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掲載日:2020年7月8日

平成29年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(吉良英敏議員)

教員の負担軽減について

Q   吉良英敏 議員(自民

先日、私は、恩師と一杯やりました。そのとき、先生が言いました。「今の先生には根性がない。情熱がない」、皆さんはどう思いますか。
最近、学校現場のブラック化や残業、過労死ラインなど、教員が危機に立たされている報道をよく目にします。中学教諭の平均在校時間は1日12時間、残業手当はなく、1日の勤務の半分が生徒指導やクラブ活動などの直接的な授業の教育以外です。今、私は子育て中でありますけれども、もし私が中学校の担任の先生だったら、育児やイクメンができるかとても不安です。9時に登校し、例えば4時には保育園に娘を迎えに行くので上がらせていただきたい、そういったことが言えるでしょうか。うちの地元では、学校の電気が夜遅くまでついていると、今回の先生はとても熱心だな、そういった空気があります。いい先生像とは何でしょうか。教員の働き方改革をするのであれば、日本型教育を改革していかなければなりません。かといって、無理に帰らせればパソコンを持ち帰り、USBを紛失し、問題が起こることが容易に想像できます。
今の現場の先生は大変です。平成24年の文科省の調査で、小中学校の担任の先生が児童生徒の行動を見て「支援が必要である」、そう答えた割合は全国で6.5パーセント、埼玉県は10.7パーセント、これは1クラスに3人から4人いるということになります。
さらに、生徒の国際化も進んでいます。先日、地元の中学校を訪れたとき、昼休みになると外国人生徒が校長室に来ました。校長先生は、棚から彼らのコーランを取り出し、「今日はお客さんがいるから、隣でお祈りをやってもらえないか」、そういった指示をしていました。外国人生徒数は、過去10年で1.6倍、日本語能力が十分ではなく、日本の生活に適応していない生徒を個別指導するのも学校の仕事です。ADHD(注意欠如多動性障害)、これは1993年度の1万人余から、20年で8倍に増えています。
さらにあります。クラス内のいじめ、あるいは子供の貧困をはじめ家庭環境による個別対応、これら全てに対応し、教える苦労は尋常ではないことが想像できます。先生たちが苛酷な勤務状況にあるということは、子供に向き合う余裕がなくなる、きめ細やかな指導ができなくなるということです。
先日、うちの幼稚園の娘に、将来何になりたいか聞きました。私は、恐らくケーキ屋さんかプリンセスになりたい、そういう返事が来ると思いきや、「クジラのように大きくなりたい」、そう返答が返ってきました。共働きの忙しい子育ての環境、そういった家庭が多い中、余裕のない学校現場、そこでこういったことが受け止められる余裕があるでしょうか。学校の現場まで余裕がないと、社会の大人たちは誰も子供に向き合っていない、そういったことになりませんでしょうか。教育の現場には、ある程度自由で余裕のある時間が必要です。子供の視点で考えると、どうしても教員の負担軽減に行き着いてしまいます。
そこで、困難な学校を支援するために加配定数という制度があります。この法定定数以外にも、若干の増員が認められている加配定数。しかし、財務省は、子供の減少を理由に教職員全体を大幅に削減する中で、さらに加配定数の縮小も検討しています。費用対効果の根拠の下で方針が出されていますが、教育の効果は道路整備のように目に見えるものではありません。
財務省は、授業の専門家である教員を減らしても、福祉専門家の支援によって問題児童の対策はできると主張しています。確かに、今の学校には教員のほかにソーシャルワーカー、カウンセラー、支援員、相談員、様々いますが、勤務時間は極めて限定的です。埼玉県では、スクールソーシャルワーカーは60市町村で80人、主に社会福祉士が務めます。スクールカウンセラーは臨床心理士が務めますが、県内中学校の3分の2は2週間に1回しか来ません。今の先生に、福祉のことはソーシャルワーカーに相談してくれと言えるでしょうか。結局、福祉をいつの間にか教員に求めてしまっています。
そこで、以下、教育長に質問をいたします。
現場の先生に福祉の役割を求めるのであれば、新たに教員の育成など、職場の環境を整えるための投資が必要であると考えます。また、児童生徒のためには学校と福祉との連携が大事であり、福祉の能力を持つ人材を更に確保することが必要と考えます。教育の負担に対する実態把握と併せて教育長の御所見を伺います。

A 小松弥生 教育長

議員お話のとおり、教員の負担軽減は、教員の働く環境を整え、学校の教育力の維持・向上を図る上での重要な課題と認識しております。
このため、家庭や地域の力をお借りすることや、教員の採用、育成の工夫などが求められます。
教員の育成におきましては、初任者研修等で、児童相談所など外部機関との連携について研修をするなど、教科指導だけでなく全体の指導力向上に努めております。
また、教員採用選考においては、専門性を持った志願者を対象とした加点制度を設けるなど、人材の確保に努めております。
そのほか、学習指導や生徒指導などの課題に対応できるよう、目的に応じた加配教員を適切に配置しているところでございます。
こうした取組を進めるとともに、国の「働き方改革」の議論も注視して、教員の負担軽減に取り組んでまいります。
次に、「学校に福祉の能力を持つ人材をさらに確保すること」についてでございます。
県では、家庭環境に課題を抱える児童生徒への支援のため、福祉に関する専門家であるスクールソーシャルワーカーを市町村に配置しております。
教員がスクールソーシャルワーカーとともに家庭の問題に関わり、生活保護や就労支援、医療などにつなげていくことによって、児童生徒に関わる課題の解決が図られております。
今後とも児童生徒を取り巻く環境を改善するため、スクールソーシャルワーカーなどの専門家を配置し活用することによって、学校と福祉などとの連携をしっかりと築いてまいります。

再Q   吉良英敏 議員(自民

御答弁では、福祉の部分でソーシャルワーカー等を配置し、活用することで環境を整えていくというような御答弁であったと思うんですけれども、それはもう既に配置も活用もされていると思います。これから、例えばどれぐらい増やすであるとか、あるいはどこを改善し、あるいはどこに投資をしていくのかということを、もう一度もう少し明確に御答弁いただければと思います。

再A 小松弥生 教育長

今後のスクールソーシャルワーカーの配置についてでございますが、市町村での活用状況や各学校の抱える課題、そして国の動向などを踏まえ、今後、しっかりと研究してまいりたいと考えております。

再々Q   吉良英敏 議員(自民

国と検討していくという再質問に対する御答弁でありましたが、では、教育長はどのような考え方を持ってこれから検討を進めていくのか、そこは少し明確にお答えいただいたほうがありがたいと思います。どのような考えを持って今後検討していくのか、それぐらいは是非お示しください。

再々A 小松弥生 教育長

今後のスクールソーシャルワーカーの配置についてでございますが、スクールソーシャルワーカーを増やすことも一つの方向でございますし、また、教員自身が福祉のことについて研修等で学ぶことも方向としてございますし、また、それ以外の福祉関係の方のお力を借りるということもあると思います。
それぞれの学校や子供達の抱える課題、これをよく見極めて今後の方策を検討してまいりたいと考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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