埼玉県議会 県議会トップ画像

ここから本文です。

ページ番号:251814

掲載日:2024年3月26日

令和6年2月定例会 「予算特別委員長報告」

委員長 神尾 高善 

予算特別委員会における審査経過の概要について、御報告申し上げます。
本委員会に付託されました案件は、議案21件であります。
初めに、部局別質疑を3月11日から15日までに5日間行い、集中的に審査を行いました。
以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
まず、「常にあるべき未来を念頭に施策に取り組むべきと考えるが、各部局がバックキャスティングの手法で事業を予算化するために行った工夫は何か」との質疑に対し、「5か年計画は、2040年を見据えてバックキャスティングの視点で12の針路、具体的な施策を組み立てており、これを踏まえた。また、10年先を見据えたDXビジョンからバックキャストすることに留意し予算編成を行った。具体的にはEBPM調書を作成し、約1,800事業のうち、770の事業について、将来像と現状の乖離を分析して施策を構築した」との答弁がありました。
次に、「昨年度、県庁舎の再整備に当たって、早期に目標期限を定めるよう附帯決議を行ったが、今年度はどのように検討してきたのか。また、より迅速に検討を進めるべきではないのか」との質疑に対し、「今年度は民間コンサルタントを交えた検討、有識者等へのヒアリングなどを通じ多岐にわたる観点から検討を深めてきた。また、昨年10月には県庁舎再整備専門家会議を組織し、DXによる影響や県庁舎としての利便機能等の課題の整理を進めてきた。今後、これらの課題について、スピード感を持って議論を進めたい」との答弁がありました。
次に、「埋立跡地を活用した資源循環モデル事業は、資源循環による農業のモデル化を目的としているが、どのような農場を作るのか。また、しっかりとした運営は可能なのか」との質疑に対し、「寄居町の環境整備センター埋立跡地に農場と公園を作り、農場では、循環型農業の体験等を行う地域と、商業化の実証実験を行う事業所の二つのエリアを整備する。食品残さを活用した堆肥等で農作物を生産し、地元で販売することによりサーキュラーエコノミーの実践を図る。また、運営については、先端技術を持つ事業者8社のほか、地元寄居町の協力があるため、十分可能である」との答弁がありました。
次に、「放課後児童クラブの待機児童解消のために、児童館等の既存施設を活用して、受皿を確保するということだが、具体的にはどのような内容か。また、対象として、県内20か所を想定しているとのことだが、どの程度の市町村をカバーできるのか」との質疑に対し、「新たに放課後児童クラブが整備されるまでの間、児童館や公民館などの施設に専門のスタッフを配置させることで、児童の見守りなどを行っていく。対象は、待機児童が10人以上生じている、又は生じる可能性のある市町村である。昨年5月1日時点で、待機児童が10人以上生じているのは18市であるため、十分にカバーできる」との答弁がありました。
次に、「SAITAMAロボティクスセンター(仮称)の整備について、地元自治体を巻き込み特区制度の活用など、実際の街中でも実証実験ができるようにすべきではないのか」との質疑に対し、「センターで対応できない実証実験に関しては、条件に合う河川敷等の活用について、関係者と調整を図っていく。特区の指定については、今後関係者から規制緩和に関するニーズ等をよく聞き取って判断していく」との答弁がありました。
次に、「医師確保対策のための地域枠奨学金の貸与枠拡充について、今後の医師確保数の見通しはどうか。また、民間医療機関での勤務でも、奨学金の返還免除となるよう検討しているとのことだが、来年度の予算に反映されているのか」との質疑に対し、「地域枠奨学金と、県外医学部に通学している学生に貸与する奨学金制度を合計すると、今年度は135名が勤務している。令和6年度は207人、令和10年度には362人となる見込みである。また、公的医療機関は、地域の中核的医療機関として不採算医療を担うことが医療法で定められている。このことを踏まえ、返還免除については、公的医療機関での勤務を要件としている。来年度の新たな予算は設定していないが、今後確保できる医師数の動向や勤務先の状況も踏まえ、検討を進めたい」との答弁がありました。
