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掲載日:2023年12月28日

令和5年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(深谷顕史議員)

順天堂大学附属病院の整備について

Q   深谷顕史 議員(公明)

人口10万人当たりの医師数が直近の令和2年度の統計で177.8人と全国最下位である本県にとって、順天堂大学附属病院の誘致は医師不足解消の切り札といわれてきました。本年2月、医療過疎地域に同大学からの医師派遣が始まったものの、1名にとどまったことには不満を覚えます。
2027年の開院を目指し、副知事とさいたま市副市長との連絡会議の毎月実施や、大学、さいたま市との事務連絡会議も継続して行われ、その進捗も報告を頂いているところですが、同大学は8月、計画する病床800床の維持に300人の医師が必要になるとした上で、これを公募で補う方針を明らかにしました。万一、県内のほかの病院から医師が移るようなことがあれば、地元医療関係者の大きな反発を招くことは必至であり、医師不足解消が逆に遠のくという矛盾を引き起こすのではないかと心配をしております。進捗の遅れを取り戻そうと懸命に取り組まれていることは評価しますし、医師不足が解消されるのであれば誘致に反対するものでもありません。
一方で、これまでの経緯や現状をふかんすると、果たして同大学病院の整備が本当に医師不足解消の切り札になり得るのか、疑問符をつけざるを得ないというのが私の考えです。さらに言えば、私は医師不足、医師偏在はいずれも夜間・休日に診療する医師の不足であり、夜間・休日に診療する医師の偏在ではないかと考えます。この視点を持たなければ、医師不足解消の方向性を誤るのではないかと危惧しております。したがって、順天堂大学附属病院の整備によって救急・夜間・休日に診療する医師が増えるのか、診療科偏在が解消されるのか、今後、注視していただきたいと思います。
また、これまでも申し上げてきたことですが、整備に当たって県負担が相当な規模になることが予想されるため、整備費の総額や補助条件などは活発に議論されるべき大きなテーマであり、県民に納得のいく形で説明する必要があると思います。費用対効果として医師派遣などの結果が出なければ、容認は難しくなるのではないかと考えます。
以上の観点から、大野知事の御所見をお伺いいたします。
1点目に、順天堂大学附属病院の誘致は、県北地域の医師不足解消が主目的と考えていますが、改めて県が考える一番の目的をお伺いいたします。
2点目に、上述のとおり、本年2月、済生会加須病院で整形外科医1名が派遣され、現在は研修医に代わっているとのことですが、医師派遣の状況についてお答えください。あわせて、あと4か月で終わる今年度中の派遣予定についてお答えください。
3点目に、順天堂大学附属病院の整備によって県北地域の救急・夜間・休日に診療する医師が増えるのか、地域偏在が解消されるのかなど、今後の見通しについてお答えください。
4点目に、いわゆる確認書において整備費補助は2分の1が上限とされております。確認書において医師派遣等の取組を勘案し、財政支援を行うことを基本方針としていると思いますが、この医師派遣等の取組を勘案するとは、医師派遣の人数などを評価して財政支援を行うということでいいのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
5点目に、大野知事は、本年2月定例会で「整備にかかる費用負担に関する協議については、大学側が今後の医師派遣について具体的な考え方を示した後に応じる」と答弁されております。福祉保健医療委員会では、開院後3年までは年間1、2名、3年後からは5名程度、5、6年後には20名程度をめどとする派遣計画が大学側から提示されたと報告されました。県としては、この派遣計画で費用負担の協議を開始するのでしょうか。開始するのであれば、その理由を含めお答えください。
6点目に、順天堂大学附属病院の施設については、大学側の計画によると、陽子線治療施設などの先進医療、救命救急センター、周産期母子医療センターなどのほか、ドクターヘリのためのヘリポート、さらに河川上空通路、VIP専用エントランスなど、非常に大規模な内容となっております。いわゆる確認書の整備費補助の整備費とは建物の建築費と理解していますが、具体的に何を指しているのか。また、学生やスタッフの利便性のためとされる河川上空通路などにも補助率が適用されるのか、お答えください。
7点目に、埼玉医療圏の第7次計画は終わろうとしていますが、基準病床数は7,566床に対し既存病床数は7,612床であり、この中には順天堂大学附属病院の800床も未整備にもかかわらず含まれていると聞いております。各医療圏ごとの地域医療計画は地域住民のための医療計画であり、大変重要な位置付けと考えますが、間もなく終わろうとしている第7次計画で機能しなかったことの受け止めをお聞かせください。
8点目に、埼玉県医師会は、同大学からの医師派遣もままならない現状では、県内の医療体制における課題解決は難しいのではないかとして、埼玉医科大学3病院、獨協医科大学埼玉医療センター、防衛医科大学校病院、さいたま赤十字病院、川口市立医療センター、済生会加須病院の地域で核となる8医療機関と連携し、人材確保も含めた地域医療連携ネットワーク構想を始めたと聞いております。2040年以降、人口減少の時代に入る本県にとって、医師派遣のこうしたシステムを構築するほうがより現実的でコストも抑えられると主張される埼玉県医師会の構想は、一考に値すると考えます。埼玉県医師会は、医師派遣に関する医師と医療機関への支援を求めていますが、この構想の評価と支援について御所見をお伺いいたします。

