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掲載日:2020年7月7日

令和2年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(浅井明議員)

新型コロナウイルス感染症第2波・第3波に備える対策について - PCR検査・抗体検査によるデータ集計について

Q  浅井明  議員(自民)

これまでの本県の新型コロナ対策として、次の二つの問題点が考えられます。
一つ目は、新型コロナ感染症の実態、すなわちPCR陽性率、抗体保有率、致死率などが把握できていないこと。二つ目は、本県の東大宮病院の院内感染をはじめ、多くの院内感染が肺炎治療目的ではない紛れ込み患者から発生していることです。院内感染は高齢者や持病のある人がかかるため、市中感染より死亡率が高く、大阪では死亡例の4割以上が院内感染によるものです。
そこで、県立病院がリーダーシップを取って、県内の検査可能な医療機関で患者の入院時にPCR検査を実施し、検査結果を集計すること、可能なら抗体検査も同時に実施集計することを提案いたします。本提案のメリットとして、以下の点が挙げられます。一つ、院内感染の予防になります。二つ、感染第2波・第3波の発生をいち早く検知し、感染拡大を阻止できます。三つ、県内医療圏ごとのPCR陽性率を、抗体保有率の概要を把握する疫学調査にもなります。
致死率も、抗体保有率も、死者数から概算可能です。既に慶應大学病院では、入院時、前例のPCR検査を実施しており、4月6日から4月30日に入院した258例中7例、2.7%でPCR陽性という結果を発表しています。院内感染を経験している慈恵医大も、入院患者は前例のPCR検査を実施しており、神戸市では神戸大学病院、神戸市立医療センター中央市民病院等が、手術前、検査前のPCR検査を実施しています。岐阜県では岐阜県立多治見病院が手術前のPCR検査を実施し、本県でもさいたま市立病院で術前PCR検査を施行しています。
欧米では新型コロナのスクリーニング検査が既に実施されており、日本医師会や各種外科系学会から、B型肝炎やC型肝炎ウイルスと同様に、入院時の新型コロナPCR検査を保険適用する要望が厚労省に提出されています。県の事業として、県立病院がリーダーシップを取って入院時のPCR検査と抗体検査を実施すれば、県内の中核病院は追随することでしょう。
埼玉県は国の抗体検査から漏れてしまいましたが、県立4病院、埼玉医大の本院と分院、防衛医大、獨協越谷医療センター、自治医大、埼玉医療センター、各市立病院、日赤病院などが入院時のPCR検査と抗体検査に参加すれば、3週間で3,000サンプル集計可能です。費用は保険適用外の部分を県が負担すればよく、3,000サンプルなら5,000万円未満で実施可能です。県立病院と県内中核病院で入院時PCR検査と抗体検査を実施し、データを集約することについて、保健医療部長の見解を伺います。
当然のことながら、入院時のPCR検査で院内感染の全てが防げるわけではありません。神奈川県の小田原市立病院では、新型コロナではない病気で入院した患者さんに熱があったためPCR検査をしたところ、結果は陰性でしたが念のために個室に隔離。CT検査でも肺炎所見が見られず、1週間後、大部屋に移り、数日過ごして退院。その後、熱が続くため再入院し、再度PCR検査をしたところ陽性で、前回入院の同室患者と担当職員の計7人が感染した事例が報告されました。
そこで提案ですが、肺炎治療が目的ではない紛れ込み患者による院内感染防止法について県内中核病院にアンケート調査を実施し、それを取りまとめ本県のマニュアルを作成し、県内医療機関に配布するのはいかがでしょうか。保健医療部長に所見を伺います。
中国は2月末に新型コロナ5万5,924症例をまとめ、調査報告書を公表しました。米国も4月中旬にニューヨーク州の新型コロナ5,700例をまとめ、人工呼吸器を使用した症例の死亡率が88.1%であり、65歳以上で人工呼吸器を使用した症例の死亡率が97.2%であることなど、現場の医師に貴重な情報を提供しています。
一方、日本では1万8,600人以上の感染者がいながら、いまだ3,000例規模の調査結果すら発表されていません。6月23日現在、埼玉県の新型コロナの累積陽性者は1,054人、退院・療養終了者数942人、死亡65人となっており、転帰が明らかになっている計1,007人のデータを集計することは可能と思います。埼玉県における60歳未満で重症化要因がない場合の死亡率、75歳以上で人工呼吸器が必要となった場合の死亡率、75歳以上のECMOを回したときの死亡率を把握していればお示しください。
これらの数字は感染第2波に対する自粛範囲の決定、必要病床数、必要医療機器数、必要施設室数の予測に極めて有用です。埼玉県の新型コロナ約1,000例の治療結果、転帰のデータを集計することは極めて重要と考えますが、保健医療部長の見解を伺います。

A  関本建二  保健医療部長

入院時にPCR検査を行うことは、紛れ込みによる院内感染を防止するための有効な方法の一つであると考えます。
しかし、現時点では保険適用が限定的であることや、正しく陽性となる確率が7割程度であることから、県として一律にPCR検査の実施を医療機関に要請し、報告を求めることは難しいと考えております。
また、抗体検査につきましては、精度に課題があると指摘されており、今後の大学などの研究機関における研究の進展や国が3都府県で行った検査結果の分析や解釈を注視してまいります。
次に、肺炎治療が目的ではない紛れ込み患者による院内感染防止法について県内中核病院にアンケート調査を実施し、マニュアルを作成することについてでございます。
これまでに発生したクラスターの多くは院内感染であり、事後対策としての感染拡大防止策とともに、入口での発生防止対策が重要です。
県内で発生したクラスター事案について、国のクラスター対策班から報告書が提出される予定となっておりますが、まずは県内の中核病院でどのような院内感染対策が取られているのか把握することについても検討してまいります。
次に、埼玉県における年齢、治療法別の死亡率の把握についてでございます。
重症化要因があるかどうかなどのデータ集計は進めておりますが、把握している範囲で申し上げますと「60歳未満で重症化要因が無い場合の死亡率」は1%未満、「75歳以上で人工呼吸器が必要となった場合の死亡率」は症例数が少ないので参考値ということになりますが67%となります。「75歳以上のECMOを回した時の死亡率」は75歳以上でECMOの使用例はございません。
次に、埼玉県の新型コロナ約1,000例の治療結果・転帰のデータを集計することについてでございます。
議員御指摘のとおり、このたびの新型コロナウイルス感染症のデータは大変貴重なものと認識しております。
感染症法に基づき県として収集した情報については、わかりやすく県民の皆様へ示すよう努めております。
しかし、個別の治療結果などの臨床情報を収集し、詳細に分析するには、治療を行った病院や患者さんの協力、理解を得る必要があるなど研究倫理上の課題がございます。
専門家からは国レベルでも実施が難しいという話を伺っており、現時点では県独自でこれらのデータの詳細な集計、分析をすることは難しいと考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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