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掲載日:2023年12月18日

令和2年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(松坂喜浩議員)

期待される教育環境へ

Q  松坂喜浩  議員(県民

県立高校における教育のICT化については、平成30年度から3年計画でタブレット端末などを整備するとともに、生徒個人所有の端末を授業で活用するBYODにより、学習用端末1人1台体制に向けた整備が進められています。
私は、教育のデジタル化とともに、アナログ教育の重要性を忘れてはいけないと痛感しています。平成29年9月定例会にて、少年暴行死事件を教訓とした非行防止対策について私の質問に対し、当時の教育長からは、「家庭環境の問題に対しては、福祉に関する専門家であるスクールソーシャルワーカーが教員とともに対応することが重要と考え、教育委員会としてもこれまで以上に福祉部局との連携を密にし、生活保護や就労支援、医療などにつなげ、生徒を取り巻く環境の課題を解決したいと考えています」という答弁がありました。ここで大事なのは、福祉部局との連携を密にするということであり、縦割りからの脱却ということを私は意味しているものと考えます。
この質問については、吹上秋桜高校を中退した生徒が巻き込まれた事件が発端ですが、同校は多部制定時制高校、いわゆるパレット校4校の中でも特に注視し、でき得る支援をしていかなければならない県立高校であります。吹上秋桜高校が開校したのが平成22年4月、その初代校長として就任なされたのが高田教育長であり、その基礎を築かれたものと思いますし、感慨深いものがあろうかと思います。
以下、教育長にお伺いいたします。
まず、パレット校としての目的と吹上秋桜高校の現状について、また、先日の報道にもありましたが、県内高校生の自殺者が増えていることがあります。その正確な情報と原因について把握されているでしょうか、お伺いいたします。
次に、今年6月定例会では柿沼議員から、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを常勤化すること、教育相談員はスクールソーシャルワーカーとして一本化すること、そして勤務条件を統一することについて質問がありました。
常勤化について、教育長答弁は「これらの専門職の役割は、教職員の担うべき業務を専門的知識からサポートするもので、常勤化につきましては、学校の状況や課題に応じて適切な活用や配置の工夫をすることにより、専門職の充実を図ってまいります」というものでありました。また、一本化については、「学校における役割が異なること、募集要項についても分かりづらい表記となっていることから、業務内容が明確となるよう表現を見直します」という答弁でありました。そして、勤務条件を統一することについては、「学校の役割に応じ、配置日数や勤務時間を設定し、給与は月額又は日額と設定しており、報酬の差については、勤務条件の違いから生じているもの」と、そういう答弁がありました。
そこで、お伺いいたします。
スクールソーシャルワーカーは、家庭環境に課題のある生徒や退学者が多くいる学校では大変重要な役割であり、常勤化が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
教育相談員との一本化ですが、現状では教育相談員が直接生徒からの相談を受け、福祉の視点が必要な場合はスクールソーシャルワーカーにつないでいることから、生徒からの悩み解決に時間がかかってしまうため、体制を改善しなければなりません。教育相談員の職務に合わせたスクールソーシャルワーカーの配置がワンストップで対応できるのが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。
勤務条件を統一することについては、スクールソーシャルワーカーは日額1万40円、月8日で8万320円、教育相談員さんは月給16万9,200円となっています。現状、スクールソーシャルワーカーさんが週2日の配置では、生徒の課題が解消できない状態だと伺っております。このまま、たなざらしにしておくわけにいかない勤務条件の格差、是非とも改善し、部局を超えて考える必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。
以前の私の質問からも、中学校の進路指導は、生徒の能力や適性、将来の希望や目標を十分把握した上で実施することが大切なことは言うまでもありません。高校進学に向けて、生徒の特性や問題点の実態を把握し、入学時から生活指導ができる調査票を教育局として作成し、中学校から進学先の高校に対し、しっかり申送りするべきであり、また、このことについては今年度から実施していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
また、県で行った今年度10月末時点の就職内定状況調査では、多部制定時制高校の就職内定率が50%程度と低い状態であり、進路未決定のまま卒業する生徒がいることも心配されることから、卒業生の就職を支援するための体制を整えることも重要と考えますが、いかがでしょうか。
最後に、教育長は、「あらゆる手段を使って子供たち一人ひとりの実態把握に努めてまいりたいと考えている」と答弁されていますが、あらゆる手段とは具体的にどのような方法でしょうか。

