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掲載日:2023年7月4日
Q 宮崎栄治郎議員(自民)
障害者総合支援法は、地域社会における共生の実現に向けて、障害者及び障害児が基本的人権を享受する個人としての尊厳にふさわしい日常生活、又は社会生活を営むことをその目的とするとあります。この法律では、一般企業などの雇用に結びつかなかった方や、雇用されることが困難な方に対する福祉的支援を受ける就労継続支援事業が規定されています。いわゆる福祉的就労と呼ばれるもので、施設で生活しながら、又は自宅から施設に通いながら社会参加や自立を目指しているところです。障害者就労施設への支援については、現在県内では約8,000人の障害者の方々が約370か所の障害者就労施設で働いており、様々な製品づくりに従事していると聞いています。
障害者就労施設は、一般企業への就労が困難な障害者が、パンやクッキー、木工製品といった授産製品の製造を行い、働く喜びや生きがいを感じながら過ごす活動の場です。同時に、障害者が地域で自立した生活を送るための基盤となる重要な施設でもあり、工賃の向上を図っていくことが求められています。今年2月に厚生労働省から公表された平成27年度工賃実績調査結果では、全国の平均工賃の金額が、月1万5,033円、埼玉県はそれよりも低い1万4,189円という状況でございました。一人でも多くの障害者が、社会の中で自立した生活を送ることができるよう、県は障害者就労施設を支援していかなければならないと考えます。
そこで、福祉部長にお伺いします。現状では、障害者就労施設で働く障害者の工賃向上が実現されているとは言えないように感じます。現在、工賃向上のためにどのような対策を行っているのか、またその対策が施設の工賃向上にどのぐらい貢献できるのか、福祉部長に併せて御所見をお伺いします。
一方で、一般就労といわれる民間企業への就労を目指している障害者も多いことと思います。障害者の雇用を促進していくためには、受け入れる企業側の理解が不可欠となります。
そこで、産業労働部長に四点ほどお伺いします。
一、県としては、障害者の企業への就労支援をどのように進めていくお考えか。
二、就労を希望する障害者が民間企業で働くためには、必要な技術や知識を身に付けることが重要であると考えます。障害者の就労に向けて県としては、職業訓練をどのように行っていこうとしているのか。
三、就業訓練では、単に机の上の知識を学ぶだけでなく、企業実習を行って、実際の職場で技術を磨くことが重要であると思います。県として、職業訓練における企業実習にどのように取り組んでいこうとしているのか。
四、障害者は、体調の変化や職場になじめないなどの理由で、せっかく就労してもやめてしまうケースも多くあると聞いています。障害者の雇用促進には、採用された職場での定着を図ることも重要であると思いますが、県としてはどのように取り組んでいくお考えなのか。
以上四点について、産業労働部長の御所見をお伺いします。
A 田島 浩 福祉部長
まず、工賃向上のためにどのような対策を行っているのかについてでございます。
平成25年4月に施行されました障害者優先調達推進法により、県や市町村は障害者就労施設から物品等を調達するように努めなければならない、とされました。
県は調達額の少ない市町村に職員を派遣して増額を依頼するとともに、施設で作成している商品の情報を提供するなど、調達の拡大に取り組んでまいりました。
その結果、市町村を含めた県全体の調達実績は、法律ができる前の平成24年度の5,065万円に対し、平成27年度には5億986万円と約10倍となりました。
また、県では施設が新製品の開発や品質の向上を図るため専門家の指導を受ける場合に、その費用を補助しております。
平成28年度は19の施設がこの補助を利用し、デザインの専門家から家具の設計、パンの専門家から新製品の開発などについて指導を受けました。
また、施設が栽培しやすく安定した需要がある玉ねぎの生産を行う「障害者農業参入チャレンジ事業」を実施しております。
事業に参加する施設には、県の農林公社が農地を借りるための相談に応じるとともに基本的な農業技術の指導を3年間行います。
さらに、県では、駅のコンコースにおける販売会への支援やスーパーマーケットなどにおける販売機会の確保などに努めております。
次に、その対策が工賃向上にどのくらい貢献できているのかについてでございます。
県全体の平均工賃につきましては、平成24年度の1万2,907円から平成27年度には1万4,189円に向上しております。
また、平成25年度に専門家から指導を受けた23施設について、平成24年度と27年度を比較したところ、10施設で30%以上工賃が向上していました。
今後とも、障害者の工賃向上に向け、しっかりと取り組んでまいります。
A 渡辺 充 産業労働部長
まず、企業への就労支援についてでございます。
議員お話のとおり、障害者の雇用を促進していくためには、受け入れ企業の理解が不可欠です。
県では、障害者雇用開拓員を配置し、法定雇用率2%の未達成企業を中心に、直接、経営者に障害者雇用の理解が得られるよう働きかけているところです。
また、県障害者雇用サポートセンターでは、障害者を雇用しようとする企業に対して具体的な仕事内容の提案、人や施設などの職場環境に関する助言を行っております。
今年度からは、センターにヘルプデスクを設置し、企業が電話で気軽に相談できる体制を整えたところです。
平成30年4月には、法定雇用率が現在の2%から2.2%への引上げが確実視されており、企業への障害者就労支援は、ますます必要となってきます。
このため、今後とも、企業のニーズをしっかりと受け止め、企業の不安を取り除き、障害者の雇用が進むよう、一層取り組んでまいります。
次に、障害者の就労に向けた職業訓練についてでございます。
障害者が職業訓練を受けることで、仕事への適性が明確になるとともに、技能を身に付けることで自信が持て、就職につながりやすくなります。
そこで、県では、パソコン操作や清掃作業など短期間のものから1年のものまで、様々なコースの訓練を実施しています。
今後とも、障害者一人一人の適性を踏まえ、希望に応じた就職につながるよう、様々な職業訓練の機会を提供してまいります。
次に、職業訓練における企業実習についてでございます。
障害者が職業訓練において企業で実習を受けることは、実際の職場で実践的な技能を身に付けることができ、職場への適応力もより高まります。
実際に実習を受けた企業から、障害者に対する配慮が分かり、障害者雇用への理解が深まったというお話しもありました。
このように障害者と企業の双方にメリットがあります。県としては就職のミスマッチを防ぐためにも、多くの企業に企業実習を取り入れてもらえるよう働きかけます。
今後とも、職業訓練における企業実習に力を入れ、推進してまいります。
次に、職場定着を図ることについてでございます。
障害者には職場での一定の配慮が必要であります。
安定した雇用を維持するためには、職場定着への支援が不可欠です。
県では、障害者職場定着支援センターを設置し、働きやすい職場環境づくりをアドバイスするジョブコーチを企業に派遣しています。
また、一般的に環境の変化に不安を感じやすいといわれる精神障害者の定着を図るため、障害者雇用の経験を有する企業アドバイザーと精神保健福祉士をチームで企業に派遣しております。
さらに精神障害者の就業者数が急増していることから今年度は、これまでの2チームから3チームに強化して企業のニーズに対応し、障害者が安心して働き続けられるようサポートしております。
今後とも埼玉労働局をはじめ関係機関と連携しながら、就労後の職場ケアに重点を置き、障害者の就労から職場定着まで絶え間ない支援に取り組んでまいります。
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