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掲載日:2023年12月18日

令和2年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(高木功介議員)

若手IT技術者の養成について

Q  高木功介  議員(自民

私が2月定例会の本会議で提言した若者IT技術者養成のための「溜まり場」が、7月から県立川口高等技術専門校で稼働いたしております。加藤産業労働部長の即断で実現できた施設であり、現在はコロナ禍もあり外部には開放しておりませんが、将来的にはこれを機に大きく拡大していただきたいと切望している施設です。
ところで、今、政府によってドローンの国産化が進められております。ドローンなどロボットの国産化には、制御系技術者がいないとできない領域です。制御系技術者養成を対象とした溜まり場は、今後ますます重要になってまいります。
また、社会のDX化が進むにつれ、必要となっていくネットワーク技術者やセキュリティ人材の不足もしており、政府の試算では2020年には約20万人が不足していると言われております。そのような中で、サイバー攻撃や巧妙化は複雑化しており、サイバーセキュリティ対処能力を持つ人材の育成が急務であります。サイバー空間に関する基礎的な知識や技能を持ちつつ、セキュリティに対する意識を若年層から高めることによって、IoTを含めどのようなITの利活用があったとしても、必要なサイバーセキュリティに対処できる人材育成が必要になってまいります。
また、仮にサイバーセキュリティの向上を実践するようなAI(人工知能)が登場したとしても、一部のサイバーセキュリティ人材の業務はAIが担うことができる可能性もあります。しかし、結局はAIの製造元やサービスの提供元に情報が集約することになり、自国でAIを開発しなければセキュリティの意味が全くございません。
IT関連市場の規模が今後も拡大し続ける場合、IT人材の需給ギャップは、2018年の約22万人から、2030年には45万人まで拡大すると考えられています。特に、AI事業の需給ギャップは、2018年の3.4万人から、2030年には12.4万人まで拡大するという経済産業省の試算もあります。デジタル時代の読み書きそろばんである数理、データサイエンス、AIに関する知識と技能を全ての国民が育み、あらゆるレベルでリテラシーを持つ人材の育成が必要になります。
政府のAI戦略2019に従って、小中高校における教育環境の整備や社会人のリカレント教育を含めたリテラシー教育、そして大学等における応用基礎教育、及び課題をAIで発見・解決する実践的な課題解決型AI人材育成など、エキスパート教育に取り組む必要があります。
中でも、好奇心あふれる高校生時代におけるAIの基礎となる実習授業の充実は急務であります。埼玉県立学校においても、デジタル社会の読み書きそろばんである数理、データサイエンス、AIの基礎となる必要な力を育む必要があります。令和2年度4月から小学校でもプログラミング教育が導入されることに伴い、地域社会でもICTスキルを学び合う場を普及させることが重要だと、政府も官民データ活用推進基本法で施策として取り上げております。
2022年からは高等学校で新しい学習指導要領に従って、全員必修の情報1.と選択科目の情報2.に再編され、どちらでもプログラミングが含まれるようになり、高校生全員がプログラミングを学ぶことになります。情報2.では、データサイエンスとソフトウェア開発プロセス、バーチャルリアリティなどを見据えた専門的な内容になっております。
しかしながら、技術を身に付けても、それを使うユーザーである限り、アメリカや中国などの後塵を拝することになってしまいます。つまり、ソフトウェアを作る側に我が国は存在しなければなりません。技術を開発した国家がサービスを提供して情報を集めるという構造がある以上、何か創造したいという意欲を育むことが重要です。ユーザーや評論家に押されてしまうと、国家は衰弱の一途をたどります。アウトプットの場を積極的につくることも大事だと思います。
ところで、戦後、我が国の高度成長は製造業が牽引してまいりました。しかし、現在、製造業がGDPの占める割合は約20%、海外への工場移転などがあり、国内の雇用に占める製造業の割合に至っては、僅か17%に過ぎません。もはや製造業には、我が国全体を引っ張る力がないことは明らかです。
日本経済の低迷は、新たな産業育成、産業社会の牽引役になる企業がなかなか生まれないところに根本的な原因があります。解決策は、我が国産業界がITと組み合わせた高付加価値で差別化のある製造業にシフトしていくことができるかが肝であると考えております。そのためには、自国にてIT技術者の養成が絶対に必要になります。
それらを踏まえ、先日設立した若者IT技術者養成のための「溜まり場」のような、生徒が自由闊達に想像力を発揮できるような環境を更に整え、若者の可能性の芽を開花させていく必要があると考えます。川口高等技術専門校での知見を生かし、教育現場において学校のPCルームを放課後に生徒へ開放し、ラズベリーパイなど教育用キットを用いて自由に研究できる溜まり場の開設を切望いたしております。そうした取組に対する教育長の見解を求めます。
それに加えて、年に1回という大企業や役所的なペースではなく、3カ月に1回ぐらいのペースで、そのときの時事に合わせたタイムリーなソフトウェアコンテストやロボットコンテストを世界から募り、埼玉県が主催で開催し、アウトプットの場を提供することも大切だと考えます。コンテストに参加しアワードを目指すことは、若者のモチベーションを上げることにつながります。コンテストの入賞者には、企業や銀行を巻き込んだ資金援助、開発場所の提供などを埼玉県が担えば、埼玉発のベンチャー企業の創造にもつながります。また、起業した際には広報活動も重要です。最低5年間は定期的に広報活動やプレスリリースを支援すれば、営業活動にも寄与すると思われます。
しかしながら、現在はコロナ禍のため、実現は厳しいと承知いたしております。アフターコロナ時にすぐに実現できるよう準備をしていただきたいと切望いたしております。若者IT技術者のための「溜まり場」の拡大と併せて、産業労働部長の見解を求めます。

