日傘の効果検証、日傘モニター(県・市男性職員)調査結果(平成30年度実施)
東レ株式会社とオーロラ株式会社から贈呈を受けたサマーシールド®素材の日傘を活用し、日傘の効果検証、日傘モニター(県・市男性職員)を対象とした調査を行いました。
調査概要
- 日時:2018年8月31日(金曜日)11時30分~13時30分
- 場所:埼玉県環境科学国際センター展示館屋上(埼玉県加須市上種足914)
- 実験条件:3条件で実測((1) 日傘1:サマーシールド®素材の日傘、(2) 日傘2:他素材の日傘、(3) 日傘なし)
- 気象状況:観測中は晴天であるものの上空に雲が見られる薄曇りの状況
・気温:11時32.3℃、13時33.6℃
・風速:1.1m/s~3.5m/sと弱風
・平均日射量(11時~13時):663W/m2
→日傘の日射遮蔽効果検証が可能な日射量あり。
- 測定項目
・放射収支計による測定環境下での短波・長波それぞれの上向き・下向きの放射量の測定
・WBGT(暑さ指数)計による黒球温度、乾球温度、相対湿度の測
・サーモグラフィカメラ撮影による表面温度の測定
測定結果
日傘を使うことで日射を遮蔽でき、暑さ指数(熱中症の危険度を判断する数値)が低減すること、
日傘の素材の違いによって輻射熱(地面や建物・体から出る熱)に差が生じることが確認された。
※暑さ指数については、環境省熱中症予防情報サイトを御覧ください。
(1)暑さ指数(WBGT)
日傘1では日傘なしと比較して1.7℃、日傘2では1.3℃の低下の効果が見られた。
(いずれも日傘なしと比較すると、環境省の示す日常生活・運動に関する暑さ指数の指針で「厳重警戒レベル」から「警戒レベル」に低下)
(2)サーモグラフィ(設置後20分経過後)
日傘2(画像右)では日傘の外側および内側における温度が48〜50℃程度であるのに対して、日傘1(画像左)では38〜40℃程度となり、日傘2に比べて輻射熱が10℃程度軽減されることがわかった。
日傘モニター事業の概要
- 期間2018年8月6日(月曜日)~9月14日(金曜日)
- 対象143人(埼玉県庁の男性職員73人、埼玉県下の協力市8市※の男性職員70人)
※さいたま市、熊谷市、行田市、秩父市、所沢市、戸田市、上尾市、新座市)
- 年代・使用経験20代~50代が中心、日傘使用経験のないモニターが84%(120人)
- 試用条件
・自発的に応募したモニターを中心に、1週間~希望に応じて貸出
・業務・通勤中及びプライベートで自由に試用
調査結果(抜粋)
(1)用途、使用時間
通勤及び業務での使用が主。使用時間は10~20分が半数近くを占めたが、20分以上の使用者も約4割。
(2)体感
「直射日光を遮ることができ涼しく感じた」が9割超。
(3)自分で日傘を買う場合、どの程度の価格なら購入を検討するか
「~3千円程度」が最多。2千円~5千円程度までの範囲がボリュームゾーン。一方でデザインや機能性等が気に入れば金額を問わない男性も。
(4)自分で購入する場合、重視する項目は何か
高機能素材、色や柄などのデザイン、価格を重視。
(5)自由記述(抜粋)
日傘の効果を実感できても、「周囲の目」が課題。
- 周りの目が気になる人も多いと思うので、日傘男子が当たり前になっていくために、地道に周知啓発を図っていく必要があると思います。
- 市街地では日傘を指している方をほどんど見かけず、使用しようとしても、まだ抵抗感がありました。
- 今回初めて日傘を使ってみましたが、予想以上に涼しくて今年のような暑い夏には必須だと思いました。しかしまだ普及率が悪いからか、人の目が気になり、暑さ以上の汗が噴き出してきました。世間の見方も変わり、日傘がかっこいい!おしゃれ!という風潮に近づくまで地道な草の根活動が必要になってきますが、微力ながら私も協力していきたい次第です。
