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掲載日:2020年3月31日
Q 高木功介 議員(自民)
現在、中華人民共和国湖北省武漢市で発生したCOVID-19(新型コロナウイルス)が、世界中に蔓延しております。ウイルスの感染症は、ウイルスが突然変異を起こしやすく感染拡大を懸念する点にあり、予断を許すことができません。SARSの場合、終息まで8カ月かかったことを考えると、今回のCOVID-19は東京オリンピック・パラリンピックまで続くことが予想されます。また、同大会では4,000万人とも言われる来日者が見込まれております。そのため、未知の感染症対策も必要だと考えます。アウトブレイク対策も万全を期する必要があります。
まず、このCOVID-19対策について、知事の見解をお尋ねいたします。
令和2年2月25日に、政府によって発表された新型コロナウイルス感染症対策基本方針では、関係機関に対応の詳細を任せる趣旨だと理解しております。そのため、埼玉県に権限が移譲されたと言えます。対策として有効と思われますのは、感染そのものを封じ込めることはもちろん重要ではありますが、致命率の低下と医療体制の維持も考える必要があります。
2月19日に権威ある査読制の医学雑誌「The New England Journal of Medicine」に、「無症状でも、軽症でも感染力が強い」との研究結果が発表されました。また、COVID-19を引き起こすウイルスである「SARS-CoV-2」のPCR検査の感度は、30%から50%と言われております。「感度」とは、陽性の人を正しく陽性と判断できる確率のことで、100人を調べると約50人の偽陰性が出るということです。つまり、かかっている人を正確につかむことが非常に難しいことが理解されます。
さらに、COVID-19の特異的な特効薬、例えばインフルエンザにおけるタミフルのような薬は、現在ございません。
こうした研究結果や現状を踏まえ、さらには今後1、2週間が瀬戸際との政府見解も鑑み、発表から1週間が経過してしまいましたが、「知事がイニシアティブを取り、埼玉県内の学校設置者に学級閉鎖、全学級閉鎖を奨励するなど、思い切った決断が必要です」と質問させていただく予定でしたが、安倍総理の決断で、学校についての質問はその必要がなくなってしまいました。
さて、繰り返しになりますが、今回のポイントは、感染して死亡する人をできる限り減らすというところにございます。つまり、重症化しやすい高齢者、基礎疾患のある人を感染させないようにするような努力が必要です。学校以上に入院施設や高齢者施設など、感染管理は極めて重要です。100人の入所者がいる施設でCOVID-19がアウトブレイクした際、30人以上が発症し、10人以上が緊急搬送を要し、数人が亡くなるというイメージが必要です。
しかし、これまでの知事の方策は、残念ながら詰めが甘いと言わざるを得ません。入院施設や及び高齢者施設で、ウイルスを外から持ち込ませないため、原則として面会は全て中止、物品の搬入などを玄関先で行い、共用の場所は立入禁止にしなければなりません。職員についても、当然ながら玄関先で手指衛生を行い、手と指の消毒のことです。毎朝の検温と症状確認を自己申告ではなく、管理者による指差し確認を行わなければ、本来は良くないことでございます。
もし軽微であっても、症状があれば絶対に出勤させてはならないなど、徹底した対策が必要です。また、高齢者デイケアやデイサービスも休止を要請する必要も出てくるなど、大げさなと思われる感染症対策予防が必要だと考えております。
為政者は先憂後楽を旨としなければなりません。高齢者や基礎疾患をお持ちの方が犠牲になるより、大げさだと後日笑われるような対策が必要だと私は考えております。
県として、医療機関及び高齢者施設及びデイケアサービス事業者に対して、安倍総理の英断はされないのか、知事の見解を求めます。
次に、COVID-19に限らず、感染症全般対策について、防疫体制について質問いたします。
防疫体制は基礎研究、臨床、公衆衛生の知見を総動員しなければなりません。政府はパンデミックの際には、関係省庁連絡会議等を通して対策を講じるといたしております。地方においては、都道府県レベルで対策本部の設置、具体的な行動計画の策定など、地域の実情に応じた必要な対策実施の協力を要請するとしております。