次に、「県営公園は、乳幼児から高齢者まで、性別を問わず誰もが安心安全に利用できるよう整備していくことが重要であるが、『誰もが使いやすい公園づくり事業』を新たに立ち上げた背景は何か」との質疑に対し、「県営公園においても、ジェンダー主流化の視点を取り入れるため、公園施設の満足度について県民アンケートを行った。その結果、女性は男性に比べてトイレに対する満足度が非常に低く、授乳室が遊び場から遠く不便であるなどの意見があった。そのため、遊具や授乳室等の充実と適切な配置、また、誰もが安心して利用できるトイレの整備等が必要と考えたためである」との答弁がありました。
次に、「スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの配置はどの程度充実したのか。また、誰一人取り残さない教育のため、常勤化が必要だと思うが、その道筋はどうか」との質疑に対し、「スクールカウンセラーは、令和5年度から、全ての公立小学校で月1回半日程度だった配置を、全体の約8割の小学校で月1回1日程度に拡充するとともに、全日制高校の配置学校数を18校から30校に拡充している。また、スクールソーシャルワーカーは、令和4年度に全日制高校24校で新たに配置するとともに、定時制高校6校での配置を週2日から週3日に拡充している。常勤化については、国からいまだ方向性が示されていないため、引き続き国に対して要望していく」との答弁がありました。
次に、「発災初期にドローンを活用した情報収集が必要な理由は何か。また、委託での実証実験を行うとのことだが、ドローンの購入は考えていないのか」との質疑に対し、「現在、災害オペレーション支援システムで、関係機関から情報を収集しているが、災害発生時には業務に忙殺され入力が後手に回る状況も想定される。このため、県では初動対応を適切に行うため、被害状況の把握に、ドローンを活用できないか実証実験を行う。また、購入については、県内一律にバランスよく機体を整備する必要があるため、コスト面を考え、まずは委託での実証実験を行い有効性を探っていく」との答弁がありました。
このほか、主な質疑事項として、eスポーツの推進、全国植樹祭の機運醸成の取組、直轄道路事業との連携、下水道管の老朽化対策、交通安全施設の整備などについて質疑がありました。
次に、総括質疑を3月19日に行い、更に慎重な審査を重ねました。
以下、論議のありました主なものについて申し上げます。
まず、「あと数マイルプロジェクトでは、地下鉄7号線の延伸はより実現性が高いのではないか。優先順位を明確にして集中的に進めるべきである。また、さいたま市と一緒になって伴走型で進めるべきと考えるがどうか」との質疑に対し、「地下鉄7号線は、プロジェクトの中で最も早く進む可能性が高いことから優先度を付して進めている。さいたま市をしっかりと支えながら、可能な限り早期に延伸が実現できるよう具体的に施策を進めたい」との答弁がありました。
次に、「県庁舎再整備事業について、未来の県庁の先行モデルである北部地域振興交流拠点の機能を見てから県庁舎の位置を決めることとなっているが、まず先に位置を決める必要があるのではないか」との質疑に対し、「県庁舎の位置の検討について、まずは必要な規模を見極める必要がある。そのためには、前例がない、未来の県庁の姿や新たな働き方を目に見える形にする必要があり、北部地域振興交流拠点を県庁舎に先行して整備することとしているが、その整備が終わった後ではなく、来年度には、現地での建替えや移転する場合のメリット、デメリットの検討も含め、専門家会議などで議論を深める予定である」との答弁がありました。
次に、「渋沢栄一起業家サロン(仮称)とSAITAMAロボティクスセンター(仮称)について、これらを融合させることで埼玉県の独自性が見出せるため、相互に連携する仕組み作りが重要だと考えるがどうか」との質疑に対し、「SAITAMAロボティクスセンター(仮称)はAIやロボティクスの分野に特化している。渋沢栄一起業家サロン(仮称)が対象とする分野は必ずしもこの分野に限定されているわけではないが、ロボット産業も含まれるため、サロンのマッチング機能を活用し、分野が重なる点についてどのような連携ができるのか現在検討を進めている」との答弁がありました。
