環境科学国際センター > 試験研究の取組 > 研究課題 > 令和元年度研究課題一覧 > R02第2回審査会コメント3/研究課題(水環 H30-R01 県内河川の魚類生息密度推測法への環境DNA分析)

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掲載日:2023年1月11日

環境科学国際センター研究課題(水環境担当/H30~R1)

県内河川の魚類生息密度推測法への環境DNA分析の適用の検討

(水環境担当:木持、田中、渡邊/H30~R1)

県内河川の水質は以前より大きく改善されており、今後は生物多様性に着目した施策等の展開が望まれています。そのためには生物調査が必要となるが、捕獲調査は多くの人員と時間を要する上、結果が調査者の技術練度に依存したり、希少生物調査では作業に伴い生息環境を荒らしてしまう恐れがあります。近年、環境DNA(eDNA)分析による生物調査が注目されており、この手法の併用により、調査の効率化と精度の改善が期待されます。eDNAとは、生物から排泄物や代謝物等を通じて環境中に放出されたDNAのことで、これを分析することで、存在する生物の種類や調査対象となる生物の在・不在等を調べることができます。本研究では、魚類生息密度推測法へのeDNA分析の適用と実用化の検討を行います。具体的には、本県の主要河川で生態系被害等が報告されている特定外来種のコクチバス等を対象に、生息密度推測法を検討します。

《研究の概要》(PDF:266KB)

 

令和2年度第2回研究審査会コメント

研究課題

県内河川の魚類生息密度推測法への環境DNA分析の適用の検討

研究審査会コメント

  • 本研究では、コクチバスを対象に、この手法を適用していくときに必要となる技術に関し、試行錯誤を行いながら確立しており、高く評価できる内容となっています。本手法は、外来種管理だけでなく、絶滅危惧種の有無の把握、水産資源の管理など様々な応用の分野をもった技術です。今後、県の施策においても有効に利用されていくものと考えられます。
  • 本研究を用いることで、必要となるプライマーを開発することによって、様々の種の定性的、定量的状況の把握や、同じ種でも異なる起源を持った個体群の調査、流れの測定や解析、また、季節的、成長に伴うDNAの分散時期や分散後のDNAの物理的、化学的挙動の分析等と連動させることにより、評価可能な水域の広さの評価が可能になったり、採水を密に行うことで、対象とする種自体の行動パターンや行動時期などの生態特性の把握も可能です。こうした結果は魚道の管理等にも応用できます。今後、様々な研究に発展させていくことが可能です。今後の研究が期待されます。
  • 今後、種々の生物でデータが集積されてくると思います。河川の水流の動きは極めて複雑ですので、状況を示すデータ(水深、水流の速度、水温、水質(可能な範囲で)、天気、日照など)も併せて収集されると良いと思います。
  • 環境DNAの研究が国内で少ない中で、パイオニア的に手法の限界を魚類の調査において試した研究です。今後、学会で発表し議論を進める必要があると思いました。また、既存の方法(網を使った捕獲など)との比較において、コストや労力においても今回の手法のほうが利益が大きいかどうかについても、検討するほうが良いように感じました。
  • 調査手法としての有用性の客観的な評価に資する知見を蓄積できるよう、他研究機関等とも連携・情報交換しつつ研究の設計・実施することで、環境DNA測定でできること・できないことがより速やかに整理され、有用な応用事例を増やすことが出来るものと考えます。
  • 発展途上の研究領域ですが、一定の範囲では有効に活用できる方法を示したことは評価できます。現時点では、魚種により、生息密度まで求められないといった課題もあるため、相対的でも生物量の多少が把握できるように、知見の少ない状況ですが検討を進めて欲しいです。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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