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ページ番号:264849
掲載日:2025年3月27日
意見書・・・・次の2件です。
決議・・・・次の1件です。
意見書・・・・次の13件です。
令和7年1月28日に八潮市内の県道松戸草加線中央一丁目交差点内において、中川流域下水道の下水道管の破損に起因すると思われる道路陥没により、走行中のトラックが転落する事故が発生した。事故現場において、県では、市、県警、消防、自衛隊、民間団体等とともに総力を上げ、救出活動を行っているところである。
これまで、国や民間団体等の協力のもと、救出活動を最優先に、緊急的な応急措置が行われており、現場のスロープの設置・強化やがれきの撤去、地盤改良工事等を進めており、近傍の水路・河川を経由した下水の放流や、バキューム車を用いた中川水循環センターへの汚水輸送においても、国をはじめとする関係者の御協力をいただいている。また、12市町、約120万人の県民、地域内の事業者などに事故発生から2週間にわたり下水道の使用自粛について御協力をいただいた。これらの御協力について、県議会として深く感謝の意を表するところである。
県では、管きょ内にあるキャビン救出に必要な環境整備を行う工事に3か月を要し、一定期間の避難が必要なことから、2月11日、災害対策本部を設置して対応に当たることとし、八潮市を対象に災害救助法の適用を決定した。
また、応急措置や復旧を迅速に行うことが急務の中、県では、復旧工法検討委員会を設置したところであるが、がれき撤去作業は難しく、また、破損箇所をバイパスする下水道管を設置する必要などから、全面復旧には、かなりの日数を要することが見込まれる。
さらに、耐用年数である50年を迎えた下水道管は、県管理下だけで60キロメートルにも及んでおり、事故原因の究明による同様な危険箇所を対象とした調査やこれらに伴う対応など、多岐・広範囲にわたる措置が必要となる。
こうした中、全ての関係者による連携した対応が継続して求められている。
他方、災害救助法では、避難生活を余儀なくされている方への支援は、避難所の運営・炊出し経費など適用範囲が限定的で、事業活動における縮小や休業を余儀なくされた事業者への支援は、適用対象外となっている。
全国においては、高度経済成長期以降に集中整備されたインフラが加速度的に老朽化しており、今回の事故原因を踏まえて必要な対策を実施していくことは、国土の強靱化を推進し、国民生活の安全と安心を確保するために不可欠である。策定が進められている国土強靱化実施中期計画においても、地方自治体の意見を十分に踏まえて、こうした点を重視していく必要がある。
また、下水道の整備に加えて、維持管理を含めた費用対効果等の視点から、合併処理浄化槽の促進など、下水道の在り方について検討する必要がある。
よって、救出活動を最優先に、迅速な応急措置や復旧、影響を受けた住民・事業者への十分な対応を実施し、今回のような事故の再発を防ぎ、県民生活の安全と安心の確保に向けた取組を進めることができるよう、国においては、人的・技術的支援に加え、財政的支援においても最大限に行っていただくとともに、国土強靱化実施中期計画の策定においては、地方自治体の意見を十分に踏まえて、下水道の強靱化を重要な施策として位置付け、必要な予算を確保することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年2月19日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
再審制度は、三審制の下で確定した有罪判決について、一定の重大な瑕疵があった場合にこれを是正し、有罪判決を受けた者を救済する非常救済手続である。
えん罪は有罪とされた者や家族の人生を大きく狂わせ、時にはその生命をも奪いかねない国による最大の人権侵害である。えん罪の発生を防ぐことはもちろん、不幸にしてえん罪が発生した場合に、速やかに救済することは国の基本的責務であり、再審制度は重要な意義を持っている。
通常審については、戦後間もなく刑事訴訟法が改正され、刑事手続における基本的人権の保障と公正な裁判を実現するべく詳細な規定が置かれたほか、近年でも、証拠開示制度の整備、国選弁護制度の拡充、取調べの録音・録画等刑事手続の改善が進められている。
