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掲載日:2024年12月20日
意見書・・・・次の6件です。
不動産登記法第14条第1項は、各登記所には土地の位置及び区画を明確に表す地図(以下「登記所備付地図」という。)を備え付けなければならないとしている。
また、同条第4項では、この登記所備付地図が整備されるまでの代替措置として、当該地図に準ずる図面を備え付けることができるとしており、いわゆる公図が用いられている。しかし、公図は明治時代に作成されたものが多く、当時の測量技術が低かったことなどから、現況と大きく異なる場合がある。
災害発生時の復旧・復興作業や公共事業の円滑化・迅速化に大きな役割を果たし、適切な課税やまちづくり、不動産流通の観点からも重要である登記所備付地図は、昭和26年に制定された国土調査法に基づく地籍調査により整備が進められてきた。
しかし、令和5年度末の進捗率は、国有林等を除いた要調査面積の53%にとどまっており、土地所有者等の探索や筆界の確認に時間を要すること、調査の実施を担う市町村における人材が不足していること、事業費の制約といった課題がある。
このような中、現地立合いの負担軽減や測量作業の効率化に資するものとして、レーザ光や衛星測位システムを用いた航空レーザ測量等による「リモートセンシングデータ」の活用が挙げられるが、その活用の範囲は、測量制度の向上により、従来の対象である山村部に加えて、今年度からは農用地にも拡大された。
また、法務省は、登記官による助言など市町村の地籍調査への協力を行っており、困難度の高い地図混乱地域においては地図作成事業を実施している。
登記所備付地図の重要性に鑑みれば、これらの取組みの更なる推進も含め、国による課題への対応により、整備を加速させることは不可欠である。
よって、国においては、全国の登記所備付地図を早期に整備するための具体的な工程を示すとともに、リモートセンシングデータの活用推進や市町村への更なる支援、事業費の確保など地籍調査の強化の推進や、地図作成事業対象区域の大幅な拡充を行うよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月20日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
内閣府が昨年3月に発表した調査によると、全国の15歳から64歳までの年齢層において、50人に1人程度がひきこもり状態にあると考えられており、全国のひきこもり当事者の数は約146万人と推計されている。
このうち、ひきこもり状態になってから7年以上の者は約2割に上る。不登校からの持ち上がりなど本人の努力だけでは状況の改善が難しい当事者が増えているとの切実な声が上がっており、ひきこもりの長期化によって、心身の健康に深刻な影響が生じ、社会生活の再開がより困難になることが懸念されている。
更に、この調査における40歳から64歳の年齢層の当事者は約85万人を占めており、本人の生活を支えてきた親も高齢となり、病気や要介護状態をきっかけに、一家が生活困窮に陥り社会的に孤立する「8050問題」や、親が亡くなった後の当事者への支援などが大きな課題となっている。
ひきこもり状態になったきっかけは、退職、感染症の流行、健康問題、不登校、人間関係、介護・看護など様々であり、それぞれがおかれた事情も異なることから、支援は当事者の意思を十分に尊重して行われるべきであり、障害や疾病の有無にかかわらず、誰もが適切な支援を安心して受けられる体制の整備が求められている。
本県では令和4年3月に埼玉県ひきこもり支援に関する条例を制定し、市町村や民間支援団体等と相互に連携を図りながら、民間支援団体等による伴走型の支援の推進などひきこもり支援に関する施策を総合的に実施しているが、この問題は国と地方自治体が連携して支援の充実を図る必要があり、国において、ひきこもりを社会的な課題として位置付け、支援に係る基本的な方向性を定めるとともに、関係する制度や政策を体系化することが重要である。
よって、国においては、ひきこもり支援に関する施策を総合的に推進するための基本法を早期に制定するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月20日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、たばこなどの有害物質に起因する肺の炎症性疾患で、咳・痰・息切れを主な症状として緩やかに呼吸障害が進行する疾患である。
厚生労働省の調査では全国のCOPDによる死亡者は約1万7千人に上り、身体活動性の低下によってフレイル(健康な状態と要介護状態の中間段階)に移行し、要介護や寝たきりの可能性が増大することや、循環器疾患(狭心症等の心血管疾患、脳血管疾患)、がんなど他の疾患との関連性も指摘されている。厚生労働省では、健康寿命の延伸を図る上で重要な課題である疾患としてCOPDを位置付けている。
また、有識者による「日本COPD疫学研究(NICE study)」によれば、国内のCOPD患者は約530万人と推定されているが、そのうち9割以上は適切な治療を受けていないと考えられている。
このため、COPDの早期受診や早期治療への取組みを強化することは重要である。
よって、国においては、COPDの潜在的な患者に対し、重症化等を予防するための適切な対応を行うため、下記の措置を講ずるよう強く求める。
記
1 医療機関でCOPDを診断するスパイロメーターの配備や、使用方法に係る研修等の実施、画像検査とプログラム医療機器を用いて肺の炎症状態を定量的に測定する検査法の開発・普及など、地域におけるCOPDの検査体制を強化すること。
2 受診勧奨に係るインセンティブ制度の構築、重症化や増悪を抑えるためのインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの積極的活用に向けた検討の促進、新規治療薬開発のサポート体制の充実など受診勧奨対策や重症化予防対策を推進すること。
3 かかりつけ医からの的確な診断や保健指導等による予防対策を強化するとともに、COPDに対する認知度やヘルスリテラシーの向上のために地方自治体が行う普及啓発活動について財政的に支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月20日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
