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掲載日:2023年3月13日
Q 岡 重夫 議員(県民)
大野知事は昨年8月31日に就任されてから、CSF、豚熱の対策や台風第19号への対応、そして現在の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策などに奔走されて、あっという間の半年ではなかったかと思います。
しかし、これまでの知事の様々な場面での判断力や行動力を見て、県民の多くは知事を高く評価していますので、引き続きあらゆる場面で強いリーダーシップを発揮されることを期待して、順次質問を行います。
まず予算案編成に当たっての知事のお考えを伺います。
大野知事が就任後初めて編成された令和2年度の一般会計予算案は、1兆9,603億1,500万円で、昨年度対比3.8%増の過去最大規模となっています。そして「安心・元気のスタートアップ予算」と銘打ち、災害に強い埼玉の構築と2020オリンピック・パラリンピックの成功に重点を志向するとして、「安心・安全しっかり確保」「持続可能な成長・発展」「誰もがいきいき活躍」、この三つの施策を最優先に取り組むとも言われています。
そこで、まず「安心・元気スタートアップ予算」の基本的な考えとして、「誰一人取り残さない、どの地域も取り残さない社会を実現する」とありますが、現在、県内でも経済、人口格差など格差社会が広がりつつある中で、その実現はなかなか困難です。そのような中、取り残さない社会の実現に向けて、どのような施策に取り組んでいくのか、知事のお考えをお聞かせください。
次に、知事の公約「日本一暮らしやすい埼玉の実現」に向けて、今回の初年度予算案で、その基礎づくりをどのようにするのか。その取組について知事に伺います。
また、予算案を編成する上で、上田前知事の考え方をどのように継承発展させて大野知事の公約を実現しようとしているのか、併せて伺います。
次に、臨時財政対策債について伺います。
当初、平成13年度から平成15年度までの3年間の臨時で始まった、地方が国の借金を肩代わりする制度の臨時財政対策債は、恒常的に来年度予算でも続けられています。そして、昨年度に比べて7.6%減少したとはいえ、1,040億円の臨時財政対策債が計上され、その残高は1兆7,825億円まで膨れ上がり、実に県債全体3兆8,147億円の46.7%を占めています。
埼玉県が臨時財政対策債を発行するかどうかは、形式的には県の意思に委ねられていますが、実質的には交付税であるため、県は発行せざるを得ません。また、その借金は県が責任をもって返済しなければならず、次の世代への負担の先送りになるおそれがあります。ましてや、これからの人口減少や高齢化社会が進み、日本の社会構造が大きく変化して、国や県の税収が減少するおそれがある中で、いつまでも国の借金の肩代わりをすべきではなく、速やかに従来の地方交付税の現金支給に戻すべきです。
そこで、これまで上田前知事は国に対し臨時財政対策債の廃止を求めてこられましたが、大野知事はこの制度をどのようにお考えか。そして、国に対して何らかの意見などを述べられるお考えがあるのか、お伺いします。
続いて、埼玉朝鮮学園への補助金の支給について伺います。
埼玉朝鮮学園の補助金は、平成22年度から予算が執行停止され、平成23年度の予算特別委員会では、拉致問題などが解決するまで予算の執行を留保すべきであるとの附帯決議が可決されました。その後、来年度の予算案まで予算執行の凍結と、予算計上の見送りが行われています。
そんな中、平成30年に人権問題を扱う有識者の方々が、県庁記者クラブで朝鮮学校への補助金の再開を求める記者会見を開き、「政治的な問題と、日本で生まれ、日本で暮らし、日本で税金を納めている子供たちの教育を受ける権利は、全く関係がない」との声明を発表しました。
私は、埼玉朝鮮学園の補助金支給を再開するのは、まず北朝鮮が拉致被害者を全員返すことが先決で、人権問題を訴える有識者の皆さんこそが、北朝鮮に向かって日本人拉致問題の全面解決を訴えるのが先なのではないでしょうか。