しかし、再審手続について定める刑事訴訟法第4編は、今なお戦前の規定がほぼ踏襲され、審理手続を具体的に定めた規定はないに等しい状態にある。現行法に基づく過去の再審事件では、袴田巌さんの再審の例を見るまでもなく、証拠開示が不十分で著しく遅かったこと、検察官抗告によって手続が長期化したなどの課題が挙げられる。
また、昭和38年に本県で発生した狭山事件においては、えん罪の可能性を指摘する声が強く上がっている。
えん罪は減らすことはできても絶対に無くなることはない。慎重な裁判を行うことでその誤りを防ぐ三審制が採用されているにも関わらず、幾つもの再審無罪判決が出されてきたことを考えれば、再審に係る確固たる手続を整備する必要性は明らかである。
よって、国においては、これらの課題を踏まえ必要な検討を進めた上で、刑事訴訟法の再審規定を改正することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年2月19日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
令和7年1月28日に八潮市で発生した中川流域下水道の下水道管の破損に起因すると思われる道路陥没事故では、県は、関係機関の協力のもと、八潮市を対象に災害救助法の適用を決定し、安否不明者の救出活動を最優先とした応急措置に取り組んでいる。
この事故の発生により、現場周辺の住民が相当の期間にわたり避難を余儀なくされている。また、生活に影響が生じた住民や、事業活動の縮小や休業を余儀なくされた事業者は、八潮市にとどまらず流域の広範囲の市町に及んでいる。
本県議会においても、県土強靱化を推進してきたが、今回の事故は、県民の平穏な日常生活を守る上で、下水道の老朽化対策という災害耐力の低下に対する対応が喫緊かつ重大な課題であることを改めて浮き彫りにさせた。
このような状況を踏まえ、本県議会では、道路陥没事故の発生原因の究明や初動対応を含めた一連の災害対応が適切であったか検証を行うべきと考えるが、まずは、県民生活の安全・安心を図るため、一日も早い応急措置とその後の復旧が推進されるよう協力していく。
また、事故で日常生活や事業活動に影響を受けた県民や事業者への対応、更には今回のような事故を未然に防ぎ、県土を強靱化させるために必要不可欠なインフラの老朽化対策が十分に確保されるよう、本県議会は全力で責務を果たしていく。
以上、決議する。
令和7年2月19日
埼玉県議会
膨大な情報が流通する現代社会においては、人々の関心や興味、注目が経済的に大きな価値を持つようになっている。経済的な動機から、より多く人の関心等を集めるために、過激なタイトルや内容、憶測だけで作成された事実に基づかない記事や投稿が数多く生み出されており、偽・誤情報の拡散や、誹謗中傷が大きな問題となっている。
人格や名誉をおとしめたり傷つけたりする記事等は、被害者に対して深刻な影響を与えるものであり、人を傷つける誹謗中傷は絶対に許されない。
誹謗中傷の記事等については、民事上の不法行為として慰謝料等の損害賠償責任や、名誉毀損罪や侮辱罪といった刑事上の責任が問われることとなる。
しかし、これらの責任は、被害者に与える影響や誹謗中傷の悪質性とつり合いが取れているものとは言えず、関心等を集めることで加害者が大きな経済的利益を得ることもある今日では、誹謗中傷を抑止する仕組みが不十分である状況が生まれている。
他国では、不法行為が非常に悪質な形で行われたり、反社会性が強いといった場合、加害者に対する制裁や将来における同様の行為の抑止のため、被害者が受けた損害をはるかに超える「懲罰的損害賠償」が法律上認められている例がある。
また、令和4年の刑法等の一部を改正する法律では、侮辱罪の法定刑が引き上げられ、同法の附則において施行3年後における施行状況の検証が規定されているところであるが、無数の悪質な記事等が社会にあふれ、数多くの被害者に取り返しのつかない深刻な事態を招いている状況に鑑みれば、更なる抑止力の強化に向けた検討は急務となっている。
よって、国においては、新たな誹謗中傷の被害者が生じることを一日も早く防ぐため、懲罰的損害賠償の導入など、誹謗中傷に対する抑止力を抜本的に強化することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
矯正施設等においては、性犯罪をした者に対して、認知行動療法等に基づく専門的な再犯防止プログラム等が実施されているが、再犯を防ぐには、刑事司法手続終了後も地域社会において継続した取組が行われることが重要である。