A  高田直芳 教育長

パレット校の目的と吹上秋桜高校の現状について、また、自殺者が増えつつあることから正確な情報を把握しているのかについてでございます。
多部制定時制高校いわゆるパレット校は、中途退学者や不登校経験者など多様な生徒がいつでも学べる機会を提供するとともに、充実感や達成感を通して、自信と自覚を持った生徒を育てることなどを目的として設置しております。
吹上秋桜高校の現状につきましては、学校を訪問し、管理職や教員などから、現状や課題について聞き取りを行っている職員から適宜報告を受けるとともに、先日は校長から直接状況について聞き取りを行いました。
また、自殺者の正確な情報と原因の把握につきましては、事例が発生するたびに速やかに詳細な報告を求めるとともに、その事実に向き合い、「なぜ自殺に至ったのか」また、「学校として何かできなかったのか」など、背景調査を行い原因の把握に努めております。
次に、スクールソーシャルワーカーの常勤化についてでございます。
令和2年6月定例会の柿沼貴志議員の一般質問でお答えしたとおり、スクールソーシャルワーカーなどの専門職の役割は、教職員の担うべき業務を専門的知識からサポートするものです。
継続的に生徒を支援するためには、スクールソーシャルワーカーを始めとした専門職員などと教職員がより一層連携を強化し、学校全体で支援を行っていくことが重要です。
スクールソーシャルワーカーの常勤化につきましては、現在、国において、配置の在り方等について調査研究が行われておりますので、その結果を踏まえ適切に検討してまいります。
次に、スクールソーシャルワーカーによるワンストップでの対応についてでございます。
様々な悩みを抱える生徒に対する支援は、まずは、身近な存在である教員が生徒の状況をきめ細やかに把握し、必要に応じて、スクールソーシャルワーカーなど専門職員などと連携し対応していく必要があると考えております。
そのため、友人関係や家族関係などの生徒のささいな悩みや不安を気軽に相談できるよう、相談業務の経験が豊富な教育相談員を配置しています。
また、家庭環境などに課題を抱え、医療や福祉などにつなげる必要がある場合には、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを活用しております。
いずれも重要な役割を担っていただいており、必要な職であると考えております。
生徒の悩みの解消に時間が掛かるという御指摘につきましては、これまで以上に教員と外部人材が連携を密にし、迅速な対応が図れるよう学校を支援してまいります。
次に、スクールソーシャルワーカーの勤務条件の改善についてでございます。
勤務条件については、学校における役割に応じ、資格要件や配置日数、勤務時間を定め、給与は月額又は日額として設定しております。
報酬額の違いにつきましては、月あたりの配置日数によるものでございまして、時給単価に換算いたしますと、スクールソーシャルワーカーは、教育相談員よりも高く設定しているところでございます。
次に、入学時から生活指導できる調査票を教育局として作成し、中学から高校に対して、しっかりと申し送りすべきであり、今年度から実施することについてでございます。
高校に入学する生徒の特性や課題の実態を把握し、中学校から高校へ支援をつないでいくことは大変重要であります。
そこで学校では、特別な支援を必要とする生徒が円滑に学校生活を送ることができるよう、県が作成した個別指導用のシートなどを活用し、一人ひとりのニーズに応じたきめ細かい支援に取り組んでおります。
また県では、中学校の管理職や教職員を対象とした会議や研修において指導計画などを本人や保護者の意向に配慮した上で、高校へ引き継ぐよう周知しております。
高校に対しても、校長会や教務主任が集まる会議などにおいて、生徒の情報を中学校から適切に引き継ぎ、生徒の実態を把握した上できめ細かい生活指導を行うよう、改めて指示してまいります。
次に、卒業生の就職を支援するための体制を整えることも重要と考えるがいかがか、についてでございます。
特別な支援が必要な生徒を就職につなげていくことは重要であると考えております。
そこで高校では、就職が決まらないまま卒業する生徒に対して、ハローワークの就職支援担当者と教員が連携して、一人ひとりの実情に応じた個別の就職支援を行っております。
今後、進路担当者や就職支援教員を対象とした研修会などで、こうした個別の就職支援をより丁寧に行うよう、各学校に指示してまいります。
次に、あらゆる手段を使って子供たち一人ひとりの実態把握に努めるとのことだが、具体的にどのような方法かについてでございます。
高校では、入学する生徒について、中学校から提供される情報のほか、直接中学校へ聞き取りに行くなどして、学習面、行動面、健康面の課題や、家庭環境など生活指導を行う上で必要な情報を収集し、実態の把握に努めております。
また、入学後においても、生徒や保護者との面談や、関係機関との連携を通して情報を収集し、高校生活における指導に活用しております。
今後も、中学校と高校における、相互の連携体制の更なる強化に努め、全ての生徒が充実した学校生活を送ることができるようしっかりと取り組んでまいります。

