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掲載日:2022年6月21日
Q 小島信昭 議員(自民)
まず、新型コロナウイルスへの対応についてお聞きします。
第5波においてり患し不安を抱える中、保健所などとの連絡が取れず急激な体調の悪化を誰にも気付いてもらえず、自宅で一人亡くなられた方がこの埼玉県においても出てしまったのは痛恨の極みであり、二度とこのようなことがあってはならないと思います。
新型コロナウイルス感染症対策特別委員会においても、課題の指摘、提案をさせていただきました。それを踏まえて、第5波の対応をしっかりと検証しつつ、第6波の対応はできているのでしょうか。まず、反省点も含め、第5波での対応の総括を知事にお伺いしたいと思います。
次に、本県では、1月21日からまん延防止等重点措置に基づく対策を講じておりますが、そもそもこの措置の前提として肺炎等の発生頻度がインフルエンザより相当程度高い場合に限定されることとなっております。しかし、こうしたエビデンスは聞いておりません。政府分科会で重点措置の適用に疑問の声も上がったようであります。そもそもオミクロン株については、指定感染症二類に位置付けられ続けていること自体も疑問であります。
県としては、このオミクロン株についてどのようなエビデンスに基づいてどのように評価し、措置の要請や延長の要請を行ったのでしょうか、知事に伺います。
次に、ワクチン接種について伺います。
ワクチン接種については、供給量の確保、年少者への接種、居住市町村の違いによる接種可能時期の差、交互接種などについて、県民の不安は広がっています。ワクチン接種の主体は市町村でありますが、迅速かつ安定的なワクチン接種に向けて県の強いリーダーシップが必要ではないかと考えます。
県民へのワクチン接種に関し県の役割をどう考えているのか、県として一番求められていることは何だと認識しているのか、知事にお伺いいたします。
次に、飲食店等への支援策について伺います。
現在、オミクロン株による感染拡大に伴い、飲食店等に営業時間の短縮や酒類の提供自粛などをお願いしていますが、本県では上尾市で実証実験を行ったワクチン検査パッケージ制度を活用し、この取組を行う店舗に営業時間の延長、酒類の提供についてインセンティブを与える方式をとっています。私は、十分な感染対策を取りながら経済活動を維持し、経営を成り立たせようとする県内飲食店の保護をしたいという観点においては、大いに評価できる方策だと感じています。しかし、現在このワクチン検査パッケージを実施しているのは、全国で埼玉県のみであります。
そして、この実施以降、我が団の議員の下には、「なぜ埼玉県だけが実施しているのか」という疑問や、「周知が行き届いてなく、逆に仕事がやりにくくなった」などとの苦情も寄せられています。とても事業者からの理解を得られているとは言い難い状況であります。インセンティブというのにはほど遠い状況なのではないでしょうか。また、この制度は結果として、近接都県と比べ酒類の提供ができる店舗の範囲が狭くなっていると言わざるを得ず、一般県民からも分かりづらい仕組みとなっています。
知事に伺います。まず、ワクチン検査パッケージ導入決定に至る経緯と現時点での評価について御説明ください。
そして、協力店等へのインセンティブの基準としては、今まで施策として広く押し進めてきた彩の国「新しい生活様式」安心宣言飲食店+(プラス)の認証店を対象とする選択肢もあったのではないかと思いますが、御見解をいただきたいと思います。
最後に、ウィズコロナの経済対策についてお聞きします。
まだまだ予断の許さない状況下でありますが、そういった中でも県内経済を維持、拡大させるための経済再生策は必要だと思います。立ち上がりをいかに支援するかによって、今後の埼玉経済の発展が違ってくるはずです。
この際は、思い切った対策を打つべきであると私は思います。毎年行われている中小企業への経営支援対策の継ぎ足しや横出しでは、死ぬ気になって経営を立て直そうとする中小企業者への支援にはなりません。他県との横並びではなく、独自の経済対策を期待するところであります。
