インタビュー・コラム

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掲載日:2024年12月26日

稲村 佳子(いなむら よしこ)さん

起業したいFile12_稲村佳子さん

プロフィール

法学部卒業後、IT業界に就職しコンサルタント資格を取得。出産・子育てのために離職し、10年間の専業主婦を経て再就職。「自分の理想とする会社をつくりたい」という想いから独立し「株式会社Be-Links」を設立。情報管理で組織が変わる「最高のチームワーク」と「働く喜び」を経営理念とする。「できることから始めるDX」を経営者と共に、業務改善提案からユーザ教育、運用支援まで、一貫して企業に寄り添う素敵な女性起業家です!
戸田市在住、二児の母
・「SAITAMA Smile Women ピッチ 2023」優秀賞
・Believe(信じる), Belief(信念), Be yourself(自分らしく), Best solution(最善の解決), Better life(より良い人生)+それをもとに人と繋がるLinksでBe-Links

円グラフ

SAPコンサルタントとして活躍 → その後10年間の専業主婦へ

私は幼い頃から相談を受けることが多く、相談に乗ることを通して誰かの力になりたいという思いを持っていました。そのため、大学卒業後はコンサルタントの仕事に就きたいと考えていました。新卒でもできるコンサルタントの職種を調べたところ、ITコンサルタントという仕事があることを知り、その中でも特にドイツSAP社のERPパッケージソフト(※)の資格を取得すると今後のキャリアアップにつながると分かりました。そこで、SAPコンサルタントになるという目標を掲げて就職活動をしました。

就職先は、ITに関して半年間しっかり研修してくれる会社を選びました。半年間の研修を経て、IT業界で働く人にとっての入門資格と言われる第二種情報処理技術者(現 基本情報技術者)を取得しました。その3年後にはSAPコンサルタント資格を取得し、SAPコンサルタントとしてのキャリアをスタートさせました。
※ERP(Enterprise Resource Planning)…経営の効率化を実現するために、企業内のヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源を全社レベルで管理・バックアップし、相互に参照・利用・保守点検などを行うことができる。

結婚後も仕事を続けていましたが、当時は深夜残業が当たり前の時代であったため、子育てと仕事を両立するのは難しいと感じました。そこで、出産を機に退職することにしました。私は家事が好きだったため、専業主婦をやってみたいという思いもあり、子どもは自分で育てたいという気持ちが強かったので、迷いなく決断できました。出産・子育てに専念した約10年間は、ストレスもなく、本当に楽しい専業主婦生活を送ることができました。

自分の理想とする会社を作りたい!

下の子どもが小学生になった頃から時間に余裕ができたため、SAPの仕事に再就職をしました。とても緊張感があり、少しピリピリした感じの雰囲気の中で仕事をする毎日でした。私は働くにあたり「社内の雰囲気」を一番大切にしていますが、自分にとって職場の雰囲気が良いと感じることはあまりありませんでした。当時は仕事と割り切って働いていましたが、我慢し続ける必要はないのではないか、と考えるようになり、「自分の理想とする会社を作ろう!」と思い起業しました。実父も自営業だったので、最終的には「社長」になるという思いもありました。

現在、私は北与野にある(公財)埼玉県産業振興公社の女性起業支援ルーム「COCOオフィス」を利用しています。作業オフィスは作業スペースとしても利用できるほか、オフィスの住所を借りることもできるため、店舗を構えない方にとっては非常に便利です。私も最初は住所だけを借りていたのですが、COCOオフィスに通ううちに、様々な女性経営者と交流することが楽しくなり、現在は週に2回くらい通っています。特に夏は冷房が効いていて、とても快適です!

(公財)埼玉県産業振興公社の女性起業支援ルーム「COCOオフィス」
創業間もない女性や創業を目指す女性を支援し、起業家として成功に導くためのインキュベーション機能を有する、会員制コワーキングスペース。

仕事風景

私の信念と社会貢献

高校の時から論語が好きで、社是に「以和為貴」(意味:人々が協調することは重要であり、互いを尊重し合い、認め合って協力することが大切である)と、「和而不同」(意味:人と協力はしても、むやみに意見や態度を同じにしないこと)の2つを選びました。これらは私自身の理念でもあります。

現在、仕事の一部を業務委託していますが、スタッフを選ぶ際にはスキルの高さだけでなく「人間性」も重視し、特に「素直」であることを重要視しています。現在のスタッフは、わからないことは初めに聞いてくれ、和気あいあいとした雰囲気で仕事ができています。

また、世の中には女性でも男性でも、介護や育児などでフルタイム勤務が難しい人や、毎日の通勤が難しい人など、様々な事情を抱える方がいます。当社はタスク単位で仕事を提供し、期日までに作業・納品してもらうという形態で業務委託をしています。一人ひとりの事情に合わせた働き方ができるよう、今後も尽力していきます。

IT活用により人とのつながりを最大限に

DX推進により無駄な作業が減り、生産性が上がります。例えば、情報のデータベース化や資料の電子化により、業務効率が上がり、企業情報の活用・分析が可能となります。またチャットツールの活用により揉め事を減らすことができます。職場の雰囲気が良くなり、従業員から更なる効率化のアイディアが出てくるようになります。

ITは単なるツールに過ぎないため、課題解決に繋がるITは気軽に活用し、少しずつ業務を簡素化していくことをお勧めします。DXは人の力、組織の力を最大限活用するための仕組みづくりだと考えています。デジタル化が進むとアナログの良さを再発見でき、人と人との関係性がより良いものとなります。新しいことに対する挑戦や仕組みの変化は楽しいものでもあります。中小企業に関わる人たちに、DXの良さをより広く伝えていきたいと思っています。

MTG   Kintone

起業を考えている方へメッセージ

まず、事業のニーズを調査することが必要だと考えます。自分の思いや売りたいものがあるとしても、相手に必要だと思ってもらえるように伝えることが重要です。そうでなければ、事業を継続するのは難しいでしょう。㏚については、有料媒体(SNS)での拡散も手段として考えられますが、個人的にはさまざまなネットワークに参加して人脈を作ることが非常に重要だと思います。私はいくつかの団体に加入しており、「何か役に立てないか」と声をかけてくれる方もたくさんいます。交流会やセミナーに参加して多くの経営者と出会うことで、自分の世界も広がり、多くの学びを得ることができます。

生業として起業するのであれば、「本気」で取り組むことをお勧めします。お客様はシビアな目で取引先を選定し、品質に対してプライドを持ち、良い仕事をしている人に機会を提供します。本気で事業計画を考える上で、埼玉県が主催する女性のためのビジネスコンテスト「SAITAMA Smile Women ピッチ」に挑戦してみるのも良いでしょう。私もこのコンテストに挑戦しました。仕事をしながら、事業内容や魅力を伝えるための応募書類を作成し、書類審査を通過した後はプレゼンテーション用の資料作成や発表の練習も必要でした。自分のやりたい事業をまとめ、人にどのように伝えるかを考える良い機会になりました。これは大きな第一歩になりますので、チャレンジしてみることをお勧めします!

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