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ページ番号:270034

掲載日:2025年7月2日

令和7年6月定例会 意見書・決議

意見書・・・・次の14件です。

決議・・・・次の2件です。

 地方消費者行政の維持強化のため国の財政支援の継続・拡充を求める意見書 

消費生活センターは、消費者問題専門家の資格を有する消費生活相談員が、消費者法制度の知見と最新の相談情報を活用して消費者被害解決の支援を行う相談機関である。消費生活センターに寄せられた相談情報は、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)を通じて全国で共有され、消費者被害防止の注意喚起に利用されるほか、法令違反業者の指導・処分や法制度の改善に活用されており、我が国の消費者行政の情報基盤となっている。
全国の消費者相談件数は年間90万件前後で高止まりしており、近年は、高齢者を狙った悪質訪問販売業者による屋根・床下工事被害、インターネット上の虚偽・誇大広告による詐欺的定期購入被害など、手口の悪質化・巧妙化が顕著となっている。
他方、消費生活相談員については、高度の専門性が考慮されていない不安定な地位と処遇が改善されず、相談員の高齢化が進む中で新たな担い手の確保が困難な事態が全国的に深刻化している。
国は、相談員の人件費にも活用できる地方消費者行政強化交付金により、消費生活センターの相談体制整備や消費者被害防止の各種取組を支援してきたが、この交付金は令和7年度末をもって基本的に活用期限を迎える。交付金措置が終了すると、財政力の弱い多くの地方公共団体は消費生活相談体制の維持が困難となるおそれがある。
また、高齢者見守りネットワークの構築や適格消費者団体及び一般消費者団体の育成・活動支援・連携など、地方消費者行政による消費者被害防止施策全般には、国の継続的な財政支援が必要である。
さらに、PIO-NETが令和8年度に更新時期を迎える。国は、新システム移行に必要な初期費用は交付金で措置すると表明しているが、セキュリティ対策や回線使用料などの経常的費用は地方公共団体の負担としている。しかし、安定的なシステム運用のため、これらの費用も国の負担で措置すべきである。
地方消費者行政は、地域の消費者へのサービスという自治事務の性質がある一方で、消費生活相談業務及び相談情報集約事務、悪質事業者の指導・処分事務、適格消費者団体の活動支援事務など、国と地方公共団体相互の利害に関係する事務の側面も有する。
よって、国においては、地方消費者行政の体制と施策が維持・推進されるよう、下記の措置を講ずるよう強く求める。

1 消費生活相談員の人件費に充てることを含む人材確保及び処遇改善に活用できる地方消費者行政に関する交付金を令和8年度以降も措置すること。
2 全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)の刷新及び相談業務のデジタル化に伴う地方公共団体の設備導入並びにこれらの運営の経費を、国において全額負担する措置を講ずること。
3 地方消費者行政の事務のうち消費生活相談業務及び相談情報集約事務、適格消費者団体の活動支援事務など、国と地方公共団体相互の利害に関係する事務であって国全体の水準を確保する必要があるものについては、地方財政法第10条の適用によりその全部又は相当部分を国が恒常的に財政負担するよう、同条の改正を検討すること。
4 消費者被害防止に取り組む適格消費者団体及び地域の消費者団体の育成・活動支援・連携のために地方公共団体が行う支援事務に対し、財政支援を継続・拡充すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
消費者及び食品安全担当大臣

様                                            

 

