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掲載日:2019年6月26日
Q 本木 茂議員(自民)
今年度は現行の5か年計画の最終年度に当たります。県の5か年の方向性を決める計画であり、県議会においても慎重に審査を重ね、一部修正を行い、議決したものであります。その進捗状況は、県のホームページによりますと多くの指標で目標には届かない状況にあります。この数字自体が平成27年9月現在であること、また今年度もまだ9か月を残していることなどを考慮しますと、さらに目標を達成する指標が出てくるのかもしれません。計画でありますから、様々な社会情勢の変化や県を取り巻く環境の変化により、この5年間で当時とは状況が大きく変化したのかもしれません。しかしながら、県民の期待は当然ながら、計画における指標の全ての達成であります。
この場で一つ一つの指標についてコメントすることはできませんが、私は現行の5か年計画の根幹である計画期間中の財政収支見通しについて検証を行ってみました。この財政収支見通しは、試算の前提として県税については経済財政の中長期試算、平成23年8月12日、閣議決定の慎重シナリオを用いて作成したとありますが、あえて成長戦略のシナリオを用いずに固く試算したにもかかわらず、実際の予算や決算と比べて大きなかい離が見られます。
例えば平成28年度の予算比では、歳入で2,125億円、歳出で1,295億円の差額が生じ、要因として消費税率引上げ等の影響や地方公務員給与の引下げなどがあったとしても、余りに多過ぎます。特に投資的経費では591億円の差額が生じ、実態とかけ離れていたことが一目瞭然であります。この先、最終年度にて指標の達成度合いが明確になるわけでありますが、個々の施策の難易度も含めて5か年計画の効果をきちんと検証する必要があります。特に投資的経費の在り方についての議論を深める必要があると考えます。
また、現行5か年計画では計画の着実な実行に向けてPDCAサイクルを確立し、県民生活への効果を評価した上で、次年度以降の予算や組織編成に反映させるとあります。この県民生活への効果とは、県民満足度を指し、平成24年度の51.8パーセントから、直近である平成27年度の52パーセントへのわずか0.2パーセントの微増でしかありません。これでは本当にPDCAが回っていたのか疑問に感じます。
現行5か年計画は、計画と現実との間のずれを埋めるいわゆるローリングの手法に課題があるのではないかと考えます。
そこで、知事にお伺いをいたします。
この5か年計画は、時代の変化に対応した新たな社会モデルの構築を目指した計画であったはずなのに、県民満足度が計画当初に比べ0.2ポイントしか増加していない事実を知事はどう捉えているのか。私は、各部局が個々の指標の達成にのみ目が行き、計画全体のPDCAが回らなかった結果だと考えますが、計画の推進に当たり、知事はどのようなリーダーシップを発揮されたのかお伺いいたします。
現行5か年計画を見ても、今後の県政運営に対しては投資が重要になると考えますが、知事はどのように捉えているかお伺いいたします。
現行5か年計画は今年度で終了し、来年度から新たな5か年計画がスタートを切ることになります。この新たな計画については野心的な目標設定も必要になるとは思いますし、現計画の目標を引き継ぐもの、また現在の社会状況等を勘案して新たな取組を設定するものと様々になると思われます。
計画達成年度は5年後ですから、知事はさすがにもうその席にお座りにおいでのことはないであろうと拝察をいたしますが、この新たな計画について知事はどのようにお考えなのでしょうか。
A 上田清司 知事
まず、県民満足度が計画当初に比べ0.2ポイントしか増加していない事実をどう捉えているかについてでございます。
平成24年度からの4年間の県民満足度が51から52%で、ほぼ横ばいで推移していることは、大変残念でございます。
本来は、5年間を通じて県民満足度が年々上がっていくことが理想だというふうに思っております。
52%という数字は、16項目の満足度の平均値でございます。個々の項目の動向をよく見て満足度の低下したものもあれば、改善できるよう工夫をしなければならないと思っております。
例えば、「誰もが力を発揮しいきいきと活躍する」という項目は、平成24年度から平成27年度までの間に6.5ポイントと満足度が最も上昇しました。
この中身はたぶん、若者や女性の就労支援や発達障害者支援などの施策がプラスに働いたものではないかと思われます。
