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掲載日:2025年2月10日

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 市民参加DXによるまちづくりのヒント テキストページ

<セミナー>
<クロストーク>

セミナー

 オープニング

モデレーター 加藤勝

お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから埼玉版スーパー・シティプロジェクトの推進に関しますオンラインセミナー「市民参加DXによるまちづくりのヒント」を始めさせていただきます。

私は本日のモデレーター役を務めます、株式会社官民連携事業研究所の加藤勝と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私ども官民連携事業研究所は、社会課題をビジネスの力だったり、新たな技術、新たなアイデアで解決したいというような企業と自治体をおつなぎして、新たな切り口での社会実験ですとか、社会実装、そうした展開のお手伝いをさせていただいております。

今回、埼玉県から埼玉版スーパー・シティプロジェクトの推進に関する市町村と企業のマッチング強化の取組、そうした取組へのサポートを担わせていただいておりまして、その一環として、本日のこのセミナーの企画運営も携わらせていただいております。どうぞよろしくお願いします。

本編に入ります前に、まず、このセミナーの趣旨を私の方から簡単に説明します。繰り返しになりますけれども、このセミナーは埼玉県が推進いたします埼玉版スーパー・シティプロジェクトの取組の一環として開催するものです。

埼玉版スーパー・シティプロジェクトというものは、今後、超少子高齢社会が進展していく、それに伴って社会課題というのも複雑・多様化していく中で、企業と自治体とが共につくる「共創」という考え方の基に、コンパクト・スマート・レジリエントという3つの要素を兼ね備えた持続可能なまちづくりを推進していこうとする、まさに未来志向のプロジェクトです。

こうしたプロジェクトを皆さんに広く知っていただく、皆さんと一緒にプロジェクトを起こしていく、そういう機運を盛り上げていく、という趣旨でこのセミナーを開催しておりまして、今年度2回目の開催となります。

1回目はちょうど先月開催しました。「スマートシティ実装のヒント」というテーマで開催しまして、これもまた、素晴らしい御講演をいただきました。アーカイブが埼玉県のホームページで公開されておりますので、是非、後ほどこちらも御参照いただければ幸いです。

本日は2回目の開催です。今日は「市民参加DXによるまちづくりのヒント」をテーマに開催します。本日は、まちづくりや市民参加、DXに関心のある方が、皆さん参加いただけているものと思います。聞くということに終わらせず、今後の横展開だったりとか、一緒に次のアクションにつながるような、そういうヒントを得ていただきたいというふうに考えております。

なお、このセミナーは後日アーカイブ動画の配信もあるために、レコーディングをしておりますので御承知おき願います。

また、セミナー実施中は、画面及び音声はミュートでお願いします。その一方で、本日はオンラインでの開催でもありますので、オンラインのチャット機能をフルに活用してまいりたいと思います。講師の御講演中でも、私の発言中でも結構ですので、どんどん感じたこと、気が付いたこと、あるいは疑問点などをチャットにお寄せいただければと思います。御質問については、御講演の後にトークセッション形式で質疑応答もやり取りしていきたいと思います。そこで拾い上げていきたいと思いますので、どんどんお寄せいただければと思います。

それでは、ここから本編に入ってまいります。セミナーの前半は講演になります。御登壇いただく講師の株式会社Groove Designs(グルーヴデザインズ)代表取締役の三谷繭子さんを私から紹介します。

三谷さんは都市開発のプランニングから事業推進、整備後のエリアマネジメントやパークマネジメント等のスキーム構築、地域コミュニティと共同した組織づくりなどに多く携わられた経験をお持ちです。そうした経験をもとに、2017年に(株式会社)Groove Designsを起こしまして独立されました。都市環境デザイナーとして全国各地でまちなかのプレースメイキングプロジェクトや地域主導のまちづくりプロジェクトを御支援されております。

本日お話をいただくテーマは「市民参加DXによるまちづくりのヒント」です。では三谷さん、すでに今画面は映っておりますけど、御準備いかがでしょうか。では、ここから三谷さんにお願いします。

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 登壇者自己紹介

登壇者 三谷繭子

はい、御紹介ありがとうございます。株式会社Groove Designsの三谷と申します。今日は多数の方に御参加いただきましてありがとうございます。では、画面を共有させていただきます。

今日は市民参加のDXというテーマで、先ほど御紹介いただきましたけれども、少し私の方からも自己紹介をさせていただきます。

三谷繭子と申します。株式会社Groove Designsで代表をしているとともに、実は2年前に広島県福山市という地元のまちに戻ってきて、Uターンをしてそちらで地域のまちづくりを地元の企業として、大和建設株式会社という建設会社の役員としても、地域プレーヤーとしても、いろいろと活動をしております。

ですので、自己紹介するときにいろんな顔があるので、(資料の)こういったスライドで御紹介しているんですが、一つはまちづくりのコンサルタントとして地域に自分自身がしっかりと入っていって、行政の方、企業の方、地元の方との間に入ってコーディネートしたり、都市計画のバックグラウンドの部分に基づいて専門的にコンサルティングをして、一緒にロードマップを作っていくというふうな仕事をするというところを一つやっております。

(資料に記載されている)細かいこういった内容は、このあたりも御紹介させていただくのですけれども、それからもう1つ、顔が地域に根付いた事業者としてまちづくりの中でハードを作るというところも、ソフトとハード両面を動かしていくところで、建築ですとか、土木の施工会社として、地域の価値づくりに携わることもやっております。実は家業で、こちらはやっておりまして、ふくやま本通り商店街というエリアに根付いて、自分たちもこういった(資料の)右下のようなコミュニティの拠点を運営したりもしております。

もう一つ、これが今日メインで御紹介するところなんですけれども、当社Groove Designsがちょっとユニークなところが、先ほど話したことに加えて、国内唯一と多分言えると思うんですが、都市デザインDXを行っている会社であるというふうに思っています。

私自身は都市デザインですとか、まちづくりの専門性を持ってやっているんですが、2020年から行政DXですとか、地域のDXの専門家も取締役としてジョインをして、この2つの専門性を持って、新しい領域をやっているのが今日御紹介するメインの市民DXといったところになっております。

地域エンゲージメントプラットフォーム「my groove(マイグルーヴ)」という、デジタルプラットフォームの開発と御提供、それからそこの伴走支援のコンサルティングをしておりますので、今日のいろいろと御紹介するケースが皆さんのまちにも少し当てはまるよう、御参考になればいいなというふうに思っております。

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 本編

登壇者 三谷繭子

Groove Designsはそういったいろいろな形のアウトプットをしているんですけれども、ビジョンとミッションというものを置いていまして、まちにグルーヴを生み出すということをビジョンに置いております。グルーヴって何かというと、音楽用語で「ノリ」みたいな言葉なんですけれども、私は前職で土地区画整理事業のコンサルティングをやっておりまして、非常に多くの地権者さんですとか、本当にいろんな方が存在しているのが本当に「まち」であるし、その方々が一緒に取り組んでいける方向性を作っていくというところが、やはりまちづくりの面白さの醍醐味だなというふうに思いまして。本当にいろんな方が、それぞれの気持ちですとかを持ちながら、それぞれのノリが合わさって一つの方向にまとまって進んでいく、それがグルーヴというふうに例えて、まちのグルーヴを生み出す、というふうなことをビジョンに置いております。

そういった中で、仕事の御紹介も一部させていただくのですけれども、例えばコンサルティングの部分では今、3年間携わっております甲府市とか、官民連携まちなか再生といったところもお手伝いをしております。

甲府市はまちなかの衰退が少し見られるといった中で、官民で一緒にまちなかのビジョンを作って、エリアプラットフォームという組織を作ってそこでビジョンを作る。かつ、ビジョンを作って終わりではなくて、それを実行するために社会実験をしたりですとか、それを繰り返しながら自動化していけるような事業を作っていくというところの伴走支援もしております。

それから、地域の仕事と国の仕事もやっておりまして、「歩行者利便増進道路制度」という、道を地域のにぎわいのために使ってもいいよという制度が2020年にできたんですけれども、こちらの広報、これをいろんな地域でもっとよく使ってもらうために、広報の活動をウェブの発信だけではなくて、地域に赴いて一緒に地元の方たちとミーティングをしたりですとか、イベントをしたりというふうなことも含めてやっております。

