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掲載日:2022年7月12日
Q 高木功介 議員(自民)
産業革命以降、世界は、石油など化石燃料を中心に回っていたと言っても過言ではありません。石油をめぐり戦争が大きい、多くの人々が犠牲になりました。しかし、化石燃料は消費財であり、消費されるがゆえに、所有権が重要になってきます。
一方、データはなくなりません。逆に、データは蓄積し、利用すればするほど精度が上がります。そうした意味からも、公共財としての位置付けが正しいと言えます。石油など化石燃料は、エネルギーに変換したら終わりです。それに対して、データの生命線は信頼です。すなわち、信頼してプラットフォームに提供したデータが悪用されれば、人々は、そのプラットフォームに不信を抱き、そこから退出し、そのプラットフォームは終わりを迎えます。これが資源としてのデータの性質だと言えます。
データの利活用は、社会生活の利便性が高まる一方で、個人情報が乱用されてしまうのではないか、巨大なプラットフォームによって生活が監視されてしまうのではないかという懸念があります。2019年のダボス会議で、安倍晋三首相は、データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト、信頼ある自由なデータ流通という考えを示しました。実現するには、グローバルでのデータ活用、競争力強化を進めるためには、官民双方での取組が必要です。その際、適切なデータ保護、データ流通の信頼性確保が、データ移転・活用の過度な抑制ではなく、データを活用した価値創造の拡大につながることが重要です。
また、データを共有するに当たっては、データジャケットも重要な役割を果たすと思います。これは、多くの局所的なデータを集めて結び付けるものです。つまり、データの中身を出すことなく、その概要を他者と共有することによって、データの利用者と提供者及びデータを用いた製品やサービスの利用者を連結し、さらに、データの価格付けやデータエクスチェンジを実現するものです。機密性を保ちながら、データの切り売りを含めた売買ができるもので、データを無料にて提供することにちゅうちょしていた人や組織のデータを活用しやすくなります。データジャケットを発展させることによって、思いもよらなかったレイヤーやAIに発展する可能性を秘めております。
さて、民間から行政に提供するデータについては、官民データ活用推進基本計画実行委員会によって、行政とデータを提供する民間の間で合意すべき内容の考え方が整理されており、今後、合意文書のひな形の作成が検討されています。民間企業の視点を十分取り入れた上で、行政によるデータ管理の整備等、企業が安心してデータを提供できる環境構築を進めるべきであると考えます。
その際、行政のデータ提供が強要されないことが担保するための要件、枠組みであると思い、非常に重要であると考えております。また、民間が自らのパーソナルデータの安全性と利便性のバランスをいつまでも自分自身で決定できるプロセスの強化も重要だと思います。
例えば、マイナポータルや情報銀行などの活用が挙げられます。マイナポータルで自らのパーソナルデータへのアクセスの記録を確認することで、不正利用の監視を行います。また、情報銀行にパーソナルデータを預ける預けないの判断を、そのメリット、デメリットに応じて自ら判断できるようにするなど、国民が主体的に自己情報コントロール権を行使できる仕組みが必要でしょう。メリットがデメリットを上回ればデータを提供され、データは精度が上がり、データを提供した人も利益を得ることができます。これは平時のみならず、自然災害やパンデミックなど有事の際、個人情報の保護やサイバーセキュリティへの適切な対応を図りつつ、データを迅速に利活用できるような備えも必要です。
各主体が連携し、有事のデータ提供のルールや仕組みを整備することはもちろん、国民や産学官、様々なステークホルダーを交えた議論及び、コロナ禍の経験を踏まえ、公益目的を含むデータの利活用と個人情報保護のバランスに関する社会的コンセンサスの形成が重要だと考えます。セキュリティやプライバシー保護は、信頼の源泉です。政治レベルでは、データの流れを法律で規制することはできますが、これではフリーフロー、つまり自由な流通を阻害することになってしまいます。規制ではなく、信頼を醸成し、行政と民間が一緒にデータの流れをつくってくことが大切と言えます。
そこで、知事にお尋ねいたします。
埼玉県が今後、データを利活用した行政、例えばスマートシティや埼玉版スーパー・シティを進めていく上でのデータの取扱いについて、どのようにされるのでしょうか。埼玉県デジタルトランスフォーメーション推進計画を精査しても、明確な基準と方向性は読み取れませんでした。特に、データの取扱いの基準や個人情報の管理運用を市町村に任せてしまうのか、県が統一的基準などを示して率先して関係するのか、具体的に教えてください。今述べたようなデータの取扱い、利活用には、組織や行政能力などが必要で、少なくとも県レベルの行政能力が必要だと思いますが、知事の見解を求めます。
A 大野元裕 知事
データを利活用した行政を進めていく上で今後どのようにしていくのかについてであります。
「パーソナルデータは、インターネットにおける新しい石油」と言われるように、データはデジタル社会の様々な活動を支え、新たな価値を生みだす源泉と考えております。
本県では、業務の効率化を進め、高度なサービスを実現するため、また、データに基づく政策立案評価、EBPMを推進していくため、官民の様々なデータの積極的な活用を目指しております。
一方、データ流通の急速な拡大に伴い、個人情報の漏えいや目的外使用が問題となり、データ提供に対する県民の不安が顕在化しているのも事実であります。
データの円滑な流通と活用を推進するには、こうした不安を解消するとともに、行政部門においてデータを適切に管理・活用する力を高めていく必要がございます。
このため、政府の包括的データ戦略の行動指針にのっとり、セキュリティやプライバシーの確保、データの相互運用と効率性の向上、官民の共創による新たな価値の創出を基本に、データの適切な利活用を図ってまいります。
次に、データの取扱いの基準や個人情報の管理・運用を市町村に任せるのか、県が統一基準などを示すのかについてでございます。
私は、日本のデジタル化を推進するには、国が示す統一的な基準や行動原則のもとで、国・県・市町村が主体的に新たな価値の創出に取り組むことが重要と考えます。
したがって、法律すなわち統計法、公文書管理法、個人情報保護法などを基礎とし、国に対してデータ利活用の推進に配慮した基準の不断の改善を求めてまいります。
包括的データ戦略においても、国が示した基準の下で行政機関のデータの分散管理を基本としており、個人情報保護の解釈も国に一元化されたことから、国の方針や基準と齟齬 そご のない的確な運用に努めてまいります。
一方、議員御懸念のとおり、規模が小さく専任の職員を配置できないなどの理由で、データの適切な管理・活用に苦慮する市町村も出てくることが考えられます。
また、本格的なデータの利活用に際しては、マイナンバー制度の周知など利便性の向上やデータを扱う上での規制改革なども必要で、国に対して自治体の立場から積極的に提言も行ってまいります。
データ利活用の主体は市町村であることを基本としつつも、市町村単独ではカバーできない課題がある場合には、県として可能な限りの支援を行ってまいります。
データ活用に関する相談には、総務省発行の地方自治体向けガイドブックを活用するとともに、データを活用できる人材の確保など現場の様々なニーズに向き合い、一つ一つの課題に丁寧に対応してまいります。
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