A 大野元裕 知事

救急医療や周産期医療の更なる体制整備や全国一のスピードで進む高齢化に伴う医療需要への対応といった課題に対し、県では平成26年度に、病床や医師を確保し、医師確保困難地域への医師派遣を実現するために、その拠点となる病院の整備計画を公募しました。
応募者のうち、順天堂大学附属病院の整備計画を承認いたしました。
公募時の主な条件としては、医学系大学院を併設した大学附属病院を整備すること、県内の医師確保が困難な地域などへの医師派遣に積極的に協力すること、の大きく2点であります。
これは、コロナ禍を経た現時点においても変わることはなく、県としては、大学附属病院を整備し、そこを拠点に医師派遣を実現することが順天堂大学附属病院を誘致する主な目的であります。
次に、医師派遣の状況及び今年度中の派遣予定についてでございます。
医師派遣の状況についてでございますが、現在、済生会加須病院の求めに応じ、1名の専攻医が派遣されているところであります。
今年度中の派遣予定については、新たに小川赤十字病院と秩父市立病院について、現在、診療科を特定し、派遣に向けた協議を実施しています。
特に、秩父市立病院には、内科の教授2名が実際に病院に出向き、具体的ニーズを聞き取るなど、大学は今年度中からの派遣の実現に向け、学内を挙げて調整を図っていると伺っております。
県としても、今年度内に医師派遣を行うよう、大学に対し働き掛けてまいります。
次に、順天堂大学附属病院の整備による医師偏在及び地域偏在解消の今後の見通しについてであります。
国が医学部新設を認めない中、県が順天堂大学附属病院を誘致し、医師派遣の拠点を整備することにより、例えば、常勤の勤務医を確保し、医師確保困難地域にある病院に医師派遣を行うことで、その病院の夜勤や休日の勤務ローテーションにも対応ができると考えます。
また、今後医師派遣が本格化した場合において、1つの診療科を担えるような複数の医師をチームとして病院に派遣することで、将来的に当該病院の診療科を計画的・恒常的に支えることができると考えています。
医師派遣には派遣する側だけではなく、受入先病院のニーズなども踏まえる必要があります。
県としては、受入先病院の声を大学に伝えるなどし、医師派遣が実現できるよう働き掛けてまいります。
次に、医師派遣の人数などを評価して財政支援を行うのか、大学側から示された派遣計画で費用負担の協議を開始するのか、開始するのであればその理由を伺う、については関連いたしますので、一括してお答えを申し上げます。
確認書では、大学が将来的に実施する医師派遣の人数などを勘案し、県が財政支援を行うこととしております。
議員お話しのとおり、現在、大学からは医師派遣の考え方として、開院から3年間は年間1、2名、開院3年後から年間5名程度、開院5年ないし6年後から年間20名程度を目途に派遣を実施するとされています。
県では、この大学が示す派遣者数などについて、専門的視点から御判断いただくため、医療審議会に諮問をしているところであります。
今後、医療審議会の答申を踏まえ、大学が行う医師派遣の派遣者数など条件が整った場合には、財政支援に向けた協議を行ってまいります。
次に、整備費補助の整備費とは具体的に何を示しているのか、河川上空通路などにも補助率が適用されるのかについてであります。
大学と締結している確認書に基づき、医師派遣等の取組が勘案されることが前提とはなりますが、「新病院等の整備費」に対し、財政支援を行うことを基本的な方針としております。
具体的な補助対象については、医師派遣の派遣者数など条件が整った後に協議となるため現時点で何ら決定はなされてないうえに、整備費の補助額に直結することから、公開することにより県として円滑な協議ができなくなるおそれがあること、また、大学側も建設工事の請負契約の締結に支障があるとの懸念により公開を望んでいないことから、お答えを差し控えさせていただきます。
次に、第7次計画期間中に病院整備が完了しなかったことの受け止めについてであります。
順天堂大学附属病院については、第6次地域保健医療計画期間中の平成26年度に誘致し、整備計画の承認を行いましたが、第7次計画が終わろうとしている現在においても病床が整備されていないことは、私としても残念に思います。
現在承認している病院整備計画では、令和9年11月の開院としており、大学では11月までに基本設計を終了させ、12月から実施設計を開始をしているところであります。
県といたしましては、この病院が工程どおりに開院できるよう、引き続き、関係者間の連携を密にし、進捗の確認を行ってまいります。
次に、地域医療連携ネットワーク構想についてであります。
埼玉県医師会が発案された地域医療連携ネットワーク構想については、県内の8つの核となる医療機関を中心に病病連携、病診連携を図り、医師派遣も視野に入れて連携を深めていく構想と伺っており、意義ある取組と思います。
本構想については、中核となる病院と地域の医療機関との連携の具体について明らかでないところ、これが明らかになった段階で、解決すべき課題について議論を深めていきたいと思います。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課  

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