令和5年3月、法務省は地方自治体向けに「性犯罪の再犯防止に向けた地域ガイドライン~再犯防止プログラムの活用~」を策定した。このガイドラインでは、円滑な社会復帰のために必要な支援の在り方や、関係機関との連携方策、先進的な施策の事例などがまとめられており、国と地方自治体が協力して、各人の状況やニーズに応じた再犯防止の取組を実施することが必要とされている。
効果的に取組を進めるためには、性犯罪をした者が矯正施設等の出所後も再犯防止プログラム等を受ける必要性を認識するとともに、地方自治体が再犯防止や社会復帰に向けた支援を行っていく必要があるが、支援の実施にあたって必要である性犯罪をした者に係る情報について、国として地方自治体へ提供する仕組みを設けていない。
また、国と比べると、地方自治体は性犯罪の再発防止に係る専門的な知識・技術を十分に有しているとは言えず、施策を推進するにあたっては専門性の向上等が不可欠である。
よって、国においては、地方自治体の性犯罪の再犯防止の取組の推進のため、下記の措置を講ずることを強く求める。
記
1 性犯罪をした者に対し、矯正施設等を出所した後も地方自治体による再犯防止プログラム等を受ける意義について、啓発すること。
2 再犯防止プログラム等への参加につなげるため、性犯罪をした者が矯正施設等を出所する際に、当事者の住所等を任意で国に届け出る仕組みをつくり、届け出られた情報を地方自治体に提供すること。
3 地方自治体における再犯防止のための施策を担う人材の育成について支援を強化すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
昨年1月1日に発生した令和6年能登半島地震では、多くの尊い命が失われ、住家被害は全壊8千棟以上を含む約8万4千棟、避難者は最大で約3万4千人に上った。上下水道などのライフラインや、道路、河川、漁港などのインフラ施設への甚大な被害が生じ、広範囲の液状化現象や地盤隆起などの地形変化も発生した。
我が国は世界有数の自然災害発生国である。近年では、風水害の更なる激甚化・頻発化が見られるほか、首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの大規模自然災害の発生が懸念されており、国民の生命、身体、財産を守り抜くために、防災対策の充実強化は喫緊の課題となっている。
そのためには、政府における防災業務の企画立案機能を強化し、平時から万全の備えを行う事前防災に不断に取り組むとともに、発災時には政府の司令塔機能を担うことができる組織をつくることが必要である。
国では、昨年11月に防災庁設置準備室を設置し、令和8年度中の防災庁設置に向けて、強化すべき防災施策の方向性や、そのために必要な組織体制の在り方等について検討を進めているが、巨大地震の切迫化や災害の激甚化・頻発化の状況に鑑みれば、速やかに防災対策を強化して必要な組織の整備を進めることが重要である。
また、防災対策は、国と地方自治体が連携して施策の充実を図る必要があり、災害対策車両等大規模災害において救助活動に必要な資機材の整備や、消防関係の施設や装備の拡充など、地方自治体に対する財政的措置の強化が不可欠である。
よって、国においては、防災業務の企画立案や発災時の司令塔となる機能の強化、地方自治体への財政支援の拡充など、防災対策の抜本的な充実強化を行うことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
介護支援専門員は、要介護者等への援助に関する専門的知識・技術を有する介護保険法に位置付けられた専門職である。要介護者等への相談やケアプランの作成、市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整等を行っており、異次元の高齢化とも呼べる状況を迎えている中、介護支援専門員の確保・定着対策の推進は重要な施策となっている。
介護支援専門員になるには、一定の受験要件を備えた上で、実務研修受講試験に合格し、約90時間の実務研修を修了する必要がある。また、資格は5年の有効期間が定められており、更新に当たっては、その都度、数十時間の研修を受ける必要がある。
しかし、これらの研修は、現場の実情に即していないとの強い声が上がっている。具体的には、受講時間が長く大きな費用負担も発生するため現場を担う職員が参加しにくい、研修内容が実務に直結しない理論中心の構成であるためスキルの向上に結び付いていない、研修を修了しても給与面でのメリット等がないためモチベーションの向上につながりにくいといったものである。