次に、「バーチャルユースセンター(仮称)事業について、通常は核となるリアルの拠点があって、市町村にノウハウが伝わっていき、それでも対応できない場合にバーチャルで補うものではないのか。リアルとバーチャルを一緒に考えなかったのはなぜか」との質疑に対し、「リアルのユースセンターは、若者がより身近で気軽に利用できるように地域の実情に通じた市町村が整備することが効果的であると考えている。一方で、バーチャルユースセンターは市町村の垣根を超えてより広域の地域を相手にできる特徴があり、リアルとは特徴が異なるため、まずは県の特徴を生かせるバーチャルのユースセンターを設置し、この経験を次のステップに生かしていきたい」との答弁がありました。
このほか、主な質疑項目として、学校における働き方改革、観光施策、新たな感染症への備え、AYA世代がん患者への支援、順天堂大学附属病院の整備、いじめ・不登校対策、多文化共生社会の実現に向けて、人口減少・超少子高齢社会への対応、経済・物価高騰に対してなどについて質疑がありました。
次に、討論及び採決を3月22日に行いました。討論では、第1号議案に反対の立場から、「彩の国さいたま芸術劇場の利用料金を10%引き上げたことや、私立学校父母負担軽減事業補助金を県外私立学校に通う生徒に不支給としていることなどから反対する」との討論がありました。そのほか、第8号議案及び第19号議案についても反対の立場から討論がありました。
一方、第1号議案に賛成の立場から、「児童支援の充実をはじめ、サーキュラーエコノミーの推進や中小企業支援など、環境と経済のバランスを考えた施策が予算計上されている。厳しい物価高や社会経済状況の中でも、埼玉県の未来に知事のビジョンが反映されたこの予算案を評価し賛成する」。また、「防災減災対策をはじめ、生産性の向上や人手不足対策の支援、経済団体等と連携した価格転嫁の機運醸成、ジェンダー主流化の推進、性の多様性の尊重など、安心して生活できる社会の実現を目指す施策展開を高く評価し賛成する」との討論がありました。
以上のような審査経過を踏まえ、採決いたしましたところ、第1号議案、第8号議案及び第19号議案については多数をもって、第2号議案ないし第7号議案、第9号議案ないし第18号議案、第20号議案及び第21号議案については総員をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
その後、附帯決議が提案されました。
「『第1号議案令和6年度埼玉県一般会計予算』について、事業の執行方法に関して、以下の適切な対応を求めるものである。
第一に、地下鉄7号線について、令和6年度は特に延伸への大事な一年として捉え、さいたま市との強力な伴走体制の構築に努めること。
第二に、教育施策について、県立高校における職業人材教育の充実、それに伴う新たな専門学科の創設、中高一貫教育校と国際バカロレア校の設置等、県民ニーズに応えるために更なる検討を行うこと。
第三に、渋沢栄一起業家サロン(仮称)とSAITAMAロボティクスセンター(仮称)の連携を図るとともに、国のスタートアップ・エコシステム拠点都市への参加を見据えた事業の進捗を図ること。
第四に、バーチャルユースセンター(仮称)については、既存のユースセンターの知見を生かしながら運営し、リアルなユースセンター創設に向けて、市町村と協議すること。
第五に、子どもの育成等や、福祉介護に携わる保育士・幼稚園教諭・児童養護施設職員・介護士・看護師等の人材流出と人材不足を補うために早急に県単独で、更なる処遇改善を講じること。
第六に、高次脳機能障害者への支援について、『精神障害にも対応した地域包括ケアシステム』にとどまらず、医療と福祉の連携の観点からも『高次脳機能障害及びその関連障害に対する地域支援ネットワーク構築促進事業』を活用し、圏域ごとに診断できる拠点病院を指定し支援を強化すること」
以上の内容であります。続いて、質疑並びに附帯決議に反対の立場から討論があり、採決いたしましたところ、多数をもって附帯決議を付すことに決した次第であります。
以上をもちまして、本委員会の報告を終わります。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?