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掲載日:2020年3月31日
Q 町田皇介 議員(民主フォーラム)
平成30年12月に策定された児童虐待防止体制総合強化プランでは、児相や市町村の体制、専門性の強化を令和元年度から4年間で進めることになりました。具体的には、児相に配置する児童福祉司は、平成29年度の全国約3,240人から令和4年度までに2,020人増員、また、児童福祉司は1人当たりの業務量が40から50ケース相当になるように、管轄する地域を見直すことなどが掲げられております。
本県の現状を見ますと、児童虐待の通告件数は年々増加傾向にあり、平成25年度5,358件から平成30年度には1万5,534件と、5年間で約3倍となっております。また、昨年1年間で県警が児相に通告した18歳未満の子供の数は9,751人で全国3位、県警が通報を受け対応した件数は8,976件と全国で2位で、平成16年以降で過去最多という状況です。
本県の児童福祉司の体制については、昨年9月定例会の鈴木正人議員の知事答弁でも、「平成30年度の児童福祉司の1人当たりの対応件数は73件で、全国平均の49件と比べ突出しており、国の新しい配置基準によると、現在の197人から令和4年度までに182人増員する必要があり、人材の確保は難しい」と述べられております。
政令市の福岡市では、児相業務の一部を民間に委託することで児相職員の負担軽減を図っています。休日、夜間の児相通告のうち緊急性があるケースについては、児相の要請を受けたNPO法人の訪問員が児童の安全確認を行ったり、休日、夜間に一時保護要請があった場合には、児童を児相などに移送したりしています。これにより安全確認の業務時間の軽減や、休日の電話呼出しなどの精神的負担の軽減につながり、また、児相職員が訪問する場合に比べて保護者の受け取り方が良く、「その後の支援が円滑に進みやすくなった」という声もあるようです。
そこで、知事にお伺いいたします。
児相職員の負担軽減、体制の強化の一環として増員という観点だけではなく、このように業務の一部を民間に委託することも検討していく必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、子ども家庭総合支援拠点についてです。
国の総合強化プランの中には、市区町村における相談体制を強化するため、子供とその家庭、妊産婦等を対象として、地域の実情の把握や継続的支援等を行う子ども家庭総合支援拠点についても、令和4年度までに全市区町村に設置する目標が掲げられております。その中には、「市区町村における支援体制の強化を図るため、児相に市区町村を支援するための児童福祉司を配置する」ともあります。しかしながら、専門職など適切な人材確保に対する市町村への支援は十分ではなく、設置がなかなか進んでいない状況です。
そこで、児相を管轄する県としても、責任を持って子ども家庭総合支援拠点の設置に対する支援体制を整えていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
業務の一部を民間に委託することについてでございます。
通告件数が急増する中、児童虐待に的確に対応するためには、職員の増員が不可欠です。
しかし、短期間に能力の高い職員を多く採用することは簡単ではありません。
そこで、議員お話しのとおり、業務の民間委託を進めることが重要となります。
県では、令和元年9月から、川越児童相談所と所沢児童相談所管内で、リスクが低い虐待通告の安全確認をNPOに委託するモデル事業を実施しています。
また、里親委託の推進のため、里親の募集から研修、委託後のサポートまでの支援を民間へ委託しております。
職員の負担軽減や組織体制の強化には、民間委託以外の取組も必要となります。
虐待事案のうち市町村で支援することが適当なものについては、児童福祉法に基づき市町村へ事案を引き継ぐ送致制度の活用を進めています。
さらに、児童福祉司の担当業務のうち事務職でも対応可能な業務の切り分けの検討も行っています。
今後も民間への業務委託の拡充などの負担軽減を図ることによって、児童福祉司が重篤な事案に注力できる環境を整え、子供の安全確保に万全を尽くしてまいります。
次に、子ども家庭総合支援拠点の設置に対する支援体制でございます。
この拠点は、住民の身近な場所で、子育て全般に関する相談や要支援児童への対応などを行うことを目的として、国が平成29年度に制度化し、令和4年度末までに全市町村への設置を促しています。
しかしながら、1月末現在、県内で設置しているのは7市町にとどまっております。
このため、拠点の目的や重要性、期待される効果について、市町村の担当課長会議などを通じて丁寧に伝え、設置の促進を図ってまいります。
県が、昨年6月に市町村に対し、拠点の設置に関するアンケート調査を行いましたところ、設置が困難な理由として、専門職を含めた職員の確保・育成が難しいとの意見が最も多い状況でした。
このため、県では令和2年度から、拠点への配置が求められる専門職を育成する研修を、新たな研修メニューとして加え、市町村の人材育成に積極的に協力してまいります。
また、本県では、妊娠期から出産・子育て期までの切れ目のない子育て支援を行う子育て世代包括支援センター、いわゆるネウボラが今年度中に全市町村で設置されます。
国の要綱では、子ども家庭総合支援拠点の設置について、子育て世代包括支援センターなどの既存組織の活用も示されております。
市町村に対しては、こうした情報をしっかり提供してまいります。
子供に対する様々な支援が身近な全ての市町村で受けられるよう、子ども家庭総合支援拠点の設置に向けた支援を鋭意進めてまいります。
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