 リチウム蓄電池等の適正処理の更なる推進を求める意見書 

近年、廃棄物処理施設や収集運搬車両等において、リチウム蓄電池及びリチウム蓄電池を使用した製品(以下「リチウム蓄電池等」という。)に起因する火災事故等が頻繁に発生している。火災事故等が発生した場合、廃棄物処理施設や収集運搬車両への被害に加え、作業員に危害が及ぶ危険性がある。また、廃棄物処理施設が火災事故等により稼働停止し、廃棄物処理が滞る場合には、地域の生活環境保全に支障を及ぼす上、施設復旧や他自治体への廃棄物処理委託などに多額の経費を要することになる。リチウム蓄電池等の適正処理は、重要かつ喫緊の課題といえる。
リチウム蓄電池を含む小型充電式電池は、拡大生産者責任(EPR)の考え方に基づく「資源の有効な利用の促進に関する法律」により、製造事業者等による自主回収と再資源化が行われている。一方、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき、市町村は当該市町村で発生する全ての一般廃棄物について適正処理を確保する必要があり、家庭から排出されたリチウム蓄電池等についても同様である。
国は、これまでも、各市町村で実施されている対策事例等を取りまとめるなど、リチウム蓄電池等の適正処理について情報提供を行っている。また、令和7年4月には、改めてリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策を取りまとめて通知を発出しており、市町村は、家庭から排出される全てのリチウム蓄電池等の安全な処理体制を構築していく必要がある。
リチウム蓄電池等は、市町村における分別・回収のみならず、製造・販売、消費、循環的利用を含む処分の各段階において、再資源化を念頭に置いた適正処理を要する製品であるといえる。
よって、国においては、リチウム蓄電池等の適正処理を更に推進するため、下記の措置を講ずるよう強く要望する。

1 消費者に対し、リチウム蓄電池等の購入、使用、分別・回収に関して、火災事故などの危険性や再資源化を踏まえた適正な廃棄方法について、周知・啓発を徹底すること。
2 市町村におけるリチウム蓄電池等の分別・回収、保管、再資源化を含めた適正処理につき、更なる技術的・財政的支援を行うこと。
3 製品の製造から回収・再資源化に至る各段階において、耐久性の向上、適正処分困難化の防止、自主回収、循環的利用を中心とした適正処理など、拡大生産者責任(EPR)に基づく事業者の活動が促進されるよう支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
環境大臣
消費者及び食品安全担当大臣

様                                              

 北朝鮮による全ての拉致被害者等の即時一括帰国を求める意見書 

平成14年9月、第1回日朝首脳会談において北朝鮮は拉致の事実を認めたが、帰国を果たした拉致被害者は同年10月に帰国した5人にとどまり、20年以上経過した現在も、いまだ拉致問題の解決には至っていない。
このような中、本県では、昨年12月24日に、拉致問題等の早期解決に資することを目的として「埼玉県拉致問題等の早期解決に向けた施策の推進に関する条例」を制定した。本条例は、「拉致問題等の早期解決に向けた取組は、拉致問題等を風化させてはならず、拉致が二度と繰り返されてはならないという決意の下に行われなければならない。」という基本理念を定め、県の責務及び県民の役割を明らかにするとともに、拉致問題等の早期解決に向けた施策の基本となる事項について定めたものである。
一方、国では、本年2月7日の日米首脳会談で、石破首相は、拉致問題の即時解決を実現するとの決意を改めて表明し、トランプ大統領からの支持を得るとともに、米朝会談実現の際は拉致問題を提起することで合意した。
また、5月24日の「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」において、石破首相は、何としても突破口を開くべく、北朝鮮に対してこれまで行ってきた様々なルートでの働き掛けを一層強めていくと述べている。
拉致問題の被害者等や家族が高齢となる中で、時間的制約があるこの問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題である。本年2月15日に、拉致被害者の有本恵子さんの父・明弘さんが逝去され、拉致被害者の親世代で存命なのは横田めぐみさんの母・早紀江さんのみとなった現在、解決にはもはや一刻の猶予もない。
よって、国においては、政権の最重要課題である拉致問題について、国際社会と緊密に連携を図り、早期の日朝首脳会談の実現を見据え、総力を挙げて最も有効な手だてを講じ、いわゆる特定失踪者等の拉致の疑いが排除できない方も含む拉致被害者等全員の即時一括帰国を実現させるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
内閣官房長官
拉致問題担当大臣