それから、自治体だけではなくて、企業のまちづくり支援もしておりまして、最近、もしかしたら今日もいらっしゃるかもしれないんですが、企業がまちづくり、地域づくりに関心を持って、もっとやっていきたいというふうな方たちも多くて、NECソリューションイノベータという会社が白浜町という和歌山県の町で取り組んでおられる白浜リビングラボという拠点づくりから、そこのプロセスをどんなふうに地域の方と進めていくかといったところの伴走の支援をしたりとか、企業とも伴走しております。

こちら(「小山駅前周辺エリアまちづくりプラン策定プロジェクト」のスライド)は今日お話ししますので飛ばすんですけれども、まちなかエリアのまちづくりプランの策定プロジェクトなども、こういったデジタルを使いながら、伴走支援をするということをやっております。

今日のキーワードなんですけれども、「市民参加」と「DX」と「デジタルプラットフォーム」、この3つをキーワードにお話をしていきたいと思うんですけれども。市民参加、今日の御関心を持って来てくださっている方たちは市民参加を促していきたいっていうふうに思って参加してきてくださっているとは思うんですけれども、とはいえ手間がかかるとか、ともすればどこまでやればいいのかとか、いろいろ迷いを持ちながらやられているかなというふうに思っています。

私たちGroove Designsという会社、それから私自身も、まちづくりのプロセスの中に市民の方に関わってもらうっていうことをすごく重要視してやっておりまして、それは今の人口減少社会の中で特に大事かなというふうに思っていますので、ちょっと前段が長くなるんですけれども、私自身の現体験としてなぜこういったことをやっているのかといったところも短時間お話させていただければと思っています。

先ほど広島県福山市にUターンしましたというふうに言ったんですけれども、実は私は18歳までここで育ったんですが、もうすごく出たくて、ここから出たくて大学は関東に行ったと言っても過言ではないぐらい、まちが嫌いで、本当に出て行ったというふうなタイプの人間でした。

やっぱり、一人の高校生だった私にとっては、このちょっとつまらないなって思っていたまちも自分の意思では変えられないっていうすごく無力感ですとか、なんか諦めといったものを感じていて、だったらもう外に出ていった方がいいやというふうに思っていたんですね。おそらく今、人口の地方から流出があるっていうのを同じように思っている方が多いんじゃないかなというふうに思いますけれども。そんな中で、大学は関東の大学に行きました。地方から学生が集まっている大学でしたので、自己紹介するときに「どこ出身?」っていうふうな話が最初に上がるんです。そういった時にみんな友人たちが自分の地元のことをすごくキラキラした表情で語るっていうのが、ものすごくカルチャーショックが大きくて、「地元って嫌いなものなんじゃないの?」っていうのが私の中の前提だったので、すごくびっくりしたと同時に、なんかすごく純粋に羨ましいなっていうふうに思いましたし、自己紹介した時に自分はすごく気まずさを感じていたので、そういった育ったまちっていうところと、そこで体験したことっていうものが、なんていうか、自分自身のアイデンティティですとか、精神的な豊かさっていうものにも影響するんだなっていうふうに感じた出来事でした。

ですので、そこで初めてまちっていうものに疑問を持ったり、向き合ったりしたんですけれども、みんな自分たちのまちに住んでいて、一番身近な存在なのに、心の距離が遠いって何でなんだろうなっていうところで、現代社会の中では、自分の家と職場とか、学校とを往復するだけで生活って成り立ちますので、なかなか地域と関わったりとか、それから行政がやっていることに、自分が意見をしてそれが反映されたりするっていうことが実感持てないっていうのが、正直なところかなというふうに思います。なので、その関わりをどう作っていくかっていうところが、私のGroove Designsっていう会社を立ち上げてやっている原点になっています。

その中で、就職をした後、参加の体験っていうものを自分自身がやって、この「参加の体験」っていうものが先ほど言った、まちとの関わりっていうものとか、まちと自分のつながりを強めていくんだなっていうふうな経験をしまして。東京で働いている20代の頃に、地元のいいものを作る、いいものを集めた、地元の方たちで集めたギフトカタログを作るっていうプロジェクトを始めたんです。

それで、実際いろんな方に話を聞きに行ったり、地元のものを知ったりっていうふうなプロジェクトではあったんですけれども、ずっといろんな地域の何かに関わってみるっていう参加の体験でまちの見方が全然変わって、嫌いだったまちに対して前向きになれたっていう経験がありました。

ですので、「自分のようなちっぽけな存在では、今あるまちって変えられないな」って思っていたものに対して、自分が関与することによって何か変えていけるかもしれないっていう可能性を感じましたし、また、自分が感じる課題感に背かないで、ちゃんと関与できる機会を作ってみるっていうことが重要だなというふうに改めて感じたところです。

そこが最終的にこんなまちだからしょうがないよねっていうふうな話をしているんじゃなくて、自分がまちに対して参加したり、アクションすることで、自分自身がワクワクして暮らせるよねというふうな実感につながっていくというふうなところを、これまでの地域との関わりの業務の中を通じて、自分自身もその変化をまちの方たちと一緒に作ってきたなというふうに思っています。ですので、参加をするっていうことが大事だよねということではあるんですけれども。

例えば従来型のワークショップですとか、協議会ですとか、説明会ですとか、そういったところが地域のプロジェクトを進めていく、特に行政の方が進めていく中で、住民の方と最初に接点を持つところになりやすいと思うんですけれども、それだけではどうしてもそこに行けない立場の方ですとか、それから裾野を広げていくってことができないという課題感も非常に感じてきました。

というところで、市民参加とデジタルを、もっとデジタルを有効活用して、市民の方たちが参加できるというふうな地域の取組ですとか、活動の間口を広げていくっていうふうな形で推進していけるようなサービスを立ち上げたらいいんじゃないかというふうなことでやっております。

ちょっと繰り返しになるんですけれども、まちづくりの現場でよくある課題感として、やっぱり参加する方がだんだん固定してきたりですとか、限定的になってきてしまう。それから、市民の人たちが持っている本当のニーズってどこにあるのっていうのが、分からなくなってくるというのがよくあるかことかなと思います。

それから、要望を上げてくる市民の方たちだけではなくて、どちらかというと一緒に活動してもらったり、担い手になってもらえるような方たちを増やしていきたいんだよなって思っている自治体の方も多いんじゃないかなと思います。取組自体がなかなか知られていない、あとはしっかりした合意形成をする前に、ちょっと柔らかい状態で感触を知りたいんだっていうふうなところも抱えている方が多いかなというふうに思います。

というところで、実はその自治体と市民の側っていうのは、思っているよりも情報ですとか、認識の格差があるっていうことを最初に自覚しないといけないなというふうに思います。

「届けているつもりだけど、届いてない」、「伝えているつもりだけども、伝わっていない」っていうところが最初にあるんだっていうところを、認識して始めるっていうのが大事ですというところを、まず、いろんな方たちにお伝えしながら、私たちもプロジェクトをフラットに、ちゃんと届くようにしていこうというふうにやっております。

さっき言った参加が少ないっていう現状が皆さんのまちでもあるかなと思うんですけれども、弊社で独自に行ったアンケートがありまして、参加してないんだけれども、実は地域のプロジェクトや事業を手伝いたいとか、参加したいっていう方たちが一定層いるのではないか、特に若い層に、というふうに考えておりまして、調査を行いました。

これがデータなんですけれども、参加意欲に関する様々な質問をしているんですが、「手伝いたいな、といった漠然な意欲はあるものの、まだ参加していない」っていう方たちが(資料の)このアンケートのオレンジ色の部分のように非常に多くいる、いわゆる潜在層の方たちがいらっしゃるということが見えてきています。この方たちが、今参加ができていないっていうのはなんでなんだろうというところが、今、新しいやり方を切り開いていくヒントになるのではないかというふうに思っています。

続いて、もう一つ、情報共有なんですけれども、日本では今日お話するデジタルプラットフォーム、まだまだこれからっていうところなんですけれども、「世界では、どうなの?」っていうところも御紹介したいと思っています。市民参加を促していくためのデジタルプラットフォームというものが、世界、特にヨーロッパですとか、アメリカでは非常に多く、もう浸透しておりまして、プラットフォームのサービスも選べるぐらいあります。有名なものですと、例えばCitizenlab(シチズンラボ)というものです。

