ページ番号:194467
掲載日:2023年1月11日
環境科学国際センター研究課題(温暖化対策担当/H29〜R1)
埼玉県における高時空間解像度人工排熱量インベントリの推計及びその解析
(温暖化対策担当:原、武藤、本城;研究推進室:嶋田/H29〜R1)
都市ヒートアイランドの精密な数値シミュレーションを行うためには、人工排熱量の正確な推計が必要です。また、県内でのエネルギー消費量を把握するためにも、人工排熱量の推計は有用です。特に、解析に必要な最近数十年を対象とした高時空間解像度の人工排熱量の経年変化の推計は、埼玉県以外の他地域でも行われておらず、自ら推計を行う必要があります。また、人工排熱量は、シミュレーションなどに用いるための基礎データとして、定期的に更新されるべきデータであると考えられます。本研究では、都市における高時空間解像度の熱の収支を把握するために、最近数十年間分の人工排熱量の推計を行い、推計結果を解析しその性質を把握すること、また、過去の都市の再現性向上に役立てることが目的です。
令和2年度第2回研究審査会コメント
研究課題
埼玉県における高時空間解像度人工排熱量インベントリの推計及びその解析
研究審査会コメント
- 本研究においては、人口排熱の分布の詳細な評価が行われており、極めて有用な成果といえます。本成果は、県内の都市計画や道路事業など、排熱を増価させる、様々な事業に対する熱環境への影響の評価を可能にするものであり、県の施策に対する貢献も大きいです。
- 熱中症患者の地域分布の評価への展開、夏季の水や電気エネルギーの需要予測、今後加速すると考えられる人口分布の変化によって生ずる気温分布の変化などへの利用も可能です。
- 温暖化への対策を検討するうえで、人工排熱量はきちんと把握しておくべき事項であり、そのための詳細なデータとして緊急性も必要性も高い研究であると判断できます。
- 期間の中で、発表や論文などの業績を多数あげたところがもっとも評価すべき点だと感じました。
- 都市化・地球規模の気候変化が同時に生じる環境下で、夏季の異常高温の影響が顕著な埼玉県において、地域の取り組みを通じてある程度の制御の可能性がある人工排熱についての現状把握・メカニズム理解に取り組むことの必要性は明らかに大きいです。
- 研究実施に当たり大きな努力が必要であった部分がどこであったのか、研究の手法や結果の新規性がどこにあるのか、それらがより明確に伝わる形で、研究計画設定、実施、報告がなされることが望ましいです。