令和5年度学校基本調査によると、全国の特別支援学校の在学者数は過去最多の約15万1千人である。本県においても、令和5年の在学者数は過去最多の8,801人であり、このうち知的障害特別支援学校では7,200人と10年間で約4割増加している。
児童生徒の増により、知的障害特別支援学校をはじめ特別支援学校では過密状態となっており、一つの教室を間仕切りして複数のクラスで使用したり、理科室や美術室などの特別教室を普通教室に転換したりするなど、教育環境として深刻な状況が生じている。
本県では、平成19年の特別支援学校制度の創設以来、知的障害特別支援学校を22校設置するとともに、既存知的障害特別支援学校の校舎の増築などの環境整備に取り組んでいるが、児童生徒の増加は著しく、過密状態の解消には至っていない。
国では、在学者数の増加により慢性的な教室不足が続いている特別支援学校の教育環境を改善する観点から、学校教育法に基づき、令和3年9月に特別支援学校設置基準を公布し、学校の設置に必要な最低限の基準を示すとともに、既存の学校についても施設や設備の水準を向上させる努力義務を課した。また、既存施設を活用した特別支援学校の改修について、時限的な国庫補助率の引き上げを行っている。
しかし、特別支援学校の設置や運営に係る財政的負担は極めて大きく、今後も児童生徒の増が見込まれる中で過密状況を計画的に解消するためには、新設や増築、既存施設の改修といった施設整備に係る財政上の措置の拡充や、備品購入に係る補助の新設など施策の強化は不可欠である。
よって、国においては、過密状況の解消のために、特別支援学校の設置・運営に係る財政的措置の更なる充実を行うよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月20日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
昨年10月に、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入された。
この制度では、インボイス発行事業者ではない事業者からの仕入れでは税額控除ができない。そのため、主に小規模事業者や個人事業者である免税事業者は、取引先からインボイス発行を求められ、発行できない場合は、不当な値下げや取引の打切りを求められることが懸念されていた。また、インボイス発行事業者になると、消費税の申告・納付が義務づけられ、税負担と事務負担の二重の負担を負うこととなった。
制度導入にあたっては、インボイス発行事業者になった場合に3年間は納税額を軽減するなどの税制措置や、税務署での相談体制の構築などの事業者支援措置が講じられてきたが、本県議会では、昨年7月、制度の円滑な導入のため、支援策の一層の強化や、問題が生じた場合は制度を見直すことなどを求める意見書を提出した。
制度導入から1年が経過したが、小規模事業者などからは、減収や税負担の増によって経営状況が悪化したとの切実な声が上がっており、インボイスに係る経理事務が過大な負担になっているとの訴えも噴出している。さらに、本県議会が要求した負担軽減策も不十分であり、事業活動への深刻な影響は決して看過できるものではない。
また、エネルギー価格や原材料費等の高騰が長期化し、人材不足が深刻化する中で、経営環境は一層の厳しさを増しており、インボイス制度に係る負担を小規模事業者等に求めることができる状況ではない。
インボイス導入後の小規模事業者等の苦境や昨今の経営をとりまく環境に鑑みれば、国の支援措置の拡充だけではもはや不十分であり、小規模事業者等の経営の持続化や県内の経済の活性化の重要性を考えると、今やインボイス制度そのものを廃止することが最良の策であると言わざるを得ない。
また、電子帳簿保存法によって、契約書などの電子データを一定の形態で保存する等を義務付ける電子帳簿等保存制度は、特に小規模事業者からは事務があまりにも煩雑で、事業活動に支障が生じかねないとの声が上がっている。
よって、国においては、インボイス制度等の事業者に過度な負担を与える制度を早急に廃止することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月20日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
文部科学省の教員勤務実態調査(令和4年度)によれば、1週間の勤務時間がいわゆる過労死ラインに相当する60時間を超える教員は中学校で約37%、小学校で約14%と全職種平均の約9%を大きく上回り、教員一日当たりの平日の在校等時間は、ほとんどの職種で10時間を超える状況にある。
学校が対応する課題が複雑化・困難化するとともに、少子化や情報化といった家庭や地域をめぐる状況の変化、保護者や地域からの期待の高まりなどによって、教員の業務は増大している。
現在、大量採用された世代の退職や、若手教員の増加に伴う産前産後休業・育児休業取得者の増等によって教員不足が生じており、また、全国の公立学校における令和5年度採用選考の倍率は全試験区分計で3.4倍と過去最低となるなど、人材不足は憂慮すべき状況にある。
本年8月の中央教育審議会の答申では、教職調整額を現在の4%から少なくとも10%以上とすることが必要であるとしているが、現在の勤務実態や業務負担に見合うよう抜本的に処遇を改め、教員を取り巻く状況を改善することで、教職の魅力を高め志望者を増やしていくことは、教育の質の確保に不可欠である。
よって、国においては、教員の長時間勤務の解消や抜本的な処遇改善等に向け、下記の措置を講ずることを強く求める。
記
1 教員の負担軽減や学校の指導・運営体制の強化のため、地域や学校の実情等に応じた加配定数の充実や、教員業務支援員等の配置に係る支援の拡充を行うこと。併せて、専門的人材の有効活用にも資する部活動の外部指導者の更なる活用のため支援を強化すること。
2 教職の魅力を高め、優れた人材を確保するため、現在の勤務実態や業務負担を踏まえ給与を大幅に引き上げていくなど教員の処遇を抜本的に改善すること。
3 上記1及び2とともに、教員の確保・拡充に係る地方自治体が行う施策に対して、財政的措置を講ずること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月20日
埼玉県議会議長 齊藤 邦明
衆議院議長 |
様 |
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