- 今回使用してみて、「人目が気になるな」と感じました。通勤時一人でいる時に使用しましたが、友人の男性と一緒にいる時でも気になるのかなと思います。ただ、若い世代のカップルであれば(女性側も使用している人たちに限りますが)、二人で行動するときに使用してくれるような気がします。
- 今回の利用により、日傘に対するイメージが変わった。暑い夏には、有効なアイテムだと思う。今後、多くの男性が日傘を利用することを期待している。
傘を使う際は安全性への配慮も必要。
- 日傘をさすということは、多少なりとも周囲に迷惑をかける行為のように思います。雨を遮るという行為のために傘をさすことが当然であるように、日光を遮るために傘をさすのが(結果として周囲に迷惑をかけたとしても)当然という、社会の意識変化がまず必要なのかも知れません。
- 日傘は、日傘を使用していない方を傷つける危険性が高いと思いました。雨傘であれば双方雨傘を使用しているので雨傘同士が当たるだけだが、日傘の場合、差していない人の身体に直接当たってしまいそうになる。
行政は「男性も日傘」を当たり前にするための普及・啓発をすべき。
- 周りの目が気になるところなので、行政は男性が日傘を使うことに対して、積極的な周知・啓発が必要。
- 男性が日傘を使用することが「当たり前」になることが必要不可欠。行政はそのための周知・啓発などを積極的に行うことが必要。
有名人を使った広報で認知度向上、イメージアップを。効果をきちんと説明することも大切。
- 有名な男性タレント等の宣伝を行えば、認知度が上がり普及につながると思います。
- モデルやタレント、スポーツ選手等に宣伝の協力依頼や、ファッション誌とのコラボ等により、波及させていけたら良いと思う。
- 効果・メリットをきちんと伝えること、ターゲット別の対応が必要。
- 日傘を使うことによって得られる効果をきちんと説明できることが必要だと思います。
- 持つことによるメリットと満足感(かっこよさやおしゃれ感)がうまく広報できると、広まるのではないでしょうか。
メーカー様向け:価格(※日傘初使用84%のモニターの自由意見です)
- 初日傘はお試し低価格で。効果を実感できたらより高品質・高価格のものへの買い替え余地あり。
- 安価な商品をラインナップに加えることにより、「試してみよう」という気持ちにさせる必要があると思います。
- 雨傘と異なり「なくてもなんとかなる」ものを購入してもらうのであれば、一般的な折りたたみ傘くらい(2,000円程度)まで、価格を抑える必要があると思います。
- まだ日傘が浸透していない中、「ちょっと試してみようかな」という人にはレディース用程度の値段(1,000円台~2,000円台)が別にあれば、「試しに」→「もっと良いものを」となる気もします。
- 価格を抑えないと難しいのでは?傘はワンコインと思っている人が多いのでは?
- 購入して使いたいと思えるような機能性やデザインを追求しつつ、出来るだけ低価格で販売価格を安くする努力。
メーカー様向け:機能性、デザイン(※日傘初使用84%のモニターの自由意見です)
- 低価格でありながら軽量、コンパクト、持ち歩きやすいものを。
- 男性は特に荷物(バッグ)を持ちたがらない人が多いと思うので、コンパクトであることはかなり大事かなと思います。折り畳み傘を買うときには、ボディバッグなどプライベートで使用するバッグにも入るよう、コンパクトな物を買っています。
- 普段、雨天用の折り畳み傘をバッグに常に入れているので、晴雨兼用で折り畳みのものなら買い直しても良いと思った。
- デザインがいろいろ選べればよい。
- 日傘をファッションアイテムの一つとして浸透させていくことで、若い男性は興味を持つと思う。デザインをフォーマルなタイプからカジュアルなタイプ、スポーツタイプのものなど種類を豊富にしていくと良いのではないか。