ところで、知事のもとには、ほかの団体などからも補助金の再開を求める要望などが来ていると伺っています。そこで、来年度予算案では、補助金の計上が行われていませんが、知事の埼玉朝鮮学園への補助金支給に関するお考えを伺います。
A 大野元裕 知事
「取り残さない社会」の実現に向けてどのような施策に取り組んでいくのかについてでございます。
本県は人口減少社会の到来という時代の大きな転換点を迎えております。
活力の低下が懸念される時代だからこそ、県民一人ひとりが、誰一人取り残されることなく生き生きと活躍できる社会の構築が必要です。
そこで、令和2年度当初予算案の柱の一つとして「誰もがいきいき活躍」を掲げ、一人ひとりが抱える課題の解決に向けた施策に取り組んでまいります。
例えば、児童相談所の職員を大幅に増やすとともに、北部地域において児童相談所と一時保護所を一体的に整備することで、虐待から子供を守る体制や機能を強化してまいります。
また、いわゆる就職氷河期世代については、国に先駆けて実施している就職支援に加え、本県でも新たに職員採用枠を確保するなど、活躍の場を広げてまいります。
さらに、女性、シニア、LGBTQの方についても、それぞれの課題に応じた支援に取り組みます。
加えて、「誰一人取り残さない、持続可能な発展・成長」を目指し、部局横断による庁内推進体制を構築するとともに、県内の企業・団体と連携しながら「埼玉版SDGs」を進めてまいります。
こうした取組を進めることで、個人や地域が輝ける社会を構築してまいります。
次に、「日本一暮らしやすい埼玉」の実現に向けて初年度予算案でその基礎作りをどのようにするのかについてでございます。
私は、公約に掲げた「日本一暮らしやすい埼玉県」を実現するための最初の予算案を「安心・元気のスタートアップ予算」と名付けました。
先ほどの「誰もがいきいき活躍」に加えて、「安心・安全しっかり確保」、「持続可能な成長・発展」の3本柱を掲げ、それぞれの施策に最優先で取り組むことといたしました。
「安心・安全しっかり確保」の柱では、災害ごとの被害や事態を想定したシナリオを作成し、図上訓練を繰り返すことで関係機関と協力体制を構築する「埼玉版FEMA」など、危機管理の体制を強化してまいります。
また、台風第19号で特に甚大な被害を受けた入間川流域などにおいて、河川インフラの強靭化など治水対策に取り組みます。
「持続可能な成長・発展」の柱では、令和2年度に開催する東京2020オリンピック・パラリンピックの成功に向けたイベントや、この大会を契機とした本県経済の活性化などを着実に進めてまいります。
また、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」では、都市機能の集約化、新技術の活用、災害に強いインフラの観点から、超高齢化社会に対応したまちづくりの方策を検討してまいります。
今後とも、「日本一暮らしやすい埼玉県」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。
次に、予算を編成する上で、上田前知事の考え方をどのように継承・発展させて、公約を実現しようとしているのかについてでございます。
上田前知事が取り組まれてこられた、シニア・女性など多様な主体の活躍により社会を活性化するという方向性はしっかりと継承するとともに、より視野を広げた取組を進めていくべきと考えております。
例えば、埼玉県コバトン健康マイレージでは、スポーツクラブとの連携などにより参加者をさらに拡大し、健康寿命の延伸と医療費の抑制を図ります。
また、埼玉版ウーマノミクスプロジェクトでは、男性の育児休業取得を促進するとともに、女性のキャリアアップのための実践的な支援を追加するなど、取組を強化してまいります。
一方、近年ICTやAIなどの新技術は急速に進化しており、私はこうした技術を活用した取組を今までよりも更に積極的に取り入れることで、人口減少社会の課題を解決したいと考えております。