他方、「一人一人が心豊かに暮らせる地域社会をつくる」という項目は3.8ポイント低下しております。
実質賃金が5か年連続で低下したり、児童虐待や高齢者虐待などの暗い社会現象が相次いでいることなどが県民の心理に影響を与えていると思われることもございます。
満足度の数値は県の取組は当然のこと、ご指摘のように社会、経済情勢とともに国や市町村の施策などの影響を受ける面もございます。
しかし、県はそういった部分はともかく、県として満足度を上げるための最善の努力をしていかなければならないという認識を持っております。
次に、計画推進に当たりどのようなリーダーシップを発揮したかについてでございます。
前の5か年計画が終わる平成23年度の時点で県民満足度の低かった項目は、「高齢者介護の推進」や「熟年・若者・女性パワーの発揮」でございました。
私は、これらの課題そのものをどう解決すべきかと考えてまいりました。
毎年、年度当初から担当部長と現状分析を含めて意見交換を重ね、事業執行に工夫をするとともに、翌年度の予算編成につなげてまいりました。
これまで「健康長寿埼玉プロジェクト」や「埼玉版ウーマノミクスプロジェクト」を積極的に進めてまいりましたが、こうしたものは、県民満足度の向上に一定の効果はあったのではないかと推測をしております。
さらに、常々、職員には、県政の課題を客観的に数字で把握するように、「虫の目」だけでなく「鳥の目」や「魚の目」を持って、問題の本質が何かを考えるように指導してまいりました。
このため各部局は、個々の指標の数値達成に努めるとともに、課題そのものの本質的な解決に取り組む努力をしております。
次に、今後の財政運営に対して投資が重要になると考えているが、どのように捉えているかについてでございます。
私は、県政における投資の規模については、県内事業者など県経済への影響に配慮し、国と県を合わせた事業量を常に安定的に確保することが必要だと思っております。
例えば、平成28年度は、圏央道や武蔵水路の整備などが一段落したこともあり、国の事業量が減少することが明らかになっておりました。
そのため、県単独の道路・河川事業を前倒し、前年度比10%以上の伸びを確保することで、全体の事業量を確保したところでございます。
また、昨年3月にオープンした「西部地域振興ふれあい拠点」の整備など、将来の地域の発展を見据えて必要な投資をこれまで進めてまいりました。
今後も、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックなど本県の発展の好機をしっかりと生かすために、さいたまスーパーアリーナ、埼玉スタジアム2002、熊谷ラグビー場の改修など、丁寧にしかもしっかりとした投資を行ってまいるつもりでございます。
次に、新たな計画についてどのように考えるかについてでございます。
県民の安心や活躍の実現、生活の豊かさなど、5か年計画が長期的に目指す姿については、新たな計画においても大きくは変わらないと考えております。
しかし、これからの10年を見据えると、本県はいわゆる「2025年問題」という言葉で表される新しい変化に直面しております。
生産年齢人口が引き続き減少する一方、75歳以上の後期高齢者は10年間で1.6倍という全国一のスピードで増加いたします。
若い働き手が減り、異次元の高齢化が進む中、誰もが未来に希望を持てる活力のある社会を創ることが大変困難ですが必要です。
また、首都直下地震をはじめとする災害等にも、切迫感を持って備えていく必要がございます。
さらに、オリンピックなどの開催という好機や、高速道路、新幹線など交通の結節点となっている本県の優位性を生かし、持続的な成長を実現することなどが求められております。
こうした時代の潮流をしっかり捉えながら、新たな取組と継続的な取組の両方を含む、今後の施策体系全体を新たな5か年計画でお示しをしたいと思っております。
また、施策ごとに指標もお示ししたいと考えています。
できる限り個々の取組だけではなく施策全体の進捗を表す指標を設定できるよう工夫してまいりたいと思っております。
今後5年間の県政の課題に的確に対応した計画案となるよう努めてまいりますので、県議会や県民の皆様にも様々な角度から御意見をいただきたいと考えているところでございます。
注意:議員の氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。
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