様                                     

 ファシリティドッグの制度整備と導入促進を求める意見書 

ファシリティドッグとは、医療や福祉の現場など、特定の施設で働くために、専門的な訓練を受けた犬を指す。医療現場では、患者のベッドサイドを訪問して触れ合う、痛みや恐怖を伴う検査や処置、リハビリに付き添い応援する、手術室に同行するなどの活動を行っている。また、欧米では、医療現場のほかに、裁判所で被害者や目撃者として証言台に立つ子どもに寄り添い、精神的不安を和らげて証言のサポートをする、特別支援学級で学習障害をもつ子どもの読書の聞き手として寄り添うなど、幅広く活動している。
医療現場におけるファシリティドッグの活動は、単なる癒しではなく、検査・治療・手術前後の不安を和らげ、ストレスを軽減し、患者の治療意欲を高めるなど、治療行為の補助療法として高い効果を上げている。特に小児病院においてファシリティドッグは、小児がん等の重い病気を抱える子どもとその家族にとって、治療に前向きに取り組むための心理的支援として、掛け替えのない存在となっている。
一方で、こうした活動は、国内では限られた団体によって担われており、ファシリティドッグが活動する施設も、他県の県立小児病院等少数にとどまる。
盲導犬、介助犬、聴導犬は、「身体障害者補助犬法」により、身体障害者の自立及び社会参加の促進に資するものとして「身体障害者補助犬」と定められており、一定の要件のもとで、育成費用は国の助成の対象となっている。一方で、ファシリティドッグは、現行制度では明確な法的位置付けがなされておらず、育成・運営経費は主に寄付により賄われているのが現状である。
今後、子どもに寄り添った医療や精神的ケアの充実を図る上で、ファシリティドッグの果たす役割はますます重要となる。
よって、国においては、ファシリティドッグの制度的な位置付けの明確化と、導入促進のための支援体制の整備を早急に講ずるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣

様                                                 

 喫煙目的施設の判断基準の明確化等を求める意見書 

令和2年4月に全面施行された改正健康増進法では、多数の者が利用する飲食店や事業所等は屋内禁煙を原則とする一方、バー等については、「喫煙をする場所を提供することを主たる目的とする」(第28条第7号)喫煙目的施設として喫煙場所の提供を認めている。その要件として、改正健康増進法施行令では、「施設を利用する者に対して、たばこを販売する者によって、対面によりたばこを販売し、当該施設の屋内の場所において喫煙をする場所を提供することを主たる目的とし、併せて設備を設けて客に飲食をさせる営業(通常主食と認められる食事を主として提供するものを除く。)を行うものであること」(第4条第2号)としている。
この「通常主食と認められる食事」における「主食」の解釈について、厚生労働省公表の同法施行に関するQ&Aでは、「社会通念上主食と認められる食事」として、「米飯類・パン類・麺類等」を例示しているが、その具体的量や調理法の基準が不明確であり、また、主食の対象を「各地域や文化により異なるもの」として、「実情に応じた判断」に委ねている。
喫煙目的施設における飲食は、付随的である必要があるが、売上比率、メニューの数や提供時間といった範囲が定量化、数値化されていないため、自治体や保健所により解釈が分かれ、同一メニューであっても、喫煙目的施設で提供が認められていない「通常主食と認められる食事を主として提供するもの」の判断が異なるケースが発生してしまう。
また、喫煙目的施設としては喫煙を主たる目的とするバー等とされているが、バー等以外の飲食店でも、たばこの販売許可を取得し、主食を主として提供していないと主張して喫煙目的施設として営業している実態がある。これら、喫煙目的施設の判断基準の不明確さは、喫煙目的施設の定義の拡大解釈による事業者のコンプライアンスリスクを生み、改正健康増進法で定める飲食店に対する対策の形骸化を招きかねない。
よって、国においては、望まない受動喫煙を生じさせることのない社会の実現のため、事業者への指導等の実務を担う地方自治体が適切に対応できるよう、解釈差を解消するための法整備や全国統一ガイドラインの策定等を早急に行うよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣

