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掲載日:2024年5月17日

令和6年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(小川直志議員)

広域火葬計画について

Q 小川直志 議員(自民)

大規模災害で多数の犠牲者が発生し、被災した市町村について火葬が追いつかない、このような場合、周辺の自治体や県外の協力を得て円滑に火葬を実施するための計画があり、これを広域火葬計画といいます。
国は、阪神・淡路大震災を踏まえ、平成9年に各都道府県に対し広域火葬計画の策定を要請しています。本県では、埼玉県広域火葬実施要領として8年前の平成28年3月に策定していますが、「広域火葬」という言葉自体、初めて聞かれた方も多いのではないでしょうか。私は今回の一般質問で、この「広域火葬」をより広く県民の皆様に知っていただきたいとの思いから、要領の内容についても質問させていただきます。
初めに、1点目、大規模災害発生時は情報が錯綜し、また、非常に少ないことが想定されます。埼玉県広域火葬実施要領には、県は被災市町村からの要請又は自らの判断により広域火葬の実施を決定しとありますが、県が自らの判断を下す基準は何でしょうか。
2点目として、大規模災害時は多くの避難者が公共施設等に来所することが想定されるため、その公共施設等は遺体安置所として使用できません。速やかに遺体を火葬することが困難な場合、遺体安置所の設置について市町村と事前に十分な協議をしておく必要があると感じますが、現在、どのような協議をしているのでしょうか。
3点目、県内及び近隣都県の火葬場について必要な事項をあらかじめ把握しておくと定められていますが、現状はいかがでしょうか。
4点目、市町村は資機材等の確保及び葬祭事業者等との協議締結についてあらかじめ検討し、必要な措置を講じておくと定められていますが、実態はいかがでしょうか。
最後に、大規模災害発生時には埼玉県のみならず、首都圏広域に被害が発生すると想定されます。その際には、東京都などから多くの避難者が本県に来ることは必至であります。こうした事態に備えて、9都県市の間で広域火葬計画に基づいた相互協定の協議等を行う必要があるのではないでしょうか。
そこで、お尋ねいたします。8年前に策定された埼玉県広域火葬実施要領を見直していくべきであると考えますが、保健医療部長の御所見をお伺いいたします。

A 表久仁和 保健医療部長

まず、広域火葬の実施に県自ら判断を下す基準についてでございます。
「広域火葬」とは、被災した市町村が単独で火葬を行うことが困難となった場合に、他の自治体の火葬場に協力を求め、地域の枠組を超えた広域的な火葬を行うことです。
本県では、大規模災害の発生に備え「埼玉県広域火葬実施要領」を策定しており、本要領において、広域火葬の実施は被災市町村からの要請に基づき決定するほか、県自らの判断によっても決定できることとしております。
広域火葬の実施決定につきましては、被災した市町村における死者の数が、稼働できる火葬場の数や火葬能力から割り出されるキャパシティを超えているかどうかという点が判断の基準になります。
しかし、大規模災害の発生時には、議員御指摘のとおり情報が錯綜するなどして、判断に必要な情報を十分に把握できないことも想定されます。
そこで、先に述べた基準を一定の目安としながらも、災害の規模や被災状況によっては基準に合致するかどうかの見極めを待たずに柔軟に判断し、広域火葬の調整に迅速に着手してまいります。
次に、遺体安置所の設置に関する市町村との協議についてでございます。
遺体安置所につきましては、県の地域防災計画において、市町村が設置場所を選定することとしており、これを受けて各市町村の地域防災計画において個別に選定の基準等が定められております。
このため、これまで県では、遺体安置所の設置について市町村と具体的な協議などを行ったことはございませんでした。
一方、議員の御指摘にもありました、「公共施設の多くは避難所として使用され安置所として使用できない可能性がある」といった、遺体安置所の設置に当たりすべての市町村に共通する留意点については、事前に市町村と調整しておくことが重要です。
そこで、遺体安置所の設置場所に関する選定基準等について、県が市町村ごとに整理した上で、調整すべき事案が見つかった市町村とは個別に協議等を行ってまいります。
次に、県内及び近隣都県の火葬場に関する事項の把握状況でございます。
広域火葬が必要となった際に円滑に実施できるよう、県内及び近隣都県の火葬場に関する必要な事項について、県があらかじめ把握しておくことを実施要領で定めており、県では各火葬場の所在地、連絡先、火葬能力、使用燃料等の必要事項をもれなく把握しております。
また、火葬場の稼働状況の把握や応援要請に係る連絡調整のため、県内の各市町村や近隣都県の担当部署との連絡網も整備しております。
今後も、災害時に備え平時から火葬場の情報を的確に把握し、関係機関との間で情報の共有が図れるよう努めてまいります。
次に、市町村における資機材等の確保及び葬祭事業者等との協定締結の状況でございます。
棺や遺体袋、搬送用自動車などの資機材につきましては、県の地域防災計画において、市町村が確保することとしており、市町村の地域防災計画においても必要な資機材の確保等について個別に定めているところです。
必要な資機材を無駄なく確保するためには、市町村が自ら備蓄しておく方法と関係業者団体との協定締結などによって賄う方法があり、市町村がそれぞれの実情に応じた方法を選択しているものと考えます。
なお、協定につきましては、棺や葬祭用品の供給、遺体搬送などの支援について、市町村ごとに葬祭事業者団体などと締結しているもので、現在31の市町村が協定を締結しております。
協定を締結していない市町村につきましては、どのような方法で資機材を確保する予定なのか確認し、必要に応じて、協定の締結に向けた検討を積極的に行うよう働き掛けてまいります。
次に、広域火葬実施要領の見直しについてでございます。
現在の実施要領は、平成28年3月に策定したものであり、間もなく策定から8年が経過いたします。
この8年の間に、熊本地震や先の能登半島地震など、我が国は大きな災害に遭遇しました。
広域火葬実施要領は、有事への備えとして定められた手順書であり、これまでの災害等から得られた知見や教訓などを取り込みながら、適宜適切なかたちで内容の見直しを図っていく必要があると考えます。
過去の大規模災害などで生じた課題を抽出し、整理をした上で、新たな視点に基づく見直しを検討し、実施要領の実効性を担保しながら、精度を高めていくことが重要です。
つきましては、近隣都県で構成される「関東甲信越静ブロック生活衛生主管課長会議」などにおいて、「広域火葬」の仕組について、より実効性のあるものにするための活発な議論を行ってまいります。
今後とも、県内の市町村や近隣都県と連携して、大規模災害の発生時に広域火葬実施要領が有効に機能するよう取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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