介護ニーズの高まりや現役世代の減少等により、介護分野の人材不足は深刻化しているが、このような現行の研修制度を継続することは、介護支援専門員の確保・定着の支障になりかねない状況となっている。
そのため、現行の介護支援専門員研修を廃止した上で、実務経験を重視した資格取得制度の簡素化を進め、OJT(現場研修)とオンライン研修を組み合わせた実践的で受講の負担の少ない教育プログラムを新たに構築するとともに、受講によるスキル等の向上が処遇改善など各人にとってインセンティブになる仕組みを設けることが不可欠である。
よって、国においては、介護支援専門員の確保・定着のため、現場の実情に即していない現行の研修制度を廃止するとともに、それに代わる効果的な教育プログラムの導入等を進めることを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
こども誰でも通園制度は、全てのこどもの育ちを応援し、保護者の就労要件を問わず、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化することを目的として創設された。
令和6年度の試行的事業の実施を通じ、令和7年度からの制度化及び令和8年度からの本格実施に向けて、各論点について検討するため、こども家庭庁は「こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会」を立ち上げた。本検討会においては補助単価の見直し等についての意見が出ており、本制度の安定化に向けて、補助額が不十分であるという課題が浮き彫りになっている。
検討会での検討結果を踏まえた上で、令和7年度からの制度化に向けて、年齢に応じた補助単価、障害児、医療的ケア児、要支援児童に係る加算を設けることが検討されていることは、安定的な運営に向け、一定の効果が見込めると考えられる。
しかし、本制度は「利用者単位」での補助であり、利用者がいない場合でも固定費等はかかるため、補助単価の引き上げのみでは施設の安定的な運営が難しい状況にある。
そのため、安定的な運営を確保するためには、ベースとなる基礎的給付に加え、障害児加算等の加算措置の拡充等が不可欠である。
よって、国においては、本制度の目的である「全てのこどもの育ちを支える仕組み」を実現するために、下記のとおり補助額の拡充及び制度設計の見直しを行うことで、持続可能な制度とすることを強く求める。
記
1 障害児等の特別な配慮が必要なこどもの受入れも含め、安定的な運営の確保のため、補助単価の引き上げ及び基礎的給付の補助を行うこと。
2 新たな地方負担が生じることがないよう、国において所要の財源の確保を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
国と都道府県では、新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づき、り患者の治療や、その他の医療対応に必要な抗インフルエンザ薬を備蓄しており、現在の国のガイドラインでは、国と都道府県で1,750万人分を、それぞれ備蓄することとしている
本県においても、ガイドラインに基づき約100万人分を備蓄しており、備蓄を開始した平成18年度から累計の購入費は約56億円に上っている。
一方で、この備蓄薬は、製薬会社との契約上、政府行動計画による新型インフルエンザ等の対策でしか使用できないこととなっており、これまでに放出されたことは一度もない。
令和6年11月から本年当初にかけて、いわゆる季節性インフルエンザが大きく流行し、12月下旬には全国の患者数の報告が現在の集計方法を始めた平成11年以降で過去最高を記録した。一部の医療機関や薬局では治療薬の在庫不足が生じたが、季節性インフルエンザでは使用できないこととなっている備蓄薬を活用することはできなかった。
また、有効期限が迫っても、製薬会社との契約上、医療機関や薬局への流通や返品はできないこととなっており、必要な量の買い替えを行った上で、期限切れの備蓄薬は廃棄処分とすることを余儀なくされている。
こうした状況は全国で共通の課題となっており、季節性インフルエンザについても備蓄薬を弾力的に放出できるようにするとともに、期限切れを迎える薬は医療従事者の予防投与などに有効活用するなど、現行の備蓄制度を見直す必要性は明らかである。