様                                                               

 臓器移植の環境整備を求める意見書 

臓器移植の普及により、多くの患者の命が救われている。「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律」が平成22年7月に全面施行され、本人の臓器提供の意思が不明の場合でも、家族の書面による承諾があれば臓器提供が可能となった。これ以降、脳死下での臓器提供件数は増加傾向にあるが、依然として移植希望登録者数が臓器提供件数を大きく上回る状況が続いている。
令和3年度に内閣府が実施した「移植医療に関する世論調査」によると、臓器提供の意思が決まっている人の割合は63.8%だが、そのうち実際に意思を表示している人は10.2%、家族や親しい人と臓器提供について話をしたことがある人は43.2%であった。臓器提供の意思を持つ人が、書面で意思表示をしたり、家族に意思を伝えることで、臓器提供の増加につながると考えられる。
一方、臓器提供施設の現状を見ると、令和6年度末時点で脳死下臓器提供が可能な施設は934施設あったが、必要な体制を整えている施設は452施設、このうち臓器提供の経験があるのは304施設にとどまり、このうち約3割が累計での臓器提供実施件数が1件のみの施設である。臓器提供体制の整備に関しては、脳死判定や臓器提供に必要な人員の確保が課題として挙げられており、実績の少ない施設については、臓器提供の可能性がある患者への脳死判断や、患者の家族への臓器提供の情報提供が行われていない可能性が指摘されている。
現在、眼球を除き、公益社団法人日本臓器移植ネットワーク(JOT)が国内唯一の臓器あっせん機関となっている。臓器提供を希望した場合、移植コーディネーターが家族への説明を行うが、このコーディネーターの業務もJOTが担っており、業務集中による対応の遅れのため、臓器提供があっても移植が成立しないケースが指摘されている。
厚生労働省は、令和5年の脳死下臓器提供者から提供された臓器のうち、移植実施施設に移植実施を打診したものの、実施施設が辞退し、移植が成立しなかった事例を対象とした調査を行った。辞退の主な理由は、ドナーの医学的理由や体格差等であり、ドナーと移植患者(レシピエント)とのマッチングのためのレピシエント選択基準の定期的な見直しが必要とされる。
本県議会は、国民の臓器提供に関する権利を尊重しつつ、臓器移植を安全で身近なものとして定着させることを目指し、平成29年10月に臓器移植の環境整備を求める意見書を提出したが、臓器移植が困難な環境は現在も続いている。
よって、国においては、国民の臓器を提供する権利、提供しない権利、移植を受ける権利、受けない権利を同等に尊重しつつ、臓器移植を国民にとって安全な医療選択肢として定着させるため、下記の事項に速やかに取り組むよう強く要望する。

1 国民が命の大切さを考える中で臓器移植に係る意思表示について具体的に考え、家族などと話し合う機会を増やすことができるよう、臓器移植に係る更なる啓発に努めること。
2 臓器提供施設の体制整備を図るため、実績のある施設や学会等と密に連携し、臓器提供に対応できる医療人材の育成を推進すること。その際、体制整備において、地域間格差が生じないように支援を行うこと。
3 新たな臓器あっせん機関設立も含め、現在のあっせん業務を見直し、コーディネーター育成や、院内コーディネーターへの業務委嘱、コーディネーター間の緊密な連携によって、ドナーの家族に早急かつきめ細かな対応が可能な体制を構築すること。
4 ドナーとレシピエントとのマッチング最適化のため、定期的なレシピエント選択基準の見直しと改正を推進すること。
5 レシピエントの移植施設選択に資するよう、移植実績について適切な情報公開を行うよう、医療機関に働き掛けを行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
経済財政政策担当大臣

