎりぎりで対応をするのではなく、多数の正規教員を採用して教育の現場に余裕を取り戻すべきについてでございます。
県といたしましては、今後も、中長期的な視点に立ち、児童生徒数、退職者数、再任用者数の推移などを的確に見極め、正規の教員の採用を行い、未配置・未補充の解消に取り組んでまいります。
再Q 秋山もえ 議員(共産党)
非常にこの未配置・未補充の問題は重く受け止めているということで御答弁いただきました。しかしながら、その御答弁からは、この未配置・未補充が解決に向かっていくという方策というか、実効性というのが感じられなかったわけなんですね。この問題に本気で取り組むには、これから定期的に把握するということですから、是非、未配置・未補充については常に把握をしていただくというのと同時に、やっぱり東京の例を出しましたけれども、正規教員を多数採用して、臨時的任用教員の方には産休代替などに就いていただくと、こういう形で余裕を持った採用をしていく、これしか解決の道はないというふうに思いますけれども、この点についてどんなふうにお考えなのか、再度、教育長、答弁を求めます。
再A 高田直芳 教育長
事態を重く受け止めているという答弁があったけれども、実行性のある対策が打てないのか、東京のように余裕を持った採用ができないのかというお尋ねかというふうに思っております。
長期にわたり教員の未配置・未補充の状況が続いていることは、児童生徒の教育に影響を及ぼしかねないということもありますので、大きな課題だというふうに私自身受け止めております。
登録の方に、登録しやすい環境を整えるために就活サイトを活用することなども検討してこれから実施をしてまいります。
また、定期的な把握につきましても、今年度8回予定をしておりますけれども、継続的に把握に努めてまいります。
なお、採用に当たりましては、今後も中長期的な視点に立ちまして、児童生徒の数あるいは退職者の数、再任用者の数などの推移を的確に見極めまして、正規の教員の採用に努めてまいりたいと存じます。
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