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掲載日:2025年5月13日
埼玉県教育委員会では、埼玉県文化財保護審議会の答申を受け、令和7年3月14日付で、6件の県指定文化財への新規指定、1件の追加指定を行いました。新たに指定・追加指定となった文化財をご紹介します。
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紺紙金字法華経 巻一 見返し絵 | |
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紺紙金字法華経 巻一 |
★基本情報
名 称:紺紙金字法華経(こんしきんじほけきょう)
点 数:8巻
所在地:埼玉県立歴史と民俗の博物館(さいたま市大宮区高鼻町4丁目219)に寄託
所有者:宗教法人徳性寺
★こんな特徴があります
加須市大越(おおごえ) の徳性寺(とくしょうじ)は、鎌倉時代初期の武将小山朝政(おやまともまさ) の祈願所とされ、のちに小山義政(よしまさ)が再興したと伝わります。
見返絵(みかえしえ)に斜め向きの釈迦説法図(しゃかせっぽうず)を小さく配し、法華経の経意絵(きょういえ)を一画面に多数描きこむ特色から、本経は、重要文化財の延暦寺蔵「紺紙銀字法華経(こんしぎんじほけきょう)」 系統の転写本であることがわかります。
経文(きょうもん) の書風や表紙絵の宝相華唐草(ほうそうげからくさ)、見返し絵の山水表現等から、本経は延暦寺本もしくは古い転写本を写したものと考えられ、制作は12世紀半ばから後半と推定されます。
本経は、延暦寺蔵「紺紙銀字法華経」系統の写経を検討するうえで重要なものです。
★ここがすごい!
本系統の写経は、延暦寺本・徳性寺本を含め現在6件が確認されるのみです。そのなかで徳性寺本は、唯一、法華経8巻の見返絵8図全てを備えています。
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木魂神社の舞台 観客席・舞台前面 | 木魂神社の舞台 舞台内部・二重舞台 |
★基本情報
名 称:木魂神社の舞台(きむすびじんじゃのぶたい)
点 数:1棟
所在地:秩父郡小鹿野町下小鹿野字上津谷木3301
所有者:宗教法人木魂神社
★こんな特徴があります
瓦葺寄棟造(かわらぶき よせむねづく)りで、花道、常設の桟敷(さじき)、二重舞台を備えています。
秩父地域の荒川左岸の村々には、江戸時代末から明治時代の養蚕・製糸業が盛んな時期に、競って舞台が建てられました。本舞台はもとは神楽殿でしたが、昭和25年の建替えの際に、神楽と地元(下小鹿野津谷木地区)に伝わる歌舞伎の両方を演じることができる兼用舞台としたものです。
毎年5月3日の木魂神社例大祭において、歌舞伎(小鹿野歌舞伎保存会津谷木部会)と、十六神楽が交互に上演されています。
★ここがすごい!
標高320mの山頂部に立地し、山の傾斜を利用して、高い位置から神社社殿、観客席、舞台、さらに舞台床下には楽屋が設けられています。地形をうまく利用した舞台です。
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(2)秩父山地のニホンオオカミ標本 頭骨 | (3)秩父山地のニホンオオカミ標本 頭骨 |
★基本情報
名 称:(1)秩父山地のニホンオオカミ標本 毛皮標本(ちちぶさんちのにほんおおかみひょうほん けがわひょうほん)
(2)秩父山地のニホンオオカミ標本 頭骨(ちちぶさんちのにほんおおかみひょうほん とうこつ)
(3)秩父山地のニホンオオカミ標本 頭骨(ちちぶさんちのにほんおおかみひょうほん とうこつ)
点 数:(1)2点 (2)1点 (3)1点
所在地:(1)秩父市三峰(秩父宮記念三峰山博物館) (2)長瀞町 (3)ときがわ町
所有者:(1)宗教法人三峰神社
(2)(3)個人
★こんな特徴があります
ニホンオオカミは、明治38年(1905)に奈良県で捕獲された個体が最後の記録とされる絶滅種で、残されている標本数も非常に希少です。
秩父地域周辺では、かつてニホンオオカミの毛皮や頭骨などを魔除けなどに利用する風習があり、現在も民家などで大切に保管されています。これらは、信仰や風俗慣習といった文化史的側面からだけでなく、絶滅した野生動物の形態・生態等を検討する上で欠かせない、自然史標本としての側面も有しています。
★ここがすごい!
今後、絶滅種ニホンオオカミの形態、生態、遺伝情報等の研究が進められる上でも学術上重要な資料です。
*秩父市の毛皮標本は、秩父宮記念三峰山博物館で展示公開されています。長瀞町、ときがわ町の頭骨は一般公開されていません。
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Mi3158 毛鉱 | Mi3159 閃亜鉛鉱 |
★基本情報
名 称:秩父鉱山産鉱物・岩石標本 附 関連資料一式(ちちぶさんこうぶつ がんせきひょうほん つけたり かんれんしりょういっしき)
点 数:142点
所在地:秩父郡長瀞町大字長瀞1417-1(埼玉県立自然の博物館)
所有者:埼玉県
★こんな特徴があります
秩父市中津川(なかつがわ)に位置する秩父鉱山は、かつて鉄・銅・亜鉛・鉛・金・マンガンなどの金属鉱物を産出する埼玉県最大の金属鉱山でした。その歴史は古く、慶長13年(1608)には金が採掘された記録があり、その後、発明家や本草学者(ほんぞうがくしゃ)として知られる平賀源内(ひらがげんない)も金鉱脈を探しに訪れた記録があります。
この標本類は、令和4年に株式会社ニッチツから県に寄贈された、鉱物標本134点、岩石標本8点からなるコレクションと、その関連資料です。
秩父鉱山最盛期(昭和26~30年頃)に採掘された鉱物が中心で、国内でも第一級の稀有な産状(結晶の質、大きさ等)を示す鉱物標本が多数含まれています。
産出した鉱床や産出地点が記録された標本もあり、関係者への聞き取りメモや地質図等も残され、鉱床学・鉱物学上の研究資料としても重要なものです。
★ここがすごい!
1つの鉱山から産出した鉱物として、種類・産状ともに国内でも有数のコレクションです。
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高野砂丘 追加指定地 |
★基本情報
名 称:中川低地の河畔砂丘群 高野砂丘(なかがわていちのかはんさきゅうぐん たかのさきゅう)
所在地:北葛飾郡杉戸町大字下野849(追加指定地)
所有者:杉戸町
★こんな特徴があります
県東部の中川低地には、火山灰等に由来する大量の砂が平安時代~室町時代の強い季節風によって吹きためられて形成された「河畔砂丘(かはんさきゅう)」が、利根川の旧河道沿いに点々と分布しています。
内陸性の砂丘は全国的にも珍しく、また堆積した砂の分析や出土遺物から形成メカニズムや形成年代が明らかになっている点でも学術上重要です。
高野砂丘は、大落古利根川(おおおとしふるとねがわ)の東側に位置し、長さ2,800m、幅85mの範囲に広がり、八幡神社周辺では砂丘の起伏(比高約7m)や堆積した砂の様子を観察できます。
今回の追加指定地は八幡神社から南方に延びる砂丘上に隣接し、地形の保存状態は良好で新たに町有地となったことから、一体として保存すべきものとして追加指定することになりました。
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