様                                             

通信制高等学校の学習等支援施設への通所を通学定期券等の対象とする取扱い継続のための対応を求める意見書

近年、多様な学びの場として通信制課程を置く高等学校の校数及び通信制高等学校の生徒数は増加傾向にある。
通信制高等学校は、地理的・時間的制約を超えて展開できる通信教育の特性を踏まえ、実施校以外にも、分校や協力校、他校の施設やサポート施設などの「サテライト施設」と総称される活動拠点を広域に設けている。
令和3年3月、サテライト施設の教育水準を確保するため、文部科学省において高等学校通信教育規程が改正され、サテライト施設は「通信教育連携協力施設」と位置付けられた。併せて、通信教育連携協力施設のうち、学習指導要領に定められた面接指導又は試験等の実施について連携協力を行う施設が「面接指導等実施施設」、それ以外の学習面や生活面の支援等を行う施設が「学習等支援施設」と定められた。
現在は、通信教育連携協力施設への通所は全て通学定期券等の対象となっているが、この改正を受けて、鉄道会社において、卒業単位に必要な施設でないことを理由として、学習等支援施設への通所は通学定期券等の発売対象外とするよう取扱いを変更しようとする動きが見られている。
通信制高等学校は、不登校や中途退学経験者、特別な支援を要する生徒など、様々な困難や課題を抱える生徒等も数多く受け入れており、学びのセーフティネットとしての役割を果たしている。このような現状において、学習等支援施設における学習面や生活面での支援は、生徒が安心して通信制高等学校の課程を修了するために必要なものといえる。
よって、国においては、通信制高等学校の学習等支援施設への通所について、今後も継続して通学定期券等の発売対象とするよう、必要な制度設計及び各鉄道会社への働き掛けを行うことを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣
国土交通大臣

様                                             

警察官の増員を求める意見書

本県では、犯罪や交通事故の増加に歯止めをかけ、県内治安の回復を着実なものとしていくため、警察官や会計年度任用職員を増員し、パトロールや取締りの強化などに努めてきた。また、全国最多を誇る自主防犯活動団体に対する積極的な支援を行うなど、関係機関及び団体との協働による事件・事故の抑止対策を推進している。
こうしたことにより、令和6年の刑法犯認知件数は過去最多であった平成16年と比較して約28%となる51,667件となり、人身交通事故件数も長期的には減少傾向を示しているなど、県内の治安回復傾向は継続している。
しかしながら、犯罪の種類ごとの認知件数を見ると、殺人、強盗をはじめとする重要犯罪は全国3位、侵入窃盗をはじめとする重要窃盗犯は全国1位、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺は全国4位であるなど、全国的に見て、本県の治安情勢は依然として厳しい状況にある。
さらに、本県警察官1人当たりの人口負担及び刑法犯認知件数負担は全国1位であり、令和7年度には警察官175人の増員が措置されたものの、人身安全関連事案への的確な対処、特殊詐欺対策をはじめとした犯罪対策の推進、交通事故防止対策の推進、サイバー空間の脅威への的確な対処、凶悪・重要事犯の迅速な検挙、暴力団や匿名・流動型犯罪グループ等の犯罪組織の壊滅、テロ・災害等緊急事態への的確な対処等、様々な課題に対処するためには、いまだ警察官が不足している現状にある。
今後も、事件・事故を減少させ、更なる県内治安の改善を図り、県民が安全で安心して暮らせるまちづくりを実現するためには、警察官の増員による人的基盤の強化が必要不可欠である。
よって、国においては、本県の厳しい治安情勢を踏まえ、いまだ警察官の過重負担が深刻な本県に対して、なお一層の警察官増員を措置するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国家公安委員会委員長

様                                             

警察車両の充実強化を求める意見書

本県では、犯罪や交通事故の増加に歯止めをかけ、県内治安の回復を着実なものとしていくため、人的基盤を強化し、パトロールや取締りの強化などに努めるとともに、自主防犯活動団体に対する積極的な支援を行うなど、官民一体の犯罪抑止活動を推進している。
しかしながら、平成17年以降連続で減少してきた刑法犯認知件数は、令和4年から増加傾向が継続している。
また、特殊詐欺は、令和3年から4年連続で被害額が増加しており、更に令和6年は、認知件数・被害額ともに過去最多を更新するなど、厳しい情勢となっている。
現在、本県警察官1人当たりの人口負担は618人、同じく刑法犯認知件数も4.42件といずれも全国1位であり、多様化する警察事象に対応する警察官が不足している現状にある。
今後、将来にわたって、事件・事故を減少させ、県内治安の改善を図り、県民が安全で安心して暮らせるまちづくりを実現するためには、人的基盤の強化と共に事件事故への早期対応に欠かせない警察車両の充実強化が求められる。
また、近年、我が国では、年平均気温が上昇し、夏季において猛暑日や熱帯夜の日数が年々増加しており、警察官が現場活動中に熱中症の症状を訴え、体調不良となる事案が発生している状況にある。
暑熱環境下で業務に従事させる際は、必要な避暑(身体冷却)時間を確保することが、警察官の命や健康を守る観点から重要であり、警察車両を増強することで、現場における一時的な避暑場所を確保できるとともに、警察活動も能率的に遂行できる。
県費支弁による車両更新は、原材料費の高騰、安全装置の義務化、脱炭素化に対応したハイブリッド車等の導入等による車両購入単価の上昇によりままならない状況にあり、さらに、全体的な車両老朽化に伴い、修繕料等の車両維持経費も重い負担となっている。
よって、国においては、本県の厳しい治安情勢及び県費支弁による負担が高い現状を踏まえ、警察車両の充実強化を措置するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国家公安委員会委員長

