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掲載日:2022年6月21日
Q 小島信昭 議員(自民)
大野知事は、知事選立候補時に「あと数マイルプロジェクト」をマニフェストに掲げました。そして、令和元年の就任後、約1年間の調整を経て、令和2年6月16日に公共交通の利便性向上検討会議を立ち上げて、県内交通の在り方や課題などを整理するとしたところです。約9か月間、延べ5回の会議を開き、昨年3月に最終的に報告書をまとめられたところであります。
報告書では課題と取組の方向性ということで、「延伸に向けて費用便益比B/Cが1より大きくなる方策を検討すべき」「建設コストの精査を行うべき」「沿線のまちづくり計画をしっかりと作るべき」「延伸ルートをしっかりと検討すべき」などが挙げられました。さて、これまで長い間、延伸を待ち望んできた沿線地域に住む多くの県民は、この報告書を読んで一体どう思ったでしょうか。残念ながら全く具体的なことや目新しいことは書かれておらず、以前から課題として議論してきたものばかりです。
ここで、まず知事に伺います。この2年半の期間におけるプロジェクトの進捗状況に関して、知事の率直な感想を伺います。
また、この会議の報告を受け、その後この1年間でどういった取組を行ってきたのでしょうか。今後、知事は多摩都市モノレールを視察される予定があると聞きましたが、それよりも先に既設路線の事業主体である東京都とこの件について話合いを行い、延伸を働き掛けるとともに、その可能性を探ることがまずは求められていると思います。
そこで、今後の進め方及び令和4年度末での到達目標、1年後にはここまで進めるという目標をお示しください。このあと、埼玉高速鉄道線については取り出して別に伺います。それ以外の4路線についてそれぞれ個別に、知事にまずはお答えをいただきたいと思います。
次に、埼玉高速鉄道線について伺います。
昨年4月に清水さいたま市長と知事が延伸について意見交換をし、需要創出につながる沿線開発や国との調整を行い、延伸実現に向け取り組むことで合意し、部局長級の会議を設置し、協議を加速化させると表明しました。新聞報道によると、知事はその際、「まだ課題はあるのも事実。県の強みを生かし交流人口の増加に尽力するなどの役割を果たす」などと発言をされています。また、6月には、さいたま市議会において清水さいたま市長が、2023年度中の鉄道事業者に対する事業化の要請を行い、自身の任期である2025年までのできるだけ早い時期に鉄道事業者が国への申請手続に入れるよう努めたいと表明したところであります。
さいたま市長と知事が延伸するということで力を合わせていくと合意したこと、延伸に向けた具体的な日程が示されたことは高く評価すべき点であると考えますが、ここからが本当の正念場です。検討会議の報告書が示すとおり、引き続き難しい課題があり、これに対する明確な策が確保されていません。さいたま市は中間駅付近に開発プランを幾つか示しましたが、その実現性を疑問視する声も上がっているようです。この状況のまま国土交通省に事業申請したところで、単純に計画が受理されるとは思えません。
今必要なのはスピード感を持ちつつ、示された課題の回答を一つ一つ積み重ねることです。この延伸についても、県も、さいたま市も本気で取り組んでいるという具体的な計画を県民や関係者に示すことです。まず、検討会議の出した課題解決に向け知事のスケジュール感と、それに向けてのこの1年間何をしてきたのか、知事に伺います。
上田前知事時代、この延伸については県は、さいたま市の後方支援をするのみの立場でおりました。清水さいたま市長は、2009年の初当選以来12年間この延伸を掲げつつも、具体的には先に進まない状況となっていました。そういった状況の中、大野知事は自身の選挙で埼玉高速鉄道線の岩槻までの延伸を公約に掲げ、浦和美園地区の人口も増加し、既設路線部分も乗客数が増えてきました。
さらに先月、埼玉高速鉄道が乗り入れている東京メトロ南北線がJR品川駅までの延伸を国土交通省に申請しました。2030年代半ばには乗り換えなしで品川まで行けるようになる見通しです。また、12月定例会の一般質問で我が党の山口議員も述べたように、東日本大震災が発生した際、JRなどが軒並み終日運休した中、埼玉高速鉄道線は当日に運転を再開し、多くの県民の帰宅を支援しました。
県土の強靱化という危機管理的な面からも、この鉄道路線の延伸は県全体にとっても大きなメリットがあるものだと考えられます。さいたま市の問題とするのではなく、県全体の利益を考えて県として更に力を入れてこの問題に取り組む必要性があると考えます。