あとはdecidim(デシディム)という日本でも一部、加古川市が先駆的に活用されていて、今いくつかの自治体でも導入されていますが、オープンソースのバルセロナ発の参加型合意形成プラットフォームですね。それからNeighborland(ネバーランド)ですとか、coUrbanize(コアバナイズ)というふうな、いくつかのサービスがありまして、それぞれプロジェクトに応じて最適化したものを選んで活用されていると。

アメリカにお住まいの都市プランナーの方に、「実際、アメリカでどうなの?使われているんですか」っていう話を聞いたことがあるんですけれども、利用パターンはかなり様々あるんですけれども、計画策定時の意見聴取ですとか、それから首長さんが交代する時の政策アジェンダ作りですとか、いろんなところで活用されていると。もう10年ぐらい前から活用されているというふうなことでした。

目的が3つあるというふうに言われていまして、1つは「機会の平等性」を作っていくこと。これは、インクルージョンというふうな言い方で言われることもありますけれども、やっぱり参加の垣根をなくしていくこと。海外で言うと、人種ですとか、移民の問題ですとかっていうふうな多様な方がいらっしゃるので、そういった方をエンゲージメントしていく。

日本で言えば、まちづくりというところで言うと、若い世代ですとか、女性の参加が少ないというところがよく言われるところですので、そういった方たちも、参加のしやすい形って何なのかというところですね。

それから、「前向きな空気感の醸成」といったところで、プロジェクトのブランドイメージを作っていくっていうことも非常に重要になってきています。透明性を作るっていうところもそうですし、あと、「このプロジェクトって、市民の意見ちゃんと丁寧に聞いていていい感じだよね」というふうに、前向きな空気感を全体として醸成していくというところですね。

3つ目が「費用対効果」というところで、デジタルの活用はこれからどうしても必須になってくるところではあるんですけれども、ゼロベースでそういった意見収集のシステムを立ち上げるよりも、必要な機能が揃っていて、プラットフォームのそういったサイトが使われているといったところもありました。

私たちはこういった同様の課題感ですとか、必要性が日本でもあるなというふうに感じておりまして、my groove(マイグルーヴ)というデジタルプラットフォームのサービスを展開しております。

これは地域のエンゲージメントプラットフォームというふうに呼んでいるんですが、地域と自分の関わりを強めていくというふうな意味合いで、エンゲージメントと言っておりまして、その先にアクションしていくというふうなものがありますので、その関わりを強めていくためのきっかけとして、こういったデジタルをうまく使っていくというところが、これから重要じゃないかなというふうに思っています。

現状は、参加したいなって意欲を持っている方たちが参加の機会が見つからなくて、「関わり方が分からないよ」といった方たちを、「多様な参加の機会があるよ」というふうにきちんと、もちろん今までやってきているようなワークショップの場、イベントの場、説明会の場といったものも必要なんですけれども、オンラインの機会もしっかり作っていくことで裾野が広がりますし、参加を通じてやっぱり効力感を高めていくことで、アクションをする方たちも増えていくというふうに思っています。

my grooveなんですけれども、仕組みは、大きな流れは単純でして、今までどちらかというと「こういった地域づくりの現場に来てくださいね」っていうふうな呼びかけが最初にあったかなと思うんですけれども、デジタルのこのプラットフォームは、まちづくりの情報を掲載していくのに最適化されたUI(ユーザーインターフェース)にもなっておりまして、自治体さんのホームページなどよりもプロセスが、経緯もしっかりわかりやすく載せていくといったところ1つ特徴なのと、閲覧するユーザーさんは誰でも登録をしなくても、全ての情報が基本的に見ることができます。

それで、ユーザーの「もうちょっと知りたいな」という方がユーザー登録すると、その掲載している情報のプロジェクトのお知らせが届いたりですとか、それから、オンラインで意見募集をしている時に意見することができるとか、ちょっとアクティブに使えるようになってきます。そこから情報を知って、リアルな現場と言いますか、まちづくりの場に参加するっていうふうに、オンラインで、スマートフォンで何でも調べられる時代ですので、ちょっと情報を得て安心感を持って参加することができるとか、オンラインの入り口にしていって、ハードルを下げていくというふうなことで、有効に使われています。

ここから事例を通じて御説明をしたいと思っているんですけれども、1つが栃木県小山市で行っている「駅周辺まちづくりプラン策定プロジェクト」というものがあります。

こちらが、まず、どんなプロジェクトかを御紹介しますと、小山駅という新幹線が止まる駅があるんですけれども、栃木県の南側にありまして、結構、都内に通勤する方も多い立地になっております。

この小山駅から1キロ圏内ぐらいのエリアを設定しまして、このエリアのまちづくりのビジョンを2年間かけて官民で一緒に作ろうと。行政だけで作るのではなくて、行政と民間の市民の方と一緒に持ち合うビジョンとして、自分ごととして、まちづくりに取り組む指針とするっていうことを目的としたビジョンになっています。

こちらも1年目はアンケートを取ったりですとか、ワークショップをやったりですとか、いろんなことをやられていたんですけれども、なかなか目標に達するほどの参加はなかったというところで、2年目の途中、(資料の)1、2というところが最初のアンケートをしたりですとか、大きな方向性を作るというところだったんですが、将来イメージを作っていって、それに対して意見を求めていくといったところにmy grooveを活用していただきました。

先ほど申し上げたように、ちょっと取組がわかりにくい、流れがわかりにくい、というところもあるので、プロジェクトのウェブページをお見せしたいなというふうに思いますので、画面を切り替えたいと思います。

こちらが、my grooveのページになっています。先ほどお話をした小山市のプロジェクト、こういった形でプランがページに載っていまして、このプロジェクトについて私たちが目指すことですとか、何でやっているのといったところが簡潔に、縦型のスクロールで見られるようになっています。このプロジェクトマップという機能のところで、先ほど言った経緯を、きちんと時系列で載せられるようになっています。

特にまちづくりのプロジェクトって、いつも私、思うんですけれども、まちづくりの一環でイベントをやっていても、そこを通りかかった方とか、それを見た、それしか見ていない方には「なんかイベントをやっているな」で終わってしまうと。

そうではなくて、何か課題があったり、かつ目指している目標があって初めて、その現在地のイベントがあるんだよというところを結構、くどくど説明しないと伝わらなかったりするんですよね。それも「すごくもどかしいな」というふうに現場でよく思っていまして。今、このプロジェクトマップというもので、このまちの魅力やニーズというところで、ワークショップですとか、アンケートの様子が見られますと。

このまちづくりの方向性といったところ、こういったところで、第2フェーズとしてこのゴール、9つのゴールを作りましたと。次のフェーズで、「将来イメージを作っているので、これに対して意見をください」というふうに、途中から参加した方もちゃんと経緯が追えて、そこから参加できるというふうな動線を作れるというのも、デジタルならではかなというふうに思って、このシステムの設計をしています。

例えば、この意見募集についてはビジョンが完成する前、11月から12月ぐらいに意見募集をしました。大体、(ビジョンが)できてしまってからパブリックコメントで意見募集をするっていうことが多いかと思うんですが、それでは変更がなかなか効きませんので、柔らかい状態の、こういったポンチ絵と言いますか、イラストを少し書いたりですとか、説明文を添えて、こういった形で皆さんに御意見をいただくことをしています。

(資料は)後ほどゆっくり見ていただければと思うんですけれども、結構、皆さん今までの情報もしっかり見ていただいて書いてくれているなというふうな意見が非常に多くて、自分たちの、今、日常感じる課題感から提案まで、しっかり書いてくださる方が多いなというふうな印象を受けております。

それから、こういった投稿をして、ウェブアンケートだと他の方の投稿って見られないと思うんですけれども、他の方の意見も読んだ上で、自分はどう思うかなといったところを確かめながら書けるというところも、反映の即時性のあるプラットフォームのいいところだなというふうに思っていまして。例えばこの、歩さんという方が書いてくれているのは、ドグさんという前に意見をしてくれた方の意見に対して、「非常に共感しました」と。「そういった流れが作れるといいですね」というふうに重ねてコメントするということも起きてきています。

それからリアルなマルシェのような場で、ボードに付箋を書いてもらったようなものも統合して、ここには後ろの方に書いているんですけれども、このように並べて書くと、意見の質っていうのも結構違ってですね。その場で付箋に書くものって、その場で考えてパッと書くので、結構、こういった一文で意図がちょっと汲み取りにくいような、最終的なアウトプットだけが書かれるものって多いんですけれども、ウェブですと、例えばお昼休憩時間とか、仕事から帰って夜中とか、(そのような時間に)書いてくださる方も多くて、しっかり考えて書けるっていうことで、意見の密度が高いというところがすごく特徴かなというふうに改めて見て思っています。

