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掲載日:2023年3月13日

令和2年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(岡   重夫議員)

児童虐待防止に向けた取組について

Q   岡   重夫  議員(県民

埼玉県の児童虐待の相談件数も年々増加し、平成30年度の相談件数は1万5,534件で、5年前に比べて3倍も増えており、児童相談所の職員の労働環境も更に厳しさを増しているのではないかと思います。
しかし、今後少子化が進む中で子供たちが健やかに育つ環境づくりは重要課題であり、児童虐待防止に向けてあらゆる努力を傾注しなければなりません。
さて、先般県は「埼玉県児童虐待防止対策協議会を立ち上げた」と発表しました。そして報道によると、会長に大野知事が、副会長に県医師会の金井会長が就任され、弁護士会など13団体で構成され、児童虐待防止に向けて、情報共有や意見交換などを行うために年1、2回開催するとし、第1回目の対策協議会が去る2月5日に開催されたとありました。
ところで、現在、県内の市町村には要保護児童対策地域協議会があり、支援対象児童などの早期発見と適切な保護や支援を図るために、県の対策協議会と同じようなメンバーで構成され、情報の共有化や相互連携、あるいは役割分担の調整や責任体制の明確化も行っています。
そこで、まず2月5日に行われた県の対策協議会の成果と、今後の方向性について知事に伺います。
また、その成果を要保護児童対策地域協議会にどのように反映するのか、併せて知事に伺います。
次に、児童相談所職員の負担軽減について伺います。
平成30年に東洋経済社が独自に、政令指定都市を含む各都道府県の児童相談所で児童福祉司の残業時間などの勤務実態調査を行いました。それによると、埼玉県は月の残業の最大労働時間数は59.4時間で、三重県の97時間やさいたま市の86.8時間に比べると最大労働時間数は少ないのですが、それでも法律で定められた時間外労働の上限40時間をはるかに超えています。
また、児童福祉司1人が対応する件数は、埼玉県の73件は、大阪市の86件、さいたま市の82件、東広島市の77件に次ぐ全国第4位の多さで、都道府県では全国第1位の多さとなっており、現場の職員の負担がかなり大きいことが想像できます。
一方、国では平成30年に児童虐待防止のための新プランを発表し、「児童福祉司1人当たりの件数を40件相当とするよう、人員配置と各児童相談所の管轄人口を見直す」とあります。
そこで県は、本年度7カ所目の草加児童相談所を新設し、児童福祉司を35名増員し、197名体制にしました。更に来年度は、児童福祉司の増員や一時保護所の新設の計画がありますが、現場の職員の負担軽減のためには、業務の内容の見直しなど総合的な対策が必要です。
ところで、児童福祉司の現場では、朝9時から夕方5時の勤務体制がとりにくく、夕方以降、家庭訪問をし、夜間になって報告書の作成を行い、また夜間や土日に緊急対応をするという厳しい勤務状況にあります。そこで、職員の業務の効率化や負担軽減に向けた取組が大切です。
現在、児童相談所はICTを使った支援システムの改善に取り組んでいますが、今後職員のストレスの解消のための心のケアなど、勤務状況改善に向けてどのような取組を行おうとしているのが、知事に伺います。
次に、県内の児童相談所の児童福祉司は、これまでは緊急対応する介入と、その後のフォローをする支援を兼務していました。一方、国では昨年6月に児童相談所の機能強化を盛り込んだ児童虐待防止関連法を改正し、介入に当たる児童福祉司と、支援に当たる児童福祉司を分けることになりました。
しかし、現場では介入担当者の業務量が増えて、支援担当者との勤務状態の不均衡が生じるのではないかと危惧する声もあります。
そこで、本年4月から、児童福祉司を介入と支援に分けた場合の業務量の不均衡などの課題をどのように解決しようとしているのか、知事に伺います。

A   大野元裕   知事

児童虐待防止対策協議会の成果と今後の方向性、その成果を要保護児童対策地域協議会にどのように反映するのかについてでございます。
児童虐待防止対策協議会は、県医師会、埼玉弁護士会など県内において児童を取り巻く様々な分野で御活躍をいただく様々な団体の代表をメンバーにしております。
県内の関係団体の代表が一堂に会し、情報の共有や、施策への意見交換・提言などを行い、ワンチームで県全体の児童虐待防止に取り組むために設置したものであります。
第1回の会議では、虐待事案について地域ごとの特徴を分析するべきではないか、市町村間の転居の際に虐待情報について統一した引継方法を検討するべきではないかなど、有意義な御意見を賜りました。
こうした御意見は、今後の児童虐待防止策に役立つ大変有効なものでありました。
今後の方向性につきましては、情報共有や意見・提言だけではなく、児童相談所が抱える困難な事案について委員の幅広い知見を積極的に活用させていただき、児童の安全確保につなげていきたいと考えています。
なお、早速ではありますが、今般発生をいたしました困難な事例につきまして協議を行わせていただいたところ、今後の対応方針について委員から専門的知見に基づく貴重な御助言を頂いたところでもあります。
要保護児童対策地域協議会への反映については、虐待防止施策への提言や困難事案に関する対応のうち、市町村に参考になるものを積極的に情報提供してまいります。
次に、児童相談所職員の心のケアなど勤務状況改善に向けた取組についてでございます。
議員お話しのとおり、虐待事案に的確に対応していくためには、職員の増員とともに業務の効率化が不可欠です。
現在、業務の効率化を図る取組としては、リスクの低い案件の安全確認について民間団体の力を活用しています。
また、虐待情報について、児童相談所と警察署とを直接リアルタイムに結ぶシステムを構築し、本年1月27日から都道府県では初めての運用を開始したところです。
今後は、虐待対応にAIを活用している三重県の先進事例の研究や、児童福祉司が重篤な案件に注力できるよう、担当業務のうち事務職でも対応可能な業務の切り分けなどを検討してまいります。
職員の心のケアについては、一人で抱え込まずに相談しやすい職場づくりが重要です。
若手職員に対し、先輩職員が業務上の相談やメンタル面でのフォローを行うブラザー・シスター制度や、メンタルヘルス研修などを充実させてまいります。
また、威圧的な親への対応として、全児童相談所に配置した警察OBによる家庭訪問への同行や、警察と連携した実践的な捜索訓練を引き続き実施いたします。
職員一人ひとりが持てる力を十二分に発揮できるよう業務の効率化、負担軽減を図ってまいります。
次に、児童福祉司を介入と支援に分けた場合の業務量の不均衡などの課題をどのように解決しようとしているのかについてでございます。
介入と支援に分けた場合、介入については、担当する職員が保護者との関係悪化を危惧することなく、子供の安全確保のため躊躇なく一時保護することが可能です。
支援については、介入とは別の職員が担当するため、保護者との対立関係を持たずに、保護者の立場に立って効果的な指導を行うことができます。
業務量が不均衡になることがないよう、業務内容を丁寧に分析し、適正な人員配置を行うとともに、必要に応じて柔軟に組織的な対応を行います。
私は、子供を虐待から守るという強い決意の下、児童虐待の防止に全力で取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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