既設部分の運行を行っている埼玉高速鉄道株式会社は、知事が会長です。実質的な経営権限を持つ県として、延伸に先駆けて既設部分でのこの延伸を後押しするような先行投資を行うことはできないでしょうか。例えば、延伸の際、必ずや必要となってくる浦和美園駅の改良であるとか、自社所有車両の増強などが考えられます。現在、経営的にも盤石である埼玉高速鉄道株式会社が自ら汗をかき、路線のスペックを上げることで、間接的にでもさいたま市の鉄道延伸事業の取組の後押しをすることもできると思います。
そこで、知事に伺います。令和5年度中に、さいたま市が鉄道事業者に対する要請を出すとしていますが、これが確実に行われるためには、今年何をするかが大切だと思います。市が5年度に要請を出し、要請された事業者が問題なく国に対して事業申請を行うためには、県と市がそれぞれどういうことをすべきであると知事は考えますか。延伸を予定どおり行うという熱意を示していただきたいと思います。
A 大野元裕 知事
この2年半のプロジェクトの進捗状況に関し知事の率直な感想についてでございます。
私は、県の重要施策として掲げた「あと数マイルプロジェクト」を推進するため、令和2年度に公共交通に知見を有する有識者などを委員とする公共交通の利便性向上検討会議を設置いたしました。
この会議では、幅広い観点から県独自の評価の視点も加え、例えば、県内交通ネットワークの向上に伴い通学圏域が拡大することで教育環境が向上する点など、延伸を検討する上での新たな視点をいただきました。
また、災害時の鉄道ネットワークの代替性、いわゆるリダンダンシー効果をB/Cの便益に取り込むことができないかといった可能性や観光という切り口での延伸検討など、これまでなかったアイデアをいただきました。
こうした知見は、今後、国に対し鉄道延伸を訴えていく上で貴重な地域特性となるものと考えており、令和3年3月の報告を踏まえ、各路線の延伸の実現に向けた取組を進めているところであります。
私は、この2年半のプロジェクトの進捗状況に関しては、それぞれの路線で段階にバラツキはございますが、新たに議論の俎上に載せることができるなど各路線の進捗に応じた取組を大きく前に進めたと認識しております。
次に、検討会議の報告を受け、その後1年間どういった取組を行ってきたかについてであります。
検討会議の報告書では、答申路線である埼玉高速鉄道線、東京12号線、東京8号線については、1を超えるB/Cの確保など、事業の実現性を確保するための前提条件の確立などが主な課題として示されました。
また、答申外路線である日暮里・舎人ライナー、多摩都市モノレールについては、ルートが定まっていないことから、延伸ルートの絞り込みなどが主な課題とされています。
そこで、令和3年度においては、それぞれの課題の解決に資する調査などの取組を進めております。
具体的には、埼玉高速鉄道線については、快速運転のケースを踏まえた更なるB/C向上策の検討、延伸実現に向けた関係機関との調整をはじめとする環境整備などを行ってまいりました。
また、東京12号線、東京8号線におきましては、延伸地域の地元市町のまちづくりの検討の参考とするため、新駅の乗降客数の規模に関する調査などを行っております。
さらに、日暮里・舎人ライナー、多摩都市モノレールにおいては、ルートの絞り込みを進めるため、複数の延伸ルート案の設定のための調査を実施しているところであります。
次に、埼玉高速鉄道線以外の4路線について、今後の進め方及び令和4年度末までの目標についてであります。
議員御指摘のとおり、都県をまたぐ路線の延伸については東京都との調整が必要となります。
そのためには、まず県内区間の事業性の確保などの課題に県として一定の目途をつけることが欠かせません。
東京12号、東京8号線につきましては、令和4年度には地域のポテンシャルを生かした需要創出の方策の検討に資するため、B/CのうちのBである便益の向上を目標として取り組みます。
沿線の集客施設の来客調査として、東京12号線はところざわサクラタウン、東京8号線はイオンレイクタウンでそれぞれ実施をいたします。
これにより集客施設への鉄道利用者を更に便益として取り込むことを期待しております。
日暮里・舎人ライナー、多摩都市モノレールにつきましては、ルートの絞り込みが課題です。
令和4年度には、2つの路線についてそれぞれ、今年度の調査でまとめた複数の延伸ルート案を更に具体化するため、駅の位置や移設が難しい建築物の回避方法など導入空間の確保に向けた調査を実施したいと思います。
これらの調査結果を用いて関係自治体と協議し、ルートの絞り込みを行います。
また、議員御指摘の東京都との協議でありますが、これらに合わせて、小池知事との間で東京・埼玉連携会議の設置が合意され、これまでの東京都との協議の枠組みが更に強化をされたところ、定期的な意見交換を引き続き重ねてまいります。
