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掲載日:2023年12月18日
Q 高木功介 議員(自民)
日本にはユニコーン企業やマイクロソフトやGAFA、つまりグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのようなIT企業が生まれにくいと指摘されております。マイクロソフトやGAFAは、IT分野でそれまでにない革新的な発想で急成長を遂げシェアを拡大した企業で、インターネット上の開発やサービス、商品開発、情報を提供する環境、いわゆるプラットフォームを形成している大企業です。しかし、これらはいずれもベンチャーから成長した企業です。
ユニコーン企業とは、未上場で評価額は10億ドル以上のベンチャー企業を指します。2020年10月末時点でアメリカの調査会社によると、ユニコーン企業500社を国、地域別に見ると、米国が242社で最も多く、中国が119社で続きますが、我が国は僅か4社しかございません。
ベンチャー企業が起業して事業を伸ばしユニコーン企業になるには、ベンチャーキャピタルなどから大規模な資金調達が欠かせません。しかし、我が国では成長好機の資金調達のハードルが高く、新規株式公開などでの調達に頼らざるを得ないことが、ユニコーン企業が少ない一因となっております。既存産業とITの融合やAIの発達を背景に、世界でユニコーンの増加のペースが速まっております。アメリカ、中国に後れを取った我が国で今後ユニコーン企業を増やしていくためには、ベンチャー投資の規模拡大が肝になります。
世界で勝ち抜くことができる研究をしているベンチャー企業に投資をすることは、意義深いと思料いたします。現在、製品開発は製薬会社に代表されるよう、ベンチャー企業に研究開発をさせ、成功するとM&Aなどでベンチャーを丸ごと買収し、その果実を手に入れる手法が世界では標準です。そのため、そうした開発ベンチャー企業をあらかじめ囲い込んでおくことが重要になります。
知事公約の一つである渋沢栄一創業プロジェクトの計画では、「成長意欲のあるベンチャー企業等に対して、先輩起業家や専門家等による助言・指導のほか、ビジネスマッチングや資金調達など伴走型の支援を行うことで成長の加速化を図る」とありますが、インパクトに欠けてあまり魅力を感じません。そのような施策は他県でも既に行われておりますが、成果がほとんどありません。また、他県と同じことをしていても、埼玉県の差別化、先行優位も図れないことは、経営者でもある知事にはお分かりのはずです。
渋沢栄一は、500社を超える企業を設立したといいますが、渋沢の手法は、ある産業が日本にとって必要であるにもかかわらず未開発又は貧弱と見るや、資金と人材を投入して企業を起こしました。資金を投入するということは、投資であり、融資でないという点がポイントです。つまり、投資して育てるのです。
コロナ禍で財政難であることは承知いたしておりますが、高付加価値の製品を開発すると見込まれるベンチャー企業に対して、数千万円から1億円規模の投資を埼玉県が打ち出したら、そのインパクトも相まって、将来性のあるベンチャー企業が埼玉県に殺到することになると考えております。埼玉県がそれだけの投資をすれば、他県も国もそれに触発され、ベンチャー企業への投資や助成金が一気に上がることになります。まさに埼玉県が日本経済を牽引する象徴になると考えております。これこそ新1万円札の顔である渋沢栄一の名にふさわしい施策であると考えます。
もう一つポイントがあります。
ベンチャー企業が発展し優れた開発をするには、ベンチャー企業同士、いろいろと情報交換してあげることがアイデアを生み、新しい製品開発を生む土壌を作り上げることが大切です。そのためには、海外からもベンチャー企業を広く募集するべきと考えます。マイクロソフトやGAFAやユニコーン企業の創業者は、アメリカ人と留学生など異なる国籍の組合せがとても多く、ダイバーシティの重要さを証明しています。イノベーションとダイバーシティによって刺激的なアイデアが生まれ、それが実行に移されて初めてユニコーン企業が誕生すると考えます。
そうした高付加価値の製品を開発するベンチャー企業を埼玉県に世界から誘致し投資する、それが埼玉県の産業発展、ひいては我が国全体の産業発展につながると信じております。知事の見解を求めます。
A 大野元裕 知事
渋沢栄一翁は、生涯で500社ともいわれる企業の設立に関わるなど、我が国の産業発展に大きく貢献する企業を多数生み出しました。
こうした渋沢翁の信念を現代に再現するため、新事業の創出や大きな成長を目指すベンチャー企業を支援する渋沢栄一創業プロジェクトを立ち上げました。
企業の設立から研究開発、マッチングやベンチャー企業の初期の成長、さらには高付加価値商品の販路開拓に至るいくつものプロセスの中で、ベンチャー企業を育成していくためには、企業間の連携を深め、また、ビジネスマッチングの機会を増やしていくことが不可欠と考えております。
このため、このプロジェクトでは、企業同士の交流の場についての検討に着手をしたところでございます。
議員から御提案のあった県による投資は、ベンチャー企業の課題である資金調達を支援する有効な手法の一つであると考えます。
投資に当たっては、出資した企業の倒産リスクや元本
毀損
の可能性などの課題もございます。今後、渋沢栄一創業プロジェクトによる交流の場を活用したベンチャー企業の支援策を検討することと並行して、彩の国ビジネスアリーナなども活用し金融機関や投資家とのマッチングを進めるとともに、資金調達についても議論をしてまいります。
また、渋沢翁の言葉に「長所を発揮するように努力すれば、短所は自然に消滅する」というものがあります。
国内外のベンチャー企業が交流する場が創設されれば、それぞれの多様性が交じり合い、長所が重なりあうことで、革新的なビジネスアイデアにつながることも期待できます。
令和元年11月に本県に拠点を開設したジェトロの海外とのネットワークを活用すれば、海外のベンチャー企業を取り込むことも可能です。
本県の産業発展はもとより、我が国の発展という大きな視点も踏まえながら、この交流の場の在り方について検討してまいります。
再Q 高木功介 議員(自民)
私は、ベンチャーキャピタルなどそういうふうな投資会社に任せるのではなく、埼玉県がもっとイニシアチブをとって投資したらどうだというふうな質問趣旨で質問させていただきました。それについて確認の意味を込めまして、埼玉県がもっと積極的に関わるつもりはあるのか、それとも単なる傍観者であるのか、その点について知事の御見解をお伺いしたいと思います。
埼玉県がやはりイニシアチブをとって、インパクトがあることをするので初めて埼玉県が日本経済を牽引するというスタイルというか、そういうふうなものができると考えておりますので、その点について知事の御所見をお伺いしたいと思います。
再A 大野元裕 知事
ベンチャー企業におきましては、様々な成長へのハードルがあると理解をしており、その中の1つは議員御指摘のとおり、資金、あるいは投資の確保にあろうかと思っております。
他方、埼玉県におきましても、これまで様々なベンチャー企業が創業もしくは育っていることも事実でございまして、令和元年度の創業者実態調査を創業・ベンチャー支援センター埼玉で行いましたところ、333社から複数の回答として、その経営課題あるいはニーズについてお話がございました。
この回答の中で、制度融資や資金繰り等の資金に関するニーズは1割程度にとどまっております。
他方で、マーケティング、販路拡大、あるいは信用力、認知度といったいわゆるマッチングの部分については、全回答のうちの約半分がそこを占めております。
したがいまして、埼玉県といたしましては、まずはニーズの高いマッチングの部分を行わせていただくのと同時に、しかしながら御指摘のとおり投資の部分も私は必要だと思っておりますので、こういった投資の機会も含めたマッチングをしっかりと、伴走型支援も含めて埼玉県が担うことによって傍観者とならないよう努めていきたいと考えます。
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