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掲載日:2020年7月7日
Q 内沼博史 議員(自民)
今回の新型コロナウイルス感染症対策については、国の対策はもとより各地方自治体の対策、その対応力に首長の手腕が問われたのではないでしょうか。その一つが、自粛を要請した中小企業や個人事業主に対する支援と考えます。
4月7日の緊急事態宣言を受け、国は各事業者に休業要請を行いました。しかし、休業要請はするが休業補償は行わない方針を示し、全国知事会は国に対し休業補償の要望書を提出しました。この要望書については、私も同じ思いです。しかしながら、国には受け入れてもらえませんでした。そのような中、4月10日に小池都知事が休業要請に対する都独自の協力金の支給を発表すると、神奈川県も続いて独自支援を打ち出しました。
一方、大野知事は、休業補償は国が行うことで、県は融資制度の拡大などの支援策を行うとの姿勢を崩さず、4月13日に国へ休業補償の要望を行いました。しかしながら、芳しい回答は得られず、4月17日、急転直下、今回の支援金制度を発表しました。
この制度については、休業の捉え方を弾力的に運用する旨が周知徹底されていませんでした。そのため、事業者の中には発表の翌日から休業しても19日間しか達せず、支給要件に及ばないと判断して、売上げがほとんど出ないにもかかわらず休業しなかった方もいらっしゃいました。自民党県議団にはこうした方々から不満の声が多数寄せられております。
4月30日の臨時会では委員会において審査をしましたが、十分な対応が取れているとは言えず、4月17日以前の休業の捉え方の更なる弾力的運用の周知徹底と支援金の速やかな支給に関して決議せざるを得ませんでした。制度設計に問題があったと言わざるを得ません。
例えば、売上げではなく休業日数が支給要件になっているため、そもそも休眠状態の店が交付を受けられる一方、地域住民のために頑張って店を開けたものの、売上げがほとんど出なかった店は交付を受けられません。また、埼玉県内に本社を有することが要件となっており、本社こそないが県内に事業所を構え、日頃しっかりと納税をしていただいている企業が、このような事態に支援を受けられません。
知事は誰一人取り残さないと常々おっしゃっておりますが、これで本当に困っている方々に支援が行き届いていると言えるのでしょうか。6月1日からの第2弾では、前年の月平均売上げ15万円以上の条件が加わりましたが、8割の休業条件や本社要件は残っていることから、本当に困っている方々に支援が届くのか、不安は続いたままです。今回のような非常事態では、スピード感ももちろん重要ですが、本当に困っている人に支援が行き渡ることが、それ以上に重要と考えます。
そこで、知事に三点お伺いします。
一点目、知事は誰一人取り残さない埼玉県を目指されておりますが、今回の支援金制度は本当に誰一人取り残していないものだったのでしょうか、御所見をお伺いします。
二点目、今回の支援金制度の遅れや制度設計の不備は、初日の齊藤邦明議員や令和元年度の予算特別委員会で自民党から指摘があった財政調整基金の問題が影響していると言わざるを得ませんが、御所見をお伺いします。
三点目、今後、第2波・第3波が予想されます。そのときに備え、誰一人取り残さないために、真に困っている人全員が助かる制度設計を構築していく必要があると考えますが、御見解をお伺いします。
A 大野元裕 知事
まず、「埼玉県中小企業・個人事業主支援金制度について」のお尋ねのうち、今回の支援金制度は、本当に誰一人取り残していないものだったのかについてでございます。
「誰一人取り残さない社会の実現」に向け尽力をしていくことは、735万県民のかじ取りを任された、知事である私の使命だと感じております。
埼玉県中小企業・個人事業主支援金制度は、自粛要請の対象業種であるかないかを問わず、売上げの多寡も問わず、また、一人でも多くの中小企業・個人事業主を支援したいという思いで創設をさせていただきました。
これは、4月11日、西村経済再生担当大臣とのテレビ会議後の記者会見で言及をするなど、早い段階から標榜をしてきた抜本的な経済支援パッケージのうちの一つとして具現化をさせたものです。
他県の協力金とは性格の異なるものではありますが、東京都感染拡大防止協力金や神奈川県新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金は、休業要請等を受けた方のみしか対象となりません。
4月7日の緊急事態宣言の発令に伴い、外出自粛要請を、そして4月10日には施設使用停止等の協力要請をお願いするに至って、休業要請の対象であるかないかにかかわらず、飲食店などのサービス業を中心に企業の経営環境が大幅に悪化することが見込まれました。
そこで、4月8日、15日に経済団体のトップの方と意見交換を行い、一刻も早く、幅広い支援をという事業者の切実な声を承りました。
他県の休業協力金とは異なりますが、こうした県内経済の実情を踏まえ、4月17日に従前から表明をしてきた支援金制度の構築となりました。
また、一刻も早く支給するべきとの判断から、売上減少要件などは設けず、税の申告書等で事業活動を確認し、業種を問わず、休業の要請の有る無しにかかわらず、休業をした実態が確認できれば支給することとし、添付書類もお手元にあるもので申請ができるよう配慮をいたしました。
休業の認定に当たっては、売上げが無かった日は1日休業とみなし、あるいは、営業時間を短縮した場合には一律0.5日休業とするなど弾力的に運用いたしました。
さらに、議会の決議を踏まえ、休業の認定を更に弾力化したこともあり、58,000件を超える幅広い業種から多くの申請をいただきました。
なお、県外に本社がある方については、他県で支援を受けられる可能性があることや早期に充実させた本県の制度融資など他の制度の支援を想定し、対象外とさせていただきました。
議員御指摘のとおり、誰一人取り残さないことは重要であり、そのためには本当に困っている人に支援が行き渡ることが大切と考えております。従って、他よりも幅広い支援を行うこととした次第であります。
知事として、引き続き、その実現に取り組んでまいります。
