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掲載日:2020年3月31日
Q 諸井真英 議員(自民)
新たな時代「令和」となりました。私は昭和44年(1969年)生まれ、昭和から平成に元号が替わる平成元年(1989年)は大学生で、ちょうど成人式を迎えるところでありました。当時、日本経済は右肩上がり、バブル期を迎えて日経平均が3万8,957円と、史上最高値を記録したのも平成元年でありました。地価は高騰して、「東京の山手線内の地価総額でアメリカ全土が買える」と言われていました。平成元年の世界の企業時価総額ランキングを見ますと、1位、NTT、2位、住友銀行、3位、日本興業銀行、4位、第一勧銀、5位、住友銀行などなど、ベスト10のうち6位のIBM、8位のエプソンモービル以外は、全て日本企業が占めておりました。
それから30年が経過し、令和元年の企業時価総額ランキング、1位はマイクロソフト、2位、アップル、3位、アマゾンなど、GAFAと呼ばれるIT企業のほか、アリババ、テンセン等の中国企業以外、ベスト10は全て米国企業が占めております。日本企業はトヨタが42位で、唯一ベスト50にランキング入りということで、大変寂しい状況であり、日本企業、そして日本経済の衰退は明らかだというふうに思います。
そのような平成の30年を経て、私は50歳で令和を迎えるということになりました。平成の30年を振り返り、戦争がなくて良かったと評価する方もいるようです。しかし、私は平成の30年は日本にとって衰退の30年だったというふうに思っています。国家存続の危機とも言える少子化を改善することができず、世界経済の中において日本だけが労働者の賃金が下がり、取り残され、他国に追い抜かれました。このまま座して静かに衰退していくということでいいのか、今我々が最優先で取り組む問題は何かと、そのような視点で質問に入りたいというふうに思います。
具体的な質問に入る前に、まず県のトップとしての知事の在り方についてお伺いいたします。
今まで一般質問や代表質問を通じて大野知事の答弁を伺ってまいりました。どんな質問にも冷静に対応される姿は、さすがに元官僚だなというふうに思いますけれども、一方、知事の「俺は埼玉県をこうするんだ」というような強い思いを感じることがなく、胸にいま一つ響くことがありません。
先日、海外の大学に留学している友人の息子さんと話す機会がありましたけれども、幾つかやり取りをする中で、「政治家は信用することができない。特にきれいごとばかり言う人は」というふうに言われてしまいました。どういうことなのかと聞いてみると、「選挙の時や公の場所ではいいことを言っているけれども、現実は全然そのとおりではなくて、暗いニュースや事件が多いと。結局、その場だけいいことを言っているだけだ」というふうに言われてしまいました。特別ひねくれた学生だったのかもしれませんけれども、私にとっても耳の痛い言葉でもありました。
さて、大野知事のこれまでの答弁を聞くと、「日本一暮らしやすい埼玉県」とか、「誰一人取り残すことなく幸せを感じる県」とか、これは理想ではありますけれども、曖昧な概念の美しい言葉というのが多く出てきます。加えて、知事選の公約であれもやる、これもやると風呂敷を広げ過ぎたのは理解するのですけれども、「公約実現に対して柔軟に対応する」というふうに繰り返されるのみで、具体的にどういうふうに実現していくのかということがよく分かりません。正直に申し上げて、今の知事の答弁姿勢が続くようでありますと、先に挙げた学生が感じているような「きれいごとばかりで信用できない」というような政治家像と重なってしまうのではないかというふうに思います。
高い理想を掲げることはいいのですけれども、同時に現実と向き合うことが政治家、特にトップとしての知事には求められます。リーダーとして理想を掲げつつも、現実を踏まえ具体的な対応について分かりやすく答弁していただくことが、知事のあるべき姿かと思いますけれども、知事のまず御所見をお伺いいたします。
次に、人材不足にどう取り組むのかということであります。
私は、現時点で最優先に取り組まなければならない問題は少子化、人材不足であると考えますけれども、大野知事の選挙公約5大プロジェクトには少子化対策や人材確保策が見当たりません。SDGsもスーパー・シティも鉄道延伸も、前提となる人がいないと話になりません。知事は、危機管理の専門家だとのことですが、労働人口が減っていくということに危機感を感じていらっしゃらないのか、少子化や人材不足対策に重点を置かない理由、政策の優先度が低い理由についてお答えください。
また、知事公約の実現に向けた工程表においては、重点的に取り組む項目以外で初めて「結婚・出産・子育てしやすい埼玉へ」ということで14項目が書かれておりますけれども、直接少子化対策にはつながらない項目が多く、また保育サービスの拡充など、従来国や県がやってきた対策の延長戦に過ぎず、目新しい政策がありません。今までやってきたことを継続するだけでは、結果が出ていない中で合計特殊出生率が全国平均より更に低い埼玉県の出生率を上げることはできないと感じますが、知事の御所見を伺います。
