トップページ > 教育委員会トップ > 広報・広聴 > 広報 > 教職員向け広報紙「県教委だより」 > 県教委だより第732号(令和5年1月20日発行)
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掲載日:2024年12月23日
あけましておめでとうございます。皆様におかれましては、健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
令和2年4月に教育長に就任して以来、今なお続く新型コロナウイルス感染症との闘いに終わりは見えませんが、ウイルスとの付き合い方について知見が積み上げられてきたこともあり、昨年は多くの学校で修学旅行、運動会・体育祭、文化祭などの学校行事を実施することができました。改めて、これまで制約の多い中で頑張ってきてくれた子供たち、御理解・御協力をいただき支えてくださった保護者の皆様、そして、学校現場で神経を遣いながら日々子供たちと向き合ってくれた教職員の皆様に心から感謝申し上げます。
さて、県教育委員会では「豊かな学びで 未来を拓く埼玉教育」を基本理念とした第3期埼玉県教育振興基本計画が最終年度を迎えるに当たり、子供たちの様々な能力と可能性をより一層開花させるため、次のような教育施策の推進に努めてまいります。
小・中学校では、県学力・学習状況調査について、これまで紙による調査を実施してまいりましたが、令和6年度からの一人一台端末を使用した調査(CBT)への全面移行に向け、令和5年度は半数以上の市町村において、初めてCBTで実施する予定です。CBTでは、問題ごとの解答時間も記録・分析することで、児童生徒のつまずきを把握することができ、よりきめ細かな指導が可能となることから、更に一人一人の学力を伸ばす取組を推進してまいります。
高等学校では、社会に開かれた教育課程の実現に向けて、地元の自治体や外部機関と学校が連携した探究活動に取り組んでいます。生徒が主体的に関わり合い、自らの可能性を発揮して多様な他者と協働しながら、よりよい社会を切り拓き、未来の創り手となることができるよう、取組の充実を図ってまいります。
高校再編については、本年4月には新生「児玉高校」と新生「飯能高校」が開校します。また、昨年10月には「魅力ある県立高校づくり第2期実施方策」を策定し、令和8年度に12校を再編した6校を開校することとしました。新校が生徒にとってより魅力的な学校となるよう、開校に向けて準備を進めてまいります。
特別支援教育については、埼玉県特別支援教育推進計画に基づき、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において、これまで以上に一人一人の障害の状態や発達段階に応じた指導・支援の充実に努めてまいります。そのため、計画に掲げた四つの基本目標である、連続性のある「多様な学びの場」の充実、特別支援教育を担う教職員の専門性の向上、教育環境の整備、関係機関の連携強化による切れ目のない支援の充実について着実に進めてまいります。本計画に基づき、本年4月には「岩槻はるかぜ特別支援学校」及び「狭山特別支援学校狭山清陵分校」など高校内分校3校が開校します。
増加傾向が見られる不登校児童生徒への支援については、令和4年度より2年間のモデル事業として、県立戸田翔陽高校の校舎内に戸田市立中学校に在籍する中学生を対象とした不登校生徒支援教室「いっぽ」を開設し、不登校生徒への教育相談及び学習支援を戸田市教育委員会と連携し行っているところです。このモデル事業での研究をより深めるとともに、研究から得られた成果や好事例などを発信し、各市町村の取組を支援するなど、不登校児童生徒への支援の充実を推進してまいります。
家庭や地域と連携した取組としては、「親の学習」による家庭教育支援の充実を図るとともに、「学校応援団」や「放課後子供教室」などの「地域学校協働活動」を推進してまいります。あわせて、地域資源を活用して、子供たちが主体的に課題を見つけ、多様な人々と協働して課題解決に取り組む力の育成を目指し、地域全体で未来を担う子供たちの豊かな学びや成長を支えられるよう努めてまいります。