様                                             

外国免許切替制度の早急な厳格化を求める意見書

外国人が日本国内で自動車の運転をする場合、国際運転免許証や日本の運転免許等の取得が必要である。そのため、国際運転免許証を取得できない、道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)非加盟国の国民等は、自国等で取得した運転免許を日本の運転免許に切り替える手続をとることになる。
警察庁「運転免許統計」によると、全国の外国免許切替者は、令和4年は49,845人、5年は66,127人、6年は75,905人と増加を続けている。それも相まって、外国免許切替制度によって日本の運転免許を取得した外国人による重大な人身事故が相次いで発生している。
外国免許の切替えにおいては、提出書類によって申請者の身分等を確認し、併せて申請者の運転に支障がないことを確認する。申請者が中長期在留者や特別永住者等、住民基本台帳法の適用を受ける者である場合は、申請者の国籍等が記載された住民票の写しを提出するが、同法の適用を受けない短期滞在者の場合は、旅券等の身分証明書と、ホテルの支配人の証明等、居住地に滞在していることを証明する書類を提出することになっている。そのため、観光客等であっても、一時的な滞在地を免許証上の住所地とした切替え申請が可能となっている。
また、運転に支障がないことを確認する方法として、自動車等の運転について必要な知識に関する質問が行われる。この質問は、外国語による質問文を付した絵図面等により10問実施され、7問以上正解した者は自動車等の運転に関する実技確認が行われ、その結果、100ポイント中70ポイント以上であった者については、技能試験及び学科試験が免除される。
外国免許切替制度は、外国の運転免許を保有し、既に外国において一定の技能等を有することが確認されていることに鑑みて行われている制度であるが、免許取得のための基準が緩く、外国人が日本の交通法規や道路標識を十分に理解しないまま日本の運転免許を取得するケースが増加しているのではないかと懸念されている。
よって、国においては、外国人申請者の運転に関する知識・技能を適正に判定し、日本の道路交通事情を十分に理解し、交通法規を遵守できる者に免許を取得させるよう、外国免許切替制度を早急に厳格化することを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
国土交通大臣
国家公安委員会委員長

様                                             

下水道の強靱化予算の確保を求める意見書

令和7年1月28日に八潮市内の県道松戸草加線中央一丁目交差点内において、中川流域下水道の下水道管の破損に起因すると思われる道路陥没が発生し、我が国で誰も経験したことのない災害とも言える事故となった。
全国においては、流域下水道を含め高度経済成長期以降に集中整備されたインフラが加速度的に老朽化しており、必要な対策を実施し国土の強靱化を推進していくことは、国民生活の安全と安心を確保するために不可欠である。
このため、本県議会では、去る2月19日に、今回のような事故の再発を防ぎ、県民生活の安全と安心の確保に向けた取組を進めることができるよう、人的・技術的支援に加え、財政的支援においても最大限に行っていただくとともに、国土強靱化実施中期計画の策定においては、地方自治体の意見を十分に踏まえ、下水道の強靱化を重要な施策として位置付け、必要な予算を確保することを求める意見書を提出した。
この後、3月18日に、国において、下水道管路の早期復旧に向けた改築のため「緊急下水道管路改築事業」として、予備費より工事費用の半分である45億円の支出を決定いただいたことには、本県議会として感謝申し上げる。
一方、本県では、ストックマネジメント計画を立て、国庫の補助事業として、老朽化している流域下水道の管路・施設の計画的な維持管理や更新に努めている。しかしながら、令和7年度の当初予算については、国への要望額に対して国費の内示率が約5割と、本年2月定例会で議決した令和7年度流域下水道当初予算を大きく下回っており、下水道施設の老朽化対策や耐震対策など、国民の安心・安全を確保すべき本年度の事業の多くが執行できない状況となっている。
ついては、国においては、今回策定された「第1次国土強靱化実施中期計画」に基づき、必要な予算の総額を確保するとともに、自治体が必要としている下水道施設の老朽化対策や耐震対策など強靱化のための国庫補助予算を確保し配分することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国土交通大臣
国土強靱化担当大臣