よって、国においては、抗インフルエンザ薬の安定供給や備蓄薬の有効活用の観点から、抗インフルエンザ薬の備蓄に係る制度の見直しを早急に行うことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン(以下「MRワクチン」という。)は、感染力が非常に強く、肺炎などの重篤な疾患を起こす麻しんや風しんを予防するためのもので、1歳と小学校に上がる前の合計2回の定期予防接種が行われている。
令和6年1月、大手製薬会社においてワクチンの自主回収が行われ、これに伴う同社製ワクチンの出荷停止は現在も続いている。
これを受け、厚生労働省は令和6年12月の通知で、同社が出荷予定であった数量に相当するMRワクチンは、他社による前倒し出荷等により、令和6年度も、令和5年度及び令和4年度と同程度の出荷量が供給される見通しを示すとともに、医療機関や卸売販売業者等に対して、必要量の精査や定期接種を実施する医療機関への優先供給など安定供給に向けた協力を要請した。
また、本年3月には、MRワクチンの安定供給が図られてはいるものの、局地的かつ一時的に大幅なワクチンの偏在等が生じており、年度内に接種を受けられない者が一定程度いると見込まれていることから、令和9年3月末まで定期接種の対象期間を超えて接種を行って差し支えないことを示した。
本県の一部の医療機関においても、必要な数量のワクチンが入荷できない状況が生じており、県民の不安の解消に向けた取組みは急務となっている。
よって、国においては、必要なMRワクチンの安定的な供給等を図るため、下記の措置を講じるよう強く求める。
記
1 MRワクチンの安定的な供給体制を確保するため、実効性のある対策を講じること。
2 医療機関におけるMRワクチンの不足のため、定期接種の対象期間に接種ができなかった者においても、安心して接種が受けられるよう体制の確保を進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
急速な少子高齢化の進展や働き方に対するニーズの多様化、社会のデジタル化が進展する中、就業を希望する者が意欲と能力に応じて活躍できる社会を構築することは重要である。
事業者においても、就業者の確保・定着や持続的な事業の発展に向け、意欲と能力に応じて柔軟に働ける職場環境整備への関心が高まり、これに伴う事業者の責務も増大している。
このような中、労働や社会保険に関する専門家である社会保険労務士が、その責務を十分に発揮していくことが望まれているが、現在の社会保険労務士法では、社会保険労務士の使命に関する規定がないこと、労務監査が重点業務であることが明確でないこと、労働審判における補佐人として参加に係る規定が未整備であることなどの課題がある。
よって、国においては、事業の持続的な発展や就業者の福祉の向上に向けて、社会保険労務士法の下記の事項に係る必要な改正を早期に行うことを強く求める。
記
1 社会保険労務士の果たすべき社会的・公共的役割を規定し、その使命をより積極的に示すこと。
2 社会保険労務士の業務の重点が、労働及び社会保険に関する法令等の遵守の状況の監査であることをより明確にすること。
3 社会保険労務士が補佐人として労働審判に参加できることを明確化すること。
4 「社会保険労務士」だけでなく、広く普及している「社労士」という文言についても法律上の名称として規定し、無資格者が使用することを制限すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
DNA型鑑定とは、ヒト身体組織の細胞内に存在するDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列を分析することによって、個人を識別する鑑定法である。昨今の技術の進歩に伴い、DNA型鑑定は科学的に相当高度なレベルに達しており、微量な資料でも非常に高い精度で鑑定することが可能になっている。
警察では、DNA型鑑定は、凶悪事件をはじめとする様々な捜査で使用しており、被疑者から採取した資料や犯人が犯罪現場等に遺留したと認められる資料から作成したDNA型記録をデータベース化し、犯人の割り出しや余罪の確認等に活用している。また、身元不明死体や、犯罪や事故等に巻き込まれ、生命や身体に危険が生じているおそれ等のある行方不明者に関する記録をデータベースに登録し、早期の身元確認に役立てている。