県立博物館・美術館では、昨年、様々な事業を実施しました。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映に合わせ、嵐山史跡の博物館で企画展「武蔵武士と源氏-鎌倉殿誕生の時代-」、文書館で企画展「坂東武者の生きざま~埼玉の中世文書~」を開催しました。近代美術館では開館40周年記念展「扉は開いているか-美術館とコレクション1982-2022」を、また、開館25周年記念としてさいたま文学館で特別展「永井荷風」、川の博物館で特別展「海なし雪なし火山なし-ないけどある!埼玉との深い関係-」を開催し、多くの方に観覧いただきました。また、自然の博物館では11月に開館以来の入館者350万人を達成し、記念キャンペーンを行いました。本年も、本県の歴史や美術、自然の魅力を発信してまいります。
最重要課題の一つと位置付けている学校における働き方改革については、昨年4月に「学校における働き方改革基本方針」を改定いたしました。部活動指導員や教員業務支援員の拡充、デジタルツールの活用、会議等の50%以上をオンライン等での実施、小・中学校の勤務開始前の教育活動(部活動の朝練習など)を原則行わない等の取組を通じて、着実に教職員の超過勤務の縮減を進めているところです。教職員が心身ともに健康で充実した日々を送り、教育活動の質を更に高めることができるよう、引き続き、全力で働き方改革を推進してまいります。
冒頭に申し上げましたように、コロナ禍は依然として続いておりますが、皆様の御尽力により学校の教育活動はこれまでの日常を取り戻しつつあります。今後は、DXの推進、ICTの更なる利活用など、新時代に対応した教育の在り方について研究を深め、ポストコロナにおける学校教育の持続的な発展に向けて、県教育委員会の総力を挙げて取り組んでまいります。
結びに、本年が皆様にとりまして、明るく希望に満ちた実り多い年となりますよう心から祈念申し上げ、新年の挨拶といたします。
埼玉県教育委員会では、学校においてヤングケアラーの支援を充実させるため、ヤングケアラーについての理解を促進する取組である「ヤングケアラーサポートクラス」を実施しています。
令和4年度は小学校1校、中学校4校、高等学校10校、PTA等1か所の全16か所で実施しており、その内容を紹介します。
ヤングケアラーサポートクラスの柱の1つが、ヤングケアラーの有識者と元ヤングケアラーの方による児童生徒向け講演会です。この中で、先生方に伝えていたポイントは次の2点です。
有識者からは、ヤングケアラーについて、その背景や問題と思われる点、ヤングケアラーをサポートする動きなどについて、県福祉部が行った調査の結果などを織り交ぜながら講演がありました。講演で伝えられたヤングケアラー支援の重要なポイントは「ケア負担の有無に関係なく、全ての子供たちが自分の未来を描ける学校や社会」に向けた取組の実施になります。
Ⓒ一般社団法人日本ケアラー連盟
元ヤングケアラーの方々が担ってきたケアは様々ですが、一様に伝えられていたことは、「ヤングケアラーを特別視してほしくない」ということです。「ヤングケアラー」という言葉は、その人の全てを表すのではなく、一面を表しているだけであり、「勉強をがんばっている子」「習い事をがんばっている子」などと同様に「家族のお世話をがんばっている子」と考えてほしいということでした。また、現在、家族のお世話をがんばっている子に対しては、「家族のお世話をがんばっていることは、とても誇らしいこと。しかし、家族を大切にするのと同じくらい自分を大切にしてほしい。人生の選択肢はたくさんあるので、悩みや迷いを抱えたときには、信頼できる大人を頼ってほしい。」と伝えられていました。
ヤングケアラーサポートクラスのもう1つの柱が、教職員対象の説明会です。
ヤングケアラーの支援について、学校に求められている役割を大きく分けると次の3点になります。各学校の支援体制の強化や構築の際に参考にしてください。
1点目がヤングケアラーの早期発見と実態把握です。教職員がヤングケアラーについて知り、その可能性のある児童生徒を見つけ、ケアの有無やその内容、学校生活等への影響について把握します。
2点目がヤングケアラーである児童生徒の相談支援です。ヤングケアラーの可能性のある児童生徒の様子を把握し、必要に応じて面談を行うなど本人の話を聞きます。まずは、提出物や体調面など、観察していて気になった様子について質問し、続いてケアの内容を聞くなど慎重に対応することがポイントです。
