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掲載日:2020年7月7日
Q 石井平夫議員(自民)
日本は高度経済成長期、経済の浮き沈みを経て、もはや成熟国家となっています。高度経済成長期までは知識や技術を武器に成功を収めることができました。現在は、国家も個人も世界へとその意識を拡大しています。グローバルな異なる価値観の中で、自らが主体的に考え、力強く生きていくことが求められます。
我が自民党の小谷野議員が今年2月に代表質問でも触れておりますが、野村総合研究所の試算では、10年後から20年後に職業の約半分がAIやロボットの普及により代替可能となると言われています。我々の身近にも、AI技術を活用した携帯電話、掃除機、電子レンジ、冷蔵庫、また洗濯物の自動折り畳み機、約1基160万するそうですが、野村総合研究所の指標ではAIやロボットによる代替性が高い職業百種として、行政事務を挙げています。幸いにも議員はリストにはありませんでしたが、経済産業省がAIに国会答弁を下書きさせる実証実験を始めたこともあります。IBMのスーパーコンピュータがアメリカ大統領選挙に出馬するなどの冗談もあるのではないでしょうか。
このように、将来の職業にも変化が、そして子供たちの将来の夢も大きく変化するでしょう。県議会でも、数多くの関心を集めている学力や体力、特に全国でも順位の低い基礎学力の向上は今後も積極的に取り組むことは当然です。
基礎学力の向上とともに、子供たちには人間として立派な社会人になり、良い社会を担う一員として人格づくりも必要だと思います。小中学校時代は、人間形成で一番大事な時期であると思います。東洋経済オンラインの記事で、欧米では真のエリートとして社会の通念を疑い、真理に向かい社会を導く人を育てるために、哲学的思考を学んでいるとありました。フランスでは、幼稚園児から「正解のない問題」について考え、話し合いをしているそうです。
現在の日本の教育では、考える力を磨く教育を取り入れつつありますが、効果はどうでしょうか。これからの時代、グローバルな国際社会で活躍することはもちろん、劇的な変化に対応できる、すなわち正解のない問題について自分自身の頭で考える力を身に付けることが求められます。フランスの幼稚園では、「愛とは何か」、「自由とは何か」、「平等とは何か」、正解のない問題に自分で考え、話し合いをし、相手の言葉に耳を傾け、更にまた考える。世界に出たときは、このような教育を受けてきた人と相対するのです。
次期学習指導要領では、主体的、対話的で深い学びの実現とうたっております。また、道徳教育が特別教科となっています。この哲学的思考についても研究をし、エッセンスを教育現場に取り入れられないでしょうか、教育長に伺います。
また、このような教育方法は、不登校児童の減少にもつながるのではないかと思います。現在の不登校児童への対応は、心理的ケアや学習補助など対症療法しか行っていません。不登校となる理由は、文部科学省の分類パターンを見ますと、無気力型、遊び・非行型、人間関係型などに分類しています。全てを解消できる万能な方法はありませんが、学校がつまらない、勉強する意味が分からない、人間関係が築けないなどは、哲学的思考で主体性を磨けるのではないでしょうか。
A 小松弥生 教育長
複雑で予測困難な社会において、子供たちが自らの力で人生を切り拓いていくためには、議員お話しのような、正解のない問題を自身の頭で考える「哲学的思考」を身に付けることは、大変重要なことであると考えます。
本県が平成22年度から全国に先駆けて取り組んでいる協調学習は、子供たち自身が主体的に考え、対話しながら、深い学びを引き出す学習です。
教員からは、「生徒たちが、意見を述べ合うことで相互に知見を補い合い、自分の考えを深めていると感じる。」などの報告があり、協調学習は、御指摘の「哲学的思考」の育成にも効果的であると考えられます。
協調学習は、人と人とのつながりを作っていくものでもあるので、不登校の防止にも効果があると考えております。
また、高校生対象のセミナーにおいて、カントなどの哲学を教材として、より良く生きることなど、正に正解のない問題について、対話をとおして、自らの考えを深める事業を実施しております。
平成30年度から、小中学校において順次、特別の教科となる道徳においても、子供たちが自ら考え、議論し、多面的・多角的に考える力を育むことが求められております。
これらの取組をとおして、子供たちが、自身の頭で考え、困難な時代を力強く生き抜き、幸福な人生とより良い社会の創り手となることができるよう、今後とも努めてまいります。
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