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掲載日:2023年7月4日

平成29年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(蒲生徳明議員)

県有施設の総点検で、使えない、使いにくいユニバーサル施設をなくそう

Q   蒲生徳明議員(公明

下肢機能が麻痺で立つことのできない車椅子の利用者がトイレを利用する際、ズボンやスカート、下着をどうやって脱着するのか御存じでしょうか。これを可能にするのがトイレに設置されたユニバーサルシートです。車椅子からシートへ移動し、その上で横になり、衣服の脱着やおむつ交換を行うためのシートです。乳幼児のおむつ交換のためのベビーシートとは異なり、大人も横になれる大型シートです。折り畳んで窓際に収納できるものもあります。
こう説明すると、「ああ、見たことがある」と思うでしょう。最近、少しずつ設置されていますが、まだまだ少ないと感じます。ベビーシートは多く見かけますが、ユニバーサルシートの代用はできません。逆に、ユニバーサルシートはベビーシートの代用ができます。実は、このユニバーサルシートの目的を私は知りませんでした。そして、私に教えてくださった方のお話を通して、障害者の暮らしや思いについて新たに考え直す機会をいただきました。この方のお話を紹介します。
ある日、彼は我慢ができなくなり、初めての施設でトイレを利用しますが、ユニバーサルシートがありません。どうすることもできず、下着を下ろしたままトイレのドアを開け、外を歩いている人に大声で声をかけます。「すみません、お願いがあります」、何人もの人が通り過ぎる中、一人の若者が気づき、彼の体を持ち上げて下着を引き上げることを手伝ってくれました。彼は言います。恥ずかしいし、知らない人だし、相手も嫌だったと思います。障害者の社会参加が叫ばれ、外に出なさいというけれど、最も大切な排泄の環境が整っていなければ、外出なんてできない。今回のように頼むのはつらいし恥ずかしい。こんな思いをすると、もう二度と出かけたくないと思ってしまいます。私はいつも外出するときは水も飲まず、食事も少な目にします、トイレが近くなるからです。同じ思いを持った障害者は多いと思いますと。
私はこの話を聞き、ユニバーサルシートの利用の仕方すら知らなかった自分を恥じました。何が障害者に寄り添うだ、日頃偉そうに話している自分が恥ずかしくなりました。そして、障害者の思いを受け止めなくてはと思い、彼と、そして彼とともにバリアフリーのまちづくりを目指す御友人を県庁にお連れし、福祉部をはじめ県の担当者に直接御要望を聞いてもらいました。その際、お二人がお持ちになったのが地元草加市のNPO法人が20周年記念事業として作成した草加市公共施設バリアフリー調査報告書です。障害を持つ車椅子利用者に市内の公共施設、駅、病院などのユニバーサル施設を利用してもらい、不具合で使えない施設を利用時の写真も載せて紹介したものです。そして、実際に車椅子で実地調査を行ったのが彼でした。
この報告では、まず市内の公共施設の障害者用多目的トイレの中に不具合があることを紹介しています。そもそも広さが足りず、車椅子の動線がつくれない。固定型の大きな手すりや手洗い器にぶつかり、車椅子が便器に近づけない。また、ユニバーサルシートの不足やオストメイト用設備の不足と不備等です。そのほか勾配が急で上れない、そして下るときはもっと危険なスロープ、点字ブロックが床面と同色で見分けられない。グレーチングの網の目が粗く、車椅子の前輪がはまって脱輪してしまうなどがありました。
そこでお聞きします。まず、本県でも県有施設の総点検を行い、実態について把握するとともに、不具合がある場合は設置基準の在り方も含め原因を調査する必要があると考えます。一番大事なことは、利用できるか否かです。利用できなければ、幾らユニバーサルデザインをうたっても造る意味がない。その上で、トイレについてはできる限りユニバーサルシートの設置とオストメイト用設備を普及すること、また障害者が安心して外で活動できるよう、県有施設の中でユニバーサルシートやオストメイト用設備が設置されたトイレの紹介などを行うべきと考えますが、以上の点について福祉部長の御所見を伺います。

A 田島   浩   福祉部長

まず、県有施設の総点検による実態把握と原因の調査についてでございます。
県では、埼玉県福祉のまちづくり条例やそれに基づく整備基準などにより、県有施設や民間の建築物などが誰にとっても利用しやすいものとなるよう努めております。
議員お話のとおり、基準には適合していても、便器や手すりの取り付け位置が適切でないことなどにより、実際には使い勝手の悪いトイレなどもあるかと思います。
このため、県有施設が基準どおりに整備されているか、障害のある方などにとって使いやすいものとなっているかなどについて、関係部局と連携し実態調査を行ってまいります。
その結果、使いづらい施設や設備につきましては、原因について調査し、対応策を検討してまいります。
次に、ユニバーサルシートの設置とオストメイト用設備の普及についてでございます。
障害のある方が安心して外出できるようにするためには、ユニバーサルシートなどがあるトイレの普及が重要と考えます。
県有施設の実態調査では、ユニバーサルシートなどの設置状況についても確認することとし、その調査結果を踏まえ、関係部局と協議しながら設置に努めてまいります。
最後に、ユニバーサルシートなどの設置状況の公表についてでございます。
ユニバーサルシートなどを設置したトイレがどこにあるのかという情報は、障害がある方にとって外出の大きな手助けとなります。
このため、県といたしましては、実態調査の結果に基づき、県有施設のユニバーサルシートなどの設置状況を県のホームページで提供し、障害のある方の外出を支援してまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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