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掲載日:2020年3月31日

令和2年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(高木功介議員)

ベトナムからの技術者・技能者等の受入れ促進について

Q   高木功介  議員(自民

埼玉県では、県内の外国人労働者は昨年10月末現在、初めて7万人を突破し、過去最高を更新したことが分かりました。ベトナムが2万373人で最も多く、次いで中国、フィリピンと続いております。産業別の外国人労働者の割合は製造業が最も多く、全体の4割近くを占めていて、次いでサービス業、建設業などとなっております。埼玉県の発展にとって、外国人労働者、特にベトナムからの労働者の受入れは、重要な課題だと言えます。
昨年4月に改正入管難民法が施行され、新たに特定技能の在留資格が創設されたことなどにより、多くの外国人労働者を本県が受け入れることになりました。改正入管法の特定技能1については、賃金を日本人と同一水準とするなど、外国人労働者から見れば画期的である一方、家族を連れてきてはならない、5年したら帰さなければならないなど、労働者を使い捨て的に捉えている点もあり、課題があります。
施行されて約1年が経過しますが、政府は5年で最大34万5,150人、初年度に最大4万7,550人の受入れを見込んでおりますが、昨年11月現在で1,019人と想定に遠く及ばない状況です。
そもそもこの改正入管法の特定技能制度ができた背景は、我が国政府はブローカー排除を目的に労働者と直接契約する形を求めました。しかし、ベトナム政府としては労働者を輸出力として見ており、協議は難航し、結果として送り出し機関を通す形で話が落ち着いたという経緯があります。
そのため、技能実習から試験を伴う特定技能での送り出しに切り替える積極的理由も見つからず、試験実施さえ決まらない状態です。
そこで、この2月に法務省出入国在留管理庁は、この4月から特定技能の国内試験の受験資格を拡大いたしました。これまで中長期在留者か、過去に中長期在留の経験がある者を試験の対象としていたものを、中長期在留の要件を撤廃し、日本への在留資格を有している者に対して一律に受験を認めることになりました。つまり、観光などを目的に入国する3カ月以内の短期滞在者にも、受験の機会を与えたということです。
ただ、この制度の盲点は、渡航費も自己負担で、仮に試験に受かっても就職が保証されているわけではない点にあります。そのため、試験目的で短期滞在ビザで入国し、アンダーグラウンドで働く失踪者が増えるのではないかという懸念もございます。
外国人材の受入れについては、既に千葉県と神奈川県が積極的に行っております。
千葉県では、在留資格、介護を取得し、介護福祉士として県内介護施設で就労することを目指す外国人留学生及び留学生候補者、これを受け入れる介護施設を支援し、介護職員の確保を目指しております。千葉県がマッチング機関に委託して、安心して千葉県で働けるようにサポートしているのであります。
また、神奈川県では、外国人労働者が安心して働ける職場環境を整備するとともに、外国人材の受入れを円滑に進めるため、神奈川県知事が神奈川フェスティバルinハノイ2019の開催のためベトナムを訪問するのに合わせて、ベトナム社会主義共和国労働・傷病兵・社会省との間で、人材育成に関する覚書を昨年11月19日に締結いたしました。
覚書の概要といたしまして、ベトナム政府と神奈川県双方において、介護や看護など相互に有益な分野における技術者、技能実習生、特定技能者など、派遣及び受入れを支援するものであり、まずは介護分野から先行して行われるということです。また、覚書の特徴として、受入れを実施するに当たり、神奈川県内に派遣される技術者・技能者のみならず、帯同する家族に対しても各種相談や日本語教育支援など、生活支援を盛り込んでいる点が挙げられます。
奇しくも大野知事が11月10日から12日にベトナムを訪問された1週間後に、この覚書は締結されました。知事は、ベトナムでフック首相など政府高官と会談をされましたが、残念ながら労働力人材受入れについては、具体的な言及はされませんでした。
お分かりのとおり、千葉や神奈川は既に埼玉の何歩先も行っているのであります。知事が意見交換された梅田在ベトナム大使は、日本の深刻な労働力不足に対応するため、在ベトナム大使館として積極的に関与する旨を表明されております。
知事も外務省の出身ですが、外務省員の行動規範に「スピードと効率性を重視し、政策目標と優先順位を明確にする」というものがあります。私はそれを叩き込まれました。知事は叩き込まれたでしょうか。外務省出身の知事が外交において、外務省出身でない他県の知事に先を越されてもよろしいものでしょうか。
そこで、埼玉県としては、特定技能の国内試験の受験資格拡大を迅速に行うものと考えております。ベトナムに埼玉県の公的事務所を置き、埼玉県へ窓口を作り、埼玉県へ就職を希望する人材を助成する積極的な受入れが必要だと考えます。
その上で、埼玉県の介護施設や企業とマッチングを行うと同時に、外国人労働者を使い捨て的に捉えるのではなく、安心して働けるよう責任を持った支援を行うべきと考えますが、知事の答弁を求めます。