県としては、まずサーベイランスなど情報収集体制の確実な構築が必要です。サーベイランスの目的は、データ・フォー・アクションであります。地域ごとのデータ解析の能力構築が必要です。我が県にも衛生研究所がありますが、こうしたデータを国立感染症研究所に送付し解析依頼すると同時に、解析結果を待たずしてアクションを起こす必要があると考えます。
ここで重要なのは、国立感染症研究所は厚生労働省が所管する研究所であるということです。本務は研究であり、大量の臨床サンプルを処理するところではございません。埼玉県としては、埼玉県にある衛生研究所に集められたサンプルを独自のシーケンサーで解析するのにも限界があり、また本務が検査機関ではない国立感染症研究所に送り結果を待つだけではなく、比較優位論に立って民間の検査会社に委託して解析を依頼することが肝要であると考えます。
国内受託検査企業の大手であるSRLは、毎日20万件以上の検査を全国の医療機関から受託しております。国立感染症研究所との連携は非常に大事ではありますが、サーベイランスは感染症予防に規定された疾患以外は把握できず、不明の疾患という分類不能分の把握ができないのが欠点です。近年新たに感染症が発生しておりますが、そのほとんどが診断不明疾患であり、原因不明疾患であります。病名の付いた疾患ばかりではなく、不明疾患発生のクラスター、つまり集団感染を迅速に把握するシステムの導入は急務であります。
公衆衛生上のリスクの高い事象を早急に捉えるイベント別サーベイランスが必要になります。多くの情報源を吸い上げ、事象、すなわちイベントを柔軟に捉えて、必要において早急に対応策を講じる必要があります。また、情報源としては、保健所及びクリニックや病院及び調剤薬局から衛生研へ適切に報告がされるよう、日々訓練と連絡強化の迅速さが求められます。
また、救急車搬送時には、消防本部によって電子的に記録された症状ごとの搬送記録があります。こうした記録を独自に吸い上げ、対策を国の指導を待たずして迅速に行動する必要があると思います。
米国にはアメリカ疾病管理予防センター(CDC、Centers for Disease Control and Prevention)があり、センターの専門家が司令塔になり権限が委譲され、感染症対策に迅速に対応しております。政府機関として、こうした組織を我が国に導入することは簡単ではありませんが、県レベルでは十分可能だと考えます。政府機関として、こういうふうなものは大変なんですが、県レベルでは十分できるというふうなことでございます。そのため、専門家が存分にリーダーシップを取る、直接アクションを起こすことができる埼玉CDCの組織が絶対に必要だと考えております。
埼玉版FEMAの設立をうたっておられます知事ならば、意味がお分かりになると確信いたしております。知事の答弁を求めます。
A 大野元裕 知事
医療機関、高齢者施設及びデイサービス業者に対する感染管理についてです。
感染症法においては、「病院、診療所、老人福祉施設等の施設の開設者及び管理者は、感染症が発生又は蔓延しないように必要な措置を講ずるように努めなければならない」と規定されており、医療機関や高齢者施設、デイサービス業者が適切に対応することと規定されております。
この法に定められた対応にとどまらず、県としては、新型コロナウイルス感染症は、特に高齢者や基礎疾患を有する方が重篤化するリスクが高いことから、具体的な対応策をとりまとめて関係機関にお知らせするとともに、強く対応を要請してまいりました。
この中で、職員が出勤前に体温を計測し、発熱等の症状がある場合には出勤しないことの徹底を求め、御家族などの面会もやむを得ない場合を除き制限することが望ましいことを伝えてあります。
通所介護の利用者につきましても、送迎車の乗車前に体温を計測し、発熱が認められる場合には、利用をお断りすることといたしております。
また、取引業者との物品の受け渡しは施設の限られた場所で行うべきことなどの具体的な事項について注意を促しております。
次に、専門家が存分にリーダーシップを取り直接アクションができる埼玉版CDCのような組織についてでございます。