次に、今回の支援金制度の遅れや制度設計の不備は、財政調整基金の問題が影響しているのではないかについてでございます。
今回の新型コロナウイルス感染症対策については、抜本的な経済対策が必要であり、早い時期から多額の財源を必要とすることが見込まれました。
そのため、3月16日に、地方自治体が柔軟に活用できる交付金の創設を、私自ら西村経済再生担当大臣を通じ国に要望をいたしました。
その結果、4月早々に国の第1次補正予算が検討され、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の創設などが位置付けられました。
また、4月13日には再度、西村経済再生担当大臣に対し、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の配分基準に中小企業等が占める比率を追加し、本県の実態を踏まえた配分となるよう要望いたしました。
4月臨時会においてお認めいただいた埼玉県中小企業・個人事業主支援金は、このようにして措置された交付金を財源として見込み、本県で必要な経済対策の一つとして制度の検討を行ったものでございます。
また、財政調整基金にかわり、地域整備事業会計からの借入金を原資とした「新型コロナウイルス感染症対策推進基金」を設置する方針を早期に決定いたしました。
この基金を、4月臨時会においてお認めいただいたことにより、埼玉県中小企業・個人事業主追加支援金においては、交付金と基金を財源として制度の検討を進めることができたところであります。
このように、今回の中小企業等に対する支援については、国庫支出金や県の独自財源が一定規模確保できる見込みの中で、費用対効果の面も十分に踏まえながら迅速に検討してまいりました。
財政調整基金の残高が少ない中でありますが、本県として必要な支援事業を実施できたと考えております。
次に、真に困っている人全員が助かる制度設計を構築していくことについてでございます。
事業継続していく上で家賃負担の軽減が重要であるとして、国の第2次補正予算で家賃支援給付金制度の創設が認められました。
これを受け、今議会に、売上減少が大きく、家賃負担がより重くのしかかっているテナント事業者向けに、国の家賃支援給付金に上乗せ支援をする等の家賃支援金制度を追加提案をさせていただきました。
この支援金制度は賃借という事実に基づいて支援するため、県内の店舗等を賃借していれば、本社が県外にある方であっても対象といたします。
今後の第2波、第3波に備えた対応について、これまでも真に困っている、より多くの人に対する経済政策をとってきたことに鑑み、「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」での検討など、幅広い県内各層からしっかりと御意見を頂いてまいるつもりであります。
新型コロナウイルス感染症拡大防止は長い戦いとなります。
皆で知恵を出し合い、真に困っている人全員が助かるよう、「ワンチーム埼玉」で取組を進め、誰一人取り残さない「日本一暮らしやすい埼玉県」の実現を目指してまいります。
再Q 内沼博史 議員(自民)
一人でも多くの中小企業、個人事業主を支援したい、それを具現化した制度と言われましたが、前年と比較しなかったことでもともと休業していた事業主が受給している、また業種間を問わず休業の実態が確認できれば支給対象としたということで、これは他県との違いで広く支援が行き渡るようにしたとのことですが、そのために、先ほども申しましたけれども、営業の実態がない事業主に支給されている、又は納税している県内事業者には本社要件があって支給されていない。先ほど「その事業者が本社がもし他県にあった場合は、そこで助けられているから」との答弁がありましたけれども、私はちょっとそれはあまり納得できないので、その辺をもう一度お伺いします。
それから、また第2弾の支給金では15万円以上の売上げという要件を設けています。これは明らかに第1弾で制度設計に誤りがあったと、私は認めていることになると思います。知事は良いことばかりおっしゃっておりますけれども、やはり反省すべきは反省する、そして第2波・第3波の対策に備えるように反省すべきことは反省する上で制度設計をしていただければと思いますので、その辺の答弁をよろしくお願いいたします。
再A 大野元裕 知事
1点目は埼玉県中小企業・個人事業主支援金制度につきまして、営業実態のない事業者あるいは埼玉県に本社を有していない事業者に関する御質問をいただきました。
まず、最初の営業実態等につきましてでございますけれども、埼玉県としては当然一定の要件を求める必要はありますが、その一方で迅速な支給というものが極めて重要であるところ、簡易な要件にさせていただきました。
それは事業実態と反社会的勢力との関係、そして更には休業の実態というよりも、写真等で判断するというのでかまわないとし、迅速性を重んじたところでございます。ここにつきましては、御理解を賜りたいというふうに思っております。
また、埼玉県に本社があるか無いかについてでございますけれども、先ほど御答弁をさせていただきましたとおり、県外に本社がある方については、その本社機能として他県で支援を受けられる可能性があります。
また、埼玉県においては、他県等と比較をいたしましても、当初の制度融資の要件、あるいは規模等について充実をしており、これは他県に本社があるところにつきましても受けられるといったことも想定をいたしまして対象外としたところでございました。
15万円の売上げ、第2弾の追加支援でございますけれども、第1弾の支援につきましては、中小企業、特に飲食店等が主でございましたので、そこの一カ月間の売上げを想定し、その半額ということで20万円を想定いたしました。
そして追加を検討するに当たっては、更に10万円ということになりましたけれども、足しますと30万円、1カ月15万円の売上げが、仮に満たないような企業ですと、休んだ方が得になる。
それまでの実績以上のものになりますので、この要件については、更に追加を行うときに合計で30万円を、2月で割った15万円を要件とさせていただいたという基準でございます。
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