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掲載日:2018年3月9日

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不当労働行為の事例

以下の事例は、当労働委員会で取り扱った事件を基にしていますが、個人のプライバシー等に配慮して、内容を一部変更しています。また、実際に個々の行為が不当労働行為に該当するか否かは、個別の事情を考慮した上で判断します。

事例1.組合員に対する解雇が、労働組合法第7条第1号の不当労働行為であるとして争われたケース

事件の概要

  • 組合員AはX労働組合の役員であり、会社のB工場で勤務していた。
  • 会社は、B工場の閉鎖を表明し、同工場に勤務する従業員の異動の募集を行なった。
  • X労働組合は、団体交渉の席上で、会社に対しB工場の閉鎖について抗議した。
  • 組合員Aは、他部署への異動を希望していたが、希望がかなわず解雇された。

事件の争点

会社が行なった組合員Aに対する解雇は、労働組合法第7条第1号の不利益取扱いに当たるか。

当委員会の判断

  • 会社は、組合員Aの異動先がなかったと主張しているが、合理的な理由がない。
  • 会社は、組合員Aが組合役員として工場の閉鎖について会社を批判していたことから、組合員Aを嫌悪していたと推認できる。
  • よって、会社は、組合員Aが組合員であることを理由として、異動を認めないことによって解雇したといえる。

結論

会社の行為は、労働組合法第7条第1号の不当労働行為に該当する。

主な救済内容

  • 組合員Aの解雇の取消し
  • 原職相当職への復帰
  • バックペイ(解雇されてから原職復帰までの間の賃金相当額の支払)
  • 文書手交

事例2.組合執行委員長に対する雇止めが、労働組合法第7条第1号の不当労働行為であるとして争われたケース(和解成立)

事件の概要

  • X労働組合は、会社と1年間の有期労働契約を締結している労働者で構成されている。
  • 会社は、組合執行委員長のみを雇止めとし、それ以外は希望者全員の有期労働契約を更新した。
  • X労働組合は、会社は契約更新の面接において、X労働組合の組合員に対して、組合の活動状況について質問を行うとともに組合執行委員長を批判していることから、X労働組合を嫌悪していた旨主張した。
  • 会社は、組合執行委員長を雇止めにした理由は、就業規則に違反するなど勤務態度に問題があったためである旨主張した。

和解の主な内容

会社は、組合執行委員長と有期労働契約を締結すること、組合執行委員長は、会社に対して、就業規則を遵守する旨の誓約書を提出すること及び会社とX労働組合は、組合員の労働条件について誠実な団体交渉を行うことを確認する旨の内容で、和解が成立した。

事例3.会社が求めた団体交渉ルールへの不同意を理由に団体交渉を拒否したことが、労働組合法第7条第2号の不当労働行為であるとして争われたケース

事件の概要

  • X労働組合は、会社に対し、休暇や賞与に関する事項等を議題とした団体交渉を複数回申し入れた。
  • 会社は、X労働組合が会社の求める団体交渉ルール(秘密保持、議事進行方法など)に同意しないことを理由に、いずれの団体交渉にも応じなかった。

事件の争点

組合が会社の求める団体交渉ルールに同意しないことを理由とした団体交渉の拒否は、労働組合法第7条第2号の団体交渉拒否に当たるか。

当委員会の判断

  • 組合が団体交渉ルールに合意しないこと自体は、団体交渉に応じない正当な理由にはならない。
  • 組合は再三にわたり、団体交渉ルール作りのための予備折衝の申入れも行なったが、会社はこれをも拒否した。
  • よって、会社は、正当な理由なく団体交渉を拒否したといえる。

結論

会社の行為は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。

主な救済内容

  • 団体交渉拒否の禁止
  • 文書手交

事例4.人事異動で係長に昇格する組合員に組合からの脱退を求めたことが、労働組合法第7条第3号の不当労働行為であるとして争われたケース

事件の概要

  • 会社は、X労働組合の組合員Aら6名を管理職である係長以上の役職に昇格させる人事異動の内示を行なった。なお、昇格対象者である組合員6名のうち4名が、X労働組合の執行委員であった。
  • 会社は、管理職に昇格するには、組合員であってはならないとして、X労働組合を脱退することを要求した。
  • 組合員Aは、係長になる代わりとして、組合を脱退したが、他の組合員5名は脱退しなかったため、昇格は実施されなかった。

事件の争点

係長以上の役職者は組合員であってはならないとし、人事異動で係長に昇格する組合員に組合からの脱退を求めたことは労働組合法第7条第3号の不利益取扱いに当たるか。

当委員会の判断

  • 会社における係長は、その職務から、労働組合法第2条但書第1号にいう利益代表者に該当しない。また、会社と労働組合の間で係長を非組合員とすることについて、合意が存在していたと認めることもできない。
  • 会社は、係長を増やせば組合員数が減少することを認識しており、組合弱体化のおそれに対する認識があったものとして、不当労働行為意思が認められる。
  • よって、会社の行為は、労働組合の組織・運営を支配し介入したものといえる。

結論

会社の行為は、労働組合法第7条第3号の不当労働行為に該当する。

主な救済内容

  • 支配介入の禁止

 

 

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労働委員会事務局 審査調整課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 第三庁舎4階

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