DNA型鑑定は、刑事裁判における証拠としても信頼性が高く、有罪を証明するための証拠として有用であるが、無実を証明するための証拠としても有用性は高いとされている。近年では、DNA型鑑定がえん罪の解明に決定的な意味を持った事例が生じており、正確な事実認定に基づく公正な裁判の実現に寄与している。
しかし、DNA型鑑定の実施は検察や警察の裁量に委ねられており、刑事訴訟において、弁護側の請求が受け入れられにくく、DNA型鑑定が行われた場合でも、その鑑定結果が適切に証拠開示されないことがあるため被告人の防御権が十分に保障されていないとの指摘がある。また、著名な再審事件では、DNAの再鑑定が実施されるまでに長い年月を要している。
そのため、弁護側のDNA型鑑定請求権を法律上明記するとともに、DNA型鑑定の結果を速やかに開示し、弁護側にも同一試料の再鑑定を行う機会を保障することや、過去に有罪判決が確定した事件についてDNA型鑑定を再度実施できる制度を整備することが必要である。
よって、国においては、上記を含め刑事訴訟におけるDNA型鑑定の積極的な活用に向けた施策を実施することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
民法第750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」とし、我が国では夫婦同姓制度が採られている。このため、婚姻に際しては、夫又は妻のいずれか一方が必ず姓を改めなければならないところであるが、現実には、夫の姓を選び、妻が姓を改める例が約95%に上っており、名義変更の負担に加え、仕事上の姓(通称)と戸籍上の姓の不一致による不利益などを、特に女性が負っている現実がある。
平成8年、法制審議会は、夫婦が望む場合には、それぞれ旧姓を称することを認める「選択的夫婦別姓制度」の導入を内容とする「民法の一部を改正する法律案要綱」を法務大臣に答申したが、改正案の国会提出には至らなかった。
その後、最高裁では、平成27年12月の最高裁判決に引き続き、令和3年6月の最高裁決定においても、夫婦同姓規定が合憲とされる一方、夫婦の姓に関する制度の在り方については、国会で論ぜられ、判断されるべきであるとされた。
本県議会では、令和3年7月に、近年における国民の価値観の多様化やこれを反映した世論の動向等に鑑み、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた国会審議を推進するよう求める意見書を提出したところである。
令和6年6月、日本経済団体連合会は、夫婦別姓を認めない今の制度は、企業にとってもビジネス上のリスクになり得るなどとして、政府に選択的夫婦別姓制度の導入を早期に行うよう提言した。同年10月には、国連の女性差別撤廃委員会が、夫婦同姓の強制を廃止するよう4度目の勧告を行い、選択的夫婦別姓制度の導入をめぐる国民の関心は大きく高まっている。
よって、国においては、選択的夫婦別姓制度の早期法制化に向け、家族の一体感や戸籍制度などへの影響を考慮しつつ、より具体的に議論を進めることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
地方自治体が設置する各種基金の運用は、地方財政法などの規制により、国債、地方債、銀行預金など安全性の高い資産に限定されている。
しかしながら、近年のインフレ率の上昇により、これらの資産は実質的な購買力を低下させており、基金の価値が目減りしている状況にある。特に、低金利環境が続く中で、従来の運用方法ではインフレ率を上回る収益を確保することが困難となっている。
一方、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などは、国内外の株式や不動産投資信託(REIT)などを活用し、インフレに対応しながら積極的な運用を行うことで高い収益を確保している。
地方自治体においても、将来にわたる財政基盤の安定化を図るため、適切なリスク管理の下で収益性の高い資産運用を可能とする規制の見直しが必要である。
特に、自治体の基金運用を多様化することで、インフラ整備、教育、福祉などの公共サービスの充実に寄与し、持続可能な自治体運営に資することができる。加えて、インフレ率を上回る運用が可能となれば、長期的な財政健全化にも寄与する。
