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掲載日:2019年10月17日
Q 武内政文議員(自民)
県では、予算が厳しいということから、高校の施設整備に県民の力を借りるため、昨年度から教育環境整備基金を設置いたしました。基金の積立原資は、高等学校などの施設を廃止した売り上げ代金の一部と一般の寄附であります。一般の寄附は、学校を指定しない寄附Aと、学校の魅力アップの計画を立てた特定の県立学校を指定する寄附Bと、2種類があります。今年8月までに624万円集まったとのことですが、この寄附Bの目標額は7,820万円です。募集期間の来年8月までに目標額に達するまでには、今後かなりの努力が必要だと思います。
私は、この寄附が集まりにくいのは、寄附の仕組みと目的に問題があるかと思っております。
まず、学校の手挙げ方式にしたことです。これによって、寄附を集める責任を特色化に取り組むと手を挙げた学校に押し付ける形になっているように思います。寄附する人は、特定の学校に関係する人が中心で、幅広い層の寄附を受けづらくしております。該当校は、目標額を達成するためにOBや後援会などにお願いして、今集めているようですが、来年8月までに目標額が集まらなければ事業の中止もあるわけです。なぜこのように手を挙げた特定の学校に対する寄附を募るようにしたのか、その理由を教育長にまずお伺いをいたします。
問題の2つ目、これは寄附の使い道を特色ある学校づくりに限定していることであります。この基金が、学校の特色化を目的としていることは理解をしております。しかし、県では既に、魅力ある県立学校づくり推進費6,780万円や、県立高校プロフェッショナル育成推進事業4,640万円など、高校の特色や魅力を出すための様々な事業を既に行っております。学校の特色化の前に、学校施設の老朽化や安全化対策など、基本的な学校環境の整備はどうなっているのでしょうか。
というのも、「古くなったトイレの改修もできないのに特色化まで取り組めない」との学校現場の声を聞くからです。例えば、予算が厳しくてトイレの改修もできずに困っているといえば、寄附しようという気にもなりますが、特色ある学校づくりでは、寄附する動機付けが弱くなるように思います。
神奈川県では、まなびや基金と称する教育整備の基金を平成21年から設置して寄附を集めております。この基金は、校舎の床やトイレの改修なども含めた施設環境整備全般に充てられるようになっております。本県でも、学校の特色化だけでなく、より良い教育環境を整備する方向で、今後基金の拡充を考えてはいかがでしょう。そして、特色化の提案を出した高校に対しては優先的に基金を使えばよいわけです。そこで、この教育環境整備基金の活用の在り方について、教育長にお伺いをいたします。
さらに、今のやり方では、高校の特色化が進む高校とそうでない高校が出てくるように思います。こうした高校間の競争は格差を助長することにはならないのか、併せてお伺いをいたします。
A 関根郁夫 教育長
まず、「なぜ、手を挙げた特定の学校に対する寄附を募るようにしたのか」についてでございます。
この基金は、県立学校の更なる特色化や地域社会と連携した学校づくりを地域の方々と一緒に進めていくため、平成27年3月に設置したものでございます。
基金の主な財源は寄附となりますので、まずは基金の活用を希望する学校が主体となって特色化を図るプランを策定することが、地域の方々の御支援、御協力をいただきやすいと考えました。
また、寄附を頂く県民の方に対しても、予めプランをお示しすることにより、寄附が何に使われるのかが具体的に見えるようになるという効果もございます。
寄附の募集活動に当たっては、学校だけにまかせるのではなく、教育委員会全体で推進することとしており、学校と連携しながら鋭意、募集活動を進めているところでございます。
次に、「基金の活用の在り方について」でございます。
耐震化やトイレの改修といった基本的な教育環境の整備、あるいは協調学習を推進するためのタブレット整備などの、教育局全体で政策的に推進している事業については公費で行うことを原則としており、多大な経費が必要となります。
そのため、財政状況が厳しい中では、例えば特定の学校のみが部活動に使用する高性能な練習用具などは、どうしても優先順位が低くなり、なかなか整備が進まないという状況がございます。
この基金が新設されたことで、各学校はこの基金を特定財源として自ら希望する特色化を図ることが可能になると考えております。
次に、「高校間の競争は、格差を助長することにはならないのか」についてでございます。
基金の活用には、まず、学校で特色化のプランを策定することとなります。
プランを策定する際、学校によっては立地条件や地域との関わりなど学校を取り巻く環境が異なるため、寄附の集まりやすさ、集まりにくさがございます。
このため、県としては、各学校が特色化のプランを検討する段階において、相談や技術的な助言などの支援を積極的に行っております。
また、寄附の募集についても学校が自ら行う寄附の募集活動とともに、県としても県の広域性を生かして、市町村には住民への周知を働きかけるとともに、経済団体や企業などには寄附の協力をお願いしております。
さらに、プランを策定した学校への寄附が目標額まで集まらなかった場合でも、一定額以上の寄附が集められていれば、特定の学校を指定しない寄附の一部を補てんできる仕組みとしております。
こうした取組を推進し、格差を助長することなく、より多くの県立学校の特色化が図られるよう努めてまいります。
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