埼玉県議会 県議会トップ画像

本会議及び予算特別委員会の生中継・録画中継をご覧になれます。

会議録の内容を、検索したい言葉や発言者などで検索できます。

ここから本文です。

ページ番号:213212

掲載日:2022年3月30日

令和4年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(田並尚明議員)

命を守るための孤独・孤立対策について

Q  田並尚明 議員(民主フォーラム)

昨年末に政府の孤独・孤立対策推進会議は、孤独・孤立対策の重点計画を取りまとめました。昔から孤独や孤立といった問題はありましたが、近年の雇用環境の変化や人口減少、少子高齢化、核家族化等のライフスタイルの変化により、人と人とのつながりがより一層希薄化してきました。そして、2年前からのコロナ禍で外出自粛要請やテレワークの導入、雇用環境の悪化などにより、人の交流が減少しました。望まない孤独や社会的孤立は人々に希望を失わせ、生活困窮や貧困を招き、ひいては自殺や孤独死などにつながります。
2016年の野村総合研究所の生活困窮者の実態に関する調査研究報告書によれば、経済的困窮に限らず、生活困窮と社会的孤立は強い相関関係があるとされています。そして、2021年の日本財団第4回自殺意識全国調査報告書によれば、自殺未遂原因の四割が「経済生活問題」とされています。また、自殺念慮や自殺未遂のリスクが高い層は、家族などに助けや助言を求める相手がいなく、疎外感や孤立感を感じているとの調査結果が出ています。
なお、年間の自殺者数は、2021年は2万984人(暫定値)で、定まった定義ではありませんが、孤独死は年間で3万人とも言われております。
さて、現在、孤独や孤立は幅広い年代で様々な問題につながっています。高齢者であれば、孤独死につながったり、家族や社会とのつながりが減少することにより健康を損ない、認知症が進行したり発症したりします。このことは、昨年の代表質問でも、「コロナ禍での高齢者の健康づくり」という項目で指摘をさせていただきました。
そして、埼玉県の単身高齢世帯は、平成27年の27万5,777世帯から、令和2年は33万2,963世帯と増加しております。また、現役世代でも孤独や孤立は大きな問題となっており、孤独死をされる方の5割以上が65歳以下と言われております。高齢者であれば、民生委員さんや地域の見守り活動の対象となりますが、現役世代はこうした福祉の網から漏れやすいからです。誰にも相談できずに、家族の介護に疲れ果てての無理心中という事件もありました。
そして、10代や学生の間でも孤独や孤立は深刻な問題となっています。家庭環境が良くない子供たちにとっては、コロナ禍以前は学校やアルバイト先が逃げ場になっていましたが、長引くコロナ禍でそうした社会との接点を失い、追い詰められる子供や若者も増加しています。
今回質問をするに当たり、孤独・孤立対策に取り組み、支援を行っている民間団体の方と意見交換をさせていただき、深刻な現状をお伺いいたしました。コロナ禍で、相談件数が3倍以上になったとおっしゃっていました。まだ窓口を探して相談できる方はよいのですが、相談窓口が分からなかったり、自分が孤立していたり困窮していたりする現状に気が付いていない方もいるとのことです。事態が深刻化する前に早めに相談をしていただき、支援制度につなぐことが肝要とのことです。ワンストップで相談できる窓口やSNSの活用、困窮の一つの基準として、例えば、税金を滞納していたりする方に各種支援制度の案内を郵便で送るなどの支援も必要だと考えます。
そして、県が実際の孤独・孤立対策の最前線となる市町村をリードする必要があると考えます。孤独や孤立は、突然の解雇や職場のトラブル、家族との死別などにより、誰にでも起こり得る問題です。個人の問題ではなく、社会的な課題として捉える必要があります。孤独や孤立を恥ずかしいこととか、甘えているとか、自己責任などと考える方もおり、相談したり人を頼ったりしにくい風潮があります。まずは、支援を求める声を上げやすい環境を整備することの必要性も、国の重点計画ではうたわれています。そして、居場所づくりも大切です。
一方、注意しなければいけないのは、孤独や孤立を苦にしない方や好む方もいることから、孤独や孤立は悪いことだとする同調圧力も警戒しなければなりません。
以上を踏まえてお伺いいたします。
今後、いつまで続くか分からないコロナ禍、そして収束しても以前には戻れないかもしれない時代の変化の中で、国の方針を受けて、どのように基礎自治体や民間団体などと連携して孤独や孤立に悩んでいる方の支援を行っていくのでしょうか。また、声を上げやすい環境づくりにどのように取り組んでいくのでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。

A   大野元裕   知事

基礎自治体や民間団体などの連携についてであります。
議員お話しのとおり、新型コロナウイルス感染症は孤独・孤立の問題を顕在化させ、その影響が長期化することで、より一層深刻な社会問題となっています。
この深刻な問題に県庁がワンチームとなって部局横断で総合的に取り組むため、砂川副知事に指示し、8部局28課からなる埼玉県孤独・孤立対策推進会議を設置し、2月15日に第1回会議を開催いたしました。
あらゆる世代の方々が様々な課題に直面していることを踏まえ、ライフステージに応じた孤独・孤立対策を整理するとともに、部局間における連携の強化や、民間・NPOなどと連携するべき取組を検討しております。
今後、市町村、社会福祉協議会、経済団体、NPOなどからなる意見交換の場を設置し、官民連携やNPO相互の連携の在り方を検討するとともに、その基盤となるプラットフォームの形成を進めてまいります。
こうした取組を通じ、官・民・NPO等の連携による支援体制を構築し、それぞれの役割を担うことで、御本人や家族への寄り添った支援につなげてまいります。
次に、声を上げやすい環境づくりについてであります。
望まない孤独・孤立は、人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るものであり、支援を求める声を上げることや人に頼ることは、自分自身を守るために必要であって人に批判されるべきものではありません。
国の重点計画においても、支援を求める声を上げやすい機運の醸成が重要であるとされています。
このため、広く県民に対して、孤独・孤立問題について、様々なメディアを活用して広報、情報発信を行い、この問題についての正しい理解が得られるよう進めてまいります。
また、御本人やその家族に対する支援情報の提供や気軽に御相談いただける体制を充実させることも重要です。
そこで、孤独・孤立問題に直面し支援を求める方が、自らが置かれた状況に応じて適切に必要な情報にアクセスし相談支援を受けられるよう、各部署が設置している相談窓口を一覧で掲載したホームページを開設し、広く情報発信をしてまいります。
孤独・孤立は、御本人にとっても社会にとっても大きな損失であり、官・民・NPO等の連携により、きめ細かな支援を行うとともに、声を上げやすい環境づくりに取り組み、誰一人取り残さない埼玉県を実現してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?