検討会議で整理された各路線の課題解決には時間を要するものもありますが、延伸実現に向け、着実に取り組んでまいりたいと思います。
次に、埼玉高速鉄道線について、課題解決に向けたスケジュール感についてでございます。
私は、検討会議の報告で挙げられた課題の解決のためには、「トップのリーダーシップ」と「関係者との調整など地道な取組の積み重ね」、この2つが重要と考えております。
そこで、昨年4月には「さいたま市地下鉄7号線延伸認可申請事業化実現期成会」の意見交換会に出席をし、私の決意を表明をするとともに、さいたま市の清水市長に対し、関係者調整など積極的な御協力を申し上げました。
意見交換会におかれましては小島信昭議員からも熱い御発言を賜りました。大変心強かったことを覚えております。
また、同月30日にも清水市長とスケジュール感や課題などの意見交換を行い、可能な限り早期に鉄道事業者に要請してはどうかと働き掛け、必要な取組を両者で協力していくこともお伝えしたところであります。
その後、清水市長は、昨年6月に、令和5年度中に要請を行うと市議会で表明をされました。
したがって、検討会議で出された課題の解決は、この要請に向けた工程を踏まえれば、令和5年度中には一定の目途をつける必要があると考えています。
次に、課題解決に向け、この1年間何をしてきたのかについてであります。
検討会議の報告で挙げられた課題のうち、特に重要なのは、中間駅周辺のまちづくりと、B/Cが1を超える試算ケースにおける前提条件の実現性の確保、の2点であると考えています。
そこで、7月には、改めて清水市長に対し、延伸手続きのスケジュールを明示されたことに敬意を表するとともに、中間駅周辺のまちづくりなど市としての取組を進めるよう申し上げたところであります。
また、計画素案の作成には、今複数ある試算ケースを絞り込むなど、関係者との協議を収れんしていく必要がございます。
そのために県と市で延伸事業に必要となる資料の収集・整理のための共同調査を加速させるとともに、国や関係機関へ合同で訪問をし助言をいただくなど具体的なアクションを起こしてまいりました。
また、課長級職員による実務関係者会議に加え、今年度新たに設置された県・さいたま市・川口市の部局長級職員からなる地下鉄7号線延伸推進自治体連携会議に参加し、速達性向上事業に関する計画素案の作成方針などの協議を重ねているところでございます。
議員御指摘のとおり、スピード感を持ちつつ示された課題の解決を一つ一つ積み重ねることが重要と考えており、引き続き県と市で協力しながら、課題解決に向け積極的に取り組みます。
次に、地下鉄7号線の延伸で県と市がそれぞれどういうことをすべきかについてであります。
鉄道事業者による国への申請が問題なく行われるためには、事業性や採算性を確保するなど諸課題の解決に一定の目途をつけた上で、計画素案を自治体で作成する必要があります。
そこで、令和4年度は、計画素案の作成に向け、これまでの取組を更に充実・加速してまいります。
まず、県と市で延伸予定地周辺のボーリング調査をはじめとした共同調査を実施し、事業費の精査などを進めるとともに計画素案の一部を構成する建設計画などのレベルアップを図ります。
この共同調査の実施に加え、特にさいたま市の課題として取り組んでいただきたいのは、事業性や採算性の確保につながる中間駅周辺のまちづくりの進展とその効果を鉄道延伸の便益に反映していく努力です。
県では、まちづくりの取組について引き続き働き掛けを行うとともに、計画素案の作成に当たり生じる様々な課題に対し、県のネットワークを生かしながら、国や関係機関との調整などを進めてまいります。
また、新型コロナの影響やテレワークの普及などにより鉄道利用者が減少する中、議員御指摘のとおり新たに品川駅に南北線を延伸する構想が前進するなど、埼玉高速鉄道線の利便性が向上する動きもあります。
鉄道利用者の動向をしっかり見極めながら、埼玉高速鉄道株式会社と連携し利用促進を図ってまいります。
次に、延伸を予定どおり行うという熱意についてであります。
埼玉高速鉄道線延伸に向けた県のイニシアティブを受け、清水市長が鉄道事業者への要請の期限を設けたことで、延伸を推進する環境が大きく変わりました。
私も関係者との意見交換会など様々な集まりに呼ばれることが増え、地元関係者のボルテージはますます熱くなり、その期待が高まっていることをひしひしと感じております。
こうした期待にお応えできるよう、県と市が必要な役割を相互に果たしながら協働して取組を進めます。
議員御指摘のとおり、清水市長が示された延伸スケジュールを予定どおり実現させるべく、スピード感を持って、課題を一つ一つ解決し、県と市がワンチームとなり全力で推進してまいります。
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