再Q  松坂喜浩  議員(県民

スクールソーシャルワーカーの常勤化について御答弁いただきました。考え方も分かりましたし、また国の配置の在り方を見てということもありました。そしてその中でも、教育長が答弁の一番最後に、全ての生徒が充実した生活が行われるように支援していきたいというお話がございました。
県内の高校の中にも、いろんな状況の学校があったり、たまたま今回は吹上秋桜高校で挙げておりますけれども、多数いろいろな問題を抱えている学校であったり、子供たちの悩みがあったりという学校があります。その中で、スクールソーシャルワーカーの常勤化ということでお願いしたんですけれども、ここまで来ると、この吹上秋桜高校でいきますと週2日ということでありましたけれども、これは逆に、教育事務所単位でも結構だと思うんです。県内東西南北でいいと思うんですが、大体、問題を抱えている学校というのは把握されていると思うんですけれども、そういった学校、エリアを区切る中で常勤化しながら、そこを拠点とした中での相談を受けられる窓口としてのそういったシステムを検討していただけないか。
教育相談所のほうにソーシャルワーカーさんを配置するということであったんですが、なかなかワンストップまでいかないということにつながるかと思います。是非とも拠点校をつくって配置していただけるよう御検討いただけないか、質問させていただきます。
それとともに、処遇、勤務条件でありますけれども、先ほど8万円と16万9,000円というお話をさせていただきました。確かに日額と給与の差はあろうかと思いますが、ソーシャルワーカーさん、逆に週4日、月16日出ますと大体16万円ぐらいになろうかと思います。勤務条件というとやはり金額になろうかと思いますが、そういったことも検討いただければありがたいと思っております。そして、平準化を図っていただければありがたいと思います。
その点について、二点お願いします。

再A  高田直芳 教育長

はじめにスクールソーシャルワーカーの常勤化についてでございます。
拠点校などとして県内全域をカバーできるような仕組みが整えられないかという御趣旨だったかと存じます。
現在、スクールソーシャルワーカーにつきましては、県内に4カ所教育事務所に1名ずつ配置し、全ての県立学校が利用できる状況をつくっております。
さらに、私が校長を務めさせていただきました吹上秋桜高校をはじめ、多部制の定時制高校などには、8校にスクールソーシャルワーカーを配置して、全ての定時制高校が利用できる状況になっております。
すでに全ての学校で活用できるように配置をしておりますことから、さらに、答弁の中でも申し上げましたけれども、多部制定時制高校の生徒をはじめ県立高校の生徒の中には様々な課題をもって一生懸命がんばっている生徒がたくさんおります。
中途退学を経験した者、不登校を経験した者、家庭の環境が非常に厳しい者、あるいは特別な支援が必要な子供たち、いろんな生徒がおります。
学校にはそれぞれの課題に対して、専門的立場から御支援をいただくスタッフがどうしても必要だと思っておりますので、スクールソーシャルワーカーは非常に大事な職だと思っておりますが、それらの皆様にバランスよく応援していただくことが私としては大切だと思っているところでございます。
二つ目の勤務条件についてでございます。
答弁でも申し上げましたとおり、資格要件あるいは必要とされる日数などを定めまして、それぞれ日額、あるいは月額でお支払いをさせていただいております。
スクールソーシャルワーカーの常勤化と関連いたしますけれども、いろんなスタッフの方にバランスよく応援をしていただくため、現在、吹上秋桜高校には、週2日の勤務をお願いしているところでございますので、御理解をいただきたいと存じます。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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