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掲載日:2024年10月8日
Q 金子 勝 議員(自民)
財務戦略とは、資金の運用と調達、これを戦略的に行う、簡単に言えば、現金をいかに効率的に使うかということであります。私は、昨年の6月の一般質問で資金の調達について取り上げました。今回はそれに運用の側面と連結ベースの視点、これを加え、いわば本県の資金繰り全般について伺うものであります。
さて、傍聴の方もおいでです。念のため、連結ベースについて触れておきます。
連結ベースとは、親会社とその子会社を一つの会社とみなす考え方です。県でいえば埼玉県庁が親会社、県立病院や下水道事業等を行っている地方公営企業、また県が出資などしている関係団体、これらが子会社です。そして、県庁とこれら子会社を全部合わせて一つのグループ会社とみなす、これが埼玉県の連結ベースです。今日、企業の決算やマネジメントに当たっては、連結ベースが主流となっています。
以上、連結ベースについて触れましたが、私は今回の質問、県の財務戦略、これを考えるに当たっては、この連結ベースによるアプローチが極めて重要であると考えています。
さて、連結ベース、この視点に立つと、私どもの埼玉県が巨大なグループ企業であることが見えてまいります。例えば、埼玉県の総資産、連結ベースで6兆7,616億円です。この数字、皆さんも御存じの電力会社最大手の関西電力に匹敵します。KDDIや三井不動産よりも大きいんです。次に、今回のテーマである現預金、いわゆる現金、連結ベースで1,800億円、これも巨額です。そしてこの数字、食品企業最大手の味の素に匹敵します。
そこで、企画財政部長に伺います。県の総資産、現預金は日本有数の大企業と肩を並べます。そうであれば、本県も大企業と同様のガバナンスやマネジメントが必要、そう感じるところです。まずこの点、どのような見解をお持ちでしょうか、答弁願います。
さて、先ほど本県の現預金について触れましたが、この規模の現預金を有する大企業、彼らはグループ内でいかに現金を効率的に運用するか、この点に知恵を絞り、有利子負債の圧縮や金融収支の改善を図ります。これこそが今日の企業経営に不可欠な財務戦略であります。そして、大企業は大概、その戦略を担う専門セクションを、例えば財務部、財務戦略室などの名称で設置しています。
そこで伺います。県の現預金は大企業並みです。そうであれば、大企業に準じ、資金の運用、調達を担う専門セクションを設置しても良いのではないでしょうか。この点、どのような見解をお持ちでしょうか、企画財政部長に伺います。
次に、連結ベースで見た際、これはいかがなものか。そう疑問に思う資金の運用について伺います。
一つは、子会社である関係先が親会社である埼玉県の借金、すなわち県債を引き受けていることです。これは、いわば親子間の貸し借り、親と子を同一家計で考える連結ベースでは相殺、分かりやすく言えば、いってこい、同じ財布の中のやりくりで、お金自体は増えも減りもしません。加えて、この県債、発行先の県には配当の支払いが生じ、引き受け手の関係先には配当の受け取りが発生します。しかし、これも同じ理屈で、いってこいの相殺です。県の財布の中身は増えも減りもしません。しかし、問題があります。これを債券市場で行うため、周回した金融機関に事務手数料を払わなければなりません。親子間の貸し借りに対し、金融機関に手数料を払うのは無駄ではないでしょうか。
そこで、企画財政部長に伺います。県は、このような実質相殺されるやりくりに対し、手数料を支払っている。このことをどのように受け止めているのでしょうか。また、関係先が県債を引き受けている実態をどのように受け止めているのでしょうか。加えて、県は関係先の資金運用に対し、どのような指導を行ってきているのでしょうか。答弁願います。
本件に付随し、もう1点、企画財政部長に伺います。ただ今申し上げた県債を引き受けている関係先、その中には県の補助金が投入されている先があります。しかし、補助金をもらった先が補助金をくれた県にお金を貸している。これは不自然ではないでしょうか。少なくとも関係先に県の借金を引き受けるだけの余裕があるならば、県はその分、交付する補助金を減額すべき、そう考えるのが妥当ではないでしょうか。この点について見解を伺います。
補助金交付は、資金の過不足とは別に、政策的な見地から出されるという考え方もあるでしょう。しかし、県債を引き受けるような資金に余裕のある先に対しては、補助金の交付とは別の手段を検討する必要があるのではないでしょうか。この点、どのような見解をお持ちでしょうか、企画財政部長に伺います。
県の財務戦略について、もう1点質問いたします。
先ほど、関係先に県債を引き受けさせることは、連結バランスシートでは相殺されると申し上げました。しかし、これまでの県の連結バランスシートでは、これが相殺されていません。私は、これは正確さを欠くと判断し、総務省に照会を依頼しました。結果は、相殺消去が適当であるが、選択の余地もあるというものでした。であれば、総務省が適当と判断する相殺処理を二十九年度の連結決算からしっかりと実行し、連結バランスシート、その精緻さにおいて他県をリードしてほしい、そう考えますが、いかがでしょうか、企画財政部長に伺います。
