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掲載日:2024年8月21日
構想の基本的な考え方
第1章 構想の基本的な考え方
2 21世紀を生きる生徒像
- 21世紀に生きる生徒には、変化の激しい社会の中で、自らの個性を輝かせるとともに、他を理解し尊重できる、個として自立した人間となることが望まれる。
(→そのため)
- 県立高校においては、学力の着実な定着のもとに、自らの夢の実現に向けてチャレンジする精神、社会性や国際性、また豊かな人間性など、国家及び社会の形成者としての資質や能力を身に付けた、21世紀をたくましく、しなやかに生きる生徒を育成する。
3 高校教育に期待されること
(1)社会の変化への対応
21世紀には、国際化、情報化、少子高齢化、地球環境問題の深刻化など、社会の変化がさらに進むことが予測される。
→社会の変化に柔軟に対応できる力を養うとともに、豊かな人間性をはぐくみ、社会人としての基礎・基本を身に付けさせるなど、これからの社会をたくましく生きていく力を育成する教育の推進が必要である。
(2)生徒の多様化への対応
これまで、増加する進学希望者に対応するため、量的拡大を重点とした高校づくりを進め、現在では、高校進学率が97%程度にまで達したが、その一方で、生徒の多様化が一層進んだ。
→21世紀に向けて、多様な生徒の資質や能力を伸ばすため、特色ある学校づくりや柔軟なシステムづくりを、今後もさらに推進する必要がある。
(3)心と体の教育への対応
活力があり、ゆとりとうるおいのある社会を築くためには、豊かな人間性の育成が極めて重要である。
→学校が、家庭、地域社会との連携を深めて、心の教育、健康に関する教育及び体力を培う教育を一層充実させる必要がある。
(4)生涯学習社会への対応
21世紀の社会を主体的に生きるためには、生涯にわたって学び続けることが重要である。
→高校教育においても、生涯学習社会の中に生きる姿勢・態度を養う必要がある。また、地域社会に対して、高校がもつ施設や教育力を提供するとともに、地域のもつ教育力を学校教育に生かすなど、開かれた学校づくりを進める必要がある。
(5)教職員の資質向上への対応
生徒の多様化や社会の変化に伴い、教職員に必要とされる資質能力は、教科・科目の指導力に加え、進路指導、生徒指導、教育相談、保護者・地域社会との連携など、より一層幅広い分野にわたってきている。
→教職員の意識改革を図りながら、豊かな人間性や幅広い視野、教育に対する情熱と使命感をもつ、魅力ある教職員を育てる必要がある。
4 構想の概要
(1)明日をになう彩の国の人づくり-教育活動の充実-
《学習指導の充実》
- 各学校が個性を伸ばす学習指導を一層推進するため、従来からの多様な学習成果の単位認定を積極的に進めるとともに、高校生の大学での講義などの受講、美術館・博物館等の社会教育施設での学習活動やボランティア活動の成果等、多様な学習成果を幅広く単位認定ができるような新しい「学びのシステム」を構築するなど、柔軟な「学びのシステム」づくりを図る。
- 基礎・基本の確実な習得とともに、自ら学び自ら考える力の育成を図るため、授業時数を確保するとともに、指導方法の工夫・改善に努める。また、基礎学力の定着を図るとともに、生徒の進路希望を実現させるため、学力向上の推進に努める。
- 現在の高校生は、様々な生活体験や自然体験などの機会が不足していることから、体験的な学習やボランティア活動を推進していく。
- 社会の変化に柔軟に対応しうる人間を育成するため、国際理解教育、情報教育、福祉教育、環境教育、科学的素養を育成する教育を、教科だけでなく、特別活動や「総合的な学習の時間」などを含めたあらゆる機会を通じて推進する。
《心と体の教育の充実》
- 自ら学び自ら考える力、正義感や倫理観等の豊かな人間性、健康や体力などの「生きる力」をはぐくむため、自然・生活・社会体験活動、ボランティア活動の推進や「彩の国5つのふれあい県民運動」の推進を図るなど、心の教育の推進に努める。