A  加藤和男 産業労働部長

「若手IT技術者の養成のための『たまり場』の拡大」についてお答えを申し上げます。
社会全体のDXの加速化によりデジタル利活用人材のニーズの高まりが見込まれます。特に、未来を担う若者のICTスキルを高めることは大変重要と考えております。
議員の御提案を踏まえ、本年7月から川口高等技術専門校におきまして、実験的に、若手IT技術者の養成のための「たまり場」を設置しております。
また、産業技術総合センターでも、研修で受け入れている大学生を対象に同様の環境を提供しております。
川口高等技術専門校では、新型コロナウイルス感染症に配慮する観点から、利用者を在校生のみとし、利用時間を訓練後の1時間程度とするなど、限定的な運用を行っております。
私も一度、現場を拝見いたしました。
利用者からは普段は学ぶことのない専門外の技術に触れ、視野が広がったなどの意見のほか、最新のボードコンピュータをそろえて欲しいなどの要望もいただいております。
こうした利用者の生の声やセキュリティの確保の点なども踏まえ、より一層魅力の高い、たまり場となるよう検討してまいります。
併せて、新型コロナウイルスの感染状況が終息し、施設を外部に開放することが可能となった際には、たまり場の利用範囲を在校生以外の若者などに拡大し、多くの優秀な人材が集うよう方策を研究してまいります。
次に、「若手IT技術者のアウトプットの場の提供について」でございます。
若手IT技術者の創造意欲を育むためには、技術をアピールする場を設定し、内容や技術水準を客観的に評価し、讃えることでモチベーションを上げていくことが重要と考えております。
ソフトウェアやロボットコンテストにつきましては、現在、民間主催のものなどが多数開催されております。
そうした各種コンテストを参考にしながら、新型コロナウイルスの感染状況が終息した段階で、アウトプットの場のあり方について検討できるよう準備を進めてまいります。

A  高田直芳 教育長

ロボットを制御するためのプログラミングを学ぶなど、社会の変革に対応したり、イノベーションを起こしたりするような人材を育成することは、これからの社会に必要不可欠と考えます。
現在、工業高校では課題研究の授業や部活動などで、生徒がラズベリーパイなどの教育用キットを用いたプログラミングなどを学んでおります。
また、令和4年度からは、全ての高校においてプログラミング教育の実施が必須となり、AI・IoT社会の中で、ICTを効果的に活用し、生徒自ら課題を解決する力を身に付けさせることが必要となります。
議員御提案の、若手IT技術者を養成していくための「たまり場」を高校に開設することにつきましては、教師に依存せず生徒自らが自由闊達に議論し、切磋琢磨していくという観点から、有効な取組であると考えます。
そこで今後、県立川口高等技術専門校での取組などを参考にし、学校施設の安全確保などの課題を整理したうえで、どのような形で「たまり場」を設けることができるか検討してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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