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掲載日:2023年7月14日
Q 武田和浩 議員(民主フォーラム)
シックスクール問題とは、学校施設に起因する化学物質に汚染された空気の暴露による健康被害に加え、体質等により、ごく微量な化学物質に過敏に反応する児童生徒の態様を含めた複合的な問題のことで、学校内でのシックハウス症候群や、いわゆる化学物質過敏症などが含まれます。
昨年度、学校内でシックハウス症候群を発生し、学校に通えなくなったお子さんがいると伺いました。転校して通学ができるようになったものの、10か月後の現在も午前中のみの登校、あるいは体調不良による欠席もやむを得ず、継続的に通学ができない状況が続いていると聞いています。
シックハウス症候群の症状は、校舎の新築、改築、改修、床のワックス、文具、教材、合成石けんなどで使用する化学物質、香料、化粧品、たばこ、プールの塩素、芳香剤などが問題になることが多いものの、発症の仕組みは未解明な部分が多く、様々な要因が複雑に関与していると見られます。
主な症状は、頭痛や目まい、吐き気、目のかゆみや乾燥、鼻や喉の痛み、せきなどです。皮膚炎やぜんそくを起こしたり、不安やいらいらといった集中力の低下など精神的な影響が見られたりすることもあり、そのため、児童生徒が訴える身体的、精神的症状に対して、クラス、場所、時間帯などに一定の傾向が見られる場合、対応策を検討する必要があると思います。
今回のシックスクール問題の事案では、重大な学校内でのシックハウス症候群が発生したにもかかわらず、学校全体での調査ではなく、実態把握がされませんでした。様々な要因、遠因によって、対応が後手に回ったことは否めないようであります。
シックハウス症候群の治療や具体的な原因の究明には、医学や環境衛生の専門家の関与が不可欠ですが、初動活動を行う養護教諭や担任らが基礎的な知識を習得する必要があり、啓発活動には、校長や保健主事を中心とする校内の組織の整備、また教育委員会などによる指導が求められます。
そこで、3点、教育長に伺います。
1点目、県内にこのような児童生徒がほかにもいるかどうか、教育委員会として把握されているのでしょうか。
2点目、シックスクール問題を発生させないために、平成15年3月に県教育委員会が定めた、一人一人の児童生徒が安心して学習できる学校環境づくりを目指して、県立学校のシックスクール問題対応マニュアルの遵守及び必要箇所の改訂、化学物質アレルギーを含むシックスクール問題対応シートの作成、学校備品での配慮などの対策を講じるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
そして3点目、シックスクール問題について、子供たちや保護者が理解を深めることも重要です。保護者に対しては、児童生徒の体調不良に際して、もしかしたらと気付けるような情報提供が必要だと考えますが、いかがでしょうか、教育長の御見解を伺います。
A 日吉亨 教育長
まず、シックハウス症候群の児童生徒の把握についてでございます。
県内全ての公立学校では、年度当初に行う保健調査や日常的な健康観察等により、シックハウス症候群等について配慮が必要な児童生徒を把握し、保護者を交え健康相談を行うなどの対応を行っています。
また、県では、令和元年度、さいたま市を除く県内公立小・中・高等学校及び特別支援学校を対象に、シックハウス症候群や化学物質過敏症等の児童生徒を把握するための全県的な調査を行った結果、配慮が必要な児童生徒が71名いることを把握しております。
県といたしましては、前回調査から時間が経過していることや、各学校が適切に実態把握をすることの重要性を踏まえ、改めてシックハウス症候群等の児童生徒数を調査いたします。
次に、シックスクール問題対応マニュアルの順守及び必要箇所の改訂、化学物質アレルギー対応を含むシックスクール問題対応シートの作成、学校備品での配慮などの対策についてでございます。
県では、平成15年度にシックスクール問題に対応するためのマニュアルを作成し、毎年、養護教諭や保健主事を対象とした研修会で、各学校がこのマニュアルに基づき、個々の対応を適切に行うよう指導しております。
しかしながら、令和4年度に学校環境衛生基準が一部改正されたことを踏まえ、現在県では、現状に即したマニュアルの改訂を進めており、今年度内に各学校に通知することを予定しております。
改訂に当たっては、化学物質などにより健康被害が生じた際に、学校が迅速かつ組織的に対応ができるよう、議員御提案の対応時のフローチャートやチェックシートを盛り込むなど、実効性のあるマニュアルとしてまいります。
また、学校備品を購入する際などには、シックスクール問題が発生しないよう、原因と疑われる物質の低減を図るとともに、日常の健康観察を強化するなど、必要な対策を講じることについても示してまいります。
次に、シックスクール問題の保護者との情報共有についてでございます。
シックスクール問題は、症状や原因が多種多様であることや個別の状況に合わせた配慮が必要であることについて、学校と保護者が情報共有し児童生徒の小さな変化を見逃さずに対応することが重要です。
県では、これまでも、関係部局と連携を図りながら、化学物質過敏症や香料に関する掲示用のポスターなどを学校に配布してまいりました。
各学校においては、学校だよりや保健だよりを活用し、シックスクール問題について子供たちや保護者の理解促進を図るよう、各県立学校長へ指導するとともに、市町村教育委員会へ要請してまいります。
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