様                                             

社会資本施設に起因する事故等発生時における補償制度の構築を求める意見書

令和7年1月28日に埼玉県八潮市内の県道松戸草加線中央一丁目交差点内において発生した、中川流域下水道の下水道管の破損に起因すると思われる道路陥没事故では、現場周辺の住宅に歪みやひび割れ等の損傷が発生し、悪臭による住民の健康被害が生じている。また、事故における交通規制や悪臭などの影響により、陥没事故現場周辺等の事業者において、事業活動の休止や縮小、事業収益の減少など経済的損失が発生している。
災害救助法が適用されているが、周辺住民に対しては避難所設置等の応急的な対応にとどまり、また、事故の影響を受ける事業者に対しては、事業者への災害復旧関連の経営安定資金の融資や雇用調整助成金などによる支援がなされているものの、経済的損失に対する補償は行われていない。
事故発生から既に5か月が経過したが、事故の補償は進んでおらず、周辺住民や事業者の不安は続いている。事故の復旧までには今後も長期間を要するとみられ、周辺住民の日常生活や心身への影響は大きく、また事業者においては事業継続も危ぶまれる。
今回の道路陥没事故は、事故から災害に移行した初めてのケースであり、下水道などの社会資本(インフラ)施設の老朽化が全国的な課題となっている現在、他の自治体においても同様の事態が生ずる可能性がある。
よって、国においては、下水道などの社会資本施設に起因する大規模な事故等が発生し、現場周辺の住民に健康被害や損害が生じた場合及び事業者が経済的損失を受けた場合には、必要に応じて迅速に補償を行うことのできる制度を新たに構築することを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
防災担当大臣
防災庁設置準備担当大臣

様                                             

道路陥没事故に係る住民・事業者への速やかな補償を求める決議

八潮市道路陥没事故を受け、本県議会は、国に対して新たな補償制度の構築や財政的支援を求めているが、県は、広範囲かつ長期間にわたり被害が生じている事態を踏まえ、住民や事業者の不安を早期に解消するよう、国の動きを待たずに対応すべきである。
よって、本県議会は、道路陥没事故による被害を受けている全ての住民や事業者に対し、県において速やかな補償を行うことを強く求める。
以上、決議する。

令和7年7月2日

埼玉県議会

暗号資産取引に係る課税の見直しに向けた検討の推進を求める意見書

暗号資産(仮想通貨)は、ブロックチェーン技術を基盤とし、インターネット上で移転できる財産的価値であるが、デジタル化の進展等により、暗号資産の保有状況が拡大してきている。
国内では、令和7年1月末時点において、暗号資産交換業者における口座開設数が延べ1,200万口座を超え、利用者預託金残高は5兆円以上に達した。また、金融庁が実施した投資家の意識調査では、投資経験のある国内個人投資家の暗号資産保有率は7.3%を占め、FX取引や社債等よりも保有率が高い状況となっている。
このように、暗号資産は決済手段としての利用もあるが、投資対象化が進んでいる状況にあり、投資家だけでなく多くの国民において暗号資産が投資対象と位置付けられ、取引が拡大している。
一方、現行の税制では、個人所得課税において、暗号資産取引により生じた所得は、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されて総合課税の対象となり、所得税と住民税を合わせて最大で55%課税される。他方、海外の主要国では、日本よりも低い税率となっており、米国や英国では分離課税による20%の税率となっている。
ブロックチェーン技術などによる経済社会の高度化が進む中で強い海外競争力を確保するためには、諸外国との税制との乖離を縮小し、暗号資産への投資が国民の資産形成に資するよう、暗号資産に関する税制を見直す必要がある。
よって、国においては、暗号資産を国民の投資対象となるべき金融資産として取り扱うかなどの観点も踏まえつつ、暗号資産に係る課税の見直しに向け、以下の検討を推進することを要望する。

