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掲載日:2023年11月6日
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梅毒の発生件数が平成25年度頃から増加傾向にあり、令和4年度には13,228件(うち埼玉県:469件)の報告がありました。
また、HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は令和4年で870件(うち埼玉県:40件)で、6年連続で減少しているものの、累計34,407人の感染者及び患者のかたがいます。最も多い年代は20~30代で、432人の感染者及び患者のかたがいます。
性感染症は、誰にでも関係のある病気です。感染を防ぐために、正しい知識と予防策を身につけましょう。
もし感染してしまったとしても、早期発見・早期治療で感染拡大の防止を心がけましょう。
「性行為で感染する病気」を総称して、性感染症(STD*)といいます。*STD=Sexually Transmitted Diseases
ウイルス、細菌、原虫などの病原菌を含む精液、膣分泌液、血液などが性器、泌尿器、肛門、口腔などに接触することで感染します。主な感染経路は性行為であり、日常生活では感染しません。予防には、コンドームの使用が最も効果的とされています。
また、特定のパートナーとしか性行為をしていなくても、過去のパートナーやさらにそのパートナーなどの誰か一人でも感染している人がいれば、感染の可能性はあります。
感染した場合、発症する症状や感染する部位は様々です。症状が出にくいこともありますが、無症状だから大丈夫ということはありません。症状がない潜伏期間であっても病気は進行し、パートナーにうつしてしまう可能性があります。
性感染症は風邪などとは異なり、自然に治ることはありません。
感染の疑いがある行為や症状がある場合には、誰かに相談したり検査を受けたりして、早めの対応をしましょう。
南部保健所では、梅毒・性器クラミジア感染症・B型肝炎・C型肝炎・HIV/エイズの5項目を検査できる通常検査とHIV/エイズを検査できる即日検査を行っています。(要電話予約:048-262-6111 平日8時30分~17時15分)
検査は匿名・匿住所で行われ、費用は無料です。
子宮頸がん予防(HPV)ワクチンを含む予防接種、インフルエンザ、性感染症、その他感染症全般について相談できます。
電話番号:0120-331-453(平日 9時~17時)
病名 | 特徴 |
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HIV/エイズ | HIVに感染すると徐々に免疫力が低下していき、普段ならかからない病気を発症するようになるとエイズ発症と診断される。毎年12月1日は「世界エイズデー」として、啓発活動を推進している。 |
梅毒 | 皮膚や粘膜の小さな傷から細菌が侵入して感染し、やがて全身に広がり、様々な症状を引き起こす。 |
性器クラミジア感染症 | 最も一般的な性感染症であり、国内の感染者数は40万人以上と言われている。感染者の半数以上が無症状。 |
淋菌感染症 | 特に男性の感染者が多い。オーラルセックスによる咽頭への感染も増加している。 |
尖圭コンジローマ | 性器や肛門周辺にカリフラワー状のイボができる。治療しても再発することが多く、子宮頸がんを引き起こす可能性もある。 |
性器ヘルペス感染症 | 女性に多く、一度感染するとウイルスが潜伏し、再発を繰り返す。 |
性器カンジダ症 | 女性特有の病気だが、男性でも症状が出ることがある。もともと人の体内にある菌とも言われ、免疫力が弱くなっている時に発症しやすい。 |
B型肝炎 | 感染経路は主に血液だが、性行為でも感染する。無症状が多いが、まれに劇症肝炎を起こすことがある。 |
HIV*とは、ヒト免疫不全ウイルスというウイルスのことです。*HIV=Human Immunodeficiency Virus
Tリンパ球やマクロファージなどの免疫細胞に感染し、免疫力を低下させてしまいますが、自覚症状がほとんどないため自分で感染に気づくことは困難です。
エイズ(AIDS*)とは後天性免疫不全症候群のことです。*AIDS=Acquired Immuno-Deficiency Syndrome
HIVによって体の免疫力が低下し、その結果としてさまざまな合併症が出た状態のことを指します。エイズ指標疾患と呼ばれる代表的な23の疾患が決められており、これらを発症した時点でエイズと診断されます。
HIVは、感染している人の血液、精液、膣分泌液、母乳に主に含まれ、粘膜や傷口を通して人の体に入り、感染を引き起こします。なお、汗、涙、だ液、尿、便などの体液による感染はありません。また、HIVは体の外に出てしまうと感染力をなくすため、日常生活の中で感染することはありません。
性行為による感染
HIV感染で最も多いのは、性行為による感染です。あらゆる性行為で感染の可能性があります。
予防にはコンドームの使用が効果的です。
血液による感染
HIVが含まれる血液等が体内に入ることで感染します。特に、麻薬や覚せい剤の 「まわし打ち」による注射器からの感染が問題視されています。