よって、国においては、地方自治体が安全性を確保しつつ、適切なリスク管理のもとで収益性の向上を図ることができるよう、地方自治体の基金運用における投資対象資産の拡充、リスク管理体制の強化への支援、基金運用に関する透明性の確保や説明責任の明確化に向けた指針の明示など、基金運用に関する規制の見直しに向けて必要な施策を速やかに検討し、必要な法整備を行うことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
高額療養費制度は、家計負担が重くならないよう、医療機関等の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度であり、医療のセーフティネットという観点から大変重要な仕組みである。
一方で、高齢化や高額薬剤の普及等により高額療養費の総額は年々増加しており、結果として現役世代を中心とした社会保険料も上昇している状況にある。
そのような中、国においては、当初、全ての世代の被保険者の社会保険料の負担軽減を図る観点から、高額療養費制度のセーフティネットとしての役割を維持しつつ、支払い能力に応じて負担する仕組みを構築するため、制度の見直しを進めていたが、本年3月、検討プロセスに丁寧さを欠いたとの患者団体の方々からの指摘を重く受け止め、見直し全体について実施を見合わせ、本年秋までに改めて方針を検討し決定する旨が示された。
高額療養費制度は、治療が長期にわたる患者の方々にとって命綱ともいえる制度であり、その見直しは患者やその家族に大きな影響を及ぼしうるものである。がんや難病の患者などからは、今般の国の動きに対して、治療の継続を断念しなければならない等切実な不安の声が上がっており、こうした意見を真摯に受け止める必要がある。
また、本格的な少子高齢化、人口減少社会という時代の大きな変革期において、一人一人が安心して生活できる社会保障制度を構築することは重要であり、制度の見直しにおいてはその影響を丁寧に検討して、次世代にわたって持続可能な制度を構築していく必要がある。
よって、国においては、患者の方々の状況や意見を十分に考慮し、セーフティネットである高額療養費制度が将来にわたって持続可能なものとなるよう、更なる議論を慎重に進めることを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
本県嵐山町に所在する独立行政法人国立女性教育会館(以下「国立女性教育会館」という。)については、令和5年11月に、関係府省から嵐山町に対して「現行施設を譲渡又は撤去し、主たる事務所を移転する」旨の案が示されたことから、本県議会において「独立行政法人国立女性教育会館の現在地での存続を求める意見書」を採択し、衆・参議院議長及び関係大臣宛提出した。
それを受け、令和6年7月に、国から本県と嵐山町に対し、「国立女性教育会館の機能強化した後の新法人は、引き続き嵐山町に存置する」、「主たる事務所は、地域と協働して男女共同参画に関する課題を解決するノウハウを蓄積・発信するとともに、男女共同参画に関する貴重な史・資料を集積する知の拠点として、積極的に活用していく」との方向性が示されたところである。
また、国からは併せて、「新法人は、特定の場所や方法にとらわれない多様な事業を展開するため、必要な機能を本館に集約すること」、「機能集約に当たっては、地域との交流に資する活用を含め、国際会議への参加や全国各地の男女共同参画センター等関係者間の一層の連携・交流に活用することができるよう検討をしていく」ことが提示されている。
現在、国会において、国立女性教育会館の機能強化に係る関連法案が審議されているが、国立女性教育会館が我が国唯一の女性教育に関するナショナルセンターとして、また地元住民の交流の場として長きにわたり果たしてきた役割は非常に大きい。
よって、国においては、新法人の設立とそれに伴う施設整備にあたっては、オンラインだけに頼ることなく、国内外の男女共同参画に係る方々が本県に集い、研修等を通じて教育・情報の収集・発信、調査研究等はじめとした連携・交流ができる機能を確保するとともに、地域の住民が引き続き交流の場として活用することができる開かれた施設とすることを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月27日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
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