ちょっとまたスライドに戻りますけれども。こういった柔らかい素案の段階から意見募集をするっていうふうなこと、それから可視化をしていくっていうことが1つポイントです。

この3週間弱で、コメントとリアクション、ハートマークでリアクションができるんですが、合わせて700件ぐらい収集できました。コメントだけでも約200件集まっていまして、なかなかこの数、一般的にパブリックコメントで集まらない数かなというふうに思うんですけれども、しっかり広報して、これまで声が届きづらかった方たち、情報を届けにくかった方たちが、ちゃんと書いてくれたっていうところも非常にありました。小山市を離れた方も意見をしてくれるっていうところもありました。

こういった特設サイトを利用した方たちにも、アンケートを改めて取ったんですけれども、こういったビジョンを作った後の実行段階にも関わっていきたいといった方が、サイトを訪問しただけの方よりも、やっぱり会員登録をした方は90パーセント以上が今後何らか関わりたいっていう方が多いというところも見えてきています。登録をしていただくと、その後、メールアドレスで登録をしていただくので、継続的につながってお知らせを届けることができるっていうところも、このプロジェクト主体としてもそういった方とつながり続けられるといったところもあります。

ユーザーの声、自治体職員にとってはどうだったんですかといったところなんですけれども、一つは、「収集した意見で見落としていた視点っていうのがあったので、そこに気づかされた」という話ですとか、それから「プロセスの透明性を高めることができた」。あと、「付箋をわざわざ打ち換える必要がなくて省力化できてよかった」っていうコメントなんかもありました。

市民の方の登録ですけれども、1ポツ目は、先ほどお話したとおりなんですけれども、「他の人の意見とか思いを知ることができてよかった」っていう声もありまして、「みんなもそう思っているんだということが分かって、自分も積極的に関わっていきたいと思う」というふうなことを言ってくださる方もいらっしゃいました。

当初は批判的に捉えていた方たちも、こういった参加のプロセスを通じて、やや前向きになってくれたといったところも効果としてありました。ですので、こういった段階から市民の声を聞く意味としては、1つは、事業推進をする側からすると、そういった後押しをする層を巻き込んでいけるというところが非常にあると思います。

それから、事業推進時のリスクを回避するという側面も、やはり非常に重要でして、既に出ていた意見に賛成できずに、「反対です」とか違う意見があることをやっぱり知ってもらいたかったんだっていう方たちもいて、そういった声もありました。そういった方たちも、ちゃんと自分でそれを表明するってことが、場があるというところが大きいところかなと思います。といったところも、この事例ではいろいろと見えてきたところです。

続いて、事例の2つ目御紹介します。歩いて楽しいまちを作るということで、北海道の札幌市の事例になっております。

アジェンダを少し御紹介するんですけれども、札幌市では令和4年度に策定した「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」というビジョンを策定されています。この重要施策の一部として、ウォーカブルシティ、歩いて楽しいまち、歩いて居心地のよいまちっていうふうに言われていますけども、そういったウォーカブルシティの推進というものを掲げていまして、かなり重要視されています。

その目指すべき都市像の中で、このウォーカブルシティをどのように進めていくかというビジョン策定を今年度進めていまして、2か年かけて進めていくということになっております。そのパイロットプロジェクトのような位置づけで、札幌市の宮の沢地区というところで、昨年度事業を行っていまして、お手伝いをさせていただきました。

宮の沢地区というのが都心から地下鉄で6.5キロほど離れた地下鉄駅の終着点なんですけれども、こういった周りが住宅地だったり、それから、白い恋人というお菓子、皆さん御存知かなと思うんですけれども、そういった白い恋人のテーマパークのようなところがあったりというふうな場所になっています。このビジョン作りも、宮の沢のウォーカブルのビジョン、未来ビジョン作りも、こういったワークショップも実施しながらやってきました。

ただ、札幌市さんのもともとのお悩みが、若年層ですとか、女性の参加が少ないっていうふうなところがお悩みポイントでした。それから、継続的な参加者が少ないっていうところもありまして、今回、結論から話すんですけれども、結果としてオンラインも含めた参加者の世代は、20代から40代が76パーセントを占めるということとなりました。

オンラインのワークショップと、オフラインのワークショップと、オンラインの意見を合体させて、最終的にビジョンに反映させているんですけれども、トータルで76パーセントほどが若い方になったと。それから、オフラインのワークショップに2回参加した方は14パーセントだったんですけども、my grooveの意見募集を2回行いまして回答した方は39パーセントということで、参加した方がやっぱり手軽っていうところもあって、意見を出しやすかったっていうのがここから見えるのかなと思います。

なので、オフラインの場に参加するほどではないんだけども、意見を出すのであれば参加できるっていうそういったライト層、そういった方の参加意欲っていうのが非常に高くなったというところです。

この宮の沢のプロジェクトも、こういったプロジェクトマップに、先ほど小山の事例でも見せましたプロジェクトマップにまとめていまして。まちづくりの現状はどうなの、そのあとワークショップの前に、事前の意見募集を行ったり、それからワークショップの意見募集と当日のレポート、最後にビジョンを公開しますというふうに順を追って見ていけるという構成の整理なども一緒に行わせていただきました。

最初にどういうプロセスで進めていくのかっていうところを、しっかり見通しをつけるっていうところが、スタート時点のすごく大事なところになっていまして、いわゆる工程表だけバーっと書いて進めていくこともあると思うんですが、どのタイミングで市民の方にどう伝えていくのかっていうところを先に見越してやっていくと伝え方というものも変わってくるので、そういったところも私たちもコンサルの中でやらせていただいています。

やったことなんですけれども、さっき言ったワークショップの参加者が少ないっていうのが課題でもありましたので、ワークショップに向けた事前の意見募集というものを先に打つ、っていうことをやりました。よくフォローアップで後からオンラインでっていうのはあると思うんですが、この時は先に打って興味関心を高めていくっていうふうな意味合いで、事前の募集をするということを取り組みました。

このワークショップの中でも、これを議論して、最終的に両者で得た意見を合算するという手法で、いわゆる文章だけではなくて、写真でこのように(資料に示しているように)入れられるようなシステムにしております。写真でここがいいなっていうのを直感的にポチッとして、この「ちえりあ前広場」(の写真)を選んでくださった方が、その理由を書けるというふうになっていて、自由記述と選択肢のアンケートが一緒になっているというふうなものです。

続いて、フィールドワークでも使っていまして、ワークショップなどをやった後、まち歩きをやりました。まち歩きの10のチェックポイントで、スマホで登録をしておいていただいて、チェックポイントで1つずつアンケート答えていってもらうっていうふうな形で使うというのも試みました。これも後からまとめる必要もないですし、紙を持ち歩く必要もないので、非常に良かったというコメントをいただいています。

また、関心を持ってもらわないと、なかなか現地まで足を運ぶっていうふうなことになりませんので、そのための、関心を持ってもらうための施策として、地域のキープレーヤーの方にインタビューをさせていただいて、それをウェブ記事として公開するということをしています。

それによって何がいいかというと、今の時代って、なかなか自治体ですとか、まちづくりをやっている事業者から、そのまま市民の方たち、いろんなコミュニティの方たちに直では伝わりづらいというか、なかなか響きづらいと言いますかね、情報が多いので、響きづらい時代になってきているんですけれども、こういったプレーヤーの方たちを取り上げて記事にさせてもらうことで、この方たちが自分のSNSでシェアをしてくれたりするんですね。その市民から市民に伝わっていくっていう伝わり方が、今の時代に対してすごく効果的だなというふうに私たちも感じていまして、それによっていろんな方が、このサイトの方に流入をしてきてくれて認知する、それから興味関心を持つ、それから「こういうことをやっているのね」と理解をして足を運んでいくというふうな参加につながっていくと。足を運ぶだったり、オンラインで回答するだったりというふうな参加につながるという、この4つのステップを踏んでいくというところです。