今回御提案いただいている令和4年度当初予算案の中には、そういった通常の枠を超えた強力な経済対策は見当たりません。厳しい状況の中、中小企業者をどう支援していくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
第5波での対応の総括についてでございます。
県では第5波に備え、国から示された推計を基に、第3波の倍の1,164人の新規陽性者に対応できるよう準備をしておりました。
しかし、第5波のピークとなった昨年8月には、1日の新規陽性者数が2,169人に上り、当初の想定を大きく上回りました。
自宅療養者についても、当初想定した人数の約4倍となる17,399人にまで増加し、契約事業者が契約を全うしなかったために十分な健康観察が実施できない時期もありました。
こうした経験を踏まえ、県では、第5波の新規陽性者数等を基に、次の波に対応するため、保健・医療提供体制確保計画を策定いたしました。
その上で、感染力が強いとされるオミクロン株の諸外国における傾向を踏まえ、自宅療養者が極端に増える事態も想定できたため、保健所のファーストタッチや自宅療養者の健康観察については、確保計画の2倍以上の患者に対応できる体制としました。
具体的には、県の応援職員と派遣職員等を合わせて421人を保健所に派遣し、保健所の体制を強化しました。また、保健所のデジタル化を進めることにより健康観察能力を大幅に向上させました。
自宅療養者の健康観察を担う宿泊・自宅療養者支援センターについては、運営事業者を終了させたうえで新たに3社体制とし、自宅療養者の急増に対応できるよう先手を打ったところです。
毎朝開催している幹部ミーティングでは、第5波でボトルネックとなった項目について実施状況を確認し、モニタリングし、全庁での応援体制を推進してまいりました。これらの結果、県所管保健所ではおおむねファーストタッチが目標としていた翌日までに行え、健康観察を円滑に実施し、容態急変の場合の連絡のための受電率も100%を達成しており、自主検査・自主療養等を実施する必要がない状況が継続しています。
次に、まん延防止等重点措置に係る要請についてでございます。
オミクロン株については、これまでの株とは比較にならないほど感染力が強く、本県では1月に入り急激に感染者が増加をいたしました。
1月1日に14人だった新規陽性者は、2週間も経たない1月13日には886人となり、第5波の際に緊急事態宣言を要請した7月下旬の感染者数と同程度の感染者を数えるに至りました。
他方、症状についてはデルタ株に比べ、肺炎の発生する率は低いものの、過去に例を見ない多くの感染者の発生により肺炎の患者も結果として増え、現在、酸素吸引が必要な中等症2の患者は、入院患者の32%を占めています。
肺炎の発生率につきましては、新型インフルエンザ等対策特別措置法第31条の4第1項に規定する政府対策本部長が公示する事項のうち、第3号に定める当該事態の概要として、肺炎発生率が季節性インフルエンザよりも高いと公示をしていますが、政府はそのエビデンスを示しておりません。他方、本県が講じる措置といたしましては、新型インフルエンザ等対策特別措置法第31条の6第1項において、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して、まん延を防止するために政令で定められた必要な措置を講じることができるとされています。
本県では、レベル2相当の対応が必要となる場合として、確保病床の占有率をはじめとする医療機関への負担を重要視するものの、新規陽性者数、PCR陽性率等を参考に総合的に判断をすることといたしております。
1月13日時点で確保病床の使用率は23.4%、10万人あたり新規陽性者数は39.5人、PCR検査の陽性率は9.9%と極めて高く、直近1週間あたり増加率で見た場合の新規陽性者は838.6%増、直近2週間あたりの増加率で見ても587.0%増と、今後も患者が大幅に増加することが見込まれました。諸外国におけるオミクロン株のまん延状況と類似の傾向も見られ、これら諸国においては、陽性者数と比較して重症者割合は低く抑えられたものの、このまま感染が拡大すれば、大幅な陽性者の増加によって医療機関への負担が増大し、感染者急増時に確保する病床数2,176床を超える入院患者が発生することも想定されました。