米国CDCは、感染症に関する情報収集、分析、感染症の拡大防止対策などを一元的に担う組織であると認識しております。
本県では現在、感染症発生状況や患者情報の分析を専門に行う「感染症情報センター」を衛生研究所内に設置をし、専門的な検査と一体的な情報解析が可能となっております。
解析結果については国立感染症研究所に送る前から「感染症情報センター」で分析を行い、「感染症流行状況」として毎週、県民や医療機関に情報提供を行っております。
この「感染症情報センター」において、議員お話しのクラスターを迅速に把握するため、薬局の調剤情報や救急の搬送情報を活用した強化サーベイランスなどを実施し、来るべき東京オリンピック・パラリンピックに対しても備えているところでございます。
埼玉版CDCの設置の必要性につきましては、有効性や課題、感染症法等との関係性などから様々な観点から研究をしてまいります。
再Q 高木功介 議員(自民)
COVID-19の防疫対策についてでございます。
職員について看護職員というか、そういうふうな入院施設だとか高齢者施設へのウイルスを外から持ち込ませないために、「検温は重要だ」というふうなことを私は申し上げました。そのときにポイントが、「自己申告ではなく、管理者による指差しの確認が必要だ」というふうなことです。うそをついているかどうかというふうなことより、やはりそのほうが確実性があるのではないかというふうなところ。知事は、「そういうふうなことをされている」とおっしゃいましたけれども、管理者による指差し確認はされていらっしゃるのか、そういうふうな点を教えていただきたい。
それと、それに附随しているものでございますが、デイケアサービスやデイサービスについても、「検温して熱があれば、デイサービスとかを中止というか、やめてくださいというふうなことを言う」というふうなことをおっしゃいましたけれども、先ほど私が様々な事例を申し上げたように、「症状がなくても感染している可能性がある」、そういうふうなことが今怖いからこそ、この1、2週間は瀬戸際であり、学校も休みになったというふうなことを考えますと、検温だけではちょっと甘いのではないかというのが、私の認識でございます。
その点について、仮にアウトブレイクした際は知事が責任を取っていただけるのかどうか、そういったところも含めて教えていただければと思います。
再A 大野元裕 知事
1点目、職員の体温計測に関する指差確認についてでございます。
感染症法は、それぞれの事業者に対し、感染症が発生又は蔓延しないように必要な措置を講じるよう努めるというように規定されております。
ただ、県といたしましては、このような法の規定にとどまらず、それに加えて、特に高齢者あるいは基礎疾患をかかえる方が多いこういった施設においては、徹底した出勤前に体温を計測し、発熱等の症状がある場合には、出勤しないことの徹底を管理者に対して、求めているところでございます。
なお、指差確認は、具体的に申し上げておりませんが、出勤しないことの徹底や体温の計測の徹底の中に、それぞれの事業者の中で御判断をいただくこということだと理解をさせていただいております。
そして、2番目の無症状者に対する対応でございますが、この無症状保菌者については、若しくは、無症状感染者については大変難題であり、国としても、県としても、現在取組の中で対応を苦慮しているところではあります。
他方で、このような無症状保菌者について、咳もない、熱もでない、そういった方々について、対応することは極めて困難ながら、臨床的な判断に応じて、医師が求める場合には、国の基準に達せずとも、例えば、PCR検査を行わせると、県としても早くから対応をしているところでございます。
このような感染の蔓延を防ぎ、議員の仰るアウトブレイクを防ぐために、国・県そして、これらの施設の管理者が一体となって取り組み、一刻も早く感染の検知を行えるような体制を整えていきたいと考えております。
なお、その責任でございますが、当然、県知事でございますので、県知事として要請をしっかりとさせていただき、徹底に努めていくことが私の責任と考えております。
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