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掲載日:2024年12月6日

令和6年度研究課題(温暖化対策担当 R6~R8 地域気候変動適応策に資するための極端気象現象の長期再現実験)

(温暖化対策担当:河野、嶋田、大和、山上)

県内の極端気象現象として、2018年に熊谷で記録的な最高気温を、2022年には鳩山町を中心とする大雨をそれぞれ観測したのは記憶に新しい。とりわけ気候変動の進行に伴う極端気象現象の激甚化・頻発化が懸念されている(IPCC AR6)ことから、基礎自治体では今後発生する可能性のある気象災害リスクに対し、具体的で、なおかつ効果的な防災・減災対策を講じることは喫緊の課題である。

しかしながら、地域気候変動適応策の立案に活用できるような、細やかな空間分解能を有する将来予測気象データや災害リスク情報は提供されていない。また、気象モデルを用いた再現実験では、一般的に広く用いられている気候再解析データを入力値とした時に極端気象現象の再現性が低いことが課題となっている。そのような問題を踏まえ、従来の再解析データよりもさらに高時間・空間分解能のデータが極端気象現象の再現性を向上させるために有効な手法の1つであることが示唆されている(中村, 2021)。

本研究では、極端気象現象(猛暑や短時間豪雨)によってもたらされる気象災害の被害推定やその被害を低減させる気候変動適応策立案(水災害、暑熱健康や農業)に資する基礎情報を整備する。そのために、関東地方における極端気象現象の発生頻度や洪水・渇水、熱中症リスクの長期的な傾向を把握するとともに、県内市町村ベースのリスク情報をSAI-PLATに掲載することで、基礎自治体が地域気候変動適応策推進に関する具体的なKPIを設定するための情報を提供する。

《研究の概要》(PDF:225KB)

令和6年度研究審査会コメント

  • 異常気象による影響に対しては、市町村レベルでのきめ細かい対応が必要であるにもかかわらず、現在、異常気象の影響を市町村レベルでの環境リスク評価に落とし込むことはほとんど行われていない。科学的な取り扱いを市町村レベルで施策に盛り込めるようにすることで、全国のモデルとなって欲しい研究である。
  • 近年増加している極端気象への対策は、県民への被害低減のために不可欠であり、本研究の推進により、県内の気象に特化した成果が得られる。市町村ベースで提示される健康影響や農作物への影響のリスクは有用性が高い。
  • 市町村単位での極端気象の発生回数や異常気象リスクマップを提供するという、これまでに前例のない研究ということで、成果が期待されます。過去30 年分のデータによる長期再現実験を、どのように将来予測に繋げるのか、もう少し詳しい説明があればよいと思われます。
  • 本研究は、地域社会が気候変動に適応するための具体的かつ実効性の高い対策を講じるうえでの貴重な情報を市町村ごとに提供するものと高く評価できる。SAI-PLAT には、気候変動及び防災に対する県民の意識向上にも役立つよう分かり易い掲載を期待する。
  • 計画に沿って研究を着実に進めることが出来れば学術的成果としての価値に加えて、社会的有用性も期待できると思います。研究出力のSAI-PLAT を通じた配信については、主たる利用者を具体的に想定し、そのニーズを確認して作業に取り組むことが重要と考えます。
  • 高分解能の再解析データを用いて地域的な気候変動を予測するという有益な研究だと思います。適応策への基礎情報を提供できるモデルの構築を期待します。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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