予防には、他者の血液に触れないことが重要です。
感染している親による感染
感染している母親から胎盤、産道、母乳を介して赤ちゃんに感染します。
予防には、妊娠前または妊娠中のできるだけ早い時期に、父親・母親ともに感染の有無を確認し、出産前から適切な医療を受けることが重要です。また、帝王切開での出産やミルクのみでの育児など、対策を行うことで赤ちゃんへの感染確率を1%程度まで低くすることができます。
体内からHIVを完全に排除することはできませんが、継続的な治療を行うことでHIVに感染してもエイズ発症を抑えられ、感染する前とほぼ同じように生活をすることができます。
治療方法
日本国内におけるHIV感染症/エイズの治療は、全国各地のエイズ治療拠点病院等で行なわれます。主な治療方法には抗HIV療法があり、HIVの増殖を抑える抗HIV薬の服用によってウイルス量を減らすと、体の免疫力が回復していきます。
ただし、薬は決められた時間に正しく飲む必要があり、飲み忘れが続くと薬が効かない耐性ウイルスとなり、治療が困難になることがあります。
日常生活
HIVに感染したことがわかっても、今までの生活を急に変える必要はありません。治療による経済的な面では、さまざまな助成制度を利用することによって、医療費の自己負担額を減らすことができます。
一人で抱えずに、信頼できる身近な人、医療機関のスタッフ、専門相談員、NGO・NPOや保健所などの相談機関に相談をしてください。HIV陽性の人たちの交流や情報交換の機会を提供しているNGO・NPOもあります。
昔から知られる性感染症の1つで、梅毒トレポネーマという細菌が感染することで起こります。梅毒の症状が出ているところ(病変部)との接触で感染するため、あらゆる性行為で感染の可能性があります。2013年頃から患者数が急増しているため、注意が必要です。
また、妊娠中に感染するとお腹の赤ちゃんにも感染させる可能性があります。お腹の赤ちゃんに感染すると、死産、早産、新生児死亡、障害をもって生まれることがあります(先天梅毒)。妊婦健診を受けることで予防できますが、健診後に感染する場合もあるため、気になる症状があれば主治医に相談しましょう。
性器や全身の皮膚の症状が特徴ですが、3週間後、3ヵ月後、3年後をポイントに、症状が出たり消えたりします。一旦症状が消えるため治ったと間違われることがあり、発見が遅れる危険があります。
第1期梅毒 … 感染して約3週間後
感染した場所にできもの、しこり、ただれなどができます。治療しなくても、数週間で症状は消えます。
第2期梅毒 … 感染して約3ヵ月後
手のひらや足の裏など全身に発疹ができます。脱毛症状やのどの腫れなどが起こることもあります。治療しなくても、数週間から数か月で症状は消えます。
第3期梅毒 … 感染して約3年以上経過
皮下組織に大きめのしこりができます。 ※現在ではほとんどみられません。
第4期梅毒 … 末期症状
数年~数十年後、心臓、血管、神経、目などに重い障害が出ることがあります(神経梅毒)。
検査・治療
感染が疑われる機会から1ヶ月経過すれば、血液検査を受けることができます。検査によって陽性と判明すると、それぞれの症状に応じた期間、抗菌薬を服用します。
予防方法
コンドームの使用が効果的ですが、性器以外の病変部との接触により感染する可能性があります。また、再感染することがあるため、確実に感染を防ぐには、お互いに感染していないことを確認する必要があります。
クラミジア・トラコマティスという病原菌が、性器やのど、直腸などに感染して炎症を起こします。
日本で最も多い性感染症で、自覚症状がない場合が多く、感染に気付かないことがよくあります。しかし、進行すると、不妊症など様々な病気の原因になるので、きちんと治療する必要があります。
性行為により感染します。キスや回し飲み程度の接触やお風呂では感染しにくいと考えられますが、菌はのど、直腸、尿にも出るので、口腔内や眼、直腸への感染にも注意が必要です。
赤ちゃんの場合、出産時に感染している母親から感染し、結膜炎や肺炎を発症することがあります。
男性
症状は軽く、尿道がむずかゆくなったり、排尿の時に軽い痛みがある程度です。尿道からの膿は、色が透明で、量は少なくてさらさらしています。治療しないと前立腺炎や精巣上体炎、男性不妊症を起こすことがあります。
女性
感染者のほとんどが無症状であり、症状があってもおりものの量が少し増える程度ですが、進行すると卵管炎、腹膜炎、子宮外妊娠、不妊症を起こすことがあります。
妊婦
感染すると流産・早産の原因になることがあります。
その他
のどに感染すると、まれに咽頭炎のような症状が出ることがあります。
眼へ感染した場合は充血やまぶたの腫れ、直腸へ感染した場合は肛門周辺の痛みや出血などが起こることがあります。
検査・治療
感染が疑われる機会から1ヶ月経過すれば、血液検査を受けることができます。
陽性と判明すると1日〜1週間、薬を服用します。決められた期間きちんと服薬しないと菌が残ることがあります。
予防方法
コンドームの使用が効果的ですが、性器以外の病変部との接触により感染する可能性があります。また、再感染することがあるため、確実に感染を防ぐには、お互いに感染していないことを確認する必要があります。