ですので、ちょっと繰り返しになるんですが、そういった手順を、プロセスを組み上げていくっていうところが非常に重要でして。インタビュー記事で地域内シェアを生み出してもらって、市民の方たちに拡散をしてもらう。そのシェアを見て流入してきた方たちが流入してきた時に、回答ができるような意見募集をワークショップの前に実施していって、関心層の方たちがちゃんとアクションできるような形にしておく。それから、地域の方たちと一緒に体験を通じて、現地でまち歩きなり、ワークショップなりをして、ディスカッションしたりっていうふうなところを作っていくというふうに、丁寧に参加の形を考えていくといったところもやっております。

このmy grooveのプロジェクト全体の流れなんですけれども、大体今の話で、サイトを立ち上げたのが10月ぐらいです。3月の年度末までの間でビジョンを組み上げていくということをしたんですけれども、いくつかのフェーズを立ち上げていくということをプランニングしていくところと、デジタルでやって効果的なこと、リアルのワークショップですとか、リアルな場を使って効果的なことというものを連動させるような流れをプランニングして伴走していくということを、今までのまちづくりの現場を私たちも伴走してきた経験をもとに、このデジタルサービスと言いますか、市民参加をどうDXしていくかといったところを組み上げることにチャレンジをしております。

これが年度末にちょっとできたビジョンの一部なんですけれども、居心地よく歩きたくなる宮の沢未来ビジョンということで、歩いてきた部分ですとか、市民の方から出てきたアイデアというものを、(資料の)こういった絵にもしていって、この未来をみんなで目指していこうよというところで、今年度は引き続き計画を作っていくというフェーズに進んでいっております。

今年度は、実は昨年度の中で結構、札幌市の方たちも非常に使い慣れてと言いますか、使いこなしてくださっていて、今回はもう本当に、プロジェクトと言いますか、意見募集ですとか、いろんなもの立ち上げるのもどんどんやってくださっています。

ちょっと時間がだいぶ迫ってきましたので、事例の御紹介はこちらまでにして、また時間があれば別の形でも御紹介したいと思っているんですが、こちらが札幌のワークショップのもの(ホームページ)になります。

「まちづくりへの思い」ですね、これが地域プレーヤーの方たちのインタビュー記事をこういった形で作成するといったところですとか、実際に「ちえりあ前広場」っていうところで「冬の広場にどんな仕掛けがあると歩きたくなりますか」というところを聞いているものですが、こういった形で例えば、「キャンドル、光の演出」っていうものですとか、「雪や氷を使ったイベント」ですとかっていうものを選択して、ポチッと回答したりっていうことができるような形になっています。その下にコメントが書き込めるというふうなUI(ユーザーインターフェース)になっています。

意見募集に加えて、協力募集というものもできまして、また質疑の中であれば御紹介もしたいと思っているんですが、一方的に意見を募集するだけではなくて、地域のプレーヤーの方たちが実際に、例えば何かイベントをするときにこういうお手伝いをしてほしい、イベントではなくて自分たちの活動の中でこういうサポートをしてくれる人がいるといいなっていうところを協力を募集して、オンライン上でマッチングできるというふうな、そういったこともこのプラットフォームでやっております。そういった形で、オンラインのプラットフォームの可能性といったところを、非常に私たちも感じながらやっているところではあります。

最後になるんですけれども、私たちが目指しているところも、やっぱり様々な人ですとか、コトの関わりですとか、体験を通じてマチゴトからジブンゴトになってもらうっていうところが1つ重要だなと改めて思っているところでして。よくプレーヤーがいないから、やっぱり担い手が必要だっていうふうに、いろんな地域で言われていると思うんですが、なかなかその事柄を知るっていうところから動き出すというところまでは結構階段が実はありまして、関心を持つとか、参加するっていうことによって、共感したり、背中を押されるっていうことですとか、その先に動き出すっていうふうなことがあるので、(資料にある)この階段を丁寧に設計していって、これはデジタルも、リアルも使って設計していきながら、その後押しをしていくのを、私たちも引き続き取り組んでいきたいなというふうに思っているところです。

以上になります。御清聴ありがとうございました。

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 クロストーク

モデレーター 加藤勝

三谷さん、ありがとうございました。

なんかもっと、多分、皆さん「事例を聞きたいな」という感じになっているんじゃないかなというふうに思ってはいるんですけど、ここから30分くらい、私と三谷さんとやり取りをしながら深掘っていきたいと思います。

今、事務局の方で「チャットを御活用ください」ということで(チャットメッセージを)貼らせていただきましたけれども、皆さん御質問とか、御感想でも構いませんし、何か深掘っていきたいという部分がありましたらどんどん簡単なコメントでも結構ですし、直感的なコメントでも結構ですので、どんどんお寄せいただければと思います。お話中、やり取りをしている途中でも全然かまいませんので、チャットに書き込んでいただければと思います。

皆さんが、聞いた情報をインプットしたものが、少し咀嚼されて質問として現れるまでの間、少し私の方で口火を切らせていただきたいと思うんですけれども。

感想として、私、市民参加DXってすごくテクノロジーオリエンテッドって言いますか、テクノロジーに寄ったお話かなと思いきや、テクノロジーとしては市民参加の敷居を下げているっていう、知る機会をたくさん提供しているっていうところぐらいまでのところで、むしろなんか抑制的な、テクノロジーはあんまり出しゃばらないと言いますか、最後は市民だったり、市役所の方だったり、皆さんがそこで対話をすることが大事なんですよっていうような、そこをブーストすると言ったらいいんですかね、そういう気持ちを、そういう参加態度をブーストするっていうことが、うまく機能しているのかなっていうふうに受け止めたんですけれども。

最初の質問としてなんですが、my grooveがうまく機能すると言いますか、いろいろ手間暇はかけながらなので、my grooveだけを使えば何でもかんでもうまくいくってことではないと思うんですけど、いわゆるうまくいく規模感っていうのはありますか。今日御紹介いただいた事例は、札幌市さんのような大きい街の事例もあれば、小山市さんというどちらかというと、いわゆる地方都市の事例もあったかと思うんですけど、直感的にはたくさんの人が逆に入りすぎても、収拾がつかなくなるんじゃないかなという思いを持ったりもしたりして。うまくワークする規模感ってありますか。

登壇者 三谷繭子

はい、ありがとうございます。都市規模としては、必ずしもうまくワークする規模感があるっていうわけではないんですけれども、10万人以上ぐらいの規模感が合うのかなというのは感覚的に思っていまして。すごく人口が少ないと、もう皆さん顔見知りだったりとか、知り合いの知り合いは絶対知り合いっていうことが結構あったりするじゃないですか。

何千人とか20,000人とか、そういったところですと、逆にちょっと特定されちゃうんじゃないかっていうふうなことを考えてしまって書き込みづらいっていうことも、実際に取り組ませていただいた自治体で、市民の方から出た声もありまして。あの人が書いたって思われているんじゃないかなとか、自分もこの書き込みはあの人だろうなって思っちゃうとかですね。

そういった人間関係のところがありますので、もしかしたら、ものすごく小さい規模感、都市規模として小さいというよりも、ある程度の規模感があるところの方が匿名性もありますし、そのシェアをしていってSNSですとかで広がっていきやすいですとか、そういうところではワークするんじゃないかなというのは少し感じてはいます。ただ、ニックネーム投稿になりますので、特定されるっていうことはまずないんですけれども、心理的な問題としてあるのかなというのは思いますね。

モデレーター 加藤勝

なるほど。そうすると、ニックネーム投稿という話だったので、そこからいろんなことを投稿して意見を表明しつつ、その後、参加のところでリアルのワークショップ、オフラインのワークショップをやる時というのは、特段投稿されたことと、リアルで会った、なんか固有のその方とっていうのが紐付けられない状態で、あくまでもオンライン上での意見交換とオフラインでやるワークショップというのを切り離して運営されているということですね。

登壇者 三谷繭子

そうですね。管理者側は一応、今回(このセミナーを)聞かれている方は管理者になられる方かなと思うのでお話ししますと、管理者側では一応、郵便番号を登録していただく時に書いてもらうので、どこにお住まいとか、本名がどういう方なのかっていうのも一応、裏側では管理ができるようにはなっているんですが、参加者の方では切り分けて考えているというところですね。