以上で、県の財務戦略に関する質問を終わりとしますが、県はあらゆる分野にAIいわゆる人工知能を導入する、これを検討しております。私は、学習機能が進化した現在のAIの解析力は、財務戦略の分野にも力を発揮するのではないかと想像します。この点、参考までに指摘し、次の質問に移ります。
A 砂川裕紀 企画財政部長
まず、県のガバナンスやマネジメントの在り方についてでございます。
議員御指摘のとおり、県の資産や保有する現預金の規模などはいわゆる大企業に匹敵をいたしますが、地方自治体である県と営利を追求する企業には自ずと差異がございまして、すべて同列に論じられるものではないと考えております。
したがいまして、ガバナンスやマネジメントの面においては、企業における株主に対する責任以上に、県においては県民に対する責任をしっかり果たしていく必要があると考えております。
次に、資金の運用、調達を担う専門セクションの設置についてでございます。
県では歳計現金などの資金の運用については会計管理課が、調達については財政課が担当しております。
県の資金量は県税などの歳入が入る時期や、逆に支払が多い時期など年間を通じて変動がございます。そのため常に資金の入と出を管理し把握している会計管理課が歳計現金などの資金の運用を担うことが効率的でございます。
一方、県債の年間発行額は予算編成における歳入見積りと関連して決定していることや、県債は充当事業により金額や償還期間が制度上異なることなどから、予算を所掌する財政課が県債残高の管理や資金調達を行うことが効率的でございます。
今後も、会計管理課と財政課がそれぞれの専門性を生かしつつ、連携して県の財務戦略を担ってまいります。
次に、県債の発行に係る取扱手数料についての御質問と関係先が県債を引き受けている実態についての御質問は関連がありますので、一括してお答えを申し上げます。
「関係先」、つまり県の財務諸表上の連結対象法人による県債引き受けの実態については、親子間の貸し借りではなく法人の資金の運用方法の一つであり、債券の一商品として国債などを購入する場合と同様であると考えております。
連結対象法人は県と関わりの深い法人ではありますが、運営は主体的に行われており資金の運用方法についても法人の判断を尊重すべきであると考えております。
一方、県債取扱手数料は県債の発行に当たって、販売に係る事務や負担の対価として最終的な購入者に関係なく県債引受会社に支払っているものでございます。
したがいまして、手数料の支払いは妥当であると考えております。
次に、連結対象法人に対する指導についてでございます。
連結対象法人は一部事務組合や地方三公社、公益法人、株式会社などさまざまであり、それぞれの法人の設立の根拠となる法令などの範囲で関与しております。
例えば地方三公社については法令により資金の運用方法が国債や地方債などに限定されているため、定期的な立入検査を実施した際に運用状況などを確認をしております。
次に、県債を引き受けている連結対象法人に対する補助金についてでございます。
連結対象法人は資産の長期的な運用方法として、法人の自主的な判断により県債を購入しているものと認識しております。
一方、補助金は県の政策目的を実現する手段の一つとして、公益上の必要性を踏まえて具体的な事業の財源として交付しており、補助対象者の資産運用状況などを勘案するものではございません。
したがいまして、補助対象者が県債を引き受けていることのみをもって補助金を減額することは適当でないと考えております。
次に、県債を引き受けている連結対象法人に対する補助金交付とは別の手段についてでございます。
補助金以外の別の手段としては、例えば人材活用という観点から、出資法人の設立目的を十分に果たすため、その分野に造詣の深い方を法人のトップに招へいし、御活躍をいただくなどしております。
このように、連結対象法人を含む県の事業全般について、補助金のみならず政策目的の実現のために最適な手法を常に検討する必要があると考えます。
こうした視点を持って政策を企画立案し、事業を執行してまいります。
次に、県のバランスシートにおける連結対象法人の県債引受金額の相殺についてでございます。
御質問にもございましたが、総務省に確認をしたところ、相殺することが適当と言えるが金額的に重要なものに該当しないのであれば相殺しないという選択の余地もあるとのことでございました。
しかしながら「金額的に重要なもの」の定義が現時点ではまだ定まっておりません。
新たな公会計の制度は導入されたばかりであり、連結対象法人において県債が有価証券に計上されている場合の取扱いなど各団体の判断に委ねられている部分も多いのが現状です。
平成29年度の連結財務書類の作成に当たりましては、まずは連結対象法人のバランスシートにおいて県債がどのように計上されているかなど実態を把握し、県のバランスシートの相殺の在り方を具体的に検討してまいります。
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