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掲載日:2025年11月27日
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シニアが活躍できる制度を導入した有限会社ダイエー産業・代表取締役の関根 彰さんにお話を伺いました。
・有限会社ダイエー産業(さいたま市岩槻区府内1-7-57)
昭和44年に創業。高周波を使用して、軟質塩化ビニルを溶着するビニール加工業を家の中で機械1台からスタート。ブックカバーや手帳カバー、お守りを入れるケースなどを加工しています。
従業員は16人で、そのうち3人が65歳以上です。

これまでは、定年が60歳、継続雇用を65歳までとしていましたが、定年を65歳に延長して、継続雇用の上限年齢を70歳まで引き上げました。
きっかけは埼玉県の助成金(70歳雇用確保助成金)でしたが、もともと「65歳以上だから採用を控える」方針もありませんでしたし、就業規則の定年と実態にズレが生じていましたので、実態に合わせた形に就業規則の見直しをしました。

高齢のかたは労働意欲に長けていて、仕事が進みます。
社長の気持ちを汲んで動いてくれるところがあり、仕事が溜まっているときには、休みの日でも出てきましょうかと声をかけてくれたりもして、とても助けられています。
また、社会経験が豊富で、コミュニケーション能力が優れています。細かいところですが自分の仕事を次の人に渡すとき、「これ、できましたよ」と声をかける所作が良いので、物事がスムーズに運びますし、社内の雰囲気も良くなります。仕事に取り組む姿勢が模範になり、周りにいい影響を与えてくれています。
高齢のかたが働きやすいように、勤務日・勤務時間の弾力化に取り組んでいます。例えば、バス通勤の従業員がバスの時間に合わせて帰れるように、10分や15分早く帰れるようにしています。
また、肉体的にも精神的にも「無理をさせない」ことは非常に大事だと思っており、休みたいときに休んでもらっています。ですから、突然の休みもOK。気にしないでと伝えています。一応、1か月前に翌月のシフト表は作成しますが、急な休みや遅刻・早退も問題ありません。年配者には年配者向けの仕事をしてもらっていて他の従業員と仕事を分けているため、年配者が早く帰っても他の従業員から不満は出ません。社内の理解も必要です。
他の皆様も同じではないかと思いますが、年齢ではなく、人柄が良く、誠実な方と一緒に働きたいと思っています。
「高齢従業員の良いところは?」でも触れましたが、高齢従業員は社会経験・人生経験が豊富なのでコミュニケーション能力に長けていますし、仕事に取り組む姿勢も模範となっています。
経験者である高齢者を継続雇用すること、また、新規に採用することは、個々への配慮は必要ですが、会社として助かります。
高齢者の新規採用の場合、通常の採用と同じく合う・合わないはありますが、その人の特性、仕事量、内容を精査して、ぜひ戦力として採用して頂ければと思います。
Iさん(70代)
2021年4月からこの会社で働き始め、来年の4月で勤務年数が5年になります。1年ほど前から体力的なことを考えて水曜日を休みにしてもらい、フルタイムで週4日勤務になっています。
仕事の内容は、型を押したビニールの縁を取り除き、決まった数の製品を箱詰めし、箱にラベルを貼る作業になります。
別の会社を定年退職後、5年ほど親の介護に携わり、その後は家でゴロゴロしていました。ゴロゴロばかりしていて、このままでは良くないと奮起し、高齢者でもできる仕事という求人内容にたまたま目が留まったので応募しました。でも、応募してはみたものの、工場内をみて「私にはできません」と一度断ったんです。そうしたら、当時の社長(現会長)に、「私がやっているんだからあなたにできないことないよ」と背中を押されて、いまに至っています。
仕事をしていて良いことは、年金生活者ですのでお金をもらえることもありますが、それ以上に、生活の中に緊張感を得られることです。家でゴロゴロしていては適度な緊張感は得られません。
今の仕事は座ってやる作業が多いので、足腰が鍛えられるようなるべく歩くように気を付け、元気なうちは仕事を続けていきたいと思います。