例えば、自動制御技術やドローンなどの活用により、作業の省力化や効率化を進める、農林業のスマート化などに積極的に取り組んでまいります。
また、行政改革においても、AIを活用した業務アシスタントの導入や働き方改革の入口としての庁内のペーパーレス化などに私自らが率先して取り組んでまいります。
さらに新たな観点として、一つ一つの投資が足し算以上の効果を生む「1+1=3」になる取組を積極的に推進いたします。
例えば、これまで各所属で対応していた定型業務などを集約化して処理する「スマートステーションflat」は、業務の効率化とともに、職員が創造的な業務に専念する時間を創出し、さらには障害のある方の活躍の場も生み出すものであります。
私は、時代の変化を的確に捉え、新たな視点の下に、施策に果敢に取り組んでまいります。
本県の置かれている状況を十分に踏まえ、必要な施策に総合的・重層的に取り組むことで、「日本一暮らしやすい埼玉県」を実現してまいります。
次に、臨時財政対策債についてでございます。
臨時財政対策債は、地方交付税のいわば振替えとして、平成13年度に3年間の時限的な措置として始まりました。
その後、延長措置がとられ、現在は令和元年度を期限としておりますが、その期限を令和4年度まで3年間延長する法改正が、ただいま国会で審議されております。
臨時財政対策債は、後年度の地方交付税で元利償還金の全額が措置されるため、発行されることにより財政運営に支障が出るものではありませんが、議員御指摘のとおり国が地方交付税で措置すべきところを地方が肩代わりしている状況には変わりがなく、地方交付税制度の本来の姿とは到底言えないと思います。
本県はこれまで、臨時財政対策債を廃止し、地方交付税に復元すべきとの考えの下、税源移譲や地方交付税の法定率などの抜本的な改革が必要であると訴えてまいりました。
また、全国知事会や九都県市首脳会議、関東地方知事会などにおいても、同様の趣旨の要望活動を実施してきたところです。
このような要望に応える形で、国も随時、地方交付税の質の改善に向けた見直しを行っております。
令和2年度の地方財政計画においても、臨時財政対策債の抑制と地方交付税の増額がなされたところです。
本県の臨時財政対策債発行額も平成22年度の2,210億円をピークに、令和元年度は1,061億円、令和2年度予算でも1,040億円と、ピーク時のほぼ半分まで減少しております。
このように地方交付税については、一定の質の改善が図られておりますが、臨時財政対策債の廃止というところまでは至っておりません。
私といたしましても、臨時財政対策債の廃止に向け、国に対し引き続き粘り強く要望していきたいと考えております。
次に、埼玉朝鮮学園への補助金についてであります。埼玉朝鮮学園への私立学校運営費補助金については、平成22年度から不交付としており、平成25年度以降は予算計上を見送っております。
令和2年度についても予算の計上はいたしておりません。
埼玉朝鮮学園への補助金再開を求める動きや要望があることは、議員御指摘のとおりです。
私は、知事就任直前に埼玉朝鮮学園を訪問し、保護者の方ともお話をいたしました。
本来、子供たちの教育と政治的な問題に関係があってはならないと考えます。
しかしながら、国の就学支援金裁判において朝鮮総連の朝鮮学校への影響力や、朝鮮総連と朝鮮学校との関係性についての懸念が示されています。
国は、裁判において、朝鮮総連と朝鮮学校との関係性が、教育基本法で禁じる「不当な支配」に当たらないことの十分な確証が得られないと主張しています。
全国5カ所で行われている裁判では、国の主張がいずれも認められており、東京、大阪の裁判では、最高裁判所での国の勝訴が確定しています。
また、平成24年3月の予算特別委員会における「拉致問題等が解決されるまで予算の執行は留保すべきである」という、県民の代表である県議会による附帯決議もございます。
令和2年度予算についても、このような状況を踏まえ、補助金を支給する環境にはないと判断をし、予算を計上しないとしたところでございます。
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