また、企業経営者と話をすれば、必ず出てくるのが人手不足、担い手不足の問題であります。出生率を上げる取組も大事ですが、一方で目の前の人材を確保することは喫緊の課題であります。日本はこれから毎年50万人から100万人、生産年齢人口が減少し、2040年までに1,400万人が不足すると試算をされており、高齢者雇用だけでは到底追いつきません。昨年の入管法改正により14業種において特定技能制度が規定され、外国人労働者を採用することができるようになりましたが、日本語習得などハードルが高い上、最高5年しか在留できない制度となっており、昨年の目標4万7,550人に対して、この制度で日本に来た外国人はたったの1,621人と、全く数が足りません。当たり前のことですが、労働人口が減ればGDPは減り、経済は縮小します。人手不足に苦しむ業界が多い中、外国人労働者をどのように確保していくのか、知事にお伺いいたします。
また、国は国家戦略特区の中で、外国人家事支援人材の活用制度というのを設けております。これは「(通称)ナニー」と呼ぶものでありますけれども、働く女性の子育て等の家事をサポートするために外国人労働力を利用する制度であります。しかし、この特区の対象地域は東京・神奈川・千葉・大阪・兵庫・愛知となっており、埼玉県は除外をされております。もう一度言いますけれども、東京・神奈川・千葉・大阪・兵庫・愛知でございます。私は、このことに納得がいかないんですけれども、なぜ埼玉県だけ除外をされているんでしょうか。昨年まで国会議員であられた知事にお伺いいたします。
また、この制度こそウーマノミクス推進に必要な制度だというふうに思いますけれども、ウーマノミクスを主要政策に掲げられていた前知事から埼玉県も対象となるよう働き掛けられたことがあるのか、学校が休校になっている今こそ、共働き家庭等に必要とされる制度であります。早急に埼玉県を対象地域に入れる努力が必要ではないのか、併せて知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
まず、「新たな時代の埼玉をどう切り開くのか」についてのお尋ねのうち、政策実現に向けてリーダーシップを発揮するのが知事のあるべき姿ではないかについてでございます。
議員御指摘のとおり、平成の30年間における日本経済の停滞や、今後の我が国の根幹に関わる少子化問題に取り組むためには、中長期的なビジョンが必要です。
だからこそ、私が掲げた公約の中には、「日本一暮らしやすい埼玉県」の実現に向け、10年、20年先の輝かしい未来を切り開くための、政策を盛り込んでおります。
中長期的なビジョンであるからこそ、具体的な対応をお示しするのには時間を要します。そこで、公約の実現に向けた工程表をお示しをすることといたしました。
こうしたビジョンの具体化を図っていくために、今回、御提案している予算案の中で、その調査や有識者から意見を聞くための経費を計上させていただいたところでございます。
リーダーシップを発揮し、県議会をはじめ市町村、関係団体、有識者などの皆様としっかりと議論を進め、ビジョンを具体的な施策や取組として練り上げていくのが、知事としてのあるべき姿だと考えております。
私は730万人県民の負託を受けた県知事として、責任を持ってビジョンを具体的な取組へと深化してまいりますので、若者たちからも信頼をいただけるよう御支援、御協力を承りながら、しっかりと努力をしてまいります。
次に、少子化対策に重点を置かない理由、政策の優先度が低い理由についてでございます。
令和元年の全国の出生数は、初めて90万人を割り、86万4,000人に急減するとの年間推計が、厚生労働省から発表されました。今後の日本の経済や社会保障に与える影響は計り知れなく、大変大きな危機感を感じているところでございます。
5大プロジェクトは、上田県政が注力していた3大プロジェクトに、新たな時代の潮流や私の視点を加え、発展させたものであります。
少子化対策そのものは5大プロジェクトにはありませんが、職住近接によるワークライフバランスや子育て環境の向上などにも長期的な観点から寄与する埼玉版スーパー・シティプロジェクトを掲げさせていただいております。
埼玉版スーパー・シティプロジェクトは少子化対策にも資するものであり、より広い視点に立って少子化対策を進めたいと考えております。
また、私の公約である「日本一暮らしやすい埼玉を実現する政策集」の中で、少子化対策については、「結婚・出産・子育てしやすい埼玉へ」の政策分野に、具体的な政策を掲げております。
これを受け、少子化対策は、令和2年度予算案で、「誰もがいきいき活躍」の柱の一つとして「子育て応援埼玉」を掲げ、潜在保育士の就職支援や病児保育送迎システムのモデル事業の実施など、新しい取組を盛り込み、力を入れております。
結婚、出産、子育てしやすい埼玉の実現に向けて、少子化対策にも全力で取り組んでまいります。
次に、今までやってきたことを拡充するだけでは、埼玉県の合計特殊出生率を上げることはできないのではないかについてでございます。