A   大野元裕   知事

かねてから私は、海外の若者が日本で様々な技術を習得し、母国に帰って活躍できるような人材交流こそ重要であるとの認識を持っておりました。
昨年11月のベトナム訪問の際、私はグエン・スアン・フック首相に対し、ベトナム人労働力の受入れに関し、「若く優秀なベトナムの人材が日本で技術を学び、母国の経済発展に貢献できるウィンウィンの関係を作りたい」と申し上げ、首相からは御賛同をいただいたところであります。
梅田邦夫駐ベトナム日本国特命全権大使とも、海外の人材が日本でより長く働き、より深く学べる特定技能制度の仕組みができたことを踏まえ、大使館としても送り出しに関し研究をすべきと提言をし、本県と大使館との連携を一層強化することで合意させていただいたところでございます。
一方で、少子高齢化を背景に、介護をはじめ、建設、製造の現場など県内事業所の人材不足は深刻な状況にあります。
海外の意欲ある人材の受入れを促進することは、県内事業所の人材を確保し、地域経済の活力を高める点からも意義があると考えます。
昨年4月に新設された特定技能制度は、一定の技能と日本語能力を有する外国人材に5年間の就労を認める在留資格です。
この在留資格は、国内外で実施される資格試験の合格者や、3年間の技能実習を修了した方などが取得することができます。
しかしながら、ベトナムにおいては、議員御指摘のとおり、この資格試験が実施されておらず、また、送り出し機関の政府認定に時間を要していたこともあり、制度の利用が進んできませんでした。
特定技能の外国人数は、全体でも12月時点で1,621人と、国の初年度の受入れの目安である約4万8,000人と比べ、大きな乖離があります。
しかし、一方で、最近になって送り出し機関の認定が進み始めるなど、制度の本格的な活用に向けて環境が整いつつあるところでございます。
議員からは、ベトナムに埼玉県の公的な事務所を置くという御提案をいただきました。
本県は、県内企業の海外ビジネス展開を支援するため、ベトナムに県のサポートデスクを置くとともに、ベトナム計画投資省内にも本県専門の相談窓口である埼玉デスクを設置しております。
まだ、どの都道府県においても、ベトナムから特定技能の資格で新たに来日する方の受入れは進んでいません。
そこで、まずは、こうしたデスクを通じて優良な認定送り出し機関を調査するなど、現地の情報収集に努めるとともに、埼玉県で就労するメリットについて情報発信をしてまいります。
あわせて、受入れ先となる県内事業所の具体的な求人ニーズを調査してまいります。
また、特定技能は、技能実習と異なり、人材の送り出しと受入れに関わるマッチングのルートが未だ確立されておりません。
このためには、まずは、留学生を含むベトナムの人材に対し積極的な広報に努めるとともに、現地からの送り出しが本格化した際には、効果的なマッチングの手法について検討を進めてまいります。
さらに、外国人労働者が安心して働けるよう責任を持った支援を行うことについてでございます。
特定技能制度は、受入れ側の事業者が登録支援機関に委託するなどして、外国人労働者に対し、住居の確保や日本語学習機会の提供など、生活上の支援を行うことを義務付けています。
まずは、これらの支援が適切に実施されるよう、事業者向けのセミナーを開催するなど制度の周知を図ります。
あわせて、ワンストップ相談窓口の設置、日本語学習支援、医療機関の外国人受入れ体制の整備など、県といたしましても、外国人労働者が安心して働けるようしっかりと取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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