1 暗号資産の取引により生じた損益について20%の税率による申告分離課税の対象とすること。
2 暗号資産に係る所得金額からの損失の繰越し控除を認めること(翌年以降3年間)。
3 暗号資産デリバティブ取引についても同様に申告分離課税の対象とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
金融担当大臣

様                                             

新たな障害者就労支援制度の導入を求める意見書

障害の有無に関わらず、誰もがその能力と適性に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるような社会の実現を目指し、「障害者の雇用の促進等に関する法律」が定められている。同法では、事業者が充足すべき障害者の雇用率を定めており、これを満たさない企業からは納付金を徴収している。
民間企業における法定雇用率は、令和6年4月からは2.5%、令和8年7月からは2.7%と段階的に引き上げられることとなっている。また、対象となる事業主の範囲も、令和6年4月からは40.0人以上を、令和8年7月からは37.5人以上を雇用する事業主と、段階的に拡大される。
障害者就労施設等の物品やサービスの受注拡大については、「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」で、国や地方公共団体等は障害者就労施設等から優先的に物品等を調達するよう努める責務が定められているほか、公契約について競争参加資格を定めるに当たって障害者就労施設から相当程度の物品等を調達していることに配慮する等障害者の就業を促進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとされている。
本県では、障害者就労施設からの物品の調達や障害者就労施設への販売機会提供等を積極的に取り組む企業を認定する「障害者就労施設パートナー企業等制度」により、障害福祉分野における民間企業等の社会貢献活動を促進し、障害者の工賃向上につなげる取組が行われている。
障害者就労施設に物品やサービス等を発注している事業者等も、広義的には障害者の就労及び工賃確保を支えていると言える。国においては、障害者の就労・工賃確保に貢献している事業者をより評価し、障害者及び障害者就労施設をサポートする仕組みを築くべきである。
よって、国においては、民間企業について、例えば、障害者就労施設への物品及びサービス等の発注実績に基づき障害者の法定雇用率の引下げや納付金の減額を行うなどの新たな障害者就労支援制度を導入することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年7月2日

埼玉県議会議長 白土 幸仁

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣

様                                             

大宮駅東口防犯カメラ整備事業の継続を求める決議

さいたま市大宮駅東口地区における防犯カメラ整備事業は、県内最大の繁華街である同地区の安全・安心を確保するため、平成26年2月から実施されているが、令和7年12月末をもって終了することとなった。
防犯カメラの設置は、犯罪の抑止や事件の解決に寄与しており、県民の安全・安心の確保に貢献するものであることは明らかである。同地区には、県内外から多くの人々が訪れていることから、本事業は、単なる一市の施策に留まらず高い公共性を有するものであり、県として継続することは、県の治安行政の一環として当然の責務であり、事業終了は到底容認できない。
加えて、令和7年度当初予算について、本事業の終了につき議会に対して丁寧な説明がなかったことは、対応として大きな疑念を抱かざるを得ない。また、地元自治体であるさいたま市に対する事前の入念な調整や説明がなされていなかったとすれば、今後の県市連携にも悪影響を及ぼしかねない。
よって本県議会は、県に対し、大宮駅東口防犯カメラ整備事業について、県の責任において継続実施するよう強く求める。
以上、決議する。

令和7年7月2日

埼玉県議会

 

  • 注意:議員の氏名の一部にJIS規格第1・2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。

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議会事務局 政策調査課 政策・法制担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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