国は、平成26年のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンの中で、合計特殊出生率を向上させる方策は、「これさえすれば」というような「決定打」もなければ、これまで誰も気付かなかったような「奇策」もないとしています。
さらに、同ビジョンでは、OECD諸国の少子化対策を分析したOECDレポートを引用し、合計特殊出生率の向上には様々な分野にわたる総合的な取組を長期的・継続的に実施していくことが重要であるとしています。
合計特殊出生率の向上には、結婚、妊娠、出産、子育て、働き方、住まいなど多分野にわたる取組をそれぞれ充実させていくことが必要であると考えております。
また、先ほど申し上げた埼玉版スーパー・シティプロジェクトのように中期的な取組についても、少子化対策に対し効果があるものは進めていかなければならないと考えております。
少子化対策の効果は短期間に出るものではありませんが、常にPDCAのサイクルを回しながら、施策の効果検証を徹底し、合計特殊出生率の向上が図られるよう、県庁一丸となり、粘り強く取り組んでいきたいと思っております。
次に、人手不足に苦しむ業界が多い中、外国人労働者をどのように確保していくのかについてでございます。
埼玉労働局の発表によれば、県内の事業所で働く外国人労働者は、令和元年10月末時点で約7万6,000人となっています。
県内企業の人材不足を背景に、平成29年以降、3年連続で毎年約1万人ずつ外国人労働者が増加をしています。
しかしながら、議員御指摘のとおり、特定技能で働く外国人の数は、当初の国の見込みを大きく下回っております。
その要因としては、送り出し国との調整や、資格試験の実施の遅れなどが指摘をされているところであります。
また、受け入れる企業の側でも、出入国や日本での生活支援に伴う諸費用の負担に加え、日本人と同等の待遇を要することもあり、活用に慎重になっているところもあると考えます。
一方で、この在留資格は、資格試験の合格者に加え、3年間の技能実習を修了した方などが取得することができます。
日本国内の技能実習生や、過去に技能実習を修了し既に帰国している方など、特定技能の資格を取得できる外国人は相当数に上ります。
企業側の求人ニーズとマッチすれば、今後、活用が本格化する可能性があると考えます。
県といたしましては、受入先となる県内企業のニーズ調査などを通じて、企業内のどのようなポジションで特定技能を効果的に活用できるか、検討してまいります。
また、現地の人材や送り出し機関に関する情報を収集、分析するとともに、現地からの送り出しが本格化した際には、県内企業との効果的なマッチングに向けた検討を進めるとともに、例えば、ベトナムにおいては、在日本国ベトナム大使館において、技能実習の修了生を戦略的に送り出しができるよう合意をしたところでございます。
あわせて、外国人労働者が県内で安心して働けるよう、ワンストップ相談窓口の設置、日本語学習支援、医療機関の外国人受入れ体制の整備などに、しっかりと取り組んでまいります。
次に、国家戦略特区の中で外国人家事支援人材の活用制度があるが、なぜ、埼玉県は除外されているのかと、埼玉県を対象地域とするよう前知事から働き掛けられたことはあるかについては、関連がございますので一括してお答え申し上げます。
国家戦略特区が始まった平成25年度は、埼玉版ウーマノミクスプロジェクト開始から2年目を迎えた時期でございます。
当時は、女性が子育てをきっかけに仕事を辞めることなく働き続ける環境を整備することが、最大の課題でありました。
そのため、「多様な働き方実践企業」の認定を中心に、企業に対して仕事と家庭の両立支援を積極的に進めてもらえるよう、重点的に働き掛けてまいりました。
まずは、そのことに重点的に取り組んできたため、国家戦略特区に申請しておりません。
そのため、前知事から埼玉県を対象地域とするようにとの働き掛けはありませんでした。
次に、早急に埼玉県を対象地域に入れる努力が必要ではないかについてでございます。
議員お話しの国家戦略特区を活用した制度は、家事代行サービス会社が外国人材を雇用し、料金を利用者からいただいてサービスを提供するものとして、特に選ばれた少数の区域を特区として対象としたものでございます。
現在、国において、新たにこの制度の対象地域に入れるための募集は行われておりません。
また、国家戦略特区で行われた規制緩和のうち、その効果が高いものは広く成果を享受できるよう全国、つまり他の都道府県に広めていくものと認識しております。
しかしながら、民間企業の調査によると、家事代行サービスについては、「費用が高い」「他人を家に入れることに抵抗がある」などという理由によって、利用したことがある既婚女性は、8.1%と低い利用率に留まっております。
こうしたことから、まずは、これまで以上に企業経営者の理解を促すことでワークライフバランスを進めるとともに、もっと男性に家事や育児に参画してもらうことを優先して取り組んでまいりたいと考えております。
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