モデレーター 加藤勝

なるほど。御質問をいただいていましたので、次にいただいた御質問にいきたいと思うんですけど、(その前に)私の方からもう一つ。先ほどの小山市の例で、小山市に今住んでいない出身者の方みたいな、いわゆる関係人口的な方も参加される、そこはルールメイキングの話だとは思うんですけども、どうルールを線引きするかっていう話なんですけども、全然縁もゆかりもない関心もない人が、「荒らし」っていうと非常に聞こえがよくないんですけれども、そのような恐れもある中で、その辺の個人の特定をどこまで緩く、逆に言うと、どこまできつくやられているんでしょうか。

登壇者 三谷繭子

はい、ありがとうございます。今のところ、my groove上で荒らしといったものは出ていないんですけれども、その要因として2つあるかなと思っていまして。1つは登録していただく時に、本名を書いていただくようにもしているんですね。登録のメールアドレスですとか、あと、郵便番号書いていただくようにしているので、そこで本名を書くっていうところで1個ハードルになっているのはあるかなとは思います。「2ちゃんねる」のように、誰でも匿名で書けるっていうふうになると、やっぱり荒れちゃうっていうのは当然かなと思うんですけれども、1つ抑止力として、それが本当にこの人の本名かわからない、特定までできないんですけれど、抑止力になっているかなというところはあります。

モデレーター 加藤勝

登録される段階で本名を登録するんですけど、例えば小山市の出身者とか、いわゆる「ゆかり」みたいなものがなくても、いいんですよね。

登壇者 三谷繭子

はい、ゆかりがなくても登録ができます。あと、my groove上で関われるっていうところで言うと、住んでいるまちだけではなくって、いわゆる関係人口になり得る方たちが、この人口が少ない中なので、いろんなまちに関わっていくっていうのはすごく大事だなというふうに思っていて。

なので、あえてその登録を年ごとに分けずに、プラットフォーム上でいくつものプロジェクトに横断的に参加ができるようなシステムにしているというのも、実は意図してやっております。

ちょっと画面(my grooveのホームページ)をお見せしながらなんですけども、これがmy grooveのトップ(ページ)になっていまして、1つのアカウントなんですけれども、アカウントの中で杉並区のプロジェクトにも参加ができますし、川崎市のプロジェクトにも参加ができたり、甲府市のプロジェクトに参加できたりっていうふうな形で、いろんな都市に横断的に関われるようにということで設計をしております。

モデレーター 加藤勝

なるほど。どこの自治体さんもいわゆるプレーヤー不足、担い手不足みたいなことは、いろんな形で聞こえてくる中で、故に関係人口っていうことが1つトピックスになっているわけなんですけど、関係人口だから関わるじゃなく、逆の矢印で、これに関わることによって関係人口化していくっていうベクトルもありそうですね、そうなると。

登壇者 三谷繭子

そうですね、おっしゃるとおりですね。そういったことも本当に起きるといいなと思いながら…。あっ、実は起きている事例もありまして、喋っていいですか。

モデレーター 加藤勝

どうぞどうぞ。

登壇者 三谷繭子

実は、私たちがこのシステムと言いますか、サービスの開発を始めたのが、2020年なんですけれども、この真鶴町というプロジェクトで公園を使ってまちづくりに取り組むっていうふうなものをやりました。

この時は、まだこのオリジナルのシステム開発をする前だったので、ちょっとすいません、このページはデータが、フォロワー数がちょっと少ない表示になってしまってはいるんですけれども、この時に協力者募集の、先ほど申し上げた機能をこのベータ版を試したんですね。7000人ぐらいの小さな町なんですね、真鶴町って。なので、なかなか人手と言いますか、ある団体さん、市民活動の団体さんたちがこの事業に手を挙げてやるっていうものだったんですが、イベントをやったりするのはやっぱり、運営に協力してくれる方が本当に意見とかじゃなくて、活動に参加してくれる協力者が欲しいっていうことがあって、協力者募集をやったんですけれども、1週間の募集で4人ぐらい、このオンラインのプラットフォームを通じて、協力者の参加、申し込みがありまして。真鶴町外の方だったんですけども全員、神奈川県内の方が3人と、豊島区の方から来たっていう方もいらっしゃって。「地域づくりのプロジェクトに関心があって探していたら、ネットで見ていたら見つけたんだ」というふうな形で協力をしてくださったっていう形で。本当にこれはオンラインでそういったマッチングが起きるんだっていうところを、本当にベータ版で作っていた時でしたので、手ごたえ感じたりもしましたし、関係人口の方たちの入り口を作るっていうのは、オンラインの入り口を作るのが1番良いのかな、というのは思いますね。

モデレーター 加藤勝

こういう関係人口っていろんな関わり方があると思うんですけど、プロジェクトが紐帯となって紐付く関係人口っていうのは、やっぱり心理的な結びつきが強くなりますよね。

登壇者 三谷繭子

そうですね。

モデレーター 加藤勝

ありがとうございます。ちょっといただいている質問にお答えしていこうかと思います。私、読み上げますが、三谷さんのところでお手元でもチャットを御覧いただければと思います。

「担い手がいない問題はどこでも聞かれることです」、先ほど私言ったようなことで、最後書いているのは「丁寧に階段を作っていくことが大事だ」と。共感しますと。「my grooveを通じて、実際にまちのために動き始めた人が生まれた、みたいなストーリーがあったりしますでしょうか」。この階段を上って、上って、上り詰めた方みたいな、あるいは、何か新たな自分の価値を発見した、みたいな方がいらっしゃるでしょうかっていうことですが、いかがですか。

登壇者 三谷繭子

はい、ありがとうございます。上り詰めたっていうか、活動を自分で始めたみたいな方までは、まだ出てきてないっていうのが正直なところではあるんですけれども。時間がかかると言いながらも、先ほど言ったように、協力者募集なんかはすごく分かりやすいもので、自分が活動を始めると言いますか、階段を上っていくっていうステップの分かりやすい例かなと思っていまして。やっぱり、先ほど言ったような地域のプロジェクトを、そもそもやっていることを知らないとか、分かりにくさを感じているっていう方が非常に多いので、特に自治体が中心になってやっているものって、情報がとにかくちょっと得にくい、分かりにくいっていうところがあるので、その整理をしていくっていうところは1つやって、裾野をまず広げましょうということを私たちはやっています。

裾野を広げた中で、実際にオンライン上のアクションをしてくれるっていう方もいれば、そこから、札幌なんかはそうですね、オンラインで登録をしてくれて、意見募集でポチッと参加をしてくれて、まち歩きに出てきてくれたっていうふうな方もいらっしゃったりするので、そういう形で、まず理解して、関心を持ってっていうところの動線作りというのは、そういった形で実際に起きてきていると思います。

モデレーター 加藤勝

ありがとうございます。ちょっと私がちょっと飛躍して、「階段を上り詰めた」って言っちゃったのでハードルを上げちゃったんですけど、上り詰めなくても、「知る」から「関心を持つ」っていうだけでも大きいジャンプアップだと思いますし、まちにとってはジャンプアップだと。そういう方が増えるっていう、裾野を広げるっていう意味ではそのように思いますし、市民の目線で見ても、もう階段1つを上っただけで、おそらく比喩的にでも違う地平が見えているはずですもんね、市に対して。そのまちに対して。

登壇者 三谷繭子

はい、そうですね。そんなことが起きているんだっていうのを、隣の方と世間話でちょっと話してもらうだけでも、すごい違うと思うんですよ。

モデレーター 加藤勝

では、次の方の質問。2つ質問があって、1つずつ区切っていきたいと思うんですが、「一度プロジェクトに参加した方が継続して参加し続けるためのモチベーションを高める仕組みや取組例があったら教えてください」ということなんですが。プロジェクトがいくつもある中で、まちの中でもいくつかある中で、これを一過性のものに終わらせないっていうことと、1つのプロジェクトも結構長めだと思うので、その中で、途中で息切れしないっていうこと、2つの意味があるかなと思うんですけど、ひっくるめてのお答えでいいんですが。

登壇者 三谷繭子

そうですね、1度プロジェクトに参加した方に対して、私たちがアカウントを登録していただくっていうふうに申し上げたんですけれども、アカウントを登録してプロジェクトフォローっていう言い方をしているんですけども、小山市とか、杉並区の高齢者のプロジェクトだったらそのプロジェクトっていうものを、フォローした方に対して、ニュースレターを送ったりできるような機能を備えていまして、継続的に情報を、どっちかというとプッシュ型で届けることができるようになります。