- 言葉を大切にする態度を養い、言語生活を豊かにさせるとともに、「伝え合う力」など、コミュニケーション能力の育成に努める。
- 学校不適応や問題行動の発生を未然に防止するとともに、すべての生徒の心の健康を増進し、よりよい人格の発達を図るため、教員のカウンセリング能力の育成と活用や専門カウンセラーの配置など、教職員が一体となった教育相談体制の整備・充実を図る。
- 中途退学問題に対応するため、中学校と高校の連携、単位制の活用、基礎学力の定着を図るとともに、転編入学の円滑な受入れを推進するなど、再び学べる高校のシステムの充実を図る。
《進路指導の充実》
- 将来の在り方生き方について考えながら、主体的に進路を選択できる能力・態度を育成する「志を育てる教育」を推進する観点から、体験的な学習・啓発的な経験の充実、大学・企業や地域社会との連携、進路情報の収集・活用と進路相談の充実などを図る。
- 生徒の進路希望を実現させるため、学力の育成や就職指導促進の支援など、各学校の取組に対して必要な支援に努める。
- 進路指導の充実のため、進路指導充実推進校の指定や、各学校の実態に応じた進学対策の充実、高校と大学の接続の在り方について改善を図る。
《部活動などの充実》
- 生徒の心と体の発達や仲間づくり、教科を離れた教員とのふれあいなどを図るため、生徒の個性や能力を生かす効果的で柔軟な部活動の運営を推進する。
- 開かれた部活動などを推進し、地域に開かれた学校づくりに資するため、地域の指導者の活用や合同部活動の推進、また国際交流への参加促進を図る。
(2)彩りゆたかな高校づくり-県立高校の再編整備-
《適正規模》
- 「学級定員の規模」については、弾力的な学級編制などについて、今後とも研究を進める。また、「学習集団の規模」は、一律に定めることではなく、弾力的に対応する。
- 適正な学校規模については、学年当たり、普通科(専門学科併置校を含む)は8学級~6学級、専門学科は6学級、総合学科は8学級~6学級を標準とする。
《適正配置》
特色ある学校の適正な配置では、(1)単位制のシステムを導入することにより、単位制のメリットを最大限に生かしながら特色化を図った学校、(2)将来の進路を考え自分で科目を選択し学ぶ総合学科、(3)学ぶ意欲と熱意をもつ者がいつでもどこでも学べる、昼夜開講の単位制による新しい発想の定時制・通信制高校について、その設置を積極的に推進する。
《今後の再編整備》
- 生徒数の減少を踏まえ、県立高校一校一校の「活性化」「特色化」を図り、各学校をいきいきとさせていくため、各学校の適正規模の確保及び特色ある学校の適正配置を図る観点から、統廃合を含めた再編整備を進める。今後、再編整備に関する基準について検討し、その基準に基づいて再編整備を進めていく。
- 単位制については、高校教育の改革を進める有効な手段として、全校において活用を図るとともに、単位制のシステムを導入することにより、単位制のメリットを最大限に生かしながら特色ある学校づくりを推進し、その全県的拡大を進める。
- 総合学科については、当面、通学区域の範囲を基本として、既設校の改編や統合により、積極的に設置を進める。芸術系総合高校については、平成12年度に所沢緑ケ丘高校を改編し、芸術総合高校を設置する。生物・環境系総合高校については、平成11年度に与野農工高校を改編し、生物・環境系のいずみ高校を設置した。福祉に関する学科(系列)については、当面、既設校の充実を図りつつ、生徒の通学の範囲を考慮して、県内のどの地域の生徒も通えるよう配置する。学ぶ意欲と熱意をもつ者がいつでもどこでも学べる、昼夜開講の単位制による新しい発想の定時制・通信制高校を、東西南北の地域バランスに配慮して、地域の中核となる、交通の利便性のよい場所に設置する。中高一貫教育校については、平成11年度から2年間、伊奈学園総合高校と小鹿野高校で研究を進めており、今後、その結果を踏まえながら、適正配置も含め、その設置について検討する。情報に関する学科については、今後、その設置について、検討する。
