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掲載日:2023年7月4日
Q 蒲生徳明議員(公明)
今後6年間のがん対策の方針を示した第三期がん対策推進基本計画(素案)によると、内容は予防、医療の充実、がんとの共生の三点が柱となっています。私は、がんとの共生という観点では今後ますます重要になるのが治療と仕事の両立だと思います。内閣府の調査によると、治療と仕事の両立が難しいとするがん患者は65パーセントに上り、がん患者の3割は離職を余儀なくされるのが現状です。
一方で、医療の進歩に伴い、がんは不治の病から長く付き合う病へと変わり、現在、働くがん患者は32万人を超えています。こういった中、短時間勤務や柔軟な休暇制度など、がんになっても働き続けられる環境の整備が求められます。ただ、がん患者の治療と仕事の両立支援に関する民間調査によると、中小企業経営者の約6割が両立は困難と回答しています。がん患者の雇用負担は決して小さくないからです。この点、参考になるのが東京都の取組です。がんや難病と闘う患者を新たに採用する、休職していた人を復職させた上で継続して働けるように勤務体系や休暇体系などで後押しするなど、治療と仕事の両立に配慮する企業に対し助成する制度を新たにスタートしました。多くの企業は、貴重な人材である従業員を病気になっても支え続けたいと願っていますが、社会保険料や給与の負担などが重くのしかかります。だからこそ、患者を支える企業に対する助成には意義があります。今こそ県は、患者やその家族に寄り添ったがん患者の就労支援に知恵を絞るべきです。
そこでお聞きします。本県は、定年を迎えた従業員が働くことを可能にした事業者に助成していますが、同様にがん患者の就労に対し、積極的な事業者へ助成も含め、何らかのインセンティブを与えるべきと考えますが、産業労働部長の御所見を伺います。
併せて、がんとの共生の観点から、今後のがん患者への就労支援対策の推進について保健医療部長の御所見を伺います。
A 渡辺 充 産業労働部長
議員お話のとおり「治療と仕事の両立」は極めて大切であり、国の「働き方改革実行計画」でも課題として位置付けられております。
この実行計画では、「この問題の解決のためには、まず、会社の意識改革と受入態勢の整備が必要である。」と明記されております。
一般的にがん患者は長期の療養が必要であるというイメージが強く、多くの企業では積極的な雇用継続や採用に踏み切れないでいる現状もございます。
したがって、まずは、事業者に対し、がん患者の就労に際してどのような配慮をすれば継続した雇用が可能になるかを、正しく理解してもらうことが最も重要であると考えております。
これまでも経営者や人事担当者に障害のある方の雇用を働き掛けてまいりました。そのノウハウを生かし、セミナーの開催や企業訪問を通じてがん患者の就労への理解を深めてまいります。
また、国では今年度から治療と仕事を両立するため事業主に対する助成を始めておりますので、埼玉労働局と連携し、制度の周知にも努めてまいります。
一方、東京都の助成制度は、新たな取組として始まったばかりでありますので、その成果と課題を注視し、今後のがん患者の就労支援施策を検討する上で参考としてまいります。
A 本多麻夫 保健医療部長
がん患者は、社会とのつながりを失うことに対する不安や仕事と治療の両立が難しいなど、社会的な不安や苦痛を抱えながら生活している実情がございます。
このため、予防や医療に加え、「がんとの共生」という視点が対策を進めていく中で不可欠と認識しております。
本県では、埼玉県がん対策推進計画において「働く世代のがん対策の充実」を掲げ、医療機関等とも連携して、がん患者に対する相談支援の充実に取り組んでまいりました。
現在、全てのがん患者が、県内のがん診療連携拠点病院や埼玉県がん診療指定病院で、就労等に関する相談を受けることができるようになっています。
県立がんセンターでは、平成28年度において346件の就労支援に関する相談に対応しております。
主な相談内容といたしましては「職場に対して病状の報告をどのようにしたらよいか」、「仕事を続けたいという意思をどのように伝えたらよいか」、「就職先を探したいのだがどうしたらよいか」などとなっております。
こうした患者の思いや不安に応えていくためには企業経営者の理解と協力が欠かせません。
県では、事業者に対する普及啓発といたしまして、企業経営者向けの啓発講座を開催してまいりました。
主にがんにかかった経験のある方を講師としてお迎えし、平成27年度から平成28年度までの間、計7回184名の方に参加をいただいております。
また、個々の患者の状況に応じた配慮や支援のあり方などについてまとめた「がん治療と仕事の両立支援のポイント」という事業者向けの冊子を平成27年4月に作成し、随時見直しを行っています。
冊子には、がん患者の病状に応じた長期の休暇、休憩時間、通院休暇の確保など、具体的な内容もわかりやすく記載してあります。
今後とも本県のがん患者の実情も考慮しながら、がんとの共生の視点を踏まえ、就労支援対策の推進に取り組んでまいります。
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