なので、それが1つ仕掛けとしてはやっていることですね。なかなか、これもよくあることって言っちゃうんですけれども、アンケートとか、何かワークショップとかあった後、音沙汰なくて、気づいたら計画ができていたとかって、よくあると思うんですね。そうではなくって、その経過を伝えていく。少なくとも1回関心を持って参加してくれた方なので、継続的にそれをやっぱり伝えていったりすることで、またその計画ができた時にちゃんと見てくれるっていうふうなことだったりとか。あと、次年度にまた何かやるよっていう時に参加をしてくれたりっていうところにつながっていきますので、その辺はサボらない。サボっているわけじゃないんですけども、今までその術がなかったと思うんですよ。なかなか1枚ずつ郵送して送るのも大変だし、手間がかかっていたものが、1回登録していただくと、もう一斉で送れるっていうところもあったりするので、その辺の効率化も意識してやっています。

モデレーター 加藤勝

ここは割と、モチベーションの部分っていうのは、知るとか情報提供とか、インセンティブとしては硬派なと言ったらいいでしょうか、そういう部分で留めていて。これは、この質問者の御意向ではなく、勝手に私が話を膨らませているんですけど、今、いわゆる地域電子マネーでボランティアポイントみたいなのをつけたりするじゃないですか。デジタルプラットフォームなので連携させちゃって、その方々にはボランティアポイントみたいな、そういうインセンティブもあり得るかなと思うんですけども、そういうものに対しては、「いや、そこはそういうことで、ポイントで釣る話じゃないんだよ」ってお考えなのか、「いや、それはそれでありなんじゃないのか」とお考えになるのか、いかがですか。

登壇者 三谷繭子

場合によっては、全然「あり」かなというふうに思っています。やっぱり、まずその情報に来てもらうためのインセンティブっていうものは何かしらないと、全く関心がない方ってやっぱり、そこにステップアップするっていうところは難しかったりするので、何らかあってもいいのかなっていうふうには思っているところと、あとはただ、それがポイ活みたいになってしまうと、他のいろんな都市に対して、とりあえず書き込む、どれでもいいから選択肢を押して、みたいな感じになってしまうと本末転倒なので、そのさじ加減があるかなとは思っているんですが、その自治体で何かやっているサービスと連携させるとかできると、すごくいいなと思っているので、チャレンジしてみたいという方がいればお声掛けいただきたいなと思っています。

モデレーター 加藤勝

はい、ありがとうございます。同じ方の2つ目の質問なんですけど、「プロジェクトを立ち上げた後、うまく続かないプロジェクトにテコ入れをした事例があれば教えてください」ということで、参加される個人、個人というよりも総体としてプロジェクトであんまり参加者がいなかった。「リアルでやっている、いつも行政が旧来型でやっているワークショップとそんなに変わらないよね、この盛り上がり」みたいなことで、何かテコ入れと言いますか、まさに、なにかモチベーションを高めるような、インセンティブを付与するような仕掛けを講じて、それがなんか急上昇したみたいなお話ということかなと思いますが、いかがですか。

登壇者 三谷繭子

そうですね、うまく続かないプロジェクト…。そうですね、何だろうな…。

モデレーター 加藤勝

結局、my grooveを投入したけども、あんまり参加者が来なかったっていう事例もありますか。

登壇者 三谷繭子

そうですね。結構、単年度で終わるプロジェクトなんかもあったりするので、それは自治体側の事情もあればっていうのはあるんですけども。そうですね…。

でも、うまく続かないプロジェクトと言うか、結構、その地域側で割と自走できると言いますか、プレーヤーの方が育って、あまりオンラインのプラットフォームでわざわざ記事を上げていくっていうことをしなくても、結構、活動が自走していったので、もうこれを使わなくてもいいやってなったものはあるんですよ。

それは、サービスとしては続いていないんですけども、プロジェクトとしてはそれがいいなとは思っていて、そういうもので卒業されていくっていうプロジェクトは正直あります。

立ち上げた後うまく続かないっていうのは、意見が全然集まらないとかそういうものですよね。そういうものは、オンラインだけでやっぱり意見が集まらないっていうのはあるので、リアルの「紙を使う」っていうこともやっています。

オンラインに全て集約してしまうと、デジタルデバイドの方たちが出てきてしまうので、紙のアンケートでも配るっていうのはやっています。それは、実際やっていて、なのでどっちが多く使われるかっていうのは、正直、状況によるかなっていうところですね。意見が全然集まらないっていうところがあった場合は、広報をもうちょっと力入れるっていうのはすごく重要で。例えば、流入としてよく多いのが、SNSのシェアっていうのはもちろんなんですけれども、地域によってはよく見られている地域メディア、ローカルなウェブメディアがあったりしますので、そういったローカルメディアの運営をしている方に記事にしてもらうとか。地域のインフルエンサーの方がシェアしてくれたら急に伸びて一気に集まるとか、そういうのはあるんですよ。なので、そういったポイントを見つけて広報をしっかりしていかないと意見は集まらないので、それは焦って策を打ったっていうのはありますね。

モデレーター 加藤勝

my grooveのプラットフォームの機能がうんぬんという以前に、ひょっとしたらアジェンダが、馴染まないアジェンダみたいなものもありますか。

登壇者 三谷繭子

それもありますね。こういった手法を使うのに、やっぱり市民の方の関心の高いトピックを最初に投げ込むっていうのはすごく重要だというふうに考えていまして。

本当に一部の方の関心しかないというか、あんまり関心、ちょっと低めのものを最初に投げ込んでも集まらないっていうのは結構あったりして。そこはこちらで何とかできるものでもないんですけども、すごく重要ですね。

モデレーター 加藤勝

過去に一番盛り上がったアジェンダみたいなのってありますか。

登壇者 三谷繭子

そうですね…。でも、先ほどお話したような、まちなか再生などの取組っていうのは結構関心が皆さん高かったりしますので、割と集まるところあるかなというところと。あと、ちょっと「集まらなかった例はこういうの」みたいな、ちょっと言えるところと言えないところがあるんですけど。

モデレーター 加藤勝

固有名詞はいいですから、アジェンダのところで。

登壇者 三谷繭子

そうですね、なんというか、論点がやっぱりないものはなかなか集まりづらいですね。ちょっとふわっとしたものですね。

モデレーター 加藤勝

「みんながハッピーで暮らすためには」みたいな。

登壇者 三谷繭子

そうですね。問いの設定の仕方っていうところの切り口をどうするのかっていうところも結構ディスカッションさせていただいたりするんですけども、大きすぎる問いを投げても返ってこないですし、狭すぎてもっていうのは、具体性がありすぎてっていう。狭い方が切り口はきちんとある方がいいんですけども。切り口が設定しづらいトピックっていうのはあるんですよね。例えば、SDGsとかちょっと大きいじゃないですか。

モデレーター 加藤勝

大きいですね。

登壇者 三谷繭子

「SDGsに取り組むには」みたいなものとか。市民がどう関わったらいいんだろうと、想像がしにくいものっていうのは、ちょっと集まりにくいっていうのはありますね。

モデレーター 加藤勝

まさに「自分ごと」っていうのが今日のキーワードの1つかと思うんですけど、ちゃんと自分ごと化できるレベル感であるかどうかっていうのはすごく大事になってくるし、これは設計する側、市役所なのか、市役所とタッグを組むNPOさんだとか、企業さんだとかが、そこにちゃんと向き合うっていうことは、事前の地ならし的に大事なんですね、おそらく。

登壇者 三谷繭子

そうですね。おっしゃるとおりで、例えば、今、杉並区さんでやっているプロジェクトで「グリーンインフラ」っていうキーワードを使っていたりするんですけれども、グリーンインフラっていうことだけだと、なかなか横文字だし、概念として伝わりにくいんですけども。

水害とかっていうふうに、やっぱり自分たちの災害、水害に対してできることとか知りたいことは何か、みたいにちょっとブレイクダウンして問いを設定してあげたりとか、表現を考えてあげると伝わったりっていうのもあったりしますので、そのあたりももう伝えていくとか、ちゃんと伝わるとか、自分ごとになってもらえるように設定していくっていうのは、本当におっしゃるとおり、非常に大事だなと思います。