3点目が福祉機関へのつなぎです。ヤングケアラーの支援については、悩みを抱えた児童生徒への支援だけではなく、ヤングケアラーがケアをしている家族や、一緒にケアを担っている家族などその世帯全体を支援することが大切です。また、児童生徒が学校を卒業した後も悩みを抱えたときに継続してサポートしてくれる大人の存在が必要になります。そこで重要になるのが福祉機関による支援です。福祉機関へのつなぎにあたっては、スクールソーシャルワーカーを活用することも考えられます。
【問合せ】人権教育課 企画・支援担当(電話:048-830-6786)
県では全ての教職員が性の多様性について十分理解し、全てのセクシュアリティの児童生徒が安心して通うことができる学校づくりを推進するため、令和2年度に「教職員用リーフレット」を作成、配布しました。
また、学校において児童生徒の性の多様性の理解を深め、性的指向や性自認などで悩みを抱える児童生徒が自分の悩みを相談しやすい環境づくりにつなげるため、令和3年度に「児童生徒用リーフレット(小学5・6年生版、中学・高校生版)」を作成、配布しました。
令和4年度は、全ての保護者が性の多様性についての理解を深めることで、子供と適切に関わり、相談を受けることができるようにするために「保護者向けLGBTQ啓発動画」を作成しました。
この動画は、保護者の方々が性の多様性を尊重しながら子供と適切に関わり、相談を受けられることをねらいとしております。保護者の方々が動画を視聴する理由は多様であると考えられますので、動画の内容もLGBTQに関する基礎的な事柄を説明する講義的な内容や、当事者インタビューを通じてLGBTQの悩みや願いについて理解を深める内容、子供からカミングアウトを受けたときの保護者の対応といった具体的な内容など、テーマごとに分けて作成しています。
なお、視聴のしやすさを考慮し1テーマ15分~20分の動画となっています。
概要 | |
1 | LGBTQやSOGI(性的指向・性自認)についての基本的理解 |
2 | 自分と異なるジェンダーやセクシュアリティをめぐる問題を自分の問題として理解し、行動するアライの存在の重要性 |
3 | 保護者の方々が、性の多様性について子供に伝えるときのポイントを、様々な事例を通して紹介する内容 |
4 | LGBTQが安心できる環境づくりや日常的な言葉遣いなどについて、当事者の声を聴く内容 |
5 | 当事者の保護者インタビューを通じて、性的指向や性自認に悩む子供を受け止めることの大切さを伝える内容 |
6 | 保護者の方々が、子供からのカミングアウトに適切に対応できるよう、子供に対する姿勢について伝える内容 |
PTAの研修や保護者が集まる場などでの視聴のほか、個人の視聴もできます。また、保護者向けとしておりますが、先生方が校内研修などでも活用できます。
動画の内容はテーマごとで独立しておりますので、関心のあるテーマの動画を御覧いただくことができます。
保護者向けLGBTQ啓発動画の視聴はこちら
(動画の公開は3月頃を予定しています)
【問合せ】人権教育課 企画・支援担当(電話:048-830-6786)
本県では、教育に関する関心と理解を深め、学校・家庭・地域の連携の下、県民と一体となって教育に関する取組を推進する契機となるよう、11月1日を「彩の国教育の日」、11月1日から7日までを「彩の国教育週間」としています。
また、「彩の国教育の日」を中心とした10・11月には、学校・家庭・地域が連携した、教育に関する様々な取組が、新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮しながら、県内各地で展開されました。
「彩の国教育の日」の取組の一環として、優れた教育活動を実践している団体や学校を「埼玉・教育ふれあい賞」として表彰しています。今年度は、35の表彰団体に細川紙で作られた表彰状と記念品を授与しました。
県、市町村、各学校、各種団体の取組や令和4年度「埼玉・教育ふれあい賞」表彰団体の取組はこちら(別ウィンドウで開きます)
【問合せ】生涯学習推進課 家庭教育支援担当(電話:048-830-6972)
地域学校協働活動とは、幅広い地域住民の参画を得て、地域全体で子供たちの学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指して、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う様々な活動をいいます。