こうした状況を総合的に判断し、1都3県の知事とも意見交換をした結果、1月17日に国に対し、まん延防止等重点措置の適用について1都3県連名で要請を行いました。
残念ながら、その後も感染者は増加を続け、高齢者施設でのクラスター発生により入院が必要となる患者が増えただけでなく、1月下旬からは、特に子供の感染が増えたことで、医療従事者が家族の濃厚接触者となったり、保育園や学校が休園、休業したために出勤できず、医療への負荷が一段と高まりました。
そのため、まん延を防止するために必要な措置を継続する必要があると判断し、当初のまん延防止等重点措置の期限である2月13日を前に、2月8日に期間の延長を国に要請したものであります。
私は、かねてから、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の要請に当たっては、感染動向、病床の占有率等を総合的に判断すると申し上げてまいりましたが、今後も、感染に対する様々なデータや社会の状況、専門家の意見を参考に判断をしてまいります。
次に、ワクチン接種に係る認識についてでございます。
県の重要な役割は、接種の実施主体である市町村を強力に支援をすることと考えています。
追加接種の国の方針が二転三転いたしましたが、県では、その都度、市町村説明会を開催し、国からの情報をより理解しやすいように整理して説明するなど、市町村による接種を支援しております。
また、市町村による接種を補完し、どの地域の住民も等しく追加接種を受けることができるよう、県ワクチン接種センターで積極的に接種を進めております。
その結果、平日ではコンスタントに1日当たり5万5千回を超える接種を行っており、人口比で考えると政府目標の全国100万回に概ね到達しております。
追加接種が可能な6か月前に2回目の接種をした方に対する接種率は全国平均を上回り、高齢者接種率は全国14位となるなど順調に接種は進んでおります。
間もなく小児のワクチン接種が始まりますが、小さな子供には接種時に泣いたり暴れたりしてしまうなど大人とは異なる配慮が必要です。
小児科医の指示の下で接種をすれば、副反応が起きた場合にも適切に対応してくれるという安心感がございます。
県では小児科医による個別接種中心の接種体制構築に向けて、昨年末から市町村や医師会と調整を進めており、順調に準備は進んでおります。
今後も迅速な接種に向けて市町村を支援し、共に取り組んでまいります。
次に、飲食店等への支援策についてでございます。
まず、ワクチン・検査パッケージ導入決定に至る経緯についてです。
飲食店等における自粛疲れが指摘される中で、高いレベルの感染防止対策を継続的に講じていただくことにより、利用される県民に安心を提供し、ウィズコロナの経済活動につなげる必要があると考えました。
ワクチン・検査パッケージ制度は、国の基本的対処方針に基づく制度であり、本県では、国内最大の技術実証を経て、証明書の確認など飲食店の負担感はあるものの、利用者の安心感が得られるなどのアンケート結果も踏まえ、導入への検討を進めてまいりました。
ワクチン・検査パッケージ制度は感染防止対策が前提であり、これにワクチンによる感染防止効果と併せ、対策を講じる事業者への安心を提供できると感じました。
なお、感染力の強いオミクロン株の流行により、いわゆるブレークスルー感染も生じておりますが、米国疾病対策センターによる22万人以上に対する検査に基づけば、ワクチン2回接種後180日以内の有効度は52%、180日を超える場合には38%となっており、一定の効果が認められています。
季節性インフルエンザの予防効果は研究により20から60%といわれておりますので、同等の効果が期待できると認められます。
このため、埼玉県では、原則、午後8時までの営業時間短縮と酒類提供自粛という極めて厳しいまん延防止等重点措置を採用しつつも、ワクチン・検査パッケージの適用店には、午後9時までの営業と午後8時半までの酒類の提供を認めることといたしました。
店舗の感染防止対策とワクチン効果との相乗効果により、お客様やそこで働く方にも、安心して御利用いただける制度として措置内容を決定をいたしました。