モデレーター 加藤勝

はい、ありがとうございます。では、最後の御質問になるかな。先ほど「ワークしやすい規模感ってありますか」っていうことで、「10万人ぐらい」っていう話があったのを受けての御質問かと思います。「10万人を切っている自治体が多いという中で、狭いため、県全体のまちづくりに興味がある人は、首都圏に比べ比較的多い。全体のユーザーを増やすため、いくつかの市区町村や県全体のグループを作るのは可能ですか」。いわゆる地方公共団体という、公的な線引きにこだわる必要はなくないですか、という御質問です。

登壇者 三谷繭子

そうですね。それは大いにあり得ると思いますね。やっぱり生活圏が、小さい自治体だと、やっぱりまたがっていたりするところもあると思いますので、そういったところは一緒に作るとかっていうのはすごく有効なんじゃないかなと思います。10万人を切っていると、実装が難しいって言い切れないなっていうふうには思っていて。言い切ることはできないんですけれども、小さい規模感の自治体でやっているところもあったりするので、そこのあたりが何千人とかっていうよりも、例えば、20,000人ぐらいの規模とかになるとかっていうふうになった方が、もしかしたらやりやすいのかもしれないなとは思いますね。

モデレーター 加藤勝

そこは一個手前の質問にあった論点のアジェンダにもつながるかと思うんですけど、アジェンダの設定によっては例示として出していただいた水害なんか、「流域で、みんなで考えましょう」みたいなことって言えるんじゃないですか。市区町村に留まらない課題になり得る。でも、大元じゃないですか水害なんていうのは。そういう問いの設定の仕方によっては、公的な括り、行政区域に留まらないのも、面白いって言いますか、基本的に今まで事例としてはないですか。

登壇者 三谷繭子

今のところは事例としては、ないですね。ないですけども、いいですね。すごくいいアイデアをもらったなって、今、思ってしまいました。

モデレーター 加藤勝

可能性として、都道府県が主導して、例えば「川の流域の関連する3つの市町村で」みたいな話は大いにあり得ますよね。

登壇者 三谷繭子

そうですね。非常にいいと思いますし、そういったことができれば、やっぱり行政区で区切らないような議論をするきっかけにもなると思いますので、やってみたいなと思いましたね。

モデレーター 加藤勝

では、予定していた時間が迫ってまいりましたので、最後にちょっと私、簡単にまとめつつ、最後、三谷さんに御参加されている皆さんにメッセージをお願いしたいと思うんですが。

なんとなく今日のお話は、私も冒頭に感想を述べましたけれども、my grooveというデジタルのプラットフォームがありつつ、そこによらない仕掛けだったりとか、三谷さんたちはこのmy grooveをただ、売り切りじゃなく、コンサルティングっていう言葉がいくつかも入ってきたと思うんですけど、こうこれをどうワークさせるかっていうところに知見を提供して、市民の参加の機運を高めていく、階段をどうやって上っていくかっていうところにリソースを割かれているんだろうなというふうに伺いました。そういう意味では今日、質問のどこかにもありましたけど、多くの自治体が「担い手がいない問題」を抱えている中で、これをワークさせるために、まさに官民で、これをただ導入すればいいということではなく、一緒に知恵を出し合ってどういう問いにしたらいいんだろう、どういうアジェンダにしたらいいのか、どの範囲で参加を募ったらいいのかみたいなことを一緒に知恵を出し合っていく。そうすることによって、これをフックにした関係人口も生まれてくるみたいな、担い手作りにもつながっていくっていうそんなお話かなというふうに私は受け止めましたが。三谷さんの方で今日、いただいた御質問だったり、私とのやり取りを踏まえて、今日お集まりの自治体の皆さん、企業の皆さんにメッセージをお願いできればと思いますが、よろしくお願いします。

登壇者 三谷繭子

皆さん、長時間にわたりありがとうございました。今日、先ほど加藤さんからも話があったように、このmy grooveというデジタルの仕組みは、デジタルで完結するというよりも、やっぱり今の時代において、デジタル化が進んでいる時代において、過渡期の中で生まれてきたサービス・仕組みだなと自分たちでも思っていて、これを導入すればいいって魔法の杖じゃないなと自分たちでやりながらも思っているんです。アナログの手法とデジタルの手法、やっぱり両方使っていかないと、なかなか、特に若い方の参加ですとか、裾野が広がっていかないって、ものすごく危機的な状況かなというふうに思っていて。高齢の方だけではなかなか、これからの地域の土台を作っていくっていうのは難しかったりもしますので、なかなか新しいことに取り組むっていうところはハードルがあるとは思うんですけれども、こういったデジタルの手段も使いつつ、でも、最終的には目指していきたいのは、地域の担い手と言いますか、活力を作っていく方たちとどういうふうにしたら一緒に動いていけるかっていう、ある種、官民連携のところも含めて、考えていくところが重要だなというふうに思っていますので、今日のお話が参考になっていれば、嬉しいなというふうに思います。

今日、私もヒントをいただいたなと思うのが、埼玉県も山間の小さいまちだったりですとか、都市部のそれなりに規模感のあるまちだったりとかあると思うんで、そういった規模感ですとかに応じて、一緒にやる、一緒に議論するっていうことが、今後、非常に有効になってくるんじゃないかなって改めて考えさせられたところもありまして、非常に勉強になりました。ありがとうございました。

モデレーター 加藤勝

はい。三谷さん、ありがとうございました。

三谷さん、もうちょっとだけお付き合いいただきたいと思います。

このあと、今日お集まりの皆さんから感想をお願いしたいと思うんですけども、これはメンチメーターというツールを使います。今、事務局からメンチメーターのリンクを送らせていただきました。皆さん、御参加の皆さん、これを、リンクに飛んでいただきますと、テキストを入力できる画面が展開されます。あんまり長い文章じゃなくていいです。今の気持ち、「勉強になった」とか、「参考になりました」とかっていう短文で結構です。今の気持ち、何か三谷さんのお話の中で印象に残ったキーワードなどがありましたら、入力してポチッとすればすぐ投稿できます。複数回、複数の単語も投稿できますので、どんどんこの時点から書いてポチ、書いてポチでお願いできればと思います。それをちょっと1分ぐらい待ちますかね。1分ぐらい待って取りまとめたものを画面で事務局の方から展開したいと思いますが、ちょっと入力タイムです。

この間、ちょっとすいません、三谷さんと雑談をしたいと思うんですけど、実は最初の「私、この町、生まれた町嫌いだった問題」っていうのは、本当にいろんな若者から聞く話なんですけど、やっぱり知るっていうのはすごく一番大事なことですか。

登壇者 三谷繭子

そうですね。なかなか「知る」、なんですかね。

私の育ってきた環境の中では、なかなか地域と関わるって、ちょっと多分、薄かったのかなって改めて思ったりするんですけれども、そういった関わりを、幼少期とか思春期の時にどれくらい持てるのかっていうのでも、Uターンしたりですとか、地域への愛着が増すっていうのは違うのかなって思いますね。

モデレーター 加藤勝

my grooveが今、若者が…、高校生とかも別にいいんですよね。

登壇者 三谷繭子

もちろん、はい。

モデレーター 加藤勝

そういう原体験。町を出る前の原体験として、my grooveがうちの町にあったみたいなことが、ですよね。それが参加する体験…。

登壇者 三谷繭子

そうですね。高校生も書き込めるし、違う大人たちがどう考えているかっていうところも見えたりするので、そういうことがもっと起きてくるとというか、使われていくといいなっていうふうに思っています。

モデレーター 加藤勝

いろいろ拡張性がありそうですね、アイデアによっては。今日、地域を超えてっていうのもありますし、若者、関係人口、いろいろアイデア次第で拡張できるんじゃないかなっていうふうに思いました。

では、事務局からメンチメーターを展開していただきまして。結構、いっぱい書いてありますね。「ジブンゴト」だったり、これはなんかあまり討議する時間はないんですけど、なんか三谷さん的に直感で気になるものってありますか。

登壇者 三谷繭子

グルーヴを生み出したいって言ってくださっている方がいて。生み出しましょう、是非。

モデレーター 加藤勝

グルーヴっていいですね。いいキーワードですね。グルーヴっていう。

書き込みありがとうございます。それでは本編はこれで終了になります。三谷さんとのお付き合いはここまでのお時間になります。三谷さんありがとうございました。また何か皆さんと一緒にプロジェクトを起こせる場でお会いできればいいですね。

登壇者 三谷繭子

はい、ありがとうございます。またよろしくお願いします。

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