《全日制高校の充実》
- 多様な生徒の実態に対応するため、単位制を活用した教育活動の改善・充実を図る。また、授業時間を確保するとともに、学校生活にゆとりをもたせるため、二学期制の導入を推進する。
- 普通科の高校においては、特定の分野を重視した教育課程を学校全体で編成する特色ある普通科高校づくりを進めるとともに、多様な選択科目の開設・特色ある類型設置や普通科における学科再編・コースの改善を推進するなど、各学校の特色化を図る。
- 専門高校においては、継続教育を視野においた専門性の基礎・基本を重視するとともに、社会の変化に適切に対応した教育を推進する。また、地域や産業界とのパートナーシップを確立するとともに、社会の変化などに対応した学科再編等を推進する。さらに総合選択制の導入やくくり募集の実施を検討するなど、専門学科の在り方工夫を図る。
- 男女共学化については、学校関係者の意向や地域社会の動向、生徒募集上の男女バランス等を見ながら対応する。
《定時制・通信制高校の充実》
定時制・通信制独立校を、地域バランスに配慮して適正に設置するなど、定時制・通信制課程の再編整備を進めるとともに、定時制の課程における履修形態の多様化・弾力化及び生涯学習の推進を図る。
《新しい発想の高校づくり》
- 学ぶ意欲と熱意をもつ者が、いつでもどこでも学ぶことができるよう、東西南北の地域バランスに配慮して、朝から夜まで開講する単位制の定時制・通信制高校を、地域の中核となる、交通の利便性のよい場所に設置する。
- 中高一貫教育校の設置については、平成11年度から2年間の中高一貫教育実践研究の結果を踏まえ、適正配置も含め、検討する。
- 県立高校の活性化・特色化を目指し、地域の特性やニーズを踏まえた一層特色ある教育活動を進めるため、新しいタイプの研究開発学校の導入について研究する。
(3)信頼にこたえる開かれた学校づくり-教育諸条件の整備-
《教職員の採用・配置等の改善》
- 教員に優秀な人材を確保するため、採用スケジュールの早期化や面接方法の改善を図り、教員採用の改善に努める。
- 学校を活性化し教育効果を高めるため、人事異動の在り方の見直しを図る。
- 指導力が不足する教員に対する研修を充実させるとともに、時代の変化に即応した人事管理について研究を進める。また、教職員の勤務環境の改善に努める。
《教職員研修の充実》
- すべての教職員に共通に求められる基礎的・基本的な資質能力を確保するとともに、さらに積極的に各人の得意分野づくりや個性の伸長を図るため、系統的な研修体系の整備を進める。
- 豊かな社会性を身に付け、社会的な視野を一層広げるよう、民間企業等での研修、ボランティア活動等を含めた研修などの体験的研修の充実を図る。
- 教育の諸課題の解決を目指した研修の整備や充実を図るとともに、魅力ある学校づくりを進めるため、校内研修の充実に努める。
《学校の管理・運営》
- 開かれた学校づくりを推進するため、学校評議員制度の導入について検討するとともに、授業公開の推進や中学生を対象とした学校説明会・体験入学等の充実を図る。
- 幅広く学校教育に人材を確保する観点から、社会人特別講師等の活用を図るとともに、民間人の管理職への登用について研究する。
- 校長の教育方針のもとに組織的、機動的に学校運営を行うため、校長のリーダーシップの確立を図る。
《学校施設・設備の整備》
- 学校施設の個性化・特色化を進め、彩りゆたかな高校づくりを図るため、校舎の建て替え等を推進するとともに、既存施設の有効利用を図る。
- 学校が学習の場であると同時に人間形成の場でもあることから、ゆとりやうるおいのある学校施設の整備を図る。
《生涯学習社会への対応》
- 生涯学習社会に対応するため、地域の人材活用の促進を図る。
- 地域の中核となる学習センターとしての機能を充実させるなど、開かれた学校づくりの一層の推進を図る。
5 構想の体系図