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掲載日:2023年10月17日
Q 岡田静佳 議員(自民)
埼玉県は、平成4年に中学校での北辰テストを中止し、翌年、文部科学省も同様の通知を出しました。しかし、実際に業者テストをやめたのは埼玉県内の中学校だけであり、子供は塾や会場テストなどで業者テストを受け、その偏差値を基に志望校を決めたり、私立高校の確約があるとも聞いたことがあります。学校の教師が進路指導をしなくなった、子供の正しい学力が分からないので指導ができない。そして、代わりに塾が進路指導をするようになりました。埼玉県では塾に通うのが当たり前になり、塾などにかける教育費は全国1位と言われています。
過去の会議録を見ますと、藤本正人県会議員が同様の質問をずっと追及してこられました。しかしながら、17年たった今でも状況は変わりません。むしろ、今年はコロナの影響で学校は休校になりましたし、親の収入も大幅に減る家庭があり、今までのように家庭や塾に頼ってはいけない。今こそ、公が義務教育をしっかり果たすときだと考えます。
平成23年度の藤本議員の委員会の質疑に対し、前島教育長が「偏差値というのは有効な指標だと思っております。偏差値も運用しながら、使いながら、適切な進路指導をすることは全く問題ないと私は考えています」と御答弁されています。
しかしながら、現在も中学校での進路指導では偏差値は使われないところがあると聞いています。担任の先生に、業者テストを受け、結果を持ってくるように指導されたという話も聞きました。また、6年前から実施している県の学力・学習状況調査は、よく分からない指標で進路決定には使えません。学校現場にいらした教育長は、埼玉県の入試についてどのように感じておられますか。
また、業者テストを92%以上の子が自費で受け、塾に通える子と通えない子の経済格差が子供の学力や入試に反映していることと、中学校が十分に進路指導をしない、できていないとの声もありますが、どうお考えですか、教育長にお尋ねします。
また、市町村が実施している公的テストは、母数も少なく市町村でばらつきがあり、進路では使えません。先日、文部科学省の初等中等教育の課長ともお話をさせていただきましたが、私の話に対して、県レベルの母集団の大きなテストを作ることは有効ではないかと思う旨のお話をされていました。県の教育委員会が県統一テストのようなものを作ることができないか、教育長にお尋ねいたします。
A 高田直芳 教育長
まず、埼玉県の高校入試について、どのように感じているかについてでございます。
県公立高校の入試制度は、これまで、国の動向や他県の状況などを踏まえながら、生徒の学力や学校生活の成果などを、より適切に評価するよう改善を重ねてまいりました。
高校入試は、多くの生徒にとって、初めて対峙する大きな壁でありますが、志望校合格を目指して受験勉強に取り組み、仲間とともに最後まで頑張り抜くことで、人間的にも成長するなど、その教育的意義は大きいものと考えております。
また、一生懸命勉強に取り組む中で、自分を支えてくれる周りの人たちのありがたさを感じる機会にもなっています。
今年は、新型コロナウイルス感染症の影響で、例年にも増して不安もあると思いますが、生徒にはぜひ頑張って乗り越えてもらいたいと強く思っております。
次に、経済格差が子供の学力や入試に反映していることについてどう考えるかについてでございます。
家庭の経済格差が子供たちの学力に影響を与えていることは、様々な研究者から指摘されているところでありますが、その影響を可能な限り小さくしていくことが、学校教育の役割だと考えております。
そこで県では、家庭の経済状況などから、学力に課題を抱える児童が多い小学校に加配教員を配置し、早い段階から学力格差が広がらないよう市町村を支援することで、中学校の指導につなげております。
次に、中学校が十分に進路指導をしない、できていないことについてどう考えるかについてでございます。
中学校では、生徒一人一人の能力・適性・関心や将来の希望等も踏まえ、3年間を通して進路指導に努めております。
一方で、議員御指摘のような声も伺っておりますので、生徒や保護者に寄り添ったより良い進路指導が行われるよう、今まで以上に市町村と連携を図ってまいります。
次に、県統一テストのようなものを作ることはできないかについてでございます。
現在、県内で実施されている公的テストは、15グループに分かれており、それぞれ実施回数や内容等も異なっております。
議員御提案の、県内全域の生徒が参加できるようなテストを実施することは、生徒が自分の立ち位置をより客観的に把握する上で、有効な手段であると考えます。
そこで、まずは市町村や中学校長会の意向も十分に聴取した上で、現在の公的テストの課題を整理してまいります。
その上で、進路指導に活用できる広域的なテストについて、実施主体・形態等の在り方も含め、市町村などとも協議しながら、丁寧に検討してまいります。
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