小・中学校において保護者や地域住民により学校応援団が組織され、学習活動、安全確保や環境整備など地域全体で学校の教育活動を支援しています。活動を通じて、子供が様々な体験の機会を得られるとともに、家庭・地域からの学校教育への理解や信頼が深まり、ボランティアの「やりがい」の創出にもつながっています。
(寄居町立用土小学校 登下校の見守り)
全ての子供を対象として、放課後等に学校の余裕教室等を活用して、安全・安心な「子供たちの居場所」を設けています。各教室では、子供に学習やスポーツ・文化芸術活動、地域住民との交流活動等の機会を提供することにより、子供たちが地域社会の中で、心豊かで健やかに育まれる環境づくりを推進しています。
(飯能市立奥武蔵小学校「おくむさし・わくわくルーム」地域在住の絵本作家を招いた活動プログラム)
地域と学校が共に未来を担う子供たちへの教育の担い手として力を合わせていくために、「学校応援団」や「放課後子供教室」等がネットワークを作り、更なる多様な地域人材、団体・組織の主体的な参画を促し、地域と学校が連携・協働した教育を推進していきます。
【問合せ】生涯学習推進課 地域連携担当(電話:048-830-6979)
平成30年の入国管理法改正に伴い、外国人や外国にルーツのある児童生徒数は年々増加していますが、文化や生活習慣の違いなどから地域社会に馴染めない外国人等も少なくありません。
本事業は現状の改善を図るため、学校を核とした外国人児童生徒とその保護者への支援と、地域住民との交流を行う仕組みを構築する3年間のモデル事業として、ふじみ野市と熊谷市で実施したものです。
西小学校では、「総合的な学習の時間」にふじみの国際交流センター(FICEC)職員を講師として招き、児童に対して日本と外国の国々との違いについて理解促進を図りました。
また、教育委員会では、「日本語指導研修会」を開催し、市内で活躍する日本語指導員等に児童生徒への指導での困りごとや、その解決策を共有することができました。
さらに、上福岡西公民館では、毎週日曜日に「こどもにほんご教室」を開催し、子供たちに対して学校外での日本語支援の場を設けました。
(1) (2) (3)
(1)「総合的な学習の時間」の様子(西小学校)
(2)「日本語指導研修会」の様子
(3)「こどもにほんご教室」の様子
玉井小学校では、国際交流支援教室「つなカフェ」を設置し、宿題を中心とした学習支援や日本語指導を行い、外国籍の児童が学校生活に馴染めるように取り組みました。
また、海外の日本人学校での勤務経験のある教職員や、外国にルーツのある元スポーツ選手等による「多文化共生講演会」を開催し、保護者等に対し外国の文化や海外で暮らすことの苦労などについて考える機会を提供しました。
さらに、11月には「多文化共生イベント」を開催し、武蔵野美術大学と連携したアートによる言葉を使わない心の交流や、各国の多様な言語に触れる時間を持つことができました。
(1) (2) (3)
(1)「つなカフェ」の様子
(2)「多文化共生講演会」の様子
(3)「多文化共生イベント」の様子
【問合せ】生涯学習推進課 生涯学習・社会教育担当(電話:048-830-6914)
県立文書館では、令和4年12月13日(火曜日)から令和5年2月12日(日曜日)まで、企画展「感染症と対策の歴史―祈りから『いのり』へ―」を開催しています。
本企画展では、国重要文化財に指定されている埼玉県行政文書を中心とした文書館の収蔵資料によって、埼玉県の感染症と人々の闘いの歴史を概観します。
江戸時代以前、病は目に見えないものの所業とされてきました。当時の医療は、日本古来の「呪術的医療」と欧米から移入された「科学的医療」の二重構造であったと言われています。明治時代に入ると、日本も世界規模での感染症拡大の渦中に置かれ、最先端の科学的医療とともに新たに「衛生」という考え方がもたらされました。
今回の展示が「withコロナの時代」を生きる私たちにとっての指標探しの機会となれば幸いです。是非、御高覧ください。
麻疹養生心得方「はしか絵」(小室家文書6369-1、県指定文化財)
(文久2年〈1862〉7月)
種痘施行ノ方法創立(第一四号)(埼玉県行政文書 明190、国重要文化財)
(明治8年〈1875〉1月24日)
文書館HP https://monjo.spec.ed.jp/page_20221125000635
【問合せ】文書館(電話:048-865-0112)
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