次に、ワクチン・検査パッケージの現時点での評価についてでございます。
基本的対処方針の見直しが直前であり、周知期間が十分に取れなかったことに加え、全国で初めて導入をしたため、一部の県民や飲食店事業者の方から、分かりづらいなどの御指摘もいただきました。
このため、新聞広告やホームページ等あらゆる機会を用いて、県民や飲食店事業者に対し周知を図ってまいりました。
こうした取組により、現時点において15,000を超える店舗が登録し、かつ、現在も登録申請が続いており、多くの県民に認識されてきたものと考えております。
感染事例については、制度の導入以降、会食経由の件数は、絶対数でも割合でも主たる感染経路として最も減少しており、一定の効果があったものと考えております。
次に、彩の国「新しい生活様式」安心宣言飲食店+(プラス)の認証店を対象とする選択もあったのではないかについてであります。
彩の国「新しい生活様式」安心宣言飲食店+(プラス)の認証店は、感染防止対策が徹底されており、この認証店がワクチン・検査パッケージを適用することで、お客様により安心・安全を提供することとなります。
飲食店の努力が安心へと結びつく制度であり、これに取り組む事業者を拡大すること、また、自粛疲れが指摘される中で、感染対策を維持していただくことが必要と考えたところでございます。
今後も、多くの飲食店が認証店として、しっかりとした感染対策に取り組み、経済活動を維持できるようにするため、どのような方策が有効なのか、引き続き検討し、県民が県内の飲食店を安心して御利用できるよう努めてまいります。
次に、厳しい状況の中小企業者をどう支援していくのかについてでございます。
新型コロナウイルスによる感染は、変異株の出現もあり、長期間にわたり、本県経済に多大な影響を及ぼしています。
私は、新型コロナウイルス感染症と共存できる強い埼玉県経済を作るため、国、県内経済・産業界と連携し、産官学金労で令和2年5月に「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」を設置し、感染防止対策と社会経済活動の両立を目指してまいりました。
今年度もウィズコロナ・ポストコロナの経済雇用対策について、時宜を捉えて様々な取組を実施してまいりました。
昨年9月には、「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」において、観光事業者や飲食事業者への支援、事業拡大・再生支援やDX推進支援など9つの項目について第5波以降の対策として整理、検討し、社会実装すべき取組とし、まとめ、実践いたしました。
また、感染が落ち着いた11月には県内経済団体と改めて意見交換を行い、県経済の回復や活性化に向けて、県が早急に取り組むことをパッケージ化いたしました。
こうした検討の中で生まれた施策は、正に、コロナ禍で厳しい状況に置かれている事業者の再生のための取組や、新たな発展、成長を目指す取組を支援するものです。
特に、長引く感染状況の中、新しい生活様式が定着するとともに、世界規模の感染拡大でサプライチェーンの見直しが求められるなど、様々な業種で、事業の再構築が求められました。
このため、今年度、設置した事業再構築支援センターを中心に国の補助金を活用した事業・業態転換への取組を支援しています。
また、コロナ禍で非接触・非対面のニーズが高まり、デジタル化の取組が広がっております。
社会全体のDXを目指していく中、オンライン商談による販路拡大などデジタル技術を活用した様々な取組を支援することで本県経済の発展を図ります。
国、県、経済団体や支援機関で構成するDX推進支援ネットワークによる分かりやすく、総合的な支援策の提供をはじめ、中小企業のDX推進に向けたデジタル人材の確保や育成の施策を着実に実施してまいります。
こうした取組を通じて、コロナからの再生を図る中小企業、小規模事業者の新たなチャレンジを産官学金労の力を結集し、ワンチームで支援